第146話 (真)
ダンジョンでの狩りを終え、部屋に戻ってシャワーを浴びてからネット記事に目を通す。
「連日ニュースになってるな」
ネットニュースの一面は、どこもかしこも神の用意した試練の話題で持ちきりだ。
まあ、クリアできなきゃ人類が滅びる訳だからな。
無関心な人間がいないって事を考えれば、当たり前ではあるが。
そしてその話題とセットになるのが、天魔輪廻の存在である。
彼女は早い段階から自身が回帰者であり、世界の危機を唱えていたからだ。
これが他の誰かだったら、きっとその発信は偶々一致しただけと扱われていただろう。
だが、彼女はレベル97のボスを倒した唯一のパーティーのリーダーであり。
しかもグーベルバトルにおける、頂点三人のうち一人な訳だからな。
そりゃ俄然、信憑性が増すという物である。
「しかし不思議なのは……なんで誰も、シーカー協会の協会長の声の事は気にしないんだろうな?」
当のシーカー協会からは、音声データが使われたのだろうという公式発表がなされているが、そんなの普通丸々信じるか?
普通は多少なりとも話題になりそうなもんだが、全くその話がない辺り、何らかの力が働いているとしか思えん。
因みに、協会長に対しては、勇気曰く――
『まあ細かい事は気にしないで下さい。あと……間違っても協会長を問い詰めようとかも考えては駄目ですよ。冗談抜きでお勧めできない事態になりますから』
だそうだ。
だから天魔達も、協会長を問い詰める様な真似は控えている状態である。
「まあとにかく……今はレベル上げとメンバー探しを頑張るしかない」
時間的猶予はあるが、天魔達のパーティーにも余裕を作ってやる必要があるからな。
なので可能な限り急がんと。
ラストダンジョンは10階層あり、各々の階層クリアに、持ち時間として1年与えられる。
このクリアは初クリアまでの期限なので、達成するのは別に同じパーティーである必要はなかった。
なので俺のパーティーが追いつき、天魔のパーティーに代わって先行すれば、彼女達に時間的余裕を作ってやる事ができる訳だ。
「アレックスのランクアップとかもあるし、その分の時間は俺達のパーティーで稼がんといかんからな」
因みに、階層をクリアした時点で、次の階層の次の期間のカウントダウンが始まってしまうシステムなので、急いでクリアするとトータルで貰える時間が減る事になってしまう事に。
なので、可能な限りギリギリでクリアするのが理想だ。
まあその辺りも、輪廻がきちんと世界相手に――政府主導の世界発表に出てた――説明しているので、抜け駆けして『我々が一番乗り!』って形で、先を競うような事態は起きないだろうと思われる。
「もしもし」
聖から電話がかかってきた。
「レベル上げは順調か?」
ランクアップポーションの一つは、聖が使っている。
なので今は絶賛レベル上げ中だ。
まあこれは当然だよな。
あいつとはパーティーを組む事が決まってた訳だから。
で、もう一つは――
「まあ大変だとは思うけど、大城さんと一緒に頑張ってくれ」
―—大城恵が使っていた。
レアクラスをヒーロークラスにするんじゃなく、ノーマルクラスをレアクラスに上げたのか?
そう思うかもしれない。
だが、大城恵にはユニークスキルがある。
それも聖と超相性のいいスキルが。
竜崎や天魔レベルの、超火力のシーカーをスカウトするのは難しい。
と言うか、そんなレベルの人間が他にいるかも怪しいしな。
なのでそうなると、やはり俺のパーティーで重要になって来るのは耐久力。
耐えて耐えて耐えて、そして相手を削り殺す。
そのためにも、タンカーである聖の重点的な強化は、より高ランクのメンバーを引き入れるより重要だと判断した訳である。
で、だ。
隠し通路で手に入れた最後のアイテム。
進化の書の使い道は――八咫烏召喚(改)だ。
このスキルはもう一段階進化可能で、進化させた結果、八咫烏召喚(真)に変わっている。
相変わらず雑な名前だが、効果は大きい。
まず、勇気のレベルが俺と全く同じになる。
以前は四分の三で、75が上限だった。
だが進化した事で、勇気のレベルの上限が99——いや、限界突破も含めたら104だな。
なので、最大で合計30レベルアップだ。
常時戦えないとはいえ、ここぞという時の切り札である勇気のレベルが30も上がるのはかなり大きいと言わざるを得ない。
そして、スキルリンクが一つ増える。
今は【怪盗化】と、【魔眼】。
それに【幸運】と【武器装備】をリンクさせているが、ここにもう一セット加わる訳だ。
因みに、まだスキルリンクは行ってはいない。
ランクアップしてヒーロークラスになれば、そこで新しく強力なスキルが手に入るからな。
それを見極めてからだ。
スキルリンクを行うのは。
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