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まさかの転生物語  作者:
番外編・兄たちの観察日記
53/53

一歳

あけましておめでとうございます。

新年最初の投稿です。


今後ともよろしくお願いいたします。


 アレウス暦五万三千六百六十三年(ユーリウス八十七年) 風の月 闇の週 一日目


 今日はエーデルフィアを、生まれて初めて洞窟の外に出した。初めての外に興味を抱いていたのか、エーデルフィアは一人(一匹)で外に出ようとして、少し焦った。

 言っていることを理解できないのは、こういうときはちょっときついなと思った。エーデルフィア、お願いだから大人しくして。


記録者・オースティア


**********


 同年 同月 同週 二日目


 昨日の興奮が祟ったのか、朝起きたらエーデルフィアが少し熱かった。小さい頃は体が熱くなりやすいらしいけど、いざそうなったエーデルフィアを見るのは辛かった。

 この日一日を殆ど眠ってすごし、お母さんの血もあまり飲んでいないようだった。

 大丈夫かなエーデルフィア。早く元気になることを祈っておこうと思う。


記録者・オースティア


**********


 同年 同月 同週 五日目


 この日、やっとエーデルフィアが善くなった。少し時間かかりすぎじゃない? エーデルフィアは体が弱いのかと考える数日間になった。

 でもまぁ、元気になったみたいだからそれでいいか。お母さんの血もいっぱい、というか今まで通りに飲んでるしね。

 それに、元気になったかと思ったらまた洞窟の外に行きたがっていた。もうしばらくは我慢しなさい!


記録者・オースティア


**********


 同年 風の月 星の週 十三日目


 エーデルフィアが体調を崩してからしばらく、エーデルフィアを洞窟から出さないようにしていたのだが、この日、久しぶりに出した。

 というか、私たちが狩りに行っている間に訴えを受けたお母さんが負けてしまったらしい。

 結果、少しだけ、ほんの少しだけ洞窟の外に出したらしい。


 エーデルフィア、お願いだから明日体調崩さないでね。


記録者・オースティア


**********


 同年 同月 同週 十四日目


 今回は体調を崩さずにすんだらしい。本当によかった。

 これなら時々なら外に出しても大丈夫だと思う。


記録者・オースティア


**********


 同年 同月 聖の週 六日目


 今日、エーデルフィアと私たち兄妹みんなで出かけようとして問題が起こった。それは、エーデルフィアが私たちのドラゴンの姿を恐れるということだ。

 生まれたばかりのころは確かに恐れられていたが、今もまだ怖がられているとは思わなかった。

 でも、誰かがドラゴンの姿を取らないと、遠くには行けない。というか、近場ですら辛い。

 お母さんは人態のままで羽を出して飛べるからいいんだろうけど、私たちじゃ無理だからね。


 結局、私たちがドラゴンの姿で先に行って、エーデルフィアはお母さんと来てもらうことになった。

 "一緒にお出かけ"が出来るのはいつになるかな。


記録者・オースティア


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 同年 同月 聖の週 七日目


 今日はエーデルフィアと一緒にお出かけをするためにお兄ちゃんやサーファイルスと一緒に話し合いをした。


 結論としては、エーデルフィアに慣れてもらうことが一番早いかと思ったのだが、あの泣き方を考えれば無理だろう。

 ならば、エーデルフィアにドラゴンの姿を見せないようにかばって、誰か一人がドラゴンの姿を取ってその上に残り二人が乗るようにするか。

 方法的にはこれが一番すぐに出来る方法だとは思う。エーデルフィアに見せないよう、とにかく気にかければいいのだから。


記録者・オースティア


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 同年 水の月 無の週 十一日目


 随分と久しぶりの日記になった気がする。今日は初めて私たち子供だけでお出かけをした。

 エーデルフィアは私の服のフードに完全に隠れて、お兄ちゃんのドラゴンの姿が見えないようにして、それで何とか大丈夫だった。

 でも、やっぱり見えてしまえば号泣。宥めるのが大変だった。


記録者・オースティア


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 同年 土の月 光の週 二日目


 最近、エーデルフィアは私たちが名前を呼ぶとこちらを見てくれるようになってきている。今までは呼んでも自分の名前だと理解できないのか、首を傾げるだけだったのが成長したと思う。

 今のエーデルフィアは、自分の名前はしっかりと覚え、そして、"おいで"という言葉の意味も分かって来たらしい。そう言えば飛んでくる。

 おいでと言って飛んでくるエーデルフィアは本当に可愛い。言った瞬間にまずこちらを見て、可愛らしく羽を広げて飛んでくるのだから。

 早く大きくなって欲しいとも思うけど、もっとこのままでもいいと思う今日この頃だったりする。


記録者・オースティア


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 同年 土の月 光の週 二十日目


 今日は本気で焦った。

 エーデルフィアと一緒に、お兄ちゃんたちとお出かけをしたのだが、目を離した隙にエーデルフィアの姿が消えていた。頭の上にいるものと思っていたので、いないのが分かった瞬間に本気で焦ることになった。

 幸い、一人ぼっちの恐怖に襲われたエーデルフィアがすぐにお母さんを呼んだため怪我などは無かったようだが、当然ながら私たちはお父さんとお母さんに叱られた。


 私たちが叱られている間、エーデルフィアはお母さんに抱かれて泣きっぱなしで、それもまた心配だったが、途中で泣き疲れて眠っていた。

 ゴメンね、エーデルフィア。怖かったよね。今度から、絶対に目を離さないから、怖がらせないから。


 だから、また一緒にお出かけしようね。


記録者・オースティア


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 同年 土の月 闇の週 十日目


 先日の迷子の恐怖はしっかりとエーデルフィアに埋め込まれてしまったらしい。

 今日、久しぶりに一緒に外出しようと、エーデルフィアを抱いて洞窟の外に出た瞬間、エーデルフィアに泣かれてしまった。

 その泣き声に反応して、お父さんとお母さんまで入り口のところへ駆けてきて、エーデルフィアを奪い取られた。くぅ、可愛かったのに。


 結果、この日はエーデルフィアはお父さんやお母さんにべったりでお出かけは出来なかった。


記録者・オースティア


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 同年 土の月 雷の週 十九日目


 今日は久しぶりにエーデルフィアが洞窟の外に出る気になってくれたらしい。但し、お母さんに引っ付いた状態でなら。

 私たちが抱いて洞窟の外に出てみると、泣きはしなかったが私たちの腕を抜け出して洞窟内に戻り、お母さんを連れて戻ってきた。

 そして、お母さんにぴったりと引っ付いてならば洞窟から出るのは平気になったようだ。


 まぁ、よかった、んだよね? うん、そうしようっと。


記録者・オースティア


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 同年 土の月 星の週 一日目


 今日はお父さんとお母さんがエーデルフィアを連れてじいちゃんとばあちゃんに会いに行ったらしい。

 曰く、じいちゃんとばあちゃんがエーデルフィアに会わせろと言ってきたとのこと。

 最初は私たちに連れて行けと言っていたお父さんたちだったが、気が変わって二人でエーデルフィアを抱き上げて連れて行っていた。


 うん、本気で助かった。じいちゃんとばあちゃんには極力関わりたくない!


 追記。帰って来たエーデルフィアは、じいちゃんとばあちゃん(+お父さんとお母さん)が怖かったのか、帰ってきてからずっと私やお兄ちゃん、サーファから離れなかった。


記録者・オースティア


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 同年 土の月 星の週 十七日目


 エーデルフィア可愛い! 今日は本気でそう思った。

 今日のエーデルフィアは、私たち兄妹にべったりだった。きゅいきゅい鳴きながら、私たちに擦り寄り、頬ずりをしてくる。

 そのおかげで、今日は草を取りに行こうとしていたのを中止し、とにかくエーデルフィアと一緒にいることを選んだ。


 おかげで、今日はいっぱいエーデルフィアを可愛がることが出来た、幸せだった。


記録者・オースティア


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 同年 土の月 聖の週 三日目


 今日はエーデルフィアも一緒に草を取りに向かった。エーデルフィアは何でもかんでも、そこいらに生えている草を食べようとするものだから焦った。

 毒のある草、食べても平気な草、何もかもお構い無しに食べようとするため、取るのは二人に任せて、私はエーデルフィアを抑える役に回った。

 エーデルフィアはきゅいきゅいと、おそらく離してとでも言っていたのだろうが、離すと間違いなくエーデルフィアがどれでも食べるのだ、離してはいけないだろう。


 記録者・オースティア


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 同年 土の月 聖の週 四日目


 昨日、草を取りに行ったときに、エーデルフィアは私たちに分からないようこっそりと毒のある草を摘んで、隠していたらしい。夜のうちに食べていたのか、朝から起きてこなかった。

 それを心配してみんなでエーデルフィアの様子を見に行った後は大変だった。何せ、エーデルフィアは丸くなり、お腹を押さえていたのだから。

 そしてそのベッドのそばには、毒草。エーデルフィアがこっそり持ってきて、夜中に食べていたのだろう。


 お母さんたちが話しかけてもエーデルフィアはか細い鳴き声でしか反応を返さなくて、それが私たちを余計心配させた。

 そしてエーデルフィアはこの日一日、お母さんの血すら飲めず、一日中寝込むことになった。


 早く元気になってね。


 記録者・オースティア


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