表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スイリブル・フェザー  作者: CLOWD
12/19

兆し


「で」

「・・・」

「どうすんねんこれ」


ここは裏庭・・・だった場所。

先日、明美と勇理の対人演習によって粉砕された地形である。観客への被害は無いが、もちろん校舎の一部を破壊するのはNG。当たり前である。


「何でウチも片づけとんの?」

「す、すみません・・・」


完全に勇理の過失であり明美は寧ろ被害者である。にも関わらず演習を先に持ち掛けたという理由で2人による裏庭の修繕が言い渡された。


「計香とフレンはどこ行った!」

「別の仕事ですよ」

「だからって2人だけにする事無いやろ・・・」


耳が痛い。


「あと、これ終わったら1強に仕事来とるで」

「仕事ですか?」

「せや、あんたらにとってはこれが1強としての初仕事や」

「が、頑張ります!!」


「よし・・・。あ、お前その翼欠陥あるだろ」

「そうですね・・・え!?」


ごく自然な流れでいきなりダメ出しを食らった。


「しかも実は自分でも気づいている」

「・・・」


図星。


「はい・・・。気がついたのは体力テストの後ですね」

「具体的にどんな欠陥か言うてみい」


この圧倒的速度・加速とそれらからなる攻撃性能。

どれを取っても性能面では他の生徒より明らかに傑出している。そんな勇理の銀翼のどこに欠陥があるというのか。

それは


「ほぼ直線的にしか飛べません」

「ほう」

「以前の体力テストの持久走のタイムですが、100mのタイムが0.89に対して2000mが32秒でした」

「理論上17.8秒で完走の筈が14.2秒のロス・・・いや32秒でも十分有り得んけど」

「持久走は一週1kmの大きなグラウンドを2週する事で2kmのタイムを測定します。ですが僕の翼ではコーナーで速度を落さなければ曲がり切れないんです」


そう、小回りが意外と効かないのである。

もちろん速度を落とせばそれなりのコーナリングが期待出来るが、ただ1度進行方向を変えるためだけに持ち味の速度を捨てなければならないのだ。


掃除を続けながら会話をする。


「よいしょ。んで?なんか対策か改善策は?」

「いくつかありますね。昨日の演習では加速した後に1度ブースターを止めて体制を立て直してからもう一度点火・・・そんな感じですね」

「まぁ現実それがベストやな」


だが新たな発見もあった。

昨日の演習は決してただの1強の新人デモンストレーションでは無かった。


「他は何か分かったんか?」

「はい。フラットスピンでもっと速くなりました」

「まだ上がるん!?」


現在掃除を強いられた原因である勇理の一撃、上空に到達するまでにフラットスピン、つまりライフルの弾丸の様に空気抵抗を減らす回転でより速度を出しやすくしたのだ。


「呼吸は?」

「速度の落ちている瞬間しか出来ないですね」

「目は開くんか?」

「同じく一瞬ですね」


その速度故に呼吸は疎か目も開けられない。状況の確認は1度止まら無ければならない。


「既存の翼と違って長短の研究が最優先の翼や。後で今分かっている事とお前の見解をまとめて機関に提出しとき」

「はい!」


未知の翼の研究結果を機関へ報告。

そういう条件で1強に入隊した。


話をしながら掃除を終えて研究室に戻ると


「あ、お疲れ様です」

「お疲れ様」


計香とフレンがお茶を飲んでいた。


「ちょいちょいちょい、ウチらが必死でお掃除してる間にお茶飲んどったんかぁ?」

「別に構わないだろ」


勇理は計香に声を掛けようと計香の目を見るが


「・・・」

「計香?」

「・・・お疲れ様」

「あ、うん」

「仕事来てるけど」

「そうだね」

「・・・」


何故か目を合わせてくれない


「なんやあいつら、何かあったんか?」

「いや、特に心当たりは無いが・・・私と2人の時も勇理の話題は出さなかったな」


他の2人も不思議に思っている様だが、それ以上は踏み込まなかった。


「まぁあれだ!仕事行くか!」

「内容を聞かせて下さい!」


計香が妙に食いつく


「あ、あぁ」


フレンはホワイトボードに新座市全体の地図をマグネットで止めて仕事の内容を話す。


「今回の仕事は外敵の調査と排除だ」

「だろうな」

「というと?」

「強襲科やで、しょぼい外敵の排除が仕事という形でウチら生徒に雑用押し付けてんねや」

「言い方」


雑用、では無いが機関員の力は大きく、翼専生とは勿論比べ物にならない。

だが、緻密な作戦や隙のない編成を招集する為時間がかかる。そこで翼専生に仕事という名目で訓練させているのだ。


「で?誰が向かう?」

「全員じゃ無いんですか?」

「全員で行ってもいいが・・・」


そう言うと地図の今居る校舎より少し東を刺した。


「今回の仕事は新座市の畑中一丁目で目撃された『2体』の外敵の排除」

「2体か」


計香と勇理の顔がより引き締まる。

すると2人の顔を見てフレンは優しく言った


「大丈夫だ!我々生徒に回ってくる外敵排除の仕事は基本、機関員が出るまでも無い様な弱い外敵の対処だ」

「良かったぁ・・・」

「まぁそうですよね」


2人は安堵するが


「だが、栄えある1強・・・取り分け強めだったり・・・」

「おい!せっかく人が安心させてやった物を・・・!」


明美は余計な茶々を入れ、勇理達の顔が再び引き攣る


「はぁ・・・私と勇理、明美と計香で行動する!索敵から開始、見つけ次第攻撃を許可する!ただし!周囲への被害が考えられる場合はまず陽動してから戦闘するように!」

「「「了解!」」」

「何かあれば直ぐに携帯で連絡するように!」


そして2手に別れ外敵の捜索を開始した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ