炎水乱舞
小説に限った話では無いが、「自分の作品」が1番出来が悪く見えるのは私だけだろうか。
──新座市 畑中一丁目 東──
明美と計香は外敵をすぐに発見した。
目撃情報とほぼ同じ場所で何を考えているのか、虚空を見つめボーっとしている。
「一瞬でカタ付けたるで!イグニス!」
「いきなり全身展開ですか!?ッ!ワーテル!」
外敵がこちらの存在に気づく前に一撃入れるという事らしい。
「今回は加減なし!」
彼女の剣の名前は『イグニス』というらしい。
計香もワーテルを呼び全身展開で明美の後を追った。
「ふん!」
助走をつけてノーガードの外敵の肋に飛び蹴り、吹き飛ばした。
すると外敵はすぐに起き上がり怒りを剥き出しにして反撃して来た。
「うわ!キレてるよアレ!」
「やだわ〜、気の短い人はモテないわよ〜?」
「え、誰ぇ?」
ワーテルはキャラが180°変わった明美に動揺した。
「うふふ・・・私はイグニス、明美ちゃんの剣よ」
「おお!一昨日の試合!計香の剣から見てました!」
「あぁ、あれはね、私の力を貸しただけで私自身が戦った訳じゃないのよ?」
「と、言いますと〜?おっと」
外敵はこちらが会話していてもお構いなしに、次々と石ころを投擲する。
「まさか、明美ちゃんともあろう子が年下相手に本気になる訳無いじゃないの」
「あ〜それもそうだよね〜・・・あぶね!何でさっきから私ばっか狙ってんのあの出来損ないモンキー!」
激昴するワーテルは両刃の青い剣に水を纏わせ刃にして飛ばした。
「@#¥^!!?」
「まだよ!」
片腕を斬り落とされ悶える外敵にイグニスが炎を纏った剣でさらに追撃、外敵の黒い皮膚を切り裂こうとした瞬間。
ジュッ!
「!」
「&$*&<#」
ワーテルの水でダメージが軽減されてしまい上手く決まらなかった。
「あれ?先輩ミスってんすかぁ?やれやれしょうがないですねぇ〜」
「うるさいわね!貴方の水のせいでしょ・・・きゃ!」
「#&&$*┗!」
目の前の敵のお喋りなどもちろん許してはくれない。
凡そ相性の悪い2人に割って入り力任せに暴れる外敵に慌てて距離をとる。
「どうするんです?」
「どうって・・・」
「*$&<⑨#²┗」
外敵は自分の腕を飛ばしたワーテルに矛先を変え左腕を無くしバランスの取れない身体を巧みに捻り攻撃してきた。
外敵の強靭な右腕が突き出されると、ワーテルは青い剣で往なし顔面に水を噴出し目をくらませると体勢を低くし脚を払おうと下段蹴りをした。
しかし相手も9年前街を壊滅させ、今も尚勢力を拡大している外敵、跳躍して回避、そのまま差し出されたワーテルの脚を砕こうと踏みつける。
「おっと」
「²#$*&┗<・・・」
拮抗し互いが攻めきれない現状。
「(こんな時、勇理ならどうするかな・・・)」
これはワーテルでは無く計香の思考だった。
その一瞬、ほんの一瞬気が逸れた。
その一瞬を外敵は見逃さなかった。
「<┗$#&*²&!!!」
「ワーテル!!」
「・・・あ」
モロに食らってしまった。
青く軽いドレスのような装備の破片が飛び散る。
そして計香の剣はイグニスに向かって飛んで行った。
その剣は遥か遠くへ飛んで・・・行かなかった。
イグニス、いや明美が右手の盾を捨て飛んで来る剣の柄を掴んだ。
「大変・・・!1度戻るわ!」
イグニスは何かを察すると明美の中に戻っていった。
「おうよ・・・」
明美は正直後悔していた。
今回の外敵の排除なら計香や勇理が居なくても任務自体は滞りなく終わるはずだった。しかし、新人を育成するのも先輩という立場にある自分の役目と思い今回の任務に2人を参加させた。
もう少し任務を選ぶべきだったか、いや、そもそも肩を並べて戦うべきでは無かった。
そしてもう1つ。
『他人の剣を掴んでしまった事』
「ぐっ・・・ああああ!」
既に自分の剣を持っている者が、他人の剣に触れた場合、とてつもない痛みが本人を襲うのである。
全身展開はとても精密な精神のコントロールが必要な為そのまま他人の剣を握りうっかり展開率50%を超えてしまう可能性もある。それを察し、イグニスは明美の中に戻ったのだ。
明美はそれを知っていた。そしてあえて計香の剣を受け止めた。先輩としての責任感からか、負傷させてしまった罪悪感からか、守れなかった自分への怒りか、あるいはその全てか。
この剣を掴まなければこの先永遠に彼女を受け止めてやれない、そんな気がした。
明美はその痛みのまま炎と水の双剣で外敵に向かい翼で加速
「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「&$*┗&<*┗²$#!!」
無数の斬撃が外敵を灼き、砕き、裂く。
「おおおおおおおおおおおお!!!!」
「²&┗&…$<…」
全身をズタズタにすると外敵は塵になって消滅した。
「ハァ・・・ハァ・・・」
息も絶え絶え計香のもとへ近づく。
幸い目立った外傷は無いが展開も解かれ気を失っていた。
「ハァ・・・クソッタレが・・・」
疲れのあまり暴言を吐き二振りの剣を地面に突き刺す。
するとどちらもすぐに透けて消えた。
明美は計香を近くのベンチに座らせると、本部に連絡し護送車を手配した。
「それにしても時間をかけ過ぎやな。帰ったらアイツ・・・勇理と勇理の剣について色々調べな・・・」
まだ痛む右手を強く握りしめた。




