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地下霊墓へ

 中庭から校舎に入る。左階段を登る。向かう先、ヴィクトール魔術学園の大広間。階段途中でフクロウが止まる。止まった真下に燭台。


 火魔法で燭台に火を付けた。緑色の火だった。フクロウは移動を再開した。大広間に入ると先ほどを同様、特定の燭台にフクロウが止まる。全部で5つ。火を付けた。規定数の着火が完了すると緑色の炎は激しく燃え始める。壁に飾ってある絵画が一人でに動き始める。


 数秒後、絵画で作られた門が完成。壁だった箇所が黒く染まる。フクロウは何食わぬ顔で門を入る。私たちも勢い良く潜った。たどり着いたのは食材貯蔵庫。木箱に入っている食材や樽などが置かれていた。


 薄暗い場所をフクロウは淡々と進む。奥に石レンガで作られた壁しかない。フクロウは緑色に燃え始め、消え去った。石レンガは連動したかのようにボロボロと崩れ落ちた。壁の先、水面で出来たと思われるような壁が誕生した。水面の壁には魔法陣が浮かび上がる。


 私たちは止まることはなく、全速力で謎の壁に入った。




「霊墓とか言っていたから暗いイメージしてたけど」


 地下の霊墓は真逆。美しい光景が広がっていた。地下なのに天から太陽の光。草木は生き生きとしており、川も流れている。


『素晴らしい眺めじゃろ』


 ケンバーが普通に浮いていた。


「この霊墓は図書館と同じで魔力に満ちている。この通りな!」


「ねぇ、ケンバー」


「だがな...この霊墓は侵入禁止の魔法を掛けていた」


「封印が解除されてしまった、と」


「先ほどの悪魔の仕業なのか......それとも」


「ユミナよ。最終テストだ」


 私の前にクエスト画面が表示された。



 《職業クエスト:《賢者への道》を開始しますか? 【はい】・【いいえ】》


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 ヴィクトール魔術学園専用職業クエスト


 《賢者への道》


 ・闇の魔導士:ジニアス・ディアボリックの討伐


 ※挑戦は一度のみ

 ※クエストクリアするまで、地下霊墓から脱出不可となります。


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「どうしてこのタイミング......」


「今のお前さんならやってくれる。そう信じている」


「良いの? ジニアス・ディアボリックってケンバーの」


「自分じゃ彼奴を仕留めきれない。不甲斐ない師匠で済まないね」


 悲しげな表情のケンバーに言った。


「分かった。ケンバーの願い、私が叶える」


 クエストを受理した。


「さてと、フクロウ(ガイド役)がいなくなったから、ここからは自力ね」


 見渡す限り、広大なダンジョン。攻略には時間がかかりそうだ。


「ここからは妾が案内しよう」


「出来るの〜」


「誰に言ってる。この地下を創ったのはエヴィリオン・ヴィクトール。構造も仕掛けもな」


「じゃあ。お願いします、師匠」


「まったく、こういう時だけ師匠呼びとは。ふふん!」






 地下霊墓。フィールドは仮装の外で正しい道順を進まない限り、永遠と彷徨う。本来の地下霊墓の姿は円形の中央に斜めに伸びる通路で構成されている。通路は全部で4箇所。


 通路を抜けると、【試練の間】と呼ばれる空間に到達する。【試練の間】から放出されている魔法によって中央のエリアの結界が維持されている。


 【試練の間】には守護者と呼ばれる存在が待ち構えている。彼らから提示された条件で勝たないと行けない。守護者を討伐後、【試練の間】は機能を停止する。4箇所全ての【試練の間】をクリアしない限り、中央の霊墓には辿り着けない。




 中央の霊墓はお城である。結界が無くなってもお城を覆う煙は消えることはなかった。お城内部に静かだった。高い建具や柱。巨人族での余裕で歩ける。床は水面を歩いている気分になる。底まで見える透明度。装飾に凝った大扉を開けるには、徘徊する甲冑騎士系のモンスターを倒さないといけない。


 最深部。祭壇だった。壁面にはには無数のアーチ状の入り口。空間の中心には四本の歪な柱。その頭上に浮いている巨大な球体水晶。水晶は稲妻が放出しているかのようなエフェクトを飛ばしていた。水晶内部、数字が表示されていた。数値にして15%と低いモノだった。柱の中心には壺が置かれてあった、本来なら。しかし、壺はだいぶ前に壊され、中身は出ていた。







 《ユニーククエスト:《地下に眠る深淵(ヤミ)へ》、クエスト内容が変更されました》


 システムからの案内。


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 ユニーククエスト

 《地下に眠る深淵(ヤミ)へ》


 ・闇の魔導士:ジニアス・ディアボリックの完全討伐


 ※挑戦は一度のみ

 ※ヴィクトール魔法学園に在籍しているプレイヤーのみのクエストとなります。

 ※地下霊墓、最深部に到達したプレイヤーのみクエストが変更されます

 ※クエストクリアするまで、地下霊墓から脱出不可となります。


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 ジニアス・ディアボリックは男性プレイヤーの首を掴んでいた。ジニアス・ディアボリックの周りには倒れているプレイヤーが大勢いた。が、誰も死亡していない。動けないだけだった。


「私が封印されて間に、これほど質の悪い魔法使いしか生まれていないとは」


 ジニアス・ディアボリックは酷く落胆していた。彼が封印されてから400年は経過している。


「安心しろ。貴様らを殺す気はない」


 これは温情ではない、ジニアス・ディアボリックの計画。動けないプレイヤーから排出されるMP(魔力)。漏れ続ける魔力は自力では止めることは出来ない。


「【ゼロ・フォース】完成までだけどね〜」


「我々が言うことじゃないが、あまりに酷いな」


 ジニアス・ディアボリックに近づく者たち。悪魔2柱。グシオンとベレト。グシオンは人面の犬、黒のローブを纏った体格の良い悪魔。ベレトは人の身体を持つネコ女。ローブには青色の馬が刺繍されている。トランペットをずっと持っていた。


 ジニアス・ディアボリックは3柱の悪魔と既に契約していた。彼が封印から解放された直後に、接触してきた悪魔たちだ。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 11.グシオン:悪魔の彫像(イーヴィルフィギュア):契約済

 13.ベレト:悪魔の彫像(イーヴィルフィギュア):契約済

 48.ハーゲンティ:悪魔の彫像(イーヴィルフィギュア):契約済


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 足音が聞こえてくる。続々と現れるプレイヤーたち。


「次の餌か」


 ジニアス・ディアボリックは杖を取り出す。口角を上げた。


「身体をほぐすにはちょうど()い」


 《【ゼロ・フォース】............充填率35%》


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