【総本家】
ゆっくりと、二台の車が門の中へ進む。
目の前には、
大きな屋敷が徐々に近づいていく。
冠崎家総本家。
幽玄で、重厚な佇まい。
修一
「着いたな。」
庭先に、二台の車が並んで停まった。
和真
「着いたーーー!!!」
雄一
「やっほーーー!!!」
伊織
「長かったーーー!!!」
真奈
「だから、サービスエリア寄ろうって言ったじゃん!!!」
陸斗
「おまえだけだろ!!!」
胡桃
「着いたんだからいいじゃん。」
杏奈
「やっぱり。」
隼人
「ねーちゃん居なくて良かった~。」
真奈
「なんか言ったか、隼人。」
隼人
「な~~んも。」
由美
「あなた達。先にご挨拶に行きなさい。」
全員
「はーーーい!」
全員が玄関先へ駆けていく。
そして、大きな声で叫んだ。
全員
「じーーちゃん! ばーちゃん! 来たよーーー!!!」
玄三
「やかましーーー!!!」
玄三
「静かに来られんのんか! お前らは!!!」
全員
「無理!!!」
千代
「ホホホホ。」
千代
「元気が一番。」
千代
「会いたかったよ、お前達。」
全員
「ばーーちゃん!!!」
子どもの頃と変わらない勢いで、
全員が玄三と千代に抱きついた。
玄三
「こら! 押すな! わしはもう八十五じゃぞ!」
真奈
「まだまだ元気じゃん。」
玄三
「お前の基準で言うな!」
千代
「ホホホ。相変わらずだねぇ。」
由美は、その光景を見て微笑んだ。
修一も、少しだけ肩の力を抜く。
ここは、冠崎家総本家。
結界を守る一族の中枢であり、
家族が帰る場所でもあった。
修一
「あれを。」
由美
「ええ。」
由美は、ゆっくりと補助具を取り出した。
その前に、玄三へ向き直る。
由美
「お義父さん、ご無沙汰しています。」
丁寧に頭を下げる。
玄三
「おお! 由美さん、息災じゃったな。」
玄三
「元気か? 体は壊しとらんか?」
玄三
「何かあったら言いなさい。わしらが味方になるぞ。」
由美
「まぁ、お義父さんったら。」
由美は、くすくすと笑った。
千代
「由美さん、いらっしゃい。」
千代
「疲れたでしょう。ゆっくり休みなさい。」
千代
「ここでは遠慮しちゃ駄目よ。」
千代は、ゆっくり由美の背中を撫でる。
由美
「ありがとうございます。お義母さん。」
温かい空気が、そこに流れた。
修一
「コホン。」
修一
「俺もいるんだが。」
玄三
「おったんか。」
千代
「あらま。お帰り、修一。」
修一
「なんなんだ、その温度差は。」
玄三
「何って、当たり前じゃろ?」
玄三
「何を言うとるんだ?」
千代
「冗談よ。」
千代
「お帰り、修一。」
千代
「よく帰って来たわね。」
修一
「全く……。」
修一は呆れたように息を吐き、それから由美の手元へ視線を向けた。
修一
「親父。」
修一
「由美の手元にあるのが、例のものだ。」
玄三の表情が、そこで変わった。
先ほどまでの柔らかさが消える。
玄三
「……うむ。」
玄三
「確かに。」
玄三
「早速行くか。」
玄三
「茂夫も痺れを切らすぞ。」
修一
「封印具は?」
玄三
「新たに作っていただいた。」
玄三
「多少、無理を言ってな。」
修一
「作れるのか!?」
玄三
「ああ。」
玄三
「今となっては小さな神社の宮司さんだがな。」
玄三
「唯一、封印具を作れる家系の方だ。」
玄三
「その方にお願いして、作っていただいた。」
玄三
「これはな、特別な技法で作られとる。」
玄三
「並の職人には作れんもんなんだよ。」
玄三は、深く息を吐いた。
玄三
「やっとだ。」
玄三
「ようやく、これを戻せる。」
その言葉に、全員の空気が引き締まる。
玄三
「とりあえず中へ入れ。」
玄三
「それから、あれを封印具の中に納める。」
修一
「ああ。」
玄三を中心に、全員が総本家の中へ入っていく。
先ほどまで騒がしかった玄関先が、




