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第111話:フレイムソード!

日曜日の投稿を予定しておりましたが、とっくの昔に日付けが変わってしまいました……。


続きは後書きで!

「そうですね、私も確認させていただきます」


味見ではなく確認か……。


き、気にしないでおこう、グスン……。


ゴクッ


うん。さっきよりも深みが増している。

固形のコンソメに昆布まで入れたのだ、コクも旨味も増している。完成だ。


「こ、このスープは美味しいです……」


おーい、声が小さくなってるぞ~。


「味に関しては問題ありません。むしろ、我々のこのような状況で食べる食事としては十分過ぎる美味しさです。見たところ、具材も豊富の様ですね。普段の街での食事よりも良いモノでしょう」

「毒の心配は?」

「そんな心配は無用でしょう。ヨシタカさんが私達の敵にまわれば、ここにいる全員を相手にしても勝てるでしょうから、毒なんて無駄な心配ですよ」


まぁそうだろうな。


「それではスープも出来上がった様ですので、食事の配布を始めさせていただきます。ヨシタカさんも沢山食べて、シッカリ休んでください。本当にありがとうございます」

「こちらこそ、ありがとう。皆もありがとう」


イルクと手伝ってくれた連中に一言礼を言ってその場を後にしようとすると、ニクスが目の前に現れた。


「ヨシタカさん、レイライン様がお呼びです」

「レイラインが?」

「はい。レグさんのテントで食事を取るので、ヨシタカさんにも同席をとの事です」


あ~。飯を食いながら酒を飲ます約束をしていたな。

魔力感知の件もあったが、どうしてレグのテントなんだ?


「わかった。レグのテントへ向かえばいいんだな?」

「はい、お願いします。食事はテントへ運びますので」

「ああ。食事は肉料理とスープを2人分頼む」

「2人分ですか?」

「ああ、ウチのエリアスの分もだ」


頭の上を指すと、ニクスは納得した顔をした。


「そうですね。わかりました」

「頼んだ」


その場を後にし、レグのテントへ向かう事にする。



レグのテントが見えた時、近くで大きな声がした。


辺りは暗くなり、エール片手に陽気な声が聞こえているが、それとは違う感じの大きな声だった。


声のした方を見ると、イースが現れた。


「おいお前! ルーキーのクセに調子にのるんじゃねぇ!」


……? 俺が何かしたか?


「新人のクセに炊き出しを免除されたかと思ったら、自分から手伝っただと! 俺達をバカにしてるのか⁉」


何だよ! 唯の言いがかりじゃねぇか!


「なあイース、腕は大丈夫か?」

「腕ならこの通りだ!」


そう言って両腕を突き出して見せた。(骨折も治っている様だな)


「レグやレイラインと少し話をしたが、そろそろ実力の違いをハッキリさせるべきだと思う」

「当たり前だ! ルーキーのクセに調子にのってるお前に冒険者の厳しさを教えるのも先輩の役割だからな!」

「なら話が早い。ここで白黒つけようぜ」

「望む所だ! 冒険者を舐めてるお前に先輩の実力を思い知らせてやるぜ!」


「ヨシタカ! 何をしてるんだ!」

「騒がしいと思ったら……」


イースの声を聞きつけて、レグとレイラインが来た。


よく見ると俺とイースを囲む様に大勢の冒険者達が集まっている。


「2人共、聞いていたか?」

「大体は聞こえていたが、本当にやるのか?」

「ああ。ちょうど良い機会だから、俺の奥の手を見せてやる」

「貴方の奥の手、ねぇ……。興味はあるわ」

「5分で終わらせる。見て驚けよ」


イースの方を見ると準備は万端の様だが、ヤツの仲間達が止めようとしていた。


「止めておきなさいよイース!」

「そうだぞ、あの人には敵わねぇ、止めておけ」

「彼は強い。別の次元の世界に達している」

「バカな事を言うな! たかがルーキーに俺が負ける訳がない! 速攻でブッ倒してやる! 邪魔をするな!」


速攻か……。


イースの必殺技であるフレイムソード。

並の魔物や一般の冒険者が相手なら、必殺技としては十分過ぎる奥の手であろうが、俺相手であれば唯の小手先だけの技でしかない。


イースの思い上がりを正す為にも、イースのプライドを綺麗に折ってやる事がヤツの為であろう。


将来が有望なだけに、ここでの挫折を今後に活かして欲しい。


綺麗にポキッと真っ二つにして粉々に粉砕してやる。


「イース! ギャラリーが集まったがビビってないよな?」

「こっちの台詞だ! 負けた後で言い訳出来なくなって困ってるんじゃないのか?」


そろそろ始めるか。エリアスがソワソワしているので、さっきみたいにイース相手に飛び出しかねない。(腹が減っているだけかも……)


「お前等! 場所を空けろ! 巻き込まれたら怪我じゃ済まんぞ!」


俺達の様子を見ていたレグが大声で周囲の連中に場所を作る様に指示を出す。


「バカ野郎! もっとだ!もっと離れろ! イースはともかく、ヨシタカが何かするらしいぞ!」


最後の一言が決定的だったのか、皆が離れて行った。(俺はそんな危険人物じゃねぇよ!)


「よーし、これで良いだろう。お前等、今回は俺達が立会人だ。後腐れの無い様に全力でやっちまえ!」


レグは元とはいえ、Bランク冒険者。冒険者の事を解っているだけに止めようとはしない様だな。

むしろ、イースの今後を考えれば挫折を経験させる事に前向きなのかもしれないだろう。


「イース、いつでもいいぜ」

「この時を待っていたぞ!」


イースとの距離は5メートルも無い。せいぜい4メートル程か。

魔物を倒してレベルを上げている冒険者にとっては、これ程の距離は有って無い様な距離だ。


神気刀を握り、イースの動きを探る。


アッチも剣を構えて俺の様子を窺っている。


最初から先手をイースに譲るつもりだったので、ヤツの動きを待とうと思ったが、思っていたよりも早く動き出した。


「ウゥオォォーーー!」


4メートル程の距離を一瞬で詰めたイースの剣が振り下ろされる。


ガキンッ!


神気刀で受け止めるが、避けずに敢えて受け止めた。


「かわす事が出来なかったのかぁ?」


違げぇよ……。


「どんな手を使って上位種を倒したのかは知らないがッ! 冒険者にッ! なったッ! ばかりのッ! 新米にッ! 俺がッ! 負けるハズがッ!無いんだーー!」


イースはずっと喋りながら剣を振ってくる。それも力任せに。


少し前にニードラングの冒険者ギルドで、レグ相手に試験という名目で模擬戦を行った際、普段使っている武器を使用した。


あれはお互いの実力が一定以上ある事が前提に行われた試験だったが、これは模擬戦でなければ、訓練でもない。半ば決闘に近い闘いである。


ヘタをすれば大怪我を負うことも辞さない闘いである。それなのに……。


「おいイース」

「何だッ! 降参かッ!」

「お前、やる気があるのか?」


ガキンッ!


神気刀でイースの剣を弾くと、イースのバランスが崩れてよろける。


「何ださっきからその腑抜けた剣は」

「何を言っている‼」


コイツ、自分では気付いていないのか?


「さっきからお前は単に剣を振り回しているだけだ」

「なっ、何を!」


雑念に囚われて気付いてないのか……。


ふとレグと目が合うと、レグは哀しそうに首を左右に振った。


イースの仲間も哀しげな面持ちでイースを見ている。


(イースはそこまで俺を意識していたのか? そんなに対抗意識を持っていたのか? それほどまでに俺という存在がイースを追い詰めていたのか?)


軽い気持ちで始めた闘いであったが、真剣にイースと向き合わなければならない気がした。


「なあ、イース」

「ハァ、ハァ、何だ?」

「お前の全力を見せて見ろ。火剣のイースなんだろ?」


そう、イースは通り名を持つ期待の若手冒険者だ。こんな所で潰れて欲しくはない。


「お前なんかに使うと思わなかったが、これを使えば最悪の場合は死ぬ事になるぜ、いくぞ!」


イースが数秒間、わずかに目を閉じるといきなりイースの周囲から突風とも呼べる風が起こる。


風が収まったかと思えばイースの目が開かれ、高らかに叫ぶ。


「フレイムソード!」

111話をお読みいただき、ありがとうございます。


ここ数日、イース君の扱いで大変悩んでおります。

ぶっちゃけ、彼はただの脇役その1的な扱いで登場したのですが、ヨシタカ君の活躍を際立たせる為のギャグキャラで使っちゃおうかと思ったら、何故かこんなに出番が増えてしまいました……。


どう処理しようか着地点を探しております。

次回でどんな風に決着するのかが大事ですよね?


頭が痛いよぉ……。

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