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32、領主の依頼と女神様

本日二話目です。

 盗賊達が連行される横で瓦礫となったイモちゃんの成れの果てに黙祷を捧げます。

イモちゃん、どうか安らかに……


「お嬢さんの乗り物だったのか、なんか悪い事しちゃったなぁ……」

黙祷を捧げていたら、兵士を率いていた隊長さんが謝って来ました。

「いえ、所詮は急造の運搬用ですから。今度はしっかり腰を据えてそこらの兵士には負けない戦闘用の奴を……。イモちゃん、貴方のかたきはきっとこの手で! 」

こう、数の暴力に負けないでバッタバッタと薙ぎ払う感じで!


「止めんか! お主が言うと冗談に聞こえんぞ」

「ジョエル様それは心外ですね、私はいつも真面目ですよ? 」

「尚更たちが悪いわ! 」

とりあえずココちゃんを家に送り届けてから領主邸に向かいます。


 応接間に通され、ハーブティーを飲みながら暫しの談話。

「今回の件、改めて礼を言わせて貰う。謝礼として金貨千枚を受け取ってくれ」

金貨が入った革袋が目の前に置かれました。おお、久しぶりの現金収入ですよ!


「ありがとうございます、でもこんなに宜しいのですか? 」

「なに、金貨千枚でお主に命を狙われないなら安い方だ」

盗賊との交渉の事を少し引きずっていましたか。


「判りました、もし次に盗賊が現れたら千四百八十枚まで値上げ交渉します」

「もっと吹っ掛けろよ! 何だよその端数は?! 俺の命にお得感を出すなよ! 」



「それで結局、帝国の男爵に命を狙われる様な心当たりとか有るのですか? 」

「正直言えば判らん、しかしフラップ家の私兵と考えると少な過ぎる。ベラトはフラップ家の三男、たぶん功名心にかられての暴走だろうな」

兄が居るから家を継げなく家名は斜陽ぎみ、手早く手柄を欲しがった……みたいな感じですかね?


「まぁ真相はどうであれ、その筋書きで帝国と手打ちだな」

国や貴族による大人の事情って奴ですか、捨て駒扱いで何だか可哀想ですね。


「それで、今回の件を王都に報告しなければならぬのだが……」

「行きませんし、要りませんよ? 辞退します」

報奨金とか爵位とか言われても面倒です、ましてや拘束や幽閉されるのはもっと嫌ですからね。

「お主ならそう言うと思ったよ、わかった適当に話をぼかしておく」


 ジョエルさんとの話しは、私のゴーレム作製にまで触れてきました。

「ミウ、お主が本当にゴーレムを作れるとは正直思ってはいなかった」

結構大っぴらに創っていたのに信じて無かったのですか?


「大方、何処かで拾ったゴーレムを収納に隠し、作ったように見せかけているとな。何よりゴーレム作りの技術は失われて久しい、その若さで習得しているとは素直には信じられなかった」

そう言われるとそうですよねぇ、精神年齢はともかく外見は十三才の子供ですからね。


「でだ、話を戻すと。ゴーレムを持っていた訳でなく、作れるのなら魔法道具も作れるのでは? と思ってな。開墾や農業関係の道具を依頼したい」

「農具をですか? ゴーレムでは無く農具……斧で大木を一刀両断とか岩をも耕す鍬とかですか? 」


「そこまで物騒なのはどうかと思うが、冷製料理で作物の需要が高まる、なので農業が楽になる道具のアイデアが欲しい。お主も稼げる物を作りたいと言っておったしな」

「そうですね、判りました。魔法道具レベルでの農機具を色々と考案しておきます」

 

 そんな簡単なお話し合いも終わり領主邸を後にします。

馬車で送ると言われて執事のニコラハムさんと共に乗って居ますが酷い揺れと音ですね。

今度バネとベアリングで揺れない静かな馬車でも創りますかね?


 やがて馬車は尖塔のある大きな建物の前に差し掛かりました。

「ニコラハムさん、あの建物は何ですか? 」

「ああ、あれは女神シャロンを祀る神殿ですね」

此処に在ったのですか、時間もあるし寄らせて貰おうかな。


「神殿に寄って見たいので、送り届けは此処までで……ありがとうございました」

「いえいえ、神殿の中までお付き合いしますよ。私が付き添った方が中に入りやすいでしょうし」

んー、聖職者が門前払いして来るとは思えませんが。確かに領主の執事が居た方が素直に中に入れそうですね。


 幅広い十段ほどの階段を上り、何となくギリシャ風の柱が並ぶ神殿に着くと正面の門が閉まってます。

執事さんが脇に居た神官な人に声をかけると、少し驚かれ正面にある大きな門が開かれ中へと通されました。


 正面奥にはシャロンさんを模した女性の像が立ち、その背後にはステンドグラス……いやいや時代考証も宗教的にもズレてますでしょ?

何でこの建築様式にステンドグラスを貼りますかね?


 像の前まで行き、膝を着いてお祈りを……すると見せかけて霊界通信魔法【チャネリング】再び!


"ミウです、とりあえず元気にやってます"

《只今出る事が出来ません、ピーと言う発信音の後メッ……あらー、ミウちゃん久しぶり! 》

天井から光が差し込み女神像を照らし出し、シャロンさんの声が聞こえてきました。

でも今また留守電でしたよね?! 


"お久しぶりです、文字通り裸一貫で草原に落とされてから何とか此処まで来れました"

《何か渡そうとは思ったのだけど全部その下着みたいな性能の物しか無かったので渡せなかったのよ、言い忘れちゃっててゴメンねぇ》

衣服くらいは許容範囲だったと思いますがね、いや破壊不可能の衣服だと凄い防具になっちゃうのかな?


《でも元気そうで良かったわ、どう? その世界で楽しく暮らして行けそう? 》

"ええ、良い人が多いので大丈夫です。そう言えば魔力を消費して色々と創っちゃってますが平気ですか? この世界ではオーバーテクノロジーみたいな? "


《今の人達でも、やる気と度胸と想像力があれば創る事が出来る範囲だから大丈夫よ、好きなだけ消費して世界に還元してね》

"因みにどの位のエネルギーが戻りましたか? "

魔法石を創る時に毎回ごっそり抜けていく感じがしているから相当な量の魔力が戻っている事でしょう。


《そうね、例えるなら地球の海の水を風呂桶一杯分ほど掬い取った感じかな? 》

 全然減ってねぇ! あの抜ける感覚は何だったの?

《人間サイズだからそう感じてるだけよ、ミウちゃんが山くらいの大きさだったら気にもならない量だわ》

確かに二百リットル近い水を人間の身体から出すのは大変だろうけども……相手が海の水かぁ、あれって何リットルあったっけ?


"判りました、寿命で死ぬ前に使い切る勢いで、遠慮せずもっとガンガン使います"

《……寿命って設定していたっけ? 》

聞きたくなかった裏設定が聞こえた気がしますが、此処は華麗に話しを逸らしスルーしておきます。


"そう言えば、ダンジョンって不思議空間で狩りをしたのですがアレって何なのですか? "

《ダンジョン……あぁ増槽空間ね、減りすぎたその世界にエネルギーを補給している外付けのエネルギー空間よ》

"狩りで荒らしちゃって大丈夫ですか? "

もし壊れるなら大変ですが……


《大丈夫よ、中の物を持ち出せば持ち出すほど、その世界のエネルギー総量が増えるから沢山狩りをして持ち出してね》

"それを聞いて安心しました、その増槽空間が沢山あるみたいですが、狙った増槽空間に入る方法とかあるのですか? "

《あるわよ? 方法は……そうね、判別方法に少し手を加えて暇つぶしの宿題にしておくわ、自分で探してみてね》

暇つぶしにって……私に判るんですかね? というか判別方法を今書き換えたんですか?


"はぁ……今回はこの位かな、色々とありがとうございました"

《うん、何かあったら気軽に連絡してね》

そうは言いますが、普段は留守電じゃないですか……

《忙しいのもあるけど、神殿の外は基本的に圏外なのよねぇ》

今度、携帯可能な小型神殿を創りましょう。

《あまりに小さいのは、ちょっと神の威厳が……》

残念ですが今の威厳は底値です、通信オフ。


「お待たせしまし……あら? 」

シャロンさんとの話しを終えて振り返ると、ニコラハムさんを含めて十人ほどの人達が私の後ろでお祈りしていました。


私が声をかけるとニコラハムさんが膝をつき手を組みんだ祈りの姿勢を崩さぬまま質問してきました。

「ミウ様、今の御方がシャロン様なのですね? 」

何故に様付け! 私を拝まないで下さい。


「ええ、先ほどの方がシャロンさんです。見えていたんですね? 」

「私の信仰心の低さからか御言葉は聞こえず、断片的なイメージでしか判りませんでしたが、御姿は神々しく慈愛に満ち優しく楽しそうな表情でミウ様と会話しているのが見えました」

何がどんなイメージで伝わったのか、微妙に気になりますよ……


「ミウ様は本当に女神様とお知り合いでした……」

「もしかして、それを確認する為に神殿の前を通りました? 」

神殿の中について来た理由もそうなのでしょうね。

「はい、女神様の使徒をお試しする不敬をお許し下さい」

私は使徒と言うより、エネルギーを吸い取ってこの世界を滅亡させかけた、破壊神的な立ち位置の者ですが……

まぁ、そんな使徒とか大袈裟なものじゃ無いのをどうすれば信じて貰えるのでしょうかね。


此処まで読んで頂き、ありがとうございます。

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