無許可の報酬(事後報告です)
私の言葉に申し訳ない顔のリリス様。
「実はね......ユミナちゃん以外の旅人は全員周知しているのよ」
「えぇ!? ど、どういう———?」
私の言葉を遮る扉の音。入ってきたのはアシリアだった。
アシリアは私の隣に移動し、外の光景を眺めた。
「ほ、本当だったのですね......あの神託は」
「アシリアちゃん、お久〜」
アシリアはリリス様を見て、慌ててお辞儀をした。
「お、お久しぶりです......神様」
「リリス様を知っていたの、アシリア?」
「はい。インペリアル・アペクス号に乗る前に」
「あの時は身体を貸してくれてありがとう♡」
「いえ、お役に立ててのなら、非常に光栄です」
身体を貸した? 役に立った???
「アシリア......」
アシリアの肩に手を置いた。作り笑顔を見て、縮こまるアシリア。
「私という者がありながら、リリス様に身体を許した?」
慌てふためくアシリア。
「ご、誤解です!?!?!? 説明しますから......」
涙目になりながら、経緯を話すアシリア。
今から8日前。聖女業務中のアシリアに虚空からリリス様の声が聞こえたそうだ。リリス様から『世界に危険が迫っている』。『人々に知らせるために協力して』とのこと。
「ワタシ自身が言っても、妄想の類だと見向きもされないからね」
「私の言葉なら影響があると踏み、接触してきたそうです」
「それで、アシリアがリリス様を合体した理由は」
顔が赤くなるアシリア。
「で、ですから!??! 誤解です」
「アシリアちゃん自身がワタシの言葉を代わりに伝える方法でも良かったんだけど......」
「私では、難しい概念などがありまして」
なるほどね。リリス様がアシリアの身体を借り、未来の危機を伝える。仮にプレイヤーが質問してもリリス様なら全て答えれる。だから、アシリアは身体を開け渡したってことか......
「アシリアちゃんの神託は効果覿面! みんな信じて準備してくれたわ」
リリス様は宙にディスプレイを展開させた。どれもプレイヤーの姿が映っていた。誰もが二足歩行の高性能ロボットに向けて攻撃を開始していた。
「予め、到着予想地も教えていたから、皆の動きも早い」
「あの〜 リリス様」
私はとある事を確認したい衝動に駆られた。危険を察知し、逃げ出すリリス様。が、ヴァルゴによって羽交い締めされた。子どもが駄々を捏ねているみたいな動きをしているリリス様。なんか、可愛い♡
「先生。私たち......お嬢様含め、知りませんが」
汗ダラダラのリリス様。
「もしかして、わざとですか? 先生なら宇宙人の侵入を許すとは思えませんが」
「そうよ!!!! ワタシがわざとスルーしました」
あっさり白状した。
「これは、人類のレベルアップにも繋がるのよ」
「どういう意味ですか?」
「少しでも、刺激を与えたくて」
つまり、なんですか? プレイヤーに新しい力を与えるために宇宙人との戦いの場を用意したと。
「だって〜 一部の旅人しか世界を解明してないし......ワタシの予想進行よりも大幅に遅れてるのよ」
神様もスケジュール管理大変なんだな〜
「ロボットと戦えば、更なるやる気に?」
「そうよ。でも、星霊だけに任せたら、また現状維持に戻るから......知られないように立ち回っていたわ」
「私たち以外の準備は完了し、私たちよりも前に戦闘を行っている。全て計画通りですか......」
「なら、私たちはロボットとの戦闘をスルーした方が良いと思いますが?」
「お嬢様。恐らく先生は、自分は恋人に会えないのに、私たちがイチャイチャしているのが我慢できなかったのでしょう」
「はらいせ?」
「それが妥当ですね。まったく、先生は......偶に精神が赤ちゃんになりますから」
「ヴァルゴ、アリエス、カプリコーン。ちょっと結婚したくらいでいい気にならないでくれるかしら!! アナタたちは良いわよね!!! 好きな時間にエロい事出来るのに......ワタシはしみじみと無の時間を過ごしているのよ。独り身の辛さが分からないでしょうね!!!」
不貞腐れるリリス様。
「ハァ〜 先生なら、いつでも身体を許す者たちがいるはずなのに......」
拘束が解かれたリリス様。
「みんなにワタシ個人で報酬を与えます」
おぉ!? 意外にも良い展開。リリス様から直接貰える物なら、破格の性能は約束されている。いっちょ、やりますか!!
「報酬はユミナちゃんよ」
はぁ!? だ、誰が......報酬品だって
「加えて、子作りが可能な専用部屋を用意しましょう!!」
高らかに宣言する。汚い言葉をお許しください。ふざけるなぁあああああああああ!!!!!!!! クソ神っ!!!!!!!!!
ベランダにいた星霊は大歓喜。下にいた従者も熱狂の渦を発生させていた。
「あの〜 私の意見は......」
「皆がやる気になったから、ダメね」
そ、そんなぁああああああああああああ!?!?!??!?!
「誰が一番多く攻撃を与えたかで順位を決めます」
「【絶劍】」
高質量の刃の塊。一直線に、戦闘中の『機械生命体』へ。後方からの攻撃に反応できず、『機械生命体』は上下切断された。上部分は大地に着陸する。
ヴァルゴが手摺りから見下ろす。全員に見せつけるようにVサインを出した。
「私が討伐。今、一位です」
リリス様がヴァルゴに向けて指差す。
「はい、ざんね〜んでした!!!!!」
リリス様の精神年齢がどんどん下がっていってる。嘲笑う。さっきの羽交い締め、根に持っているな......
「確かに、切断は成功したわね。でも、見なさい」
ディスプレイを見せてくれた。場面はヴァルゴの【絶劍】で切断された『機械生命体』と突然切断された事実に直面したプレイヤーだった。呆気に取られたプレイヤーは、何かに反応して武器を構えてる。
「あ、上半身から小型ロボットが排出された」
上半身の切断面から小型ロボットが飛び出してきた。小型と言っても、180cmくらいの体格を持つロボットだけど。急な軍団に慌てるプレイヤーたち。
「『機械生命体』は核を破壊しない限り、活動停止にはならない。小型ロボットが排出したのは、切断された下半身に戻る為ね」
私の星王の創造みたいな性質があるみたいだ。自動で主の元に戻る機能付きか。
「幾ら攻撃が強くても、核を動いてたら永遠に動き続ける。ざまぁ〜見なさい! オホホッ!!!」
煽るリリス様。ヴァルゴの眉間に皺が生まれる。ありゃあ......キレてる。
「では、私は行きます。お嬢様......」
「あ、はい!」
「最初の子は、女の子です」
人間離れした跳躍。あっという間にヴァルゴの姿が米粒みたいになっていった。
ってか、ヴァルゴさん。ちょろくありませんか? まさか......これもリリス様の策略か!?
「あんな簡単な言葉で、怒るとは......人は変わるのね」
はい。正解でした。リリス様の掌で踊ってしまった。
ま、良いか。戦闘していたら冷静になるだろう。
「じゃあ、みんな......!?」
アレ? アシリア以外誰もいない。下の庭にもいない。
「ユミナちゃん。ワタシが言えた義理じゃないけど......体力頑張って」
「リリス様。私が一番だったら、帳消しで良いですか?」
「別に良いわよ。なんなら、ワタシが身体に教えてあげましょうか」
「魅力的なお誘い、ありがとうございます。でも、今は......大丈夫です」
移動を開始した。こうしている間にも私の貞操が無くなる時間が迫っている訳で......
残ったアシリアはリリス様に質問した。
「神様。一つ宜しいでしょうか?」
「何故、精力的か? 一種の罪滅ぼしね、ユミナちゃんに対しても......アシリアちゃんにも」
「私たちに対して?」
上を見上げる。想いを馳せる。簡単に会えない愛しき者へ向けた眼差し。
「ちょっとだけ”わからせ”ないと♡ 人類は可能性の塊。あの子にも......思い出して欲しいのよ。世界を恨み、世界に復讐し滅ぼそうと考えている今の感情よりも、昔の自分を、純粋な心を持った自分を......」
アシリアには理解出来なかった。自分の想像を超えた何かが動いている、それだけは分かった。
リリス様と平和の機械生命体の会話:10日前
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アシリアに憑依したリリス様がプレイヤーに未来を伝える
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豪華客船乗船:5日前
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船旅:3日前
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白陽姫とデート:2日前
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ヴァルゴの膝枕:1日前
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制御装置案:16時間前
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天使界:8時間前
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黄金卿:3時間前
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機械生命体、オニキスに侵入:現在




