手紙ごしの恋
「そこから私は5、6回手紙が置かれては返事を出すという事を繰り返した。あの時からだったのかもな、お前に惚れたのは。」ビデオ通話をしているPCを撫でる。「それ、意味あるの?」「意味はあるわよ。私が嬉しい。」月華の顔から笑みが溢れる。
私は語る。「ある時、月華から薔薇の花束と共に手紙が送られてきた。」
今まで私と文通してくれてありがとう。私はとても幸せです。
私はずっと孤独でした。この薔薇を育てることと、あなたの世界を観測することだけが私の心の救いで、いつかあなたにこの薔薇を送りたかった。それがこんな時になってしまうとは、申し訳ないです。
あなたの世界は遠からず滅びます。
あなたの世界の人間や私がどんなに頑張ろうとこの結果は覆せない。どんなに頑張ろうと、所詮は藁よりも細い希望に縋るようなもの。
それでも私は希望に縋ろうと思うのです。
愛しています。
あなたの世界の命と営み、生と死の輝き、その全てを。
そして、私と話してくれたあなたを。
どうか私と共に生を歩みませんか?
「そうなのか……」私は薔薇の花束とともに置いてあった、銀の指輪を見つめる。「何やってんだ?雨夜。」「あ、先輩!」先輩が手紙を覗き込もうとするので手紙を伏せつつ、指輪を隠す。「なんだなんだ?彼女からのラブレターか?」「まぁ、そんなとこですよ。先輩、」「なんだ?」「この宇宙ってそろそろ滅びるんですか?」質問をすると、先輩の顔色が変わる。「なんで、そんなことを聞くんだ?」「手紙に書いてあったんですよ」そう言って月華からの手紙と銀の指輪を見せる。「他に手紙は無いのか」「ありますよ」先輩に言われたので他の手紙も見せる。「ちょっと借りていいか」「どうぞご自由に」先輩は手紙と指輪を持って駆け出す。「さて、残りの時間どう過ごそっかな。」世界が終わるまでの時間どうしようか考える。「仕事やめるか….…、とりあえずは先輩の分析待ちだな。」前回の実験の論文を書く。




