【動き出した歯車】
ここから、本編の歯車が静かに動き始めます。
序章を越え、神崎組は冠崎家の事情へ踏み込んでいきます。
翌朝、紫苑は一般病棟へ移った。
玲央
「紫苑!」
海斗
「紫苑~~~!」
一樹
「良かったな。」
蓮
「紫苑!」
鷹臣
「やったな!」
玲央
「全員、一般病棟だな。」
玲央は安堵していた。
病室の扉。コンコン。
玲央
「はい。」
修一
「こんにちは。
初めまして。冠崎修一。真奈達の父親だ。」
「一般病棟へ戻った直後ですまないが、少し事情を聞かせてもらえればと思ってね。」
「体調は大丈夫かい?」
玲央
「はい。ありがとうございました。」
修一
「それは良かった。」
一瞬、間が空く。
修一
「それと屋敷なんだがね。」
「半壊だ。」
神崎組止まる。
修一
「地下も使えない状況でね。帰る場所はあるのかい?」
玲央
「別荘があります。」
「しばらくはそちらを拠点にしようかと。」
修一
「そうか。」
修一は静かに頷いた。
そして。
机の上へ数枚の資料を置く。
修一
「では本題に入ろう。」
「君達は――これを見た事はあるかい?」
紫色の球体。
歪んだ紋様。
封印具の破片。
玲央
「……。」
修一
「それと、こういうものは?」
追加の資料。
異形図。
玲央
「いや……見た事はありません。」
修一
「そうか。」
修一の指先が資料を閉じる。
修一
「では別方向から聞こう。」
空気が少し変わる。
修一
「君達は盗みをするかい?」
玲央
「物は盗みません。」
「第一、物を盗んでも金にはならない。」
修一
「……。」
玲央
「情報です。」
修一
「情報?」
玲央
「俺達の家業は、政府や要人の駒みたいなものですから。」
修一
「なるほど。」
修一の目が細まる。
修一
「そういう事か。」




