【わたくしこう見えて】おいでませですわ番人様【タフですの】
そういえばスパチャ解禁したんだった。……スパチャってどう表現すりゃいいの
「いつ来てもこのダンジョンは断崖絶壁で鬱蒼とした樹海が広がっておりますわねぇ。」
「富士山の樹海とどっちがやばいのかな~?」
:そういえばスパチャ解禁!どうなりましたの!
@友人A:ああ、そうだったそうだった。無事解禁したぞ。じゃんじゃん貢いでいけ
:おっしゃ1番乗りだぜー!<¥10,000>
:くっ…油断しましたわ!<¥10,000>
@天音ch:<¥10,000>
:今、天音ちゃんが無言スパチャしなかったか⁉
スパチャ解禁宣言が出たとたんにこれか。こいつらすげぇな。いや分かるよ?推しに全力で貢ぎたいその気持ちは。その対象が俺なのが頭おかしいと思うだけで。で、天音ちゃんは何やってんの?今配信中だろ。
さて。話している間に3層の岩塩が採れる地層の一帯に辿り着いた。うん。所々に白いラインが見える。
(うむ。岩塩じゃな!しかしこの表層の塩では最高級足りえんぞよ)
「さぁ……どちらがおヤババかは分かりませんわ。私、富士の樹海は行ったことありませんもの。さて、黒狐ちゃん、おカバンのお準備はよろしいかしら?」
「もちもちのもちだよ~!ちゃんと用意してある~♪」
「それでは岩塩の採掘を始めましょうか。【眷属憑依】フウ。」
@ジャッジですの!:1ポイント減点、ですわ~。いかなる時もお嬢様を忘るるべからず。でしてよ~
:手厳しい!
:えぇ…スキル名言っただけなのに……これで減点ってキツくない?
@ジャッジですの!:ジャッジ担当は皆同じ基準で判断していますのよ。そして此度の配信は終了するまでは常に一挙手一投足並びに言動をチェックされている覚悟で臨まなければいけないのですわ
:ふざけた題名の割にガチすぎるw
これで減点だと俺ヤバくね。ってか行動見られるなら俺終わったくね。まぁいいや。減点とか考えてたら俺は何もできん。ので出来うる限り最善を尽くしてお嬢様を演じるだけだな。さっきご先祖が言った通り表面に出ている塩は品質が少し落ちる。俺だけしか食わないならそれで妥協してもいいんだけどな。
(家族のために妥協を許さない姿勢、好感を持てるぞよ~)
ともかくだ。さっさと地層削って塩を採取しよう。今大事なのは岩塩確保だ。拳に風纏わせて穴を空ける。
「風拳。レッツブレイク!ですわ」
「お~、派手に削ったねおにぃ!」
「そして…風を集めて圧縮して……簡易爆弾の完成ですわ。いざ、爆発ですわ!」
「やったれおにぃー!」
俺の手から離れて壁に当たった風弾は途端に弾けてどんどん地層の内部に眠っている岩塩の鉱脈を削り取っていく。地形がゴリゴリ削れていくの見るのめっちゃ気持ちいいわ
:で、これは減点なんすか。明らかお嬢様がする動きじゃないすけど?
@ジャッジですの!:これは減点ではありませんわね。なぜなら……お嬢様お言葉をしっかり使っておりますもの!行動という点では普段通りの行動を忘れないこと。その上でお嬢様精神を見せていただければいいのですわ!
:お嬢様精神ってなに
:なんでもいいだろう!<¥50,000>
「うひょ~!大量だよおにぃ!見て!めっちゃ輝いてる!こんなん宝石だよ!」
「そうですわね。ちなみにこちら、皆様に説明すると宝石ソルトですわ。名称の由縁は高品質のものは日の光を受けて宝石と見紛うほどの輝きを見せることに起因していますのよ。あとは……確かそもそも結晶の形がまるでカットされた宝石のような形をしていることも由縁でしたかしら。うろ覚えですけれど。」
:はえ~、勉強になったわ
:マジで宝石ソルトって一つまみ料理に入れるだけで死ぬほど深みとコクが増すぞ
:これで焼いたステーキ食ってみな。飛ぶぞ
ガタガタガタ………
:なんか揺れてね?ほら、小石が躍ってるし地面も驚きに身を震わせている
:随分詩的な表現だなw俺はすきだぜ
お、目覚めたな。宝石ソルトの番人。明らかにたかが岩塩を守るには不相応なほど立派な番人様が。
「おにぃ。この音。多分アレ、だよね?」
「【眷属召喚】カイ。ええ、そうですわ。アレですわ。下がってくださいまし。私が黒狐ちゃんに指一本触れさせは致しませんわ」
「やだ……私のおにぃかっこよすぎ…?」
「カイちゃんの出番ですかね~♪相手がミスリルゴーレムであるなら不足ナシ!ですね☆武器召喚♡しちゃいますー?」
「ええ。お願いしますわね、カイ。【武器召喚】カイ」「ふっふっふー!腕が鳴りますね!珍しいカイちゃんの武器ちゃんの出番ですから~」
:ミスリルゴーレム⁉ここそんなの出るの!?
:ミスリルゴーレムって魔法も物理もほぼ効かないじゃん!どーすんの⁉
@友人A:塩の守り手にしちゃ硬すぎるよなw
:カイちゃん!必中必殺ロケットパーンチ!男のロマンにただ感謝を<¥10,000>
@ジャッジですの!:またまた減点でしてよ~!同じミスですし2…いえ4ポイント減点!
:ば、倍になってる…!
ロケットパンチの装填完了と同時に土壁の中からその巨人は姿を現した。水晶じゃないかと疑うほどの透き通った水色をした、自らの領域を侵した者に裁きを与える巨人が。
へへ、久しぶりに使うなロケットパンチ。はいドーン。俺がロケパン撃つのとゴーレムがその剛腕を振るうのは同時だった。バックステップで当然躱す。もちろん葵に攻撃の余波すらも届かせやしないがな。
(ふむ。当たるまで1分といったところかの。ただ必中の攻撃を当てて終わりじゃ面白くないからのぅ!)
「武装解除ですわ。お次の一手といきますわよ…!【眷属召喚】【武器召喚】ジジですわ!そして【光刃】同時展開ですわッ!」「私の力を使いたいんだね~主ちゃん。存分に使ってね~…」
地面に着地と同時にジジの戦斧を横薙ぎに振るう。ジジの戦斧の追加効果は振るった向きに関係なく地面から石柱が生えてくるからな。便利すぎる。流石ミスリルゴーレム。その硬さは一級品だな。今のでちょっと怯むだけとはな。でも攻撃の隙は与えない。展開したまま待機させていた3つの【光刃】に襲い掛からせる。
:嘘⁉ミスリルゴーレムと魔法で拮抗してる⁉
:なんか削れている音しませんかね…?(恐怖)
:これで魔法少女効果で使えるようになった光魔法ってマ?
ミスリルゴーレムは自分の腕と胸を狙った魔法を振り払いストンプにより大地を隆起させた。魔法の親和性が高いミスリルなだけあり地面の隆起速度もかなりのもので俺も完全には避け切れなかった。いいね、燃えるよ。
「やりますわね…!お次ですわッ!カイちゃん!」「お任せ~くださいな♪【多重反射結界】」
「上級風魔法風神の吐息モドキですわッ!これに…耐えられるかしら⁉」
俺の魔力から解き放たれる上級風魔法モドキの竜巻は周囲の砂利石も巻き上げてミスリルゴーレムを包み込んだ。これだけなら耐えられる可能性も大いにある。しかし事前にカイに多重反射結界を貼ってもらった。
(いくら魔法にも物理にも高い耐性があろうとも絶え間なく繰り返される風の斬撃に加え、反射結界で衝撃は倍増しながら襲い掛かり続けるんじゃ。それなりには弱るじゃろうなぁ♪)
:うおおー!派手な攻撃だァ!
@ジャッジですの!:お嬢様お言葉をお忘れになられていないのは印象高いですわねしかし残念ながら今回は減点方式!故に加点することは叶わないのが惜しいですわね
:減点方式なんだ……
(真白、そろそろ1分じゃ。ろけっとぱんちが戻ってくるぞー)
りょーかい。カウントさんきゅ、ご先祖。そろそろ最初のロケパンが戻ってくるみたいだし魔法を解除し、後ろ向いて歩き始める。
竜巻の中から姿を現したゴーレムは完全に沈黙はしていないもののそこそこ程度には消耗したらしい。膝を突き、体のあちこちが欠けている。それに右腕に関しては地面に落ちている。それでも、外敵を討ち果たさんと立ち上がり、残った左腕を振りかぶった。
:魔法でミスリルゴーレムの腕を落とした……マジバケモンだな白狐さんw
:でもまだ倒れてないぞ?どーすんだ?
:ふっ!オーホッホッホ!お忘れかしら!白狐さんは最初にロケットパンチをお撃ちになられたことを!
:( ゜д゜)ハッ!そうか!
「なかなか楽しいお遊戯でしたわ。またいつか、共に遊びましょうね?あぁ、お喧嘩を吹っ掛けたことは謝罪致しますわ。ごめんあそばせ?それではごきげんよう、ゴーレム様」
ゴーレムが振りかぶった手は俺にも葵にも、ジジにもカイにも振り下ろされることは決してなかった。腕を構え終わったその時、ゴーレムの背後から見当違いの方へ飛んで行ったはずの一撃が背中からゴーレムの核ごとぶち抜いたからだ。
@友人A:あえて時間稼いでたな?ロケットパンチでゴーレムの有終の美を飾るために
:白狐さんならやりかねんなw
「ふぅ。それでは岩塩を拾って……」
「おにぃ!有能な妹を持てて幸せだネ☆拾っておきましたドヤァ!」
「素晴らしいですわ黒狐ちゃん。とても助かりましたわ。」
「でしょでしょー!もっと言ってチョーだい!」
「最高!天才!気配り上手!」
@ジャッジですの!:あらー、気を抜きましたねー?1ポイント減点でーすわー!
:そこは空気読みませんこと?
@ジャッジですの!:いかなる時も(以下略)ですわ!
「それでは、マンドラゴラを採りに行きましょうか」
「ヨ~シ!絶滅させるくらいの勢いで狩るぜー!」




