宇宙に行くぞーッ!!!!
キャンサーは突き飛ばされた。身体が地面に倒れ込む。同時にか細い腕が二本落ちる。
『油断は禁物だよ』
声の主はユーズゥ・マクスカ。身体が想定よりも早く再稼働していた。
「マ、マスター......」
キャンサーは動揺を見せる。ユーズゥ・マクスカの攻撃で私の両腕は切断された。
「大丈夫。私の四肢がトぶ事なんて日常茶飯事じゃない」
「で、ですが......」
「強がっても無駄さ。両腕が無ければ、何も出来ない......悪夢だろ?」
ユーズゥ・マクスカの全身から金属刃が生えてくる。
「悪夢って...ロボットが観るとはね」
「転送されたデータの中に入っていたよ!! 使い方は合ってるかな。ま、どうでも良いことか......安心しろ!! 今からお前を惨たらしく刻んでやる」
「生憎、男に切り刻まれる趣味はないのよ」
「敗けを認めろよ。その状態で、戦えるとは到底思えない」
「貴方にやり残したことがあるのよ。それを完遂するまでは死ねないね」
足元に落ちている腕を踏みつけた。意味がある行動。右手に装備している星王の創造を起動させるために取った行動だ。排出された液体金属:【パンドラ】。必要な分の【パンドラ】は私の腕となる。
「擬似腕。慣れるまで結構時間がかかったわ」
【パンドラ】で生成した腕を活用しての戦闘は今までもあった。が、欠損した四肢に【パンドラ】で生成した擬似四肢を生やし、実際に動かすには訓練するしかなかった。幸運な事に私の下には訓練するのに相応しい人財が多く集まっている。みんなに協力してもらい、なんとか形にはなった。けど、本来の四肢での動きに比べるとまだまだ。長期戦は私自身も【パンドラ】にも不利。
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PN:【ユミナ】
職業:①:【魔導龍王】
②:【魔導剣士】
〜装備欄〜
頭:沈黙の古代帽子
上半身:幽天深綺の魅姫・エクシード
※両腕欠損。
※幽天深綺の魅姫・エクシード、一部破損状態。
下半身:幽天深綺の魅姫・エクシード
足:転輪の翠蹴
右武器:裁紅の短剣
※【パンドラ】の形状:【人間の腕】。
左武器:なし
※【パンドラ】の形状:【人間の腕】。
〜装飾品〜
①:覇銀の襟飾(ブローチ)
※条件不達成の為、使用不可。
※両腕欠損の為、装備不可。
②:真龍の手袋
※両腕欠損の為、装備不可。
③:星王の創造(腕輪)
※両腕欠損の為、装備不可。
※条件達成で使用可能。
④:グリモワール(指輪)
※両腕欠損の為、装備不可。
⑤:悪魔の蒐集棚(指輪)
※両腕欠損の為、装備不可。
⑥:山羊座の勇気(指輪)
※両腕欠損の為、装備不可。
⑦:奇跡の牡羊座(指輪)
※両腕欠損の為、装備不可。
⑧:
⑨:
⑩:
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刃に変えた両手が迫る。刃を振るスピードは早い。が、早いだけ。正確で無駄のない動き。そう、一挙手一投足正確ではあるが、脅威にはならない。
事実、ユーズゥ・マクスカの攻撃軌道は予測し易い。右からの斬撃を躱し、追撃の左からの斬撃は足で蹴り飛ばし軌道を変えた。ガラ空きになった胴体に裁紅の短剣を斬りつけた。
自分の攻撃が全て回避され、焦りに近い感情を爆発させるユーズゥ・マクスカ。
「何故だっ!!!」
全身に生やす刃は触手の様に伸びる。刃は一斉に私に向かう。上からの触手刃を跳んで回避。
「くそっ! 切り裂いてやる!!!!」
左に身体を傾けた。右から迫っていた三本の触手刃が私を超え、地面に刺さる。
「どうしてだ。貴様の行動はあの出来損ないの知識から奪ったはず......なのに」
上から五本の刃が落ちてくる。身体で躱し、裁紅の短剣でも弾いた。
「どうしたの? ロボットなんだからちゃんと制御しないと?」
「黙れっ!!」
後ろから聞こえるうるさい小バエのかき消すために身体を捻り、大きく腕を振ったユーズゥ・マクスカ。
虚空を切る。誰も居ない。
私はユーズゥ・マクスカの前面に移動し、正面に向けて直線的に足を突き出した。足技スキル:【狩猟時間】。月光が脚を照らす。上段前蹴りがユーズゥ・マクスカの腹部に突き刺さる。ユーズゥ・マクスカは後方へ弾き飛ばされた。
「お前は勘違いしてる」
ゆっくり足を地面に下ろした。
「キャンサーの知識を奪ったからといって、私に勝てると思っている事に......」
「だろうね......我が王が負けた理由が少し分かった気がするよ」
間合いを詰める。
「だが、」
木々を縫う様に飛び出してきた無数の触手刃。刃が襲いかかる。
「しまった!!?」
刃は全て切断した。が、一瞬の隙にユーズゥ・マクスカは上空へ逃げていた。向かう先はユーズゥ・マクスカがオニキスへ降臨した空に広がる円形。
「逃すか、ドラン!!!」
召喚門から呼び出されたドラン。状況を察し、一言だけ口に出した。
「寄越せ」
魔術本5冊を渡す。稀代の女王に変身完了。ユーズゥ・マクスカを追いかけようと飛び出すが、ドランに呼び止められた。
「おい、ユミナ。そのまま宇宙に行ったら死ぬぞ」
あっ!? どうする......時間がない。
「マスター。解決手段はあります」
「キャンサー。”手段”って?」
「『明るい笑顔を』とマスターの星王の創造を使います」
頭装備の明るい笑顔をを装備。既に装備している頭部分の稀代の女王パーツを避け、明るい笑顔をは変形。頭部は完全にヘルメットに覆う。
「明るい笑顔をは宇宙空間でも活動できるマスクです」
そう言ったキャンサーは私の切断された右腕を前に出した。
「呼吸はできます。ですが、それ以外の素肌の箇所は宇宙での活動は不可能。星王の創造の液体金属を全身に付着させます」
星王の創造を叩き、ドロドロの液体がまとわりつく。見た目的には素肌が露出しているけど、しっかりと液体金属で身体が保護されている。
「ありがとう。行ってきます!」
背部のスタスターが噴射。轟然と唸り、宙へ舞い上がった。
ユミナが空へ上昇したと同時刻。スラカイト大陸・リリクロス大陸に一斉に映し出された映像。空中に浮かぶディスプレイにはユミナが空高く急上昇している映像と突如出現した巨大な円形が映っていた。誰もが上空の映像に釘付けだった。
他が呆然としている傍ら、ただ一人、笑顔の女性がいた。
「一応、ゲームしている訳だし。証拠が必要よね!」
ディスプレイを生み出したのはリリス様。ユミナ含む彼女の従者には誰が一番多く攻撃を与えたかで順位を決めるゲームをしている。宇宙に居たとしても機械生命体なら討伐数に加算される。
「そろそろ宇宙ね♡」
映像は地上から宇宙へ映り変わった。




