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7歳で死ぬはずだった俺は、ゲーム知識を持つ師匠に救われて最強になる〜なお、師匠は俺が幼馴染を好きだと勘違いしている  作者: 水話
7歳

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第24話 ノエルの才能(後)

マリンと二人でレリィさんの家の前に着くと、

まずは僕が玄関で呼びかけた。


「すみません、レリィさんはいますか?」


三分ほど待っても反応がなかった。

次にマリンが、頑張ってか細い声を張り上げた。


「ごめんなさい、レリィお姉さんいませんか!」


すると家の中から声が聞こえてきた。


「はーい、ちょっと待ってね!」


僕がマリンを見ると、ほっとしたのか

笑顔を浮かべていた。


「よかったね、レリィさん居たみたい」


「う、うん。お願い聞いてくれると良いんだけど」


「そうだね」


やがて玄関が開き、

腰まで届きそうな薄い緑色の長髪を結わえた

レリィお姉さんが姿を見せた。


「あら、ノエルちゃんにマリンちゃんじゃない。

 お父さんとお母さんから何かお願いされた?」


「おはようございます、レリィお姉さん。

 えっと、今日はお願いがあってやってきました」


「は、はい、そうなんです。

 レリィお姉さんに教えて欲しくて……」


レリィさんは僕たちの言葉を聞くと、

頭をかきながら口を開いた。


「あ〜、そっちかぁ。

 ごめんねぇ、それはできないかなぁ。

 そっか、ノエルちゃんとマリンちゃんは知らないよね」


僕の手をマリンが強く握り、震えた声で叫んだ。


「お、お願いします!

 この村で治癒術を使えるの、レリィお姉さんしかいないんです!」


「うーん……ここじゃ何だから、

 とりあえず上がって」


僕はマリンの手を引きながら返事をした。


「はい、すみません。

 お邪魔します」


「お邪魔します……」


◇


僕たちは居間に通されると、

レリィお姉さんが温かいお茶を出してくれた。


「ありがとうございます。いただきます」


「いただきます」


僕たちの言葉に、レリィお姉さんは

台に頬杖をつきながら微笑みかけてくれた。


「ノエルちゃんとマリンちゃんは、しっかりしてるわねぇ」


「今は旦那が畑に出てていないから……

 さて、それじゃあお姉さんが治癒術を教えられない理由だけど、

 何から話せばいいかなぁ。

 そうねぇ……ノエルちゃんとマリンちゃんに理解できるかなぁ……」


「がんばります」


「はい、がんばって聞きます」


「うん。お姉さんも出来るだけわかりやすく説明できるように

 がんばるからね。難しかったらごめんね」


そう言うと、レリィさんはお茶を飲みながら話し始めた。


「私は元々この村の出身で、治癒術が使えるようになったから

 王都に出て冒険者として活動して、今の旦那と知り合って、

 村に戻ってきたんだけど……戻ってくるときに村長に

 “条件”を出したことがあってね」


僕は聞き返した。


「条件ですか?」


「うん。えっと、約束のことね」


マリンが頷く。


「守らないといけないことですね」


「そうそう。二人とも偉いわねぇ。

 それで、その約束は二つあって――


 一つは、治癒術は“私が使いたい時にしか使わない”。

 それに、使うとしても“無料では使わない”。」


「なんでそんな約束をしたんでしょう?」


「そうね……例えばノエルちゃんが怪我をしたとしましょう。

 目の前には薬草と、治癒術を使える人がいます。


 薬草は使えばなくなる。

 治癒術は使ってもなくならない。


 ノエルちゃんならどうする?」


「治癒術を使って……とお願いするかもしれません」


「うん、えらい。今ちゃんと考えて答えたのが

 お姉さんに伝わってきたよ。


 そういうことなの。

 要するに“道具代わり”にされたり、

 私が治癒術を使うことが当たり前になるのが嫌だったの」


「僕は何となくわかりました。マリンは?」


「私も何となく、わかりました」


僕は正解がわかって、思わず口に出した。


「それでもう一つの約束が、治癒術を教えない……ですか?」


レリィお姉さんが目を見開いた。


「ノエルちゃん、本当に七歳……?

 お姉さん、驚いちゃった。

 そう、それで合ってる」


正解しても嬉しくなかった。

マリンが我慢できず、泣きそうな声で問いかけた。


「な、何でですか?」


「えっとね、簡単に言うと“困るから”…かな。

 使ってくれないなら自分で覚えればとか、

 自分の子供が覚えればって考えられたら……

 私は“教えてほしい人たち全員の適性を見て”とか、

 そういうことをしないといけなくなるでしょ?


 それに、使う方と同じで“有料にする”ことも考えたんだけど……

 そこまでするなら王都に行ってもらった方がいいし。

 お金に困ってるわけでもないしね」


僕はレリィお姉さんの話を聞きながら、

何となく――お師匠様が「目立ちたくない」と言っていた理由が

わかった気がした。


きっと、似たようなことになるからだ。

しかも、レリィお姉さんには悪いけど……

お師匠様はもっと凄い。

だから、もっと大変になるんだろうと思った。


「わかりました。朝早くからすみませんでした。

 マリン、帰ろう。

 治癒術は王都に行けば覚えられるみたいだし、

 今度、おじさんたちにお願いしてみようよ」


「う、うん……

 ありがとうございました。

 お邪魔しました」


帰ろうとしたその時、

レリィお姉さんが僕たちの前に立った。


「ねぇ、治癒術を覚えたいのはノエルちゃん?

 それともマリンちゃん?」


マリンがレリィお姉さんの顔を見上げ、

はっきりと強い声で言った。


「私です。私が覚えたいんです!」


「あら、それじゃノエルちゃんはいいのかな?」


「僕も覚えたいとは思っています」


僕の言葉に、マリンが驚いたように僕の顔を見た。

そういえば、マリンには言っていなかった。


「そっか。じゃあ、マリンちゃんは何で覚えたいの?

 ついでにノエルちゃんも」


マリンは強い意志を灯した瞳のまま、口を開いた。

その身体は震えていなかった。


「私には大事なお友達がいます。

 シュレン君とノエル君。

 シュレン君は剣が強くて、

 ノエル君は頭が良くて……

 なのに最近、何だか身体も強くて……

 ちょっとずるくて、でもそれも嬉しくて」


(ずるいって思われてたの?

 でも嬉しいって……マリンらしいなぁ)


「私だけ、何にもできなくて。

 せめて二人が傷ついた時に、癒せるようになりたくて……!

 だから……だから……!」


言い終わると、

真っ赤な瞳から大粒の涙が零れ始めた。


「僕も、大事な人たちを守りたくて……

 そのために色々と出来るようになりたいんです」


僕たちの言葉を聞き終えると、

レリィお姉さんは僕とマリンの頭にそっと手を置いた。

「わかった。お姉さん、二人の言葉に嬉しくなったから

 治癒術を教えてあげる。

 でも、他の人には秘密にしてね」


僕とマリンの声が一斉に揃った。


「レリィお姉さん、ありがとうございます!」


「ううん、大したことは教えてあげられないけどね。

 ごめんね、マリンちゃんを悲しませちゃって」


レリィお姉さんがマリンの顔をハンカチでそっと拭う。


「ごめんなさい、泣き虫で……」


「ううん、その涙は“良い涙”なの。

 その気持ちは、治癒術を覚えるために

 一番大事なことだから。

 ずっと忘れないでいてね」


「はいっ……はい……!」


◇


そうして座りなおすと、

レリィお姉さんが本棚から、とても分厚い本を持ってきた。


「とは言っても、結局は本を読んでイメージを掴んで、

 身体でそれを実践するだけなんだけどね」


僕はレリィお姉さんが持ってきた本を台の上で開いた。

そこには難しい言葉で、こんなことが書かれていた。


――この世界の万物には魔力が流れている。

地域によってそれはマナ、チャクラ、フォース、

霊力、魔素、と呼ばれたりしているが、

この書では魔力で表現を統一する。


さて、この魔力だが……当然、人体にも流れていて、

それは血液のように身体を循環し、

我々の生命力として機能している。


この魔力を“技”として放出するのが広義のスキル、

“術”として放出するのが広義の術である。


魔力は、生きている限り人体から無限に湧いてくる力だが、

湧いてくる量や回復速度は個人差や強さによって変わる。


基本的に、十分な食事と睡眠をとれば回復すると

研究の結果、証明されている。


マリンの動きが固まる。


「レリィお姉さん、わかりません……」


「そうよね。こんな小難しいこと並べられても

 わからないわよね。ノエルちゃんは?」


「何となく……分かる気がします」


僕はお師匠様との鍛錬で、剣術スキルの二連斬や

錬金術で身体から魔力が失われる感覚を知っている。

つまり、魔物を倒すために使ったり、物を作るために使っている。

だから、これを“違う目的で使う”ことを考えればいいと思った。


「ノエルちゃん、この本読めてるだけでも驚きだけど……

 書いてる意味がわかるの?

 天才ってこういうことを言うのかしら」


僕はレリィお姉さんにお願いしてみた。


「治癒術を見せてもらえますか?

 できれば、僕の身体にかけてみてほしいです」


レリィお姉さんがニヤリと笑い、僕の手を握った。


「いいわよ? 怪我をしてないから

 ちょっと気持ちいいと感じるくらいだけど……

 ヒール!」


僕の手に、レリィお姉さんの魔力が

温かい光になって優しく包み込むのを感じた。


僕はそのままレリィお姉さんの手を握りながら、

自分の中の魔力を掌に集めて、

“相手を癒す光になること”をイメージした。


(まだイメージが足りない気がする)


僕は目を瞑り、目の前に怪我をしたシュレンやマリン、

お父さんやお母さん……そしてお師匠様がいる姿を想像する。


(僕が治療するんだ……!)


「ヒール!」


僕の手から、レリィお姉さんと比べると

少し淡い光が放たれ、レリィお姉さんの手を包んだ。


「僕、成功……した?」


レリィお姉さんとマリンの目が見開き、

口をあんぐりと開けている。


「ノエルちゃん……すっごい……」


「ノエル君……」


マリンが僕の顔を見ながら震えだす。


「ノエル君の馬鹿……!

 何で……何で私より先に使えるようになるの!」


そしてマリンは大声で泣き出した。


「あああああん、何で私が……

 私が……!」


僕はマリンが泣いた理由がわからないまま、

ただ謝るしかできなかった。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

「続きが読みたい」と思っていただけましたら、

【評価(★)やブックマーク】していただけると嬉しいです。

次の話を執筆する活力になります。


【過去作・他連載のお知らせ】


▼異世界転移・元おじさんの善行旅(完結済)


『お人好し主任の異世界善行旅 〜神様から授かったチート能力で、 魔界・人界・天界のあらゆる種族と目の前で困っている者すべてを救い尽くします』

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▼異世界転生・内政群像劇(完結済)


『中華風異世界で目覚めたら、自作一族の少年だった』

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▼TS・勘違い・無双コメディ(完結済)


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