〖神崎組〗
海辺の断崖絶壁。
荒波を見下ろす場所に、
巨大な屋敷が建っていた。
――神崎組本邸。
昼。
夜とは打って変わり、
リビングには日差しが差し込んでいる。
静まり返る室内。
海斗
「……暇。」
蓮
「黙れ。」
玲央
「朝からうるせぇ。」
海斗
「だってよぉ!!
昨日なんだったんだよアレ!!」
一樹はソファへ座ったまま、
資料へ目を落としていた。
海斗
「なぁ一樹。
結局あれ何だった?」
一樹
「分からん。」
蓮
「分からねぇのかよ。」
一樹
「分からん。」
玲央
「終わったな。」
窓際。
紫苑だけが煙草を咥え、
海を見ていた。
誰とも話さない。
海斗
「お前絶対考えてるだろ。」
紫苑
「……。」
玲央
「昨日の女の事。」
紫苑
「違う。」
即答。
海斗
「早ぇよ。」
その時。
黒崎が資料の束を持って現れた。
黒崎
「調べた。」
空気が変わる。
全員が黒崎を見る。
黒崎
「冠崎胡桃。
冠崎グループ所有企業勤務。
一般社員。」
海斗
「一般人かよ。」
黒崎
「父親。
冠崎修一。
冠崎グループ総帥。」
全員
「は?」
黒崎
「兄弟は七人。
胡桃は三女。」
ページを捲る。
黒崎
「長女、真奈。
冠崎グループ関連企業社長。
六年前に自ら企業設立。
現在、
グループ内トップ。」
蓮
「六年前……?」
玲央
「若過ぎねぇか。」
黒崎
「次女、杏奈。
大学病院勤務。
救急看護師。
オペ看資格保持。」
海斗
「いや何なんだこの家。」
黒崎は淡々と続ける。
黒崎
「長男、陸斗。
スポーツトレーナー。
現役バレーボール選手。」
ページが捲られる。
黒崎
「跳躍力、
洞察、
サポート能力に優れる。
スパイク、
ブロック共に海外注目。」
海斗
「盛ってね?」
黒崎
「事実。」
さらに次。
黒崎
「次男、隼人。
スポーツトレーナー兼分析担当。
現役バスケットプレイヤー。」
黒崎
「三ポイント成功率九十%。
海外から複数オファー。」
玲央
「行ってねぇの?」
黒崎
「本人曰く――」
資料を見る。
黒崎
『そんなに来て欲しいなら、
お前らが来い。』
沈黙。
海斗
「何なんだコイツ。」
黒崎
「以上。」
資料が閉じられる。
黒崎
「人間社会へ溶け込んだ巨大勢力。」
黒崎
「表は財閥。」
黒崎
「裏は――」
ページが捲られる。
黒崎
「不明。」
沈黙。
全員
「……は?」




