第110話:確認させていただきます
区切る部分が判断出来ず、投稿が1日遅れました。
次回は日曜日に投稿しますので、宜しくお願い致します。
察してくれよ……。
周囲が騒がしくなり辺りを見ると、ベースキャンプ内の冒険者達が集まって来た様だった。(あんな爆発が2度もあったら集まるよなー)
「ヨシタカさん! 何があったのです!」
ゴメンよイルク、ウチのエリアスが手加減を知らなかったんだよ……。
当のエリアスは既にいつもの定位置で寛いでいる。(何時の間に?)
イルク他、大勢の冒険者達に事情を説明してところ、満場一致でシーナが悪いという結論に至った。
高ランクの冒険者や規格外の強さを持つ猛者の中には人格に難のある者が多く、無闇に関わらないのが暗黙のルールらしい。(人格に難有りって何だよ!)
そんな訳で俺に突っかかってきたシーナが自業自得となったのだが、Bランカーの俺にやられたのではなく、従魔のスライムに負けて【漏らした】たというレッテルを貼られる事になったのは言うまでもなかろう。
何を漏らしたかって?
察してくれよ……。
変なアクシデントのおかげで時刻はもうすぐ17時。さっさとスープを作らねば。
気絶しているシーナの代わりに水魔法を使える者を手配してもらい、今度こそ調理を始める。
新たに配属された魔法使いに、炊き出し用の巨大な鍋3つに水を半分程まで入れてもらい、お馴染みのファイヤーボールをぶち込む。(この世界の冒険者には当たり前の調理法だ)
そこに予め用意されていたジャガイモ・ニンジン・タマネギを入れる。
ジャガイモがある程度煮えたら缶詰のホールトマトの出番だ。トマトを手で潰しながら鍋に加える。
こっちの世界の連中にペットボトルは見せられないが、缶詰はギリセーフだろう。(たぶん……)
周りの連中は缶詰という物に驚いていたが、トマトを使ったスープが飲めるという事でそれ以上に喜んでいた。
トマトの収穫はとっくに終わっているので、一部の富裕層しかこの時期にトマトを使った料理が食べられないのだから、この反応は当然かもしれない。
余談ではあるが、俺の調理を見ているのは若手以外にも結構な数の冒険者がいる。シーナ絡みの爆発で、ここの調理場には人が集まってしまったのだ。
皆が俺の作る料理に興味がある様だった。
次はホルモンの準備だな。
地球でも日本以外の国で動物の内臓を使った料理は沢山あるが、味を染み込ませたり、柔らかくなるまで煮込むのに時間がかかってしまう。
そこで聖魔法の出番だ。
【聖魔法の本質】を知る俺にかかれば、1時間で美味いホルモンの煮込み料理を作る事が出来る。
スープを作っている間に、若手冒険者達にはホルモンの掃除をさせていた。
【掃除】というのはホルモンを綺麗に水で洗う事を指し、この作業のデキが最も味を左右すると言っても過言ではないだろう。
何せ魔物の内臓である。血や分泌物に始まり、排出物が付着しているのだから、綺麗にする為に徹底的に何度も洗わせた。
この世界でもホルモンへの認識は同じであったが、俺の求める水準よりは甘く、何度も洗い直させた。
洗い終わったホルモンに聖魔法で俺の魔力を流し、味が染み込みやすくなるように、そして柔らかくなる様に細工をする。
準備が出来たホルモンを軽く下茹でしてから鍋に投入して煮込む。
ひと煮立ちしたら、鍋1つに固形のコンソメを20個入れて溶かし、カットした何かの葉野菜にブロッコリーとマッシュルームとキャベツを入れてもうひと煮立ち。後は弱火にかけておく。
これで少し弱火で煮込んでおけば完成かな? 味見するか。
「ちょっと味見をするぞ」
そう言って、作業を手伝ってくれた連中と味見をする。
皆の表情からは期待の籠ったモノが見受けられる。そりゃそうだ。
料理の内容としてはこっちでも食べる事が出来る様な料理だが、季節外れのトマトを使った料理である。
それに加え、期待のBランカーが指揮を取って作ったスープ。期待しない訳がないよな。
(どれどれ、ゴクッ)
「美味しー!」
「トマト、ウメェ~」
「トマトの料理って久し振りだよ」
「短時間で作ったのに、色々な味がしますね」
スープの出来に関しては好評だ。最後のは水担当の魔法使いか。
確かに美味い気はする。
ジャガイモが溶け始めてスープに少しとろみが付いているし、固形コンソメのおかげでコクも感じられる。でも……。(何か足りない気がする)
どうするか、だな。
塩を足すか? 俺的には味が足りない気がするが、ここの連中には十分な気もする。
(どうしたもんか?)
塩を足したら味が濃くなり過ぎるし、麺つゆや白だしも同じ結果になるだろう……。
(よし!)
アイテムボックスから俺が出した答えを取り出す。
「ヨシタカさん、その黒い物は何ですか?」
どや顔で答えてやろうじゃないか。
「これは昆布というモノだ!」
「コンブ、ですか?」
「なんっすか?」
「食べるんですか?」
「美味しそうには見えないです」
初めて昆布を見ればそんな反応だろう。ラオンだって最初は胡散臭い目で見てたもん。
「これは海草を干して旨味を閉じ込めたモノだ。今日はこれを……」
言いながら、昆布を細切りにして鍋に加える。
「い! 入れるんですか⁉ 」
まー驚くか。
「入れるんだ。昆布から出汁が出てスープが美味くなるし、昆布を食べても問題ない。このまま弱火で置いとけば美味くなるだろう」
そう! 昆布は出汁を取れるし、食べても問題ない。
今回は細切りにしたから具材としてはそれ程、気になるモノでもないだろう。(ベストの答えではないが、苦肉の策としては上出来だろう)
200人分のスープ作りに1時間もかかり、時刻は18時を過ぎていた。
「ヨシタカさん、スープ作りはどうですか? そろそろ食事を配りたいのですが」
イルクか。
「最後に味見をするから待ってくれ。イルクも味見をしてくれるか?」
「そうですね、私も確認させていただきます」




