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アルティメイト ~最凶な世界でもエンジョイライフ~  作者: ちょばい


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19.新しい仲間が加わった▼

【サイン視点】

とりあえず、俺の端末で撮影していた『姉御VS白炎竜』の戦闘動画を直接見せることで、ヴィクトールにリプレが精神崩壊?してしまった理由を強引に納得させた。

その説明をしている間に、アミューは怯えるルナを優しくあやしてくれており、ルナは安心したのか再び俺んちのボロ毛布の上でぐっすりと眠りに落ちた。


「……ふぅ……まあ、理由は分かった。とんでもない事故に巻き込まれていたんだな、お前らは」

「マジでな…俺だって今思い返しても現実離れしすぎてて、悪い夢でも見てる気分だったぜ」


ヴィクトールは深く重いため息をついた。……なぜか、妙に肩を落としてひどく落ち込んでいる。なんでだ?

俺の訝しげな視線に気づいたのか、ヴィクトールが消え入りそうな声で言った。


「……俺の最終目標はな、いつかあの……『姉御』を超えることだったんだよ……ありゃあ無理だ!人間じゃねぇ!もう神様とかの何かだろ!」

「ハハハ! そりゃあ絶対に無理だわ。姉御はこの世の頂点なんだから。せめて目標にするならゴザルあたりにしておけって」

「……はぁー、そうするわ……」


ヴィクトールはガタガタと震えながら虚空を見つめているリプレを優しく背負うと、這うようにして隠れ家の外の車に乗せ、シェルターへと帰っていった。


リプレよ……今日のトラウマをもし乗り越えることができたその時は、貴様のメンタルは多少の出来事じゃビクともしなくなるはずだ。つまり、結果的に今日の探索で「不動の精神力」を手に入れた……に違いない。うん、そういうことにしておこう。


そして、ヴィクトール達が帰って静かになった、その直後。


「よっと。さっきぶりですね、サイン」


……当然のように姉御が俺の足元に出てきた。

おい、仲間にもあんまり姿を見せないレアキャラじゃないのかよ……もうなんか、完全に日常的な距離感で俺の家に来るな、この人。


「別にいいじゃないですか。サインは私の大事な部下なんですから」

「心を読むのはやめてくれ。あと、前置きなしで突然現れると、アミューがビビるから…」

「……ビ、ビビらないよっ!」


一緒にヴィクトール達を見送ったアミューが、俺の後ろから必死に声を張り上げた。


「姉御は……! 姉御は私達の仲間だもんっ! 私も……もう絶対に怯えないっ!」

「アミュー……」


無理すんなって。自分の尻尾を両手でギュッと抱きかかえて震えながら言っても、説得力がないぞ。

でも、アミューなりに、俺達のリーダーである姉御に頑張って歩み寄ろう、寄り添おうとしてくれているんだなぁ……健気じゃないか。


「まあ実際、私だって用事がなきゃ来ませんよ。渡しっぱなしで忘れていたことがありましてね……サイン、あのジェネレーターを見せてください。どこに置きましたか?」

「ああ、ダンゴロムシの甲殻ブロックが山積みになってる荷物置き場に、置いてあるぞ」


姉御はその小さな足でテクテクと奥へ歩いていき、置いてあった白炎竜のジェネレーターにスッと小さな手を置いた。

その手のひらから淡い光が放たれ、ジェネレーターに吸い込まれていく。


「……よし。これで危ない機能はロックできました。後はサイン、貴方の好きにご自由にどうぞ。私は今日は疲れたので、家に戻って寝ます」

「お疲れ様ですっ!」

「おつかれ、姉御……!」


俺とアミューがお別れの挨拶をすると、姉御はまたフッと消えてしまった。


本当に神出鬼没すぎる……しかし、ああやって瞬間移動であらゆる場所に一瞬で行けるってのは、めちゃくちゃ便利だろうなぁ。


それにしても、こんな最前線級を超えた、やべぇジェネレーターをテキトーに俺に手渡して「ご自由にどうぞ」だなんて。普通なら注意事項の1つや2つは絶対にあるはずだろ……けど、姉御が安全を保証してくれたんだから大丈夫か。


「ふぅ。アミュー、俺達も今日はもう寝ようぜ」

「そうだね…………サイン、一緒に……は、やっぱりダメだよね? ……おやすみ」

「ああ、おやすみ」


アミューもやっぱり今日の戦いが怖かったからか、一緒に寝て欲しかったのだろう。だが……うっかりすると、俺がアミューの寝相で物理的に潰されかねないので、パワーアーマーを脱いだ生身の状態で一緒には寝られないのだ。かといって、パワーアーマーを付けたままだとゴツすぎて俺が寝られない。


こればかりは申し訳ないので、せめてお休みの代わりにアミューの身体をギュッと力一杯抱きしめてあげた。


「……後5分」

「はいはい」









次の日の朝。


俺とアミューは、さっそく姉御から貰ったジェネレーターを使って『新作』を仕上げることにした。ルナは……。


「わぁー! 今日は何か作るの!?」


もう昨日のトラウマなんて綺麗サッパリ忘れたかのように、キラキラした目で元気いっぱいに跳ね回っていた。やっぱり子供ってたくましいよね……


「よくぞ聞いてくれたな、ルナ! 俺達はな……今、『巨大パワーアーマー』の最終調整をしてたんだよ!!」

「おーっ!」


そう、ダンゴロムシの甲殻をフレームに流用することによって、仲間達から散々いじり倒され、置き物と化していた、『巨大パワーアーマー』が、ついに実用レベルで動かせることが判明したのだ!


重い金属製パーツを、超軽量・超硬度のダンゴロムシ装甲に変えるだけであら不思議。ちゃんとエネルギーが行き渡って動いたんだよ! 俺の巨大パワーアーマーが!


……ただし、燃費が悪すぎて「15分間」だけ。


というわけで、一昨日までバッテリーがすぐに切れちまう欠陥を直すため、省エネ化の改良をアミューとずっと一緒にやっていたのだ!


しかし、その本日はそれをやる前に……


「この、幻獣機のジェネレーターを入れるための『容器』をまずは作らないとな……」


元々があの白銀の機械竜だったわけだし、同じようにドラゴンの形みたいに作ればいいのかな……アミューの尻尾をチラリと見る。


「どうしたの? サイン」

「いや、アミューの尻尾の鱗の並びって、いつ見ても本当に綺麗だなぁって思ってさ」

「そ、そう……? えへへ、ありがと……!」


アミューの尻尾のデザインを参考にしようかと思ったが、よくよく思い出してみると、あの機械竜の尻尾とは構造が全然違ったので、トレースするのはやめた。


……ん? 待てよ。これってつまり、この幻獣機のジェネレーターを使って、機械兵器を俺の好きなように作れるってことじゃね?


………………いやいやいや、そんな美味い話は無いか。一応、このジェネレーターの中には『白炎竜』の自我があるって姉御も言っていたしな。外見は、中の奴の好きにさせてやった方が絶対にいい。見た目が気に食わんとか言われたら俺のメンタルが死ぬ。


「なぁ、アミュー。このジェネレーターから、何か意思とか声って聞こえたりするか?」


アミューはダイナロイドだ。人間とは違う未知の器官で、このジェネレーターから声を拾えるかも…


「んんー? 何も聞こえないよ? 」


そんなことはなかった。

とりあえずコイツの自我?とやらを確認しよう。


俺は、ドラゴンの形状に近い『アミュー専用の異型パワーアーマー』のフレームを少し弄ることにした。バッテリーを入れる(だけの)箇所を弄って…このジェネレーターがぴったり収まるようにソケットを拡張する。


ダンゴロムシの甲殻製なので、アミューに【シナジー】で形をウニョウニョと変えてもらうだけで、大掛かりな溶接もなしに一瞬で成形が完了した。


さて……どうなるか。


俺はドキドキと胸を高鳴らせながら、拡張ソケットに【白炎竜のジェネレーター】をカチャリと挿入した。


――キィィィイイイイイン……!!


挿入した瞬間、アミューの異型アーマーの装甲の隙間から、あの戦いで見た美しい「青白い光」が血管のように走っていった。動力パイプに沿ってエネルギーが光り、フレームが脈動していく。なんだこれ……俺、こんな発光ギミックの機能は付けてないぞ……!?


そして――バサッ、と大きく翼が広がった。


アミューの異型アーマーの背部にあった、あの硬いだけのハリボテだったはずのダンゴロムシ甲殻の頑丈な翼が、ジェネレーターの意志と同調したかのように液状化して柔らかく変形し、まるで本物の『竜の翼』のように優美に広がって空を仰いだのだ。


「わぁーっ! 凄い凄い! お空を飛んでるー!」

ルナが手を叩いて大はしゃぎする。


「サインのパワーアーマーって、こんな凄いこともできるようになるんだぁ!」

「そ、そうだぞ……! 計算通りだな……!」


いや、どうしてダンゴロムシの甲殻がそんな生き物みたいに変形して飛べるんだよ、と心の中で全力で突っ込んだが、ドヤ顔で誤魔化した。

白炎竜はしばらくバサバサと翼を動かしながら、今の新しい自身のボディの出力や感覚を確かめるように、確認しているようだった。ジェネレーターの自我が、アミューの異型パワーアーマーを借りて喜んでいるのが伝わってくる。


ひと通り確認が終わると、背中の翼は静かに折りたたまれ、白炎竜は俺達……というか、製作者である俺に向かって、スッと静かに片膝を突き、深く頭を下げて一礼した。


それは、新しい器を与えられたことへの、最大限の「感謝」の敬礼のように見えた。

声が出せないからか、何を伝えたがっているのかはハッキリとは分からない。そりゃあ、発声器官なんて付けてないし、そもそも声帯なんて物、俺作ったことないからどうすればいいのかもわからん。


何はともあれ、俺とアミューのパーティーに、心強い新しい仲間(白炎竜)が、加わった瞬間だった。

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