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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
127/193

【戻すべきもの】

全員が総本家の中へ入り、

そのまま仏間へ向かった。


仏間には、大きな仏壇があった。


そして、その上座には、

かなり大きな神棚が祀られている。


古い木の香り。


畳の匂い。


外の騒がしさとは違う、

静かな空気がそこにあった。


一番前の中央に玄三。

その隣に千代。


二人は神棚と仏壇を背にし、

全員を見る形で座った。


正面には修一。


その後ろに由美、真奈、杏奈。

さらに後ろへ、陸斗、隼人、胡桃、雄一、伊織、和真が並ぶ。


玄三

「よく来た。」


玄三

「まずは、挨拶じゃ。」


その言葉に、全員の表情が引き締まる。


まずは仏壇へ。


静かに手を合わせる。


それから、神棚へ。


誰も声を出さなかった。


先ほどまでの騒がしさが嘘のように、

仏間には、祈りの空気だけが満ちていた。


挨拶を終えると、

玄三がゆっくりと神棚の方へ向かった。


そして、神棚から一つの箱を下ろす。


丁寧に蓋を開けると、

中には封印具が納められていた。


玄三

「これが、封印具じゃ。」


細かな細工が施されたそれは、

ただの器には見えなかった。


金属とも、石とも、木とも違う。


どこか不思議な気配を纏っている。

挿絵(By みてみん)



陸斗

「……すげぇな。」


隼人

「初めて見た。」


雄一

「綺麗だ……。」


伊織

「初めて見た……。」


和真

「すごーい!」


真奈

「久しぶりに見たな。」


杏奈

「ええ。」


胡桃

「これが……封印具。」


玄三

「修一。」


玄三

「あれを出してみてくれ。」


修一

「ああ。」


修一は、補助具をそっと前に置いた。


胡桃の霊糸。


杏奈の結界。


真奈の邪気祓い。


幾重にも守られていた補助具から、

修一がゆっくりと結界核を取り出す。


その瞬間。


仏間が、紫色の光に包まれた。


眩しいほどの光。


けれど、不思議と目を背けたくなるものではなかった。


封印具が、反応する。


まるで長く待っていたものを迎えるように。


閉じていた花弁が、

ひとつ、またひとつと開いていく。


蓮の花が咲くように。


静かに。


美しく。


玄三

「この開いた中央へ置く。」


玄三

「焦るな。ゆっくりでいい。」


修一は頷き、

結界核を封印具の中央へ納めた。


次の瞬間。


封印具全体が、紫色に光った。


花弁の内側に刻まれた細かな紋が浮かび上がり、

光はゆっくりと縁へ集まっていく。


結界核の光も、少しずつ落ち着いていった。


まるで、暴れていた呼吸が整っていくように。

挿絵(By みてみん)



やがて、開いていた花弁が、

結界核を包み込むように閉じていく。


一枚。


また一枚。


最後の花弁が閉じた瞬間、

仏間に満ちていた紫の光は、静かに消えた。


玄三

「……よし。」


玄三

「これで、大丈夫じゃ。」


全員

「おおーーー。」


和真

「すごかった!」


雄一

「花みたいだった!」


陸斗

「いや、あれ本当に封印具か? 芸術品じゃねぇか。」


真奈

「だから言っただろ。すごいやつだって。」


隼人

「言ってねぇよ。」


杏奈

「でも、これで戻ったわね。」


胡桃

「うん……。」


胡桃は、閉じられた封印具を見つめた。


ただ封じたのではない。


戻るべき場所へ、戻した。


そんな気がした。


玄三

「さて。」


玄三は封印具を丁寧に持ち上げる。


玄三

「神社へ向かうか。」


玄三

「全員、来るがいい。」


玄三

「茂夫も、首を長くして待っとる。」


全員

「はい!」


こうして、冠崎家は全員で神社へ向かった。

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