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7歳で死ぬはずだった俺は、ゲーム知識を持つ師匠に救われて最強になる〜なお、師匠は俺が幼馴染を好きだと勘違いしている  作者: 水話
7歳

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第5話 女神との約束

僕は嬉しさのあまり、

気づけば女神様の腰に抱きついていた。


「やっぱり、夢じゃなかったんだ!

 女神様、ありがとうございます……!

 病気を治してくれて、

 それに今回も助けてくれて……!」


ノエルからの突然の抱擁――と言っても腰のあたりだが、

奏は困惑して固まった。


「ちょ、ちょっとノエル君?

 感謝の気持ちは伝わったから!」


マリンが村の大人たちを連れてくるだろうし、

このままここに居てはまずい。

鉢合わせになったら説明が面倒くさい。


後から考えれば、

“通りすがった旅の冒険者”とでも言えば良かったのだが、

この時の奏に冷静に考える余裕はなかった。


「ノエル君、ちょっと離れてくれへんかな。

 お姉さん、あんまり目立ちとうないねん……」


ノエルが上目遣いで奏を見上げる。

奏にとって、その可愛さは反則だった。


「今、離しても……また会えますか……?」


「うぐっ……!」


力づくで引き離して《隠形》を使うのは簡単だ。

だが、こんな幼子に手荒な真似をするのは気が引けた。


「うーん……ほんなら、

 明日の朝、ここよりもうちょっと奥まで

 一人で来れる? シュレン君やマリンちゃんは

 連れてきたらあかんで?」


ノエルは素直に頷き、そっと離れた。


「そんで、嘘つかせて悪いんやけど……

 スタッグは何でか逃げてったって言ってもらえるかな?

 うちの事は黙っていて欲しいねん」


ノエルはまっすぐ奏の目を見て答えた。


「わかりました。

 女神様のことは誰にも言いません!」


「うん、ありがとうな。

 ほな、また明日ね」


奏はそう言うと《隠形》で姿を消し、

ポータルでセントラルコリナへワープした。


「見つかってもうたなぁ……

 まあ、しゃーないか。

 あのまま放っとくわけにはいかんかったし」


ゲーム本編でスタッグは弱小モンスターとはいえ、

七歳のノエル達には手に余る相手だ。


奏が姿を現さなければ、

手遅れになっていた可能性は高い。


奏はセントラルコリナをぶらつき、

適当に観光や買い物を楽しんで時間を潰してから、

またホテルに戻った。


◇その頃


マリンが、シュレンの父親で

剣術道場を開いているクリスを連れて

ノエル達のところへ戻ってきた。


「ノエル君……! シュレン君!」


クリスは倒れて気を失っているシュレンを見て、

顔色を青くして走り寄る。

すぐそばではノエルが座っていた。


「シュレン……無事か?!」


クリスはシュレンの怪我がなく、

呼吸も安定していることを確認し、

安心して胸を撫でおろした。


「吹き飛ばされたと聞いたが……

 打ち所が良かったようだな……」


「う、うーん……あれ……? 親父?

 あ……親父! スタッグが! ノエルが!」


目を覚ましたシュレンは状況を思い出し、

真っ先に友の心配を父に告げた。


「僕はここにいるよ。

 大丈夫、スタッグはどこかに逃げて行ったから」


安心したマリンが泣き出す。


「ううっ、よかったよぉ……

 ごめんねぇ、私だけ逃げ出して……」


ノエルが首を振る。


「ううん。きっとマリンがクリスさんを連れてきてくれたから、

 その気配でスタッグが逃げ出したんだと思うよ。

 ありがとう、マリン」


クリスはそのやり取りに感心し、

ノエルを見つめた。


「ノエル君がスタッグの注意を引いてくれたと聞いている。

 ありがとう、君は勇敢な子だ。

 それにしても、シュレンからは身体が強くないと聞いていたが……」


「あ……はい。今朝から身体の調子が何だか良くて。

 今日もそれで三人で薬草を採りに来てたんです」


「ふむ……そうか……

 とてもシュレンから聞いていた様には見えなくて驚いたよ。

 いや、それどころか……」


クリスはノエルの内から感じる力強さを感じ取っていた。


親の贔屓目を除いてもシュレンには才能があると思っていたが、

ノエルは、下手をすればそれ以上の才気が漂っていた。


「ノエル君、これからも身体の調子が良い日が続くようなら、

 うちの剣術道場に通ってみないか?」


シュレンが目を輝かせる。


「おお! いいじゃん、ノエル!

 一緒に強くなろうぜ!」

ノエルは、自分が認められたことが嬉しくて、

思わず二つ返事で承諾しそうになった。


だが、その瞬間――女神の……奏のことが頭をよぎった。


「ありがとうございます……

 とても嬉しいです。

 ちょっと考えさせてください」


クリスが優しげな瞳で、

そっとノエルの頭に手を乗せる。


「そうか。無理にとは言わん。

 気が向いたら、いつでも来なさい」


シュレンが割って入る。


「ちぇーっ! 何だよノエルー!

 折角、親父が誘ってるのにー!

 まあいいか。親父!

 スタッグなんかに負けないように、

 もっと俺を強くしてくれ!」


「ううっ……シュレン君もノエル君も……

 何だか、良いなぁ……

 私ももっと強くなりたい……」


クリスが三人に声をかける。


「お前たちはまだ小さい。焦ることはない。

 スタッグは草食で大人しいが、

 暴れれば大人でも危ないんだ。

 それを無傷で切り抜けただけでも、

 お前たちは十分立派だよ」


クリスは顎に手をやり、考え込む。


「スタッグが暴れるなんてなぁ……

 一体何が起きているのか……」


シュレン達の不安げな視線に気づき、

そこでクリスは独り言をやめた。


「まあいい。さぁ、今日はもう帰ろう。

 遊ぶなら村の中で遊びなさい」


「はーい!」


結局、村に帰ってからはお開きとなり、

それぞれが家路についた。


その夜のノエルは――


スタッグの注意を自分に向けて逃げ出せた自分の行動と、

女神との再会と約束が頭から離れず、


興奮で寝付くことができなかった。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

「続きが読みたい」と思っていただけましたら、

【評価(★)やブックマーク】していただけると嬉しいです。

次の話を執筆する活力になります。


【過去作・他連載のお知らせ】


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