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雨夜の方舟  作者: Clef
過去と未来

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先駆者の追憶

「西暦5935年、私はこの世に生まれた。」「初手からツッコミどころ満載なんだが」「未来人ってこと?」「違う、私は完全に別の世界から来た。SF風にいうなら、並行世界ってやつだな。」「まぁそこは分かるのよ。でも、西暦5935年ってどういうことなの、並行世界どうしでも時間のズレって発生する物なの?」陽菜の疑問に私は答える。「それは、同じゲームを買ったからといってプレイヤー全員の進捗が同じになるわけないってのて同じだよ」「なるほ、ど?」「まぁ、ここはそういう物と考えてくれればそれで良い。」「分かったわ、じゃあ続けて。」「私はこの世界と同じく孤児だった。生まれた時からひとりぼっちだったんだよ。」「あー…」「なんとも言えないわね。」「で、私は孤児院に拾われ、なんやかんやあって多元宇宙理論を研究する、クライン研究所に就職した。」「なんやかんやって何?」「色々よ、基本的には勉強だけど。」「そのあとはどうなったの?」「話が動くのはここからだ。」「私が就職して、半年程たったある日私のデスクに一通の手紙が置かれていた。」「内容は?」「長いから要約すると、私は上位存在で神です。あなた方のいる世界に恋をしました。信じては貰えないでしょうが、私はあなた達の末永い繁栄を手助けします。って感じだ。」「初っ端からラブレター送りつけてんのかよ、やべぇな。」「言われてるぞ、月華。」私は月華をイジる。「別にいいでしょ!」月華が声を荒げる。「で、そんな手紙が置いてあった訳だが当然誰かのイタズラを疑った。」「そりゃそうね。」沙希が言う。「だから私は、手紙の返事を書くことにしたんだ。『お手紙ありがとうございます。しかし、召喚がないと私は信じられません。次のお手紙には証拠をつけてください。』と」「仮にも神かもしれない存在にそんなこと書いたの?」「そうだよ、で私はそれをデスクに置いてみた。次の日来てみると、返事が置いてあった。」「内容は?」「お返事をくださって、ありがとうございます。確かにあなたの指摘はごもっともですね。一ヶ月後に迫った多元宇宙移動用ポータルの実験は失敗します。あなた方の見つけた並行世界の座標は完璧ではありません。と」「本当だったの?それ」「本当だった、実験開始の直後に並行世界との環境差と座標のズレによって高エネルギーが発生した。でも、私が研究室をより厳重な所に変えるように進言したおかげで被害は軽微に収まった。」「やばすぎでしょ。」「この一件から私はガチの上位存在だと思って、急いで返事を書くことにした。」「その事誰にも言わなかったの?」「その時まではイタズラだと思ってたしそれ以降は彼女との文通で頭がいっぱいだったかはな。」「なるほど…」「続けるぞ、私はあなたの言う事を信じるということと、何故手紙を送って来るのかということを書いた。」「随分とまともね。」「私がまともじゃないってのか!?」「そうよ。」「当たり前だろ。」「否定は出来ない。」「お前ら全員酷すぎだろ。」「光四郎、早くしなさい。」「月華…まぁいいわ。その返事をデスクに置いて帰ったら翌朝には手紙が消えて、一カ月後ぐらいに手紙が届いた。」「随分と遅いわね。」「なんでも、次元の壁?に阻まれて遅くなったらしい。」「そうなのね。」「私達に干渉する理由は恋をした世界に生きているあなたたちが出来るだけ平和に生きてほしい、という至極真っ当な理由だった。」「まともね。」「だから、私は月華からのアドバイスを受けつつそれを使って災害を何度も防いだ。」

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