洒脱魔法少女☆メロウ&梅チー
「ベルちゃんかいねぇ久しぶりやじぇ。痩せてもうてまー。ちゃんと飯食うとるがかいや」
「流石化け物☆何言ってるか全然わっかんないね☆」
ダンジョン祥麟山の深部、神社の境内を鋼鉄と高分子ポリマーとで再現したようなその異界にて、冒険者や部下たちであったろうものを食べる梅鉢千代古であったろうものが、親しげに話してきた。
ベルちゃん呼びされたことで、桔梗姫橘の正体が確定してしまったが、当たり前の事なので誰も指摘しない。
八尾もつ美しいキツネ獣人と謳われた梅鉢千代古の肉体は、桔梗を越える巨躯に変質しかつての姿を想像出来ない。屹立した陰茎がまるで九尾目のように揺れる、この世の、個人の欲望を煮詰めた姿は公人として偉大な領主だったかつての姿を想像出来ない。
老い衰え狂っている。
邪悪なチューリップの球根めいた千年王国の成長と、名君だったはずのお祖父様の末路とが重なる。あの人が視た僕の未来もこうなのか?
「それは、まさか珊瑚銃」
「うんそうねんてー。いっぱい撃てれんちゃ。リクツナーからだになってモートルゲンテ」
「言葉まで忘れたか☆誰か翻訳してー☆」
醜い桔梗が理知的な本来の口調でおののき、昔綺麗だった梅鉢が好色爺めいてその逸物を披露する。梅鉢の自慢の八尾の先端が剥けて、中から皇族でも限られた者しか遺伝しないとされる権威の証、珊瑚銃が展開していた。八条の光線が垂れ流され、異形の神社を陵辱する。
桔梗は秘匿していた未完成の珊瑚銃からエネルギー刃を形成。それによって梅鉢の攻撃をいなした。
白峰菊利が独自の応用魔法『水晶暴威』を発動。光線をねじ曲げ無効化して梅鉢に迫る。
梅鉢は口からガスを吐き、着火。爆発によって攻撃しつつ後退して距離を取る。
「ごっつぉやな。ごっつぉがいっぱい。ごっつぉごっつぉ」
「あ、あれ黒龍弁でご馳走っていってぇます」
「聞きたくなかったな☆」
僕や梅鉢長男の梅チー、他の魔法少女たちは遠巻きに魔法や銃器類で援護。
爆音と光線が、昼でも構わず山を照らす。これだけやれば気付くだろうか。あるいは既に近くにいて、様子を見ているのかもしれない。
あとひと押し、ここで仕込みを披露しよう。
「スタンバイ、オトメティカ」
「……なんだと?」
驚愕の呟きは誰の声か。桔梗か白峰かあるいはどこかに潜んでいる無患子か。
身に付けていた魔法少女なりきりセットが光輝き、鮮やかな黄色に変わっていく。
「衣装の意匠は女郎花。花言葉は『はかない恋』。本の装丁は後ろ髪。登熟前の稲穂のよう。メロー・マダラ=オミナエシ。参る」
もちろんこれはただの仕込み。小細工ハッタリ。魔法少女になりきってるだけだ!おしっこチビりそう!!




