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アルティメイト ~最凶な世界でもエンジョイライフ~  作者: ちょばい


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37.進化したゴザル

【サイン視点】


開戦期から最前線に放り込まれていたゴザルは、美少女機械兵器を5人連れ歩く、立派なハーレム野郎へと進化していた。ちなみに彼女らの特徴は全部短髪で髪色が赤、白、青、緑、ピンクの5色に分かれていること以外に違いはない。


「ゴザルさん、アレは?」

「ダイナロイドが2体、ヤバいのと出会っちまったっすー」

「やる?やらない?」

「やらないでござる!友達でござるよ!」


機械兵器の女の子たちが、俺たちを殺すかどうかで盛り上がっていらっしゃる。

でもそうかゴザル…俺を友達と言ってくれるんだな。そんな友達の俺はお前の今の面白状況を録画するので忙しいというのに。というか、こんなことをしている場合ではないのだが。


「ゴザルー!元気そうだね!」

「アミュー殿もお元気そうでござるな!して、そちらのお二人は?」


ゴザルがグォンドと煙女に目を向ける。グォンドは煙女を守るように立つ…守られてばっかっすね俺達。


「まあ気にすんな。俺とアミューみたいな関係だと思ってくれ」

「理解したでござる!」

「とりあえず2人共、そこの金髪侍かぶれは大丈夫だ。警戒を解け」

「酷い言い草でござる!!」


「…人類最強の剣豪、ゴザル…本物?」

「俺って弱いんだな…本当に…」


煙女は目を見開き、グォンドは目に見えて落ち込んでいた。

ゴザルとは久しぶりの再会だし、もう少し語り合いたいところだが、ここでのんびりしている暇はない。


「ゴザル!俺達はここから脱出したい!外まで護衛してくれないか?」

「いいでござるよ」


よし!勝ったな!今回の探索はもうゴザルさんにおまかせコース「ダメです」ダメなのぉ?


「ダメよゴザルさん。人間勢力に協力するってことは機械兵器の陣営から抜けなきゃ認められないわ」

「そうそう、契約違反っす!」

「あ、ならもう機械兵器陣営、辞めるでござる」

「「「「「えっ?」」」」」


美少女機械兵器達の驚いた顔が凄い。機械兵器ってあんなに表情豊かになれるんだな。

というかゴザル、俺のためにそんな簡単に特権を捨てていいのか? 俺としては助かるが、さすがに申し訳なくなってくる。


ゴザルが俺のところまで歩いてきて、肩を組んでコソコソと囁いた。


「ぶっちゃけ、もう辞めたかったでござる。寝て起きては戦って寝て起きては戦って…寝てる時にも《武者》に試し斬りされそうになったり、バケモンみたいな生物兵器に盛大にふっ飛ばされたり…もう疲れたでござる」


本当にぶっちゃけたな。タイミングがなくて辞められなかっただけ、ということか。


「…寂しくなりますゴザルさん」

「っす…私ゴザルのこと結構好きだったっす…」

「ござっ!?」


ゴザルに機械兵器たちがしがみつき、誘惑を始めた。ダメだゴザル、それは悪質なハニートラップだぞ…


「あんなにも熱い夜を過ごしたのにどうしてこんなにスッパリと…」

「あの?ゴザルさん?」

「誤解でござる!彼女達にそっち系の手出しはしてないでござる!」


ゴザル…確かにお前は彼女がいないからと言って機械兵器と…


「早く移動しようよー」


アミューの言うとおりだ。とにかく移動しよう。

俺達はランド平原を脱出することにした。

武器とか何も拾えてないけど最前線生物兵器が現れた。つまり死ぬリスクがあまりにも高すぎる。1億で我慢だ。道中で何か落ちてたら拾うかもだけど…


















「なんでついてくるでござるか?」


ゴザルと一緒にいた美少女機械兵器達はゴザルにくっついてきた。彼女達の話だとゴザルはもう機械兵器陣営から外れたはずなのに…ってかむしろ彼女達は敵なのでは?


「なんでって…私達はもう一蓮托生です。ゴザルさんが機械兵器陣営から抜けるのであれば私達も抜けます」

「そうっすよー。そもそも私達はもうゴザルさんのサポート仕様にカスタマイズされちゃったっすからねー。戻っても普通には戦えないっす」


ちなみにこの語尾に「っす」が入るのがピンク髪の子だ。


「いやいやいや!ダメでごさる!拙者じゃ君達のメンテとか修理とかできないでござる!」

「大丈夫です。自分用のメンテ用品は大量に持ち出しました」

「あとメンテ用品が無くなったら『取りに来ていい』って武者から言われてます」

「…それ、全然辞められてないでござる〜!」

「武者は器が大きいのです。むしろゴザルさんがもっと強くなること望んでいます。こちら、武者への直通の連絡先です。ずいぶんと気に入られたようですね。ゴザルさんならいつでも戻ってきていいらしいです」

「か…完全に首輪付きでござる…」


会話を聞いている限り、ゴザルは機械兵器たちと相当うまくやってきたようだ。


「そのうちゴザルも全身サイボーグにされちゃったりしてな。そしたら彼女たちとも正式にお付き合いできるんじゃないか?」

「「「「「!!」」」」」


俺の軽口に美少女機械兵器達が固まる。ゴザルも固まる。そしてゴザルは俺に掴みかかってきた。


「しゃ、シャレになってないござるよサイン殿!拙者、最初本当に魔改造されそうだったでござる!必死で回避して人間のまま帰ってきたのに、そんなこと言ったら!」


「アリ?ナシ?」

「アリ寄りのアリね」

「ゴザルさんが寝てるとこを指先からこっそり…」

「人工強化血液は持ってきてないから無理よ」

「今から武者に頼んでくるっす?」

「わぁー!やめるでござる!拙者は人間でもみんなのことを愛してるでござるー!」

「「「「「ゴザルさん…♡」」」」っす♡」


なんとなく、ゴザルがどうやって機械兵器たちの中で生き抜いてきたのか、その処世術が垣間見えた気がする。とりあえず、俺と同様、彼にももう普通の人間の彼女はできないだろうな。


さて、俺も気になっている…というか、喉から手が出るほど欲しいものがあるので、軽い感じのピンク髪の子に話しかけてみた。


「ねぇ。ピンク髪の君。少し話いいか?」

「ナンパっすか?キモいっすよ?」


うわ、俺のことを見る目がゴミを見る目だ…ゴザル以外は眼中にないってか?だが、ここで引くわけにはいかない。俺には「ウォーカー部」の一員として果たすべき使命があるのだ。


「違う違う。ゴザルのことだ。ゴザルって超強いだろ?」

「っす!」


目がキラキラしてる。やはり完全にゴザル信者だな。


「超カッコいいだろ?」

「っす!!」

「何かさ、こう……ゴザルの武勇伝みたいな録画はないか? 俺も親友だからさ、彼の最前線での活躍を見てみたいんだ」

「…サイン殿?」


ゴザルがなんか目をこんな感じ( Φ _ Φ )にして見てくるけど気にしない。ピンク髪の子は少し考えた後…


「…ゴザルさんの活躍…録画…してれば良かったっすけどねぇー…」

「そうか…残念だ」


ピンク髪の子は俺のポケットに入ってる情報端末をチラリと見た。オーケーわかった。録画あるんだな?後で送ってくれ。アミューと2人で見るわ。後は部内チャットで拡散しないと…


「とりあえず、お前たちはゴザルと一生一緒なんだろ? ならもう俺たちの仲間だ。俺はサイン、よろしくな」

「っす! 私は女型アンドロイド機械兵器サンノハ! よろしくっす!」


俺達は握手した。やはり人間のように見えても機械兵器。手は体温が感じられず冷たい。ついでにサッとお互いの連絡先を交換する。


「サンノハ、ゴザルさん以外の人間と連絡先なんて交換していいと思ってるの?」

「ダメよ、すぐに消しなさい」

「そんなんじゃないっすよ。ほら、これからは私達も人間について知らないといけないっすから。勉強っすよ勉強」

「…それもそうね」

「…サイン殿?何か悪だくみしてないでごさるか?」

「シテナイヨー」


サンノハがうまく誤魔化してくれている。彼女もきっと、ゴザルの活躍を拡散したら面白そうだと分かっている「同志」に違いない。


ちなみにこんなに前線でのんべんだらりと喋っていられるのには理由がある。


ゴザルに付き従う機械兵器達が《レーダー》で索敵しながら歩いているからだ。


兵器がいないルートを縫うように進む。緊張感なんてものは、さっきのビートルウォーリアのところに置いてきた。


87番とグォンドは大人しく付いてきているが、グォンドが意を決したようにゴザルに話しかけた。


「なあ、ゴザル…さん…」

「さん付けなど不要でごさる」

「ゴザル…あんたの強さはどのくらいなんだ?ゴザルよりも強い奴っているのか?」


どうやらグォンドにはゴザルが大変強そうに見えるらしい。

ゴザルの強さか…実際どのくらいなんだろうな。ロウさんクラスの腕で最前線クラスって言われてるが…


「いるでござる。むしろ拙者は最前線だと常に弱者でござった」

「…そうなのか」


グォンドは自分が余りに弱いことに打ちのめされているようだ。大丈夫だ、俺の方がもっと弱い。なんの慰めにもならないだろうが、心の中で励ましておく。


「ふーむ…グォンド殿でござったな。貴殿には拙者の方が強く見えるのでござろうが、実際はグォンド殿の方が強いでござるよ?」

「は?」


そういや、アミューも言ってたっけな。グォンドをボコボコにしながら、でもお前のが強い…とかなんとか。


「要は『使い方』でござるよ。強いと弱いはただの基準であって、それが勝敗に直結するとは限らないのでござる」

「?」


グォンドは話がわからないようで首を傾げている。俺もわからないです。わからないのを察したゴザルがちゃんと説明をしてくれる。


「グォンド殿がそこの煙の女性?と比べたら、グォンド殿の方が間違いなく強いのはわかるでござるね?でも女性がレーザー兵器を持ってグォンド殿の額を撃ち抜いたらそこ女性の勝ちでござる」

「それは…そう…だな」

「拙者だって生身でグォンド殿の攻撃受けたらミンチでござるよ。つまり『強い・弱い』で全部決めつけちゃうのは良くないってことでござる。弱くても体の使い方とか、銃の的確な当て方さえマスターすれば十分にジャイアントキリングできるってことでござる」

「なるほど…」


グォンドが再び沈思黙考を始めた。尻尾がときどきビクンと跳ねるのは、自分の身体の可能性を模索している証拠だろうか。


「ああ、すまん、私はちゃんと自己紹介してなかったな。87番だ。よろしく」

「そんな…まるで実験動物みたいな名前でござる」

「間違っちゃあいないさ」

「…なんか申し訳ないでござる」

「やーいノンデリゴサール(笑)」

「サイン殿には言われたくないでござる!!」

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