第145話 御三家
パーティーの組みなおしは必要なかった。
シヴァティの爆弾スキルの中に、敵にダメージを与えつつ味方を範囲回復するって物があったからだ。
それ程強くはないそうなので――勇気談――これに大城恵の範囲回復を合わせれば行けると判断。
なので竜崎以外の目の見えないメンツ3名――アレックス含む――と、魔法が使えないと戦力にならないメンツ2名を下がらせ――正確には、一人は目の見えない大城恵のサポートだが。
魔物3体をチェックしたうえで戦闘スタート。
形としては聖が一体。
大城光が一体抱え。
最後の一体は竜崎が火力でタゲ取って、一匹づつ集中砲火で倒すというスタンスだ。
で、結論から言うと……まあ楽勝だった。
ぶっちゃけ、デバフ込みで考えても、その強さはレベル97のグレートマザーラット以下だ。
もちろん俺一人で倒せるレベルではないが。
因みに、このボス戦では竜崎の分身が初お披露目された。
デーモンハートと合わせて叩き出される、その火力の恐ろしい事恐ろしい事。
一人でも化け物じみた強さなのに、短時間とは言え2人になったらそりゃもう化け物よ。
え?
何も変わってない?
語彙が少ないだけだから気にしないでくれ。
「さて……まあスキル進化の書の一つは――」
三つの宝箱に入っていたのは、隠し通路入手アイテム御三家と呼ぶべきものだった。
スキルレベルアップの書。
スキル進化の書。
そしてランクアップポーションである。
レア確定枠は両方スティールで――魔物は三匹からそれぞれの物が盗む事が出来るようになっていた―—これまたランクアップポーションに、スキル進化の書である。
「竜崎」
俺はそのうちの一つ、進化の書を竜崎へと投げて渡す。
本当は独占して『俺ツエエエエエエ!!』したい所だが、事は世界の命運がかかってる事だからな。
全体の底上げを効率よく行わなければならない。
だから断腸の思いで彼を強化する。
「それならドラグフォームか、アルティメットスキルを強化できるはずだ」
「感謝する」
「スキルレベルアップの書は……天魔だな」
スキルレベルアップ候補は三つ。
天魔の『魔力』。
シヴァティの『器用』。
そして最後がアレックスの『敏捷』だ。
どれも強力なものだが、天魔の魔力が頭一つ抜けていると個人的には思っている。
やっぱ戦いは火力だからな。
1匹目倒した後に分身使って数十秒で猿2体を殴り倒した竜崎見て、しみじみとそう思う。
まあ彼は火力だけじゃないど。
「おおう!さんきゅうGっち!愛してるー!」
書を受け取った天魔が投げキッスを飛ばしてくる。
「まあ戦略的に考えがあるなら、他の人間でも構わないが」
「いやいや、もっち私が使うよ。火力こそジャスティスだかんね!」
天魔は俺と同意見の様だ。
「へい!ファントムG!」
「ん?」
「ランクアップポーションは勿論俺にくれるんだろ?」
爽やかな笑顔でそうアレックスが聞いて来る。
もちろん――
「やらん」
「なんでだ!?」
俺の返答に、アレックスの目が『カッ』と見開かれた。
いやそんなに驚くこたよ。
「ランクアップしたとして……いつレベル上げをする気だ?」
第1階層は1年以内に誰かがクリアしなければならない。
それを越えると世界は滅ぶ。
そしてその役目は天魔のパーティーが担う事になる訳だが……
「そりゃこのスピードスターの俺様なら一瞬で終わらせるさ」
「無理だな」
「無理ね」
俺と天魔の意見が合致する。
「なんでだ!?」
「10倍状態で、レベル90台に上げるのに2か月近くかかってるじゃん。アレックス」
「次のランクアップは更に必要経験値が10倍になる。つまり期間も10倍。1年以上レベル上げにかかる事になる。どう考えても間に合わないだろう」
ヒーロークラスになれば、レベル上げ速度はレアクラスの時より加速するだろう。
だがそこを含めて考えても、恐らく1年近くはかかるはず。
そうなると、メンツが欠けた状態で天魔達は1層をクリアする必要が出て来る。
まあ彼女達なら、それでもクリアは問題ないだろう。
問題は……1層をクリアしたシーカーしか、2層に挑めないという点だ。
そして1度でもクリアした者は、もう2度と第1層には挑戦できなくなってしまう。
つまり、アレックスが合流するには1人で第1層をクリアする必要がある訳だ。
それは当然無理ゲーである。
俺のパーティーに入れてって手もなくはないんだが、そうなると今度は俺のパーティーが1人欠ける事になる。
アレックスは追いついた時点で移ってしまう訳だからな。
そしてそれは、後々確実に不都合を引き起こす原因になる。
だからアレックスをランクアップさせる訳には行かないのだ。
まあ俺が、レベルアップポーションをアレックスに大量に都合してやれば話は変わって来るが……それをすると、今度は俺のレベル上げに不都合が出てしまいかねないからな。
なのでアレックスのランクアップに関しては、余裕が大きくあればって感じになる。
「解放のタイミングが悪かったな」
「ぐぬぬぬ……俺様の超パワーアップが……」
さて、残りはランクアップポーション2つに、スキル進化の書一つだ。
もちろんこの三つについても使い道は決めている。
用途は勿論――
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