機械は熱に弱いでしょう!
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ユーズゥ・マクスカの前へ飛び込んだユミナ。捕食者の影爪を引き、ユーズゥ・マクスカへ放った。だがその直後、ユミナの攻撃が当たるよりも速く、ユーズゥ・マクスカの拳がユミナも顔面に直撃。強烈な一撃を受け、後ろ向きに吹っ飛ばされた。
飛ばされた先。建物の残骸の中から足場になる物に狙いを定め、踏む。身体を落とし、地面に着地。
ユミナは数秒の戦闘を分析し、前にいる機械生命体を観察した。今まで戦ってきた機械生命体よりも速い反応速度を有している。キャンサーの知識を保有し悪用してるのは明白。
ユミナの行動パターンを完全に熟知していた。それだけじゃない。顔面パンチがその証拠。ユミナはパンチを喰らったのに気付いたのは吹っ飛ばされた時。いくらキャンサーの知識を入手しても扱えなければ無用の長物。
ユーズゥ・マクスカは十二分にキャンサーの知識を扱え、更に昇華するだけの演算機能を持っている。キャンサーの身体よりも情報処理が桁違いなのかもしれない。先ほどのユミナの行動が一拍とすれば、ユーズゥ・マクスカの行動は十拍。
それだけの行動を可能にしているにも関わらず、相手を瞬殺できなかったのは、現状のユーズゥ・マクスカの身体とユミナの条件反射によるもの。
本来、機械生命体の身体は遥かに巨大。活動してから今まで巨大な身体を扱っていた。
惑星オニキスに来る際、巨大な身体では転送まで時間が掛かる。そこで、現地人と同等の身体を作成。自身のデータを移してから惑星オニキスへ到来したユーズゥ・マクスカ。
だが、代償として上手く身体を動かす事が出来ずにいた。その影響で相手を仕留めきれなかった。
「女の子の顔を殴るのはダメって教わらなかった」
「生憎、僕等には性別の文化はなくてね」
機械生命体は完全なるロボット。人間の様に性別的特徴は初めからない。別惑星で入手したデータを元に男性的な特徴や女性的なフォルム、声などを真似る行動を取り任務を行う者もいる。
が、その様な特殊な行動も全て上位の機械生命体からの指示によるもの。
(HPが8割もって行かれたか)
機械生命体の巨大な身体じゃなくても、パワーやスピードは機械生命体そのもの。人間サイズになっても健在。ユーズゥ・マクスカがユミナを全損できなかった要因はもう一つ。
ほぼ無意識に身体が防御姿勢に入っていた。ユミナにとって初手の攻撃が当たらないケースなど何千とある。訓練相手の反射速度が人間では追いつけない程、速い。幾重の訓練の成果とも言える条件反射で、ユミナは全損せずにいる。
ユミナは姿勢を整えた。顔の前でクロスした腕が剥がれた。ユーズゥ・マクスカの拳で防御が解かれた。捕食者の影爪と怒龍の籠手の破片が飛び散る。
二種の籠手はひび割れしているが、破損はない。両腕が上に昇っている隙に次撃が繰り出された。不死領域によるジェット噴射で後ろへ退く。
(腕、伸びるのか!?)
真っ直ぐ一直線に伸びる機械生命体の腕。ユミナが後ろへ回避すると見越して拡張したに違いない。キャンサーの知識から転輪の翠蹴の拡張武装を知り得ている。当然不死領域によるジェット噴射が最大になるまでの時間も。
胴体部分がガラ空きのユミナ。数ミリの距離。触れる寸前、ユーズゥ・マクスカの腕は急降下し、地面に激突した。ユーズゥ・マクスカの腕の上には捕食者の影爪が錘として乗っかる。
装備をストレージに入れず、その場に放置することも出来る。時間制限アリで長時間、装備品を放置すると所有権が放棄される。
一時行動が出来なくなったユーズゥ・マクスカ。即座に不死領域を逆噴射に切り替える。後ろから前方へ。転輪の翠蹴に蹴られる捕食者の影爪。
漆黒の巨大な籠手によるロケットパンチ。
対応しきれずユーズゥ・マクスカの顔面に命中。【加速スキル】:勝利翔・宵明星・嫦娥を多重に発動。仰け反るユーズゥ・マクスカの背後へ。
怒龍の籠手に【打撃スキル】:天照神を掛け、背中に打ち込んだ。ユーズゥ・マクスカの身体に伝わる光焔色のエフェクトと衝撃。身体を駆け巡る異常温度。
通常の機械生命体はオーバーヒートを起こさない様に設計されている。だが、現在のユーズゥ・マクスカは本来の身体ではない。加えて人間サイズの内部構造の身体。熱が通常よりも速く伝わり、故障に繋がった。
動かないユーズゥ・マクスカ。金属製胴体が解放された。人間で言う鳩尾に当たる部分に機械生命体の心臓が内臓されている。
ユミナは内部を見た。初めから埋め込まれているオレンジ色の四角形はユーズゥ・マクスカの”オライゴン”。機械生命体のエネルギー源、核とも呼ばれている。
光っているオライゴンの隣。急拵えで製造された装置にオライゴンとは別の核があった。キャンサーの核。ユーズゥ・マクスカのオライゴン破壊は後回し。キャンサーの核を引き抜いた。
意外にも簡単に取り外しが可能でユミナは驚いた。
キャンサーの核を握り締め、横たわっているキャンサーの胸の中心に置いた。核はキャンサーの身体に沈んでいった。




