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〖残る疑問・疑惑〗
黒崎
「……何故“無し”ではなく、
不明なんだ?」
静かな疑問が落ちる。
誰も答えない。
海斗
「何が違うんだ?」
黒崎は資料へ目を落としたまま言う。
黒崎
「無しなら確認済み。」
黒崎
「不明は――」
黒崎
「確認出来ていない。」
空気が止まる。
蓮
「……。」
玲央
「つまり?」
黒崎
「冠崎家の裏が無い証拠も、
存在する証拠も無い。」
海斗
「余計怖ぇよ。」
鷹臣
「ふふっ。
面白い家じゃん。」
黒崎
「笑い事じゃない。」
黒崎
「普通なら出る。」
黒崎
「痕跡。」
黒崎
「噂。」
黒崎
「監視。」
黒崎
「人脈。」
黒崎
「だが冠崎家は何も出ない。」
黒崎
「……綺麗過ぎる。」
沈黙。
窓際。
紫苑だけが海を見る。
頭に浮かぶ。
泣いていた胡桃。
怯えた顔。
そして。
最後に見た――
家族へ抱き締められる姿。
紫苑
「……。」
海斗
「どうした?」
紫苑
「いや。」
煙草の火を消す。
紫苑
「何でもない。」
だが。
黒崎の視線だけが、
資料の一角で止まっていた。
冠崎家。
家族写真。
そこに記された一文。
【観測記録:無し】
黒崎
「……違う。」
誰にも聞こえない声。
黒崎
「観測されてないだけか?」




