表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スイリブル・フェザー  作者: CLOWD
18/19

絶え間無い思考



「ぅ・・・」


勇理はある患者の居る病院の一室で目を覚ました。

机で雑誌を読んでいて、そのまま寝落ちしたらしく、その雑誌とデスクは自分の仕業らしい唾液で湿っていた。


霞む視界を制服の袖で擦りつつ病室のちり紙で処理し、時間を確認する。


「2時・・・」


深夜か昼か針時計では判断出来ないが、カーテンが閉まっており、昼と言うには妙に暗い。深夜だと推測した。


この病室の患者、先日外敵との戦闘によって意識を失った親友の寝顔を見る。運び込まれた時よりずっと良くなっている。


その寝姿に安心し、1度自宅に帰る事にした。


したのだが・・・


「・・・ッ」


やはりと言うか、怖い。


院内はどこも照明がついておらず、窓から射し込む月明かりと非常灯のみを頼りに病室の出入口を目指す。

別に勇理は幽霊だとか都市伝説だとかを信じている訳では無いが、予想以上に暗い。


ここを出たらすぐに翼を展開して自宅まで一飛びだ。

帰っても誰も起きて居ないだろうが、自室に大切に保管してあるモデルガンの数々やゲーム機が恋しい。自分でも男性的な趣味である事は承知の上だが、好きな物は好きだ。

勇理としては自動小銃や小機関銃といった取り回しの良い武器が好みだが、「剣」を手に入れてからは回転式の銃にも触れるようにしている。この剣に目覚めた者として、多少の銃に関する知識があって良かったと心から思っている。

デスクに無理な体勢で寝ていたからか、身体中が痛む。早く柔らかいベッドに潜りたい。


恐怖や雑念を振り払うように様々な思考を巡らせ出来るだけ早足で出口へ向かう。


そして遂に病院の自動ドアが見えた。

そのまま通過しようと直進するが・・・


ゴォォン!


開く事は無かった。


「いったぁ・・・!」


涙目になりながら額をさする。

深夜2時頃では一般施設の正面出入口は閉まっていてもおかしく無い。失念していた。

かなり大きな音が響いたが患者やその他従業員に聞こえてしまっているだろうか。


「・・・」


どうした物か。

やっと辿り着いた出口が無慈悲にも開かない。いや、そんな事よりも・・・。


再びあの静かな闇に戻り今度は別の出口を探索しなければならないのだ。かなり厳しい。精神的に。


「はぁ〜・・・」


瞳をぐるっと1周させ深い溜息を吐く。


仕方ない、何とかしてここを出よう。

病院内に留まる理由が無い。



── 5分後 ──



別の出口が見当たらない。


勇理がこの世に生を受ける少し前まではこの地域、埼玉県新座市は俗に言う「田舎」だった。

翼専の授業内容の1部に寄ると、大きな施設らしい施設は役所と学校くらいだったらしい。だが時代は進み様々な技術が進歩して市で管理されている田畑や森林は開発され、新しい家が建てられ始めたのが「あの災害」の20年程前との事。そんな技術開発が進む中、突如落ちて来た脅威。対策に追われ、様々な機関が設立され、人類の最優先事項に優秀な人材が結集し、それに伴い経済も発展した。

この病院も既存の小さな診療所が拡張されて出来た総合病院らしい。


「・・・」


ダメだ、思考を止めると感覚が研ぎ澄まされ過ぎてしまう。どんな小さな物音でも絶叫してしまうかも知れない。おそらく極端に臆病な人にしか分からない感覚かもしれない。


勇理は自分が極めて臆病な性格である事を知っている。

だが最近、特に剣を手に入れてからか、少しだけ自信が付いたとも言える。剣を手にしている瞬間だけはまるで別人のように振る舞える。全身展開とは違うが、具現化した自分の才能に気持ちが浮ついているだけかも知れない。


「そうだ」


なら今剣だけ展開させておけばいいでは無いか。

どうせここを出たらすぐに翼も展開する事になるのだ。

そして勇理は武装のみ展開し、軽く指で回しながら探索を続行した。


それにしても広い病院だ。


── 10分後 ──


出口を発見した。


裏口というか、夜間の急患の入口だが。

今度こそとガラス張りの自動ドアに向かい直進すると、素直に開いてくれた。

勇理は安心し、自分の頭に銃口を当て引き金を引く。

吸い付いた銃口が跳ね、少女の背中に金属のバーニアが展開される。

慣れた物だ。


「よしっ」


慣らしに翼を吹かすと、身体がとても軽くなる感覚が訪れる。

ものすごい勢いで制服の短いスカートが揺れているが、今は闇が支配する丑三つ時、誰の視線も気にする必要は無い。


そのまま遥か上空へ飛び立ち、すっかり都会と化した新座の明るい街並みを目下に自宅を目指す。


「〜♪」


変に病院に長居してしまったせいか、いつもより飛んでいる時の解放感をより感じれている気がする。


しかし、こうして飛行しているといつも思う。

今僕は武装・翼の二種の展開しか出来ない訳だが、時間が経てばいつの間にか全身まで出来るようになるのだろうか。出来るとしていつになるのだろう。

僕の剣も先輩達みたいに、少し変わってるけど素敵な剣だと良いな。

知りたい事は山ほどある。


「少しくらい・・・お喋りしてくれてもいいじゃないか」


とは言え、1度だけなら声を聞いた事があるのだが。

剣に宿る者に性格の違いがある事は研究で明かされているが性別の概念があるかどうかは定かでは無い。

全身展開等で剣の人格を自身に宿す時、戦闘能力はもちろん性格や声色まで大きく変化する。


第1強襲科の場合・・・


要 計香・水の片手剣 ワーテル 女性

不来方 明美・火の盾剣 イグニス 女性?

雨宮 フレン・風の槍 ガルーダ 男性


小鳥遊 勇理・無属性?の銃 名称不詳 男性


まぁ多分こんな感じ・・・?

ワーテルさんは明るい性格だけど妙に冷たい時あるし・・・明美先輩の剣はまだ良く知らないし、フレン先輩のガルーダさんはいつもポーズ決めてて何考えてるか全然分からないし・・・。


「今考えても意味無いかな・・・!」


勇理は加速して近日行われる体育祭の為に一刻も早く身体を休める事にした。



毎話投稿前に今まで投稿してきた話も少しづつ読みやすく修正しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ