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アルティメイト ~最凶な世界でもエンジョイライフ~  作者: ちょばい


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1.アミューのパワーアーマー(?)作り

【サイン視点】

俺とアミューはまず、【アミューの人型パワーアーマー】の作成から始めることにした。


俺自身のパワーアーマーの型はあるが、アミュー用となると1から作らなければならない。


さあ大変だ……というわけでもない。


型取りはアミュー自身がダンゴロムシの甲殻を【シナジー】で液体化し、身に纏うだけで一瞬で取れるのでかなり楽だ。 後は関節の可動域に、これまたアミューに作ってもらった甲殻の部品を組み込んでいくだけ。


カチャカチャ……。


「ねぇ、サインはなんでパワーアーマーを作れるの?」


「なんでだろうなぁ……俺は昔、死体漁りが大好きな子供だったんだよ」


「うん」


「でさ、そのついでにパワーアーマーを分解して、綺麗な、売れそうなパーツを集めてたら、いつの間にか作れるようになってたんだ」


「……ホントになんで?」


不思議だよなぁ。そういえばあの頃といえば、ゲロマズな『ハウンドドッグ』の肉しか喰ってなかったな。 物を買う金も家も無かったから、パワーアーマーが無くても、しょぼい拳銃で簡単に殺せるハウンドドッグを3食……しかも生で……


うっ、思い出すだけで吐き気が。今じゃ絶対無理だ。


とりあえず、アミューの人型パワーアーマーは作成開始から3時間ほどで完成した。 ……正確には、パワーアーマーの形をした「ただの防具」なんだが。


そもそもパワーアーマーというのは、非力な人間が電気などのエネルギーの力を借りて身体機能を補助するものだ。 アミュー本来の馬力以上のエネルギーを生み出せる神アイテムなんて、この俺の家には存在しない。というわけで、本人には内緒でパワーアーマーの形をしただけの頑強な防具に仕上げました。


「わーい♪」


アミューが早速それを着てはしゃいでいる。本人がこれだけ喜んでいるのだから、まぁいいだろう。


「ねえサイン。なんで右肩だけ空いてるの?」


「ああ……前に生体銃を右肩から出してただろ? そのスペースだよ。パワーアーマーの上からでも出せるようにと思ってな」


「アレ、生体銃じゃないよ?」

「……はい?」


詳しく話を聞けば、アミューの右肩から飛び出していたのは、シンプルにダンゴロムシの甲殻を弾丸の形に成形したものを、射出するためだけの急造の発射機構だったらしい。


「サインが前に、ミドリノシェルターの畑でスイカを食べて、種を口からプップッて飛ばしてたのと仕組みは一緒だね」


「……ああ、そうなんだな」


ええーー……じゃあ、あの撃ち出す時に発生していたマズルフラッシュは何だったんだ? もしかして、銃口内を音速の甲殻が激しく擦ったことで起きた、単なる摩擦の火花? どんだけの勢いで飛ばしてんだよ、怖すぎるだろ。


しかし、そうなると。


「……もう、使えないか」

「そうだね。使おうと思えば使えるけど……」

「弾が……甲殻が勿体ないな……」


くっ、カゴ一箱分くらいなら贅沢に弾丸にしても……いやダメだ、もったいねぇ!


だってこれ、すげぇ高く売れるんだぜ? 撃った後にいちいち回収するにしても、前線でそんなことやってたらめんどくさすぎる。


とりあえず、右肩の部分は空ける必要が無いとわかったので左肩と同じように埋めて……今度こそ完成だ!


見た目と形は俺のパワーアーマーとそっくり。 そして尻尾の部分は、「後付けしてますよ感」を出して『付け尻尾』に偽装した。 前にアミューに尻尾だけ透明化させてスカートを履かせた時、スカートのお尻の部分がすげぇ不自然に浮いて変だったからな。消すのは諦めて、もうガッツリ見せていくスタイルだ。 こういう付け尻尾のあるパワーアーマーを着ているウォーカーだって、探せば何人かは……いるかもしれないし。


さて、お次は……俺好みの超イケてる異形アミューの防具を――。


思考を遮るように、情報端末が鳴った。ヴィクトールからのメッセージだ。


『久しぶりだな。最近忙しかったらしいから遠慮してたが、来週そっちに行ってもいいか?』


……すっかり忘れていたよ。スカベンジズの隊員を連れて前線に行くっていう引率の仕事、そういえばあったっけ。 っていうか、忙しかったって何のことだ?


俺はそんな連絡を一切してないが……むしろ最近は暇な日が多かったような。まあいいか、とメッセージをスクロールする。


『あと、先に謝っておく。次に連れてくる奴は、ロウの悪ふざけでシェルターを追放されて死んだ奴の娘だ。ウォーカーを死ぬほど憎んでいる。面倒事になるかもしれない』


うぉわぁー! めんどくさすぎるだろそれ!


『だから、俺から迷惑料として300万エルンを先に振り込む。300万エルン分くらいは、奴の粗相に目をつぶってくれ。一応、俺の友人の娘でもあるからな』


300万ねぇ……。レンから1億エルンを貰い、ヤミイチとは億単位の取り引きを連発している今の俺からするとかなり安く感じるが、そもそも億が異常なだけで、300万エルンもかなりの金だ。うん、そうだな、寛容な心で見守ってやろう。


それよりも……!


「アミュー! まずは、俺を背中に乗せてくれる時のあの『ラプトル』状態用のパワーアーマーから作ろうぜ!」


「わかった!」


アミューのパワーアーマーの……異形バリエーションを増やさなければねっ!
























そして、あっという間に1週間が経った。


【リプレ視点】

ヴィクトールさんの運転する車の助手席に座り、何もない荒野を進んでいく。 窓の外、たまに泥にまみれてゴミを拾っているウォーカーが視界に入るたび、胸の奥がイラッとしてしまう。


そんな私の苛立ちも、ヴィクトールさんには完全に筒抜けのようで。


「おい……イライラが外にまで漏れてるぞ」


「……察しが良すぎよ、ヴィクトールさん」


「この察しの良さが、俺の強さの源だからな」


今日、私達はいよいよ、私達を前線へと引率してくれるウォーカーの隠れ家に行くという。 事前に、私はそのウォーカーと相棒についての情報をヴィクトールさんから教えてもらっていた。


『サイン』


戦闘の実力はあまりないが、探索と生存、隠密の技術がズバ抜けている。敵の密集する危険ポイントには決して近寄らず、他のウォーカーとの距離感も我々スカベンジズと似ているため非常に相性が良い、と。


そして――。


『アミュー』


サインに異常に懐いているという生物兵器。ダイナロイドという、前線のさらに奥……最前線で暴れ回る化け物だという。 生物兵器なんて、私はシェルター付近にいる最弱の『ハウンドドッグ』しか見たことがない。いや、映画や資料映像では見たことがあるけれど、本物は一体どれほど悍ましい化け物なのだろうか。


道なき道を車でガタガタと揺られながら進んでいると、やがて廃墟のような……古い工場っぽい建物が見えてきた。その瞬間、私はあまりの光景に息を呑んだ。


「凄い……なんて……なんて罠の数……!」


「ほう? 遠目から罠が見抜けるか。才能あるよ、リプレ」


ヴィクトールさんが情報端末を取り出し、手際よく操作を始めた。


すると、工場の横の地面がせり上がり――重低音を響かせながら、巨大な隠しハッチが開いていく。


ヴィクトールさんはその暗い地下ハッチに向かって、警戒の様子もなく車を進めた。


そして、ハッチを降りた先。地下の全貌が見えた瞬間――。


「ッ、ハメられた!?」


私は反射的に腰の銃に手を伸ばした。 暗がりに、異形のバケモノたちが大量に並んでいたのだ! 巨大な翼が生えているもの。強靭な尻尾が生えているもの。二足歩行の獰猛な獣のようなシルエットまで――。


これが、本物の生物兵器……っ!!


しかし、今すぐ飛び出そうとする私の体を、ヴィクトールさんが強引に腕一本でねじ伏せた。びくともしない!


「落ち着け……ありゃパワーアーマーだ。……いや、ただの防具か? アイツあんな趣味あったんだな…」


「……パワー…アーマー?」


ヴィクトールさんに言われ、恐る恐る目を凝らしてよく見てみる。 ……確かに、異形たちの顔や胸の部分がポッカリと空いていて、誰かが中に乗り込むような作りになっていた。つまり、中身は空っぽ…動くことはない…


私は自分の勘違いがあまりに恥ずかしくて、真っ赤になった顔を両手で覆った。


「まあ……本当に敵の奇襲だったとしたら、反応の速さは、悪くはなかったぞ」


「…………うぅ……………………」

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