そして、賢者へ
星刻の錫杖・王笏の【帝王覚醒:キング・フィナーレ】は光そのもの。相手を透過する。対象は生物以外も含まれる。考るありとありうる手段は無意味、対抗するのは不可能。
【キング・フィナーレ】が発射された後に残るのは相手が負けた事実だけ。
地下霊墓に大爆発が起きた。空間はユミナの攻撃に耐えきれず、崩壊していった。だが、瓦礫は静止。轟音、爆風も停止していた。時間停止しているようだった。
巻き戻る。破壊されたモノは元の場所に戻る。初めから壊れていなかった錯覚に陥っていた。
【キング・フォーム】が解除された。
「あ、戻った」
超新星の王冠を頭に被る状態にまで戻っていた。スコーピオンの忠告通り、10秒が経過して変身解除されたんだね。
「「「「キャァァァアアアア!??!?!?!?」」」」
大勢の女性の声が聴こえる。私の下にある影が広がってくる。あ、これ無理だ......
私の上に星霊全員が降ってきた。
星霊全員プラス私で形成された山が誕生しました。勿論、一番下にいる私は星霊全員の体重が掛かっている下敷き状態であります......た、助けてください
「おい、どうなってるんだ」
「やはり欠陥品でしたか」
「う〜ん。転移先は元の場所なんだけど」
「バカどもで積み上がった椅子で見渡す最上景色......最高っ!」
「何故、オフィが一番上なのよ」
「一番軽いから」
「ぷはぁ!? あー死ぬかと思った。あれは......先代の魚座? おい、ヴァルゴ。お前の乳で窒息死寸前だったんだからな」
「小柄なのが罪です」
「ってか、ここどこ?」
「地下霊墓ですかね」
「待ってください!?」
「おい、まさか」
「み...みんな。早く退いて」
「ユミナ!!? 気をしっかり持て」
「早く退かないと。痛いっ!!? 千切れます」
「誰? アタシの胸を揉みしだいている奴は!?」
「あるのか?」
オフィ以外の星霊が身体全てが絡み合って抜け出せない。
「誰だ!! 腕上げるな!! く...首が絞まる」
「イデデデ......ッ!!?」
「膝がぁ!!!」
「お前の尻で足が死ぬぅうう」
「爪はやめて。顔にめり込む。アイドルを傷物にしたら呪うわよ」
「う〜ん。初戦闘は良好ね。でも毎回転移がこれじゃ私たちが持たないわ。早速帰って調整しましょう!」
「何故、お前だけテンション高いんだよ」
「脚がねじれる。犯人名乗りでなさい!!」
「当機、関節が......壊れます」
「現実逃避する暇があるなら、全員の身体が五体満足で早急に脱出できる方法を考えてください!!?」
「腰の感覚が薄れていく」
あ———ヤバい。さっきまで重かったみんなの体重が軽くなっていく。HPがゴリゴリ削られていく。みんな、今までありがとう——————
お互いを傷つけ合う悲しき世界は意外にも賑やかで和気藹々だった。一人を除いて。
あ———死ぬかと思った。嫌だよ、こんなしょうもない死に方。
「ユミナ、これはどういうことじゃ」
ケンバーが近づいてきた。ケンバーに案内されて向かった先はジニアス・ディアボリックが倒れていた。
「あのような攻撃。普通なら灰すら残らん」
「【ゼロ・フォース】と一緒。選択できたんだ」
星刻の錫杖・王笏の【帝王覚醒:キング・フィナーレ】にはもう一つ能力がある。浄化攻撃。無敵の光攻撃に貫かれた相手に浄化攻撃を送り込む。
眼を覚ますジニアス・ディアボリック。
「何故私は生きている」
「言いましたよね。私たちのやり方で貴方を倒す、と」
笑うジニアス・ディアボリック。
「清々しい気分だよ。完敗だ」
『お嬢様!!』
「すみません。呼ばれたので行きます」
身体をほぐしているみんなの元に移動した。
「身体大丈夫?」
全員が頷く。床に座っているみんなと同じ目線にした。
「み...みんな。待たせてごめんなさい」
全員長いため息。呆れた顔。
「「「「「「「「「「「「「「何を今更!!」」」」」」」」」」」」」」
「えぇ!?」
「お嬢様に振り回されるのは慣れっこです」
「だ、だって今回結構長い期間だったし......それに」
「全く。うじうじは卒業したのではありませんか。お嬢様が再び歩くことを選んだ。だから私たちはお嬢様の超新星の王冠に応えた。それが答えです」
「......こんな不甲斐ない主だけど。また私の従者になってくれますか」
「「「「「「「「「「「「「「はい!! ユミナ様!!!!!」」」」」」」」」」」」」」
ユミナと星霊の光景を見つめたままエヴィリオン・ヴィクトールとジニアス・ディアボリックだけの空間が出来上がった。
「俺は他者、世界を壊せば苦しむ人がいなくなると考えた」
「どこまでもシンシアのためなんだね」
「妻は世界のために魔法を行使した。自分の身体が魔力暴走する体質でも決して人を見捨てなかった」
「ごめんなさいね。抑える方法を見つけた時には、今際だった」
「恨んでいないよ。むしろ感謝している」
「どういう意味?」
「エヴィが今の時代に残ってくれた事で、ユミナと出会えた。彼女は俺とは別の方法で世界を変えようとしている。最後に人間の可能性が見れた」
ジニアス・ディアボリックの身体にヒビが入る。封印されている間に身体は限界状態だった。一時的な復活で活動していた。ユミナが【キング・フィナーレ】を発動しなくても、数時間後にはジニアス・ディアボリックは消えていた。
「逝ってしまうのか」
「あぁ。一足先に......エヴィも死んでいるか。俺が最後か」
「あっちでジニアスを待っているはずだぞ。私もシンシアも」
「楽しみだよ」
その言葉を最後にジニアス・ディアボリックは消滅した。上を見上げエヴィリオン・ヴィクトールは一言発した。
「じゃあな。盟友よ」
《職業クエスト:《賢者への道》クリアしました。おめでとうございます!!》
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プレイヤー:ユミナは魔法使い最上位職業、【賢者】を取得しました
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《ユニーククエスト:《地下に眠る深淵へ》クリアしました。おめでとうございます!!》
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・クリア報酬
①魔力運用水晶
②魔導王の黒衣:【黒金】 ※魔法使い専用ローブ
③夜の杖
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「帰るぞ、カレッタ」
「あ、はい。先生!」




