【安堵の余韻】
玄三
「まっ、とりあえずは一段落じゃ。」
玄三は、ようやく肩の力を抜いた。
そして、茂夫の方を見ると、
片手をくいっと上げた。
玄三
「茂夫、どうじゃ?」
玄三
「今夜、一杯。」
茂夫
「ほっほっほ。」
茂夫
「好きじゃの~。」
茂夫
「千代さんには言うたのか?」
玄三
「いや。」
玄三
「まだじゃ。」
茂夫
「言うてから連絡してこい。」
茂夫
「千代さんに怒られるぞ。」
雄一・伊織・和真
「怒られるぞ!」
玄三
「やかましい!」
その声に、全員が笑った。
先ほどまで張り詰めていた空気が、
ふっとほどけていく。
清々しい風が吹く。
木々が揺れ、
社の周りに光が差し込む。
結界核は戻った。
封印具は、再び役目を果たし始めた。
完全に安心できるわけではない。
綻びや歪みの理由は、まだ分からない。
それでも今だけは、
無事に一つの役目を終えたことを喜んでもいい気がした。
玄三
「帰るぞー!」
全員
「はーい!!!」
全員で、屋敷へ戻った。
屋敷へ戻ると、千代が待っていた。
千代
「おかえりなさい。」
千代
「疲れたでしょう。」
千代
「ご飯の用意はできているから、手を洗いなさい。」
全員
「はーい!」
雄一、伊織、和真は真っ先に駆け出す。
真奈
「ご飯!」
陸斗
「お前も子ども組か!」
真奈
「ご飯の前では全員平等だ!」
隼人
「名言っぽく言うな。」
胡桃
「クスクス。」
その時、千代が茂夫に気づき、
柔らかく微笑んだ。
千代
「あら、茂夫さん。」
千代
「ご無沙汰しております。」
千代は深々と頭を下げる。
茂夫
「いやいや、久しいな、千代さん。」
茂夫
「元気か?」
千代
「ええ。」
千代
「変わらずです。」
千代は、にこりと笑った。
千代
「今日の晩は、来られるのでしょう?」
千代
「修一が土産を持ってきていますから、一緒にどうです?」
茂夫
「ほっほっほ。」
茂夫
「では、有難く。」
茂夫は片手を上げ、軽く挨拶した。
そして、玄三の横へ寄ると、
ぼそりと耳打ちする。
茂夫
「一枚上じゃったの。」
玄三
「やかましい。」
玄三も小さく言い返す。
その瞬間。
千代
「あなた?」
玄三
「なんでもありません!」
背筋が伸びた玄三を見て、
全員が一斉に吹き出した。
全員
「はははははっ!」
笑い声が、屋敷の中に広がっていく。
重かった空気は、もうそこにはなかった。
あるのは、
帰ってきた家族を迎える温かい匂いと、
騒がしい声。
そして、無事に一つの役目を終えた安堵だった。




