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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
120/193

【動き出した歯車・終】

修一


「ふぅ~~~。」


静かな溜息。


修一


「……そうか。」


沈黙。


修一


「だがな。」


全員が顔を上げる。


修一


「あれは強くしてしまうと。」


「向こうも、お前達に気付く。」


空気が止まった。


修一


「今までは違う。」


「通りすがり。」


「悪戯。」


「偶然。」


「その程度の関係だった。」


修一


「だが――。」


「気付かれた瞬間から敵になる。」


静寂。


修一


「いいのか?」


玲央


「……。」


修一


「知らない方が普通に生きられる。」


「普通。」


「平穏。」


「当たり前の日常。」


修一は窓の外を見る。


修一


「それが一番平和だ。」


修一


「……そして。」


「俺達には、最も遠いものだ。」


神崎組止まる。


修一


「だからこそ。」


「お前達には、まだ選んで欲しい。」


修一は立ち上がる。


修一


「今日は帰るよ。」


「ゆっくり治しなさい。」


扉が閉まる。


カチリ。


静寂。


玲央


「…………。」


海斗


「……ズルくねぇ?」


鷹臣


「なんかさ。」


「·······。違和感しかなくね?」


紫苑


「……。」


玲央


「普通。」


玲央は俯く。


玲央


「そんなもん。」


玲央


「最初から無かった。」


全員止まる。

__________________________

冠崎コーポレーション本部

社長室

修一


「ふ~~~~~。」


「知らない········か。」


暫くして。


プルルルル。プルルルル。


内線が鳴る。


修一


「私だ。··········。通してくれ。」


暫くして。


扉。コンコン。


扉が開く。



「どうだった?」


修一


「開口1番それか?」フッと笑った。


片手を上げて、人差し指を上へ指した。


屋上で話すとの合図だ。


2人は屋上へ向かった。



「あ~~~~!!!硬っ苦しい世界だな!」


修一


「仕方ないさ。この世界は理不尽で出来ている。」


タバコへ火をつけた。



「··············。だな。」


タバコへ火をつけた。



「····で、どうだった?」


修一


「どっちが先だ?」



「······。ふ~。まずは異形と結界核だ。」


「知ってたか?」


修一


「完全に知らなかった。」


「それどころか、存在すら知らなかった。」



「……だろうな。」


沈黙。


風が吹く。


修一


「……気持ち悪いな。」


「早く言いたい事を言え。」



「お前……。」


「デリケートって言葉知ってる?」


修一


「お前にデリケートな部分があったとは、今日知ったぞ。」



「俺にもあるよ!そういうとこ!」


修一


「いいから早く言え。」



「…………。」



「息子……だったか?」


修一止まる。


修一


「分からん。」


「ただ。」


「体内の核部分が封印されている。」


「かなり凝縮されたエネルギー体だ。」


修一


「もし、生まれつきなら。」


「赤子の頃は小さかったかもしれん。」


「だが。」


「相当なエネルギーだった筈だ。」


静寂。



「…………。」



「そう……か。」


震える声。



「そうだった……のか。」


膝から崩れ落ちた。


修一


「生まれた時。」


「……あまりにも力が強すぎた。」


修一


「焔に包まれて出てきたんだったな。」


巌震える。


修一


「お前は。」


「泣いている我が子を見て。」


「苦しんでいると思った。」


修一


「だから封印した。」


沈黙。



「……あぁ。」



「あぁ……。」


拳を握る。



「それが。」


「それが、あいつを苦しめてたんだな。」



「封印した事で。」


「力が無くなった。」



「他の兄弟達は力が使える。」


「なのに、自分だけ無い。」



「悔しかっただろうな。」


「苦しかっただろうな。」


声が震える。



「……でも。」


「仕方なかったんだ。」



「仕方なかったんだよ……。」



「麗華も。」


「悩んで。」


「悩んで。」


「ずっと迷ってた。」


涙が落ちる。



「今でも。」


「今でもあいつは。」



「蓮也が戻ってくるって信じてる。」


修一


「蓮が蓮也かは、俺には分からん。」


「だが……しかし……。」


修一は考え込む。


修一


「う~~ん。」


「実はな。」


「親父にも話す事なんだが。」


「神崎組の連中。」


「霊力を強くしたいと言い出したんだ。」


巌止まる。


修一


「だが。」


「力は強くすればする程。」


「精神の制御。」


「受け流す力。」


「防ぐ力。」


「祓う力。」


「全部必要になる。」


修一


「攻撃だけじゃない。」


「我慢。」


「耐久。」


「受け入れる器。」


「それが必要だ。」


修一


「彼らに出来るのか。」


「耐えられるのか。」


修一


「まだ考える時間が必要だと判断した。」


「今は保留中だ。」


沈黙。


修一


「巌はどう思う?」


巌の涙は止まっていた。



「そうか。」


「普通なら。」


「二度と関わりたくないと思うんだがな。」



「……まずは適正だ。」


「そこを知らなきゃ始まらん。」



「だが。」


「適正を見る時点で、もう関わる事になる。」



「見込みはありそうか?」


修一


「あの異形へ立ち向かった。」


「普通は逃げるぞ。」



「確かにな。」


二人は笑った。


修一


「土曜に親父の所へ行く。」


「その時に話してみるさ。」



「ああ。」


「そうしろ。」


間。



「……息子の事。」


「分かったら教えてくれ。」


修一


「分かっている。」


修一


「流石に鬼族は教えられん。」



「はは。」


「そうだな。」


爽やかな風が吹いた。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


序章編はここで一区切りとなります。


次回から少しずつ、

止まっていた歯車が動き始めます。


冠崎家。

神崎組。


そして、

まだ見えていない世界。


ここから本編へ入ります。


引き続き見守っていただけると嬉しいです。

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