突破口は死者の数
ミステリーCAT in black【魔術本:No.18】。名称NENE。NENEの 譲渡変化は9つの魂を装備者に与える。”猫に九生あり”が元ネタらしいけど、お陰で即死魔法で死んでも復活できた。
NENEの 譲渡変化で手に入れた残機は発動者が死んだ場合、魂を一つ消費することで復活を果たす。
だが、 NENEの 譲渡変化には明確なデメリットが存在する。
まず、 譲渡変化終了後、再び使えるのが2ヶ月後となる。だから、無闇に使うことが出来なかった。
二つ目は他者への譲渡は出来ない点。あくまで NENEの 譲渡変化の効果対象は装備者のユミナだけ。他プレイヤーやNPCに新たな命を与えることは出来ない。
三つ目、 譲渡変化で NENEが付与された武具は二度と NENEの 譲渡変化の対象にはならない。
星空の姫神はこの戦闘以降、 NENEの 譲渡変化は使えないという意味だ。勿論対策はある。
別の星空の姫神を生成するか、星空の姫神を強化し、別の魔法杖に変えると再使用が可能となる。
ジニアス・ディアボリックが大勢のプレイヤーを死なせず、動きを封じるだけにしたのには、魔力吸収以外にもう一つ理由がある。
「気のせいかもしれないけど、念の為質問するね」
ジニアス・ディアボリックの右肩に魔法陣らしきものが浮かび上がっていた。明確にここを狙ってくださいと言わんばかりの主張と誘導。
「その方の紋様。貴方の弱点じゃないかしら」
ジニアス・ディアボリックに弱点はない。条件付きで。
愛する妻を復活させるために魔法研究に没頭していた時に、闇の魔法を生み出した。闇の魔法を活用して、誰にも負けない・死なない身体を創った。
代償として自らの手で生命を殺した場合、自身の身体は弱体化する身体になってしまった。身に降りかかった呪いをジニアス・ディアボリックは左程重要視していなかった。
闇の魔法に対抗する術を当時の魔法使いは誰も持ち合わせていなかった。ジニアス・ディアボリックが闇魔法を発動すれば、必ず辺り一面屍しかなかった。それに、弱点が露出すると言っても1時間経過すれば、痕もなくなる。
「命の再生......ユミナはその境地にまで到達していたのか」
「限定的で、私のみだけど」
「面白いモノを見せて貰ったお礼だ。ユミナの質問に答えよう。正解だ。今私の右肩に攻撃すれば、私は大ダメージを受ける」
星空の姫神を左手に持ち直し、右手には別の武器を装備した。
「ユミナには驚かされてばっかりだ。その箒で私に戦いを挑もうとは」
「ただの箒と侮ると痛い目に遭うわよ」
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PN:【ユミナ】
職業:①:【魔導龍王】
②:【魔導剣士】
〜装備欄〜
頭:粋美に彩る人生を:【花飾り】
上半身:粋美に彩る人生を
下半身:粋美に彩る人生を:【漆黒タイツ】
足:粋美に彩る人生を:【スティレットヒール】
右武器:天使の金箒
左武器:星空の姫神
〜装飾品〜
①:覇銀の襟飾(ブローチ)
※条件不達成の為、使用不可。
②:知識の蟹座(指輪)
③:黄金時代(チョーカー)
④:グリモワール(指輪)
⑤:悪魔の蒐集棚(指輪)
⑥:奇跡の牡羊座(指輪)
⑦:
⑧:
⑨:
⑩:
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天使の金箒にMPを注ぐ。ブラシ部分が硬質化していく。魔法使い愛用の棍棒の完成ってね!!
天使の金箒を肩に担ぎ、ジニアス・ディアボリック目掛けて突進を始めた。
「『煉獄地形』」
霊墓全体が火山地帯に覆われた。空間魔法の一種なのかもしれない。溶岩は縦横に流れている。灼熱の溶岩に触れるものなら、死は確実。
勿論、浸かろうなんて馬鹿な考えは起きない。そんな事しなくても溶岩から発生する熱気だけでダメージを受ける。本来なら何かしらの対策を即座に考えないといけない。
「まさか、こうなることを見越して」
タウロスはエスパーだったのかもしれない。いや偶然かも。兎に角有難い事に火山地帯は私には全く無意味な代物とへ変わった。訂正します。私に恩恵を与えてくれるボーナスフィールドです。
「熱を吸収している、だと」
防具は黒金の華から粋美に彩る人生をに変更。鮮やかな赤色と金色を基調としたミモレ丈のドレスに吸収される火山地帯の熱気や炎。HP・MPは回復。吸収した熱や炎を天使の金箒にの攻撃力に転用。
金色のブラシがドロドロとしたマグマの色になる。
加速スキルを重ねがけ。ジニアス・ディアボリックは追えていなかった。
気合いと共に、天使の金箒を横に薙いだ。天使の金箒の武器種は”棍”。生憎スキルの持ち合わせはない。天使の金箒は孤を描く。
ジニアス・ディアボリックが天使の金箒出来たのは弱点に触れる1秒後。
回避も防御魔法も発動する余裕すらない。ジニアス・ディアボリックを襲う。
転倒するジニアス・ディアボリック。すかさず魔法による砲撃。天使の金箒を振り回し、天使の金箒内部に組み込まれている魔法を変更。天使の金箒に乗り、飛翔。遠距離攻撃を回避した。
今までなら私が攻撃した直後に反撃してきた。だけど、ジニアス・ディアボリックの攻撃が遅かった。肩に浮かぶ魔法陣は敵のハッタリやブラフではない、それが分かっただけでも十分。
ま、それでも無理な態勢からの的確に、正確に魔法を放つ技術。驚きを通り越して嬉しかった。目の前にいるジニアス・ディアボリックは完全に敵。相手も同じだ。お互い敵だからこそ本気の戦闘を余儀なくされる。
ジニアス・ディアボリックを見ると、嬉しそうだった。敵と、私と戦えることへの歓喜。ジニアス・ディアボリックとの戦闘は私を強くする。学ぶことが多い。世界が危機的状況には変わりない。でも、願わくばずっと戦っていたい。相手の全てを引き出して、私のモノにしたい。
———吸収して、
———昇華すれば、
———そうすれば、みんなを
———あれ? 今思った事。頭をよぎったモノって
黒き槍が脳天を貫く。身体は軽くなり、上空から落下。
二度目の人生が終わった。
《NENE: 譲渡変化:魂の残数:7》




