0-48話 第一次降魔事変 その14 グレンとオルファン
更新です。仕事から帰ってきて小説を書く癖をつけたいんですが、やはり疲れて寝てしまいますw休みに日にせっせっと書く羽目に。何かいい手はないものか。それはいいとして48話のはじまりはじまり~。
悪魔の身体が四散した後、散らばった肉塊が集まり、変容して現れた巨大な禍々しい心臓。大きくドクン、ドクンと脈を打っている。
オルファン、プルートゥ、ヴィクトルは事態が把握できずに驚愕の表情を浮かべ呆然としている。額に汗を浮かべながらオルファンがおそるおそる呟く。
「な……なんだ……!?この奇妙なバカでかい心臓は?どっから現れやがった?これは悪魔の身体が変化してバカでかい心臓になったってのか!?」
突如、オルファンの頭の中に何者かの声が響き渡る。
「……ファン。……オルファン。俺の声が聞こえるか?」
自身の頭の中に響く声に驚くオルファン。
「なんだ?なにか聞こえる!!!誰かの声が!!いったい全体俺の身になにがおこってんだ!?」
「ふふん。いい勘してるぜ。ご名答ってやつだな。オルファン。そいつは夢幻の心臓。魔神・識天使級の奴等は皆その系統の不可思議な心臓を有している。そいつを以ってして上位世界の高次元生命体の証明となるわけだ。その気になれば闘気や魔力をほぼ無尽蔵に出力変換できるいわば永久機関だな。再生力にエネルギーを回せば、自身の耐久力を遥かに上回るダメージを受けなければほぼ不死身ってわけだ。おめでとう。お前は遂に夢幻の心臓を引きずりだした。奴の今現在の耐久力を遥かに越えた魔術を叩き込んでな。見事だったぜ。ちっぽけなレベル。少ない経験値でよくもまああれだけの魔術をやってのけたな。奴等は巧妙に夢幻の心臓を体内に隠している。いわばその心臓こそが奴等のコアにあたるわけだ。いいか。よく聞け。オルファン。その心臓を破壊しろ。それで奴は本当の意味で死滅する。今こそ千載一遇の好機だ!!やれ!!オルファン!!」
頭を抱えながらオルファンはソルレリアウスのコックピット内を右往左往する。
「ヤバい!!!幻聴だ!!!幻聴が聞こえるようになった!!!あのふざけた悪魔と本気で殺りあったせいで俺の頭は本格的にイカレちまったのか!?」
オルファンの突拍子であられもない態度に腹を立てたのか。謎の声の主は声を荒げる。
「あってめ!!話を聞けコラ!!!!いいか、俺はお前の味方だっつーの!!俺はお前の事をよ~~~く知ってんだ。お前が赤ん坊の頃からな。」
オルファンは訝し気に謎の声の主に尋ねる。
「み……味方つったって……!!いきなりの事で困惑するぜ……。今日は信じられねえ事ばかり起こるな。あんた一体誰!?」
名前を聞かれた声の主は少し照れくさそうにした後、意を決して堂々と見得を切って応え出す。
「そいつを聞いちゃう?聞いちゃいますか?聞かれたならば答えねばなるまいて……。そうさなあ……。偉大なる勇者アヴストゥ-ラの伝説は全て俺から始まった!!俺こそが、そう俺こそが悪魔も天使も神々さえも恐れ慄いたという絶対勇者王!!!初代アヴストゥ-ラ・グレン・ニルヴァーナ様よおおお!!!どうだ驚いたか!?えっへん!!!」
オルファンは冷めた目つきで一蹴する。
「嘘 つ け」
ヴァルハラの園で、大見得を切ってポーズまで決めて答えた初代勇者アヴストゥ-ラことグレンは盛大にズッコケる。思わずくすくすと笑ってしまうフィオナ。
自身の子孫にあたるオルファンに全く信じて貰えず怒り心頭のグレン。
「ふざけんな!!!!史上最強の俺が勇者じゃなかったら誰が勇者になんだよ!!!このバカ!!!知らないくせに!!俺がすんげえ強くて、今までめちゃくちゃ世界を救ってきた事なんて全然知らないくせにいいいい!昔はみんなからすげえ尊敬されてたんだぞ!?」
頭に響き渡る声の音量が途端に大きくなって。頭を抱えるオルファン。
「知るわけねえだろボケェェェェェェ!!!!そしてうるせえええええええええええ!!!いきなりでデケえ声出すなああああ!!頭に響くううう!!!あ!!!ははーーん?読めたぞ?てめえ新手の霊感魔術商法の詐欺の業者だろ?ユリーちゃんがゆってた!!魔力が上がると、色んな思念を読み取れるようになって、精霊や神々の運命の啓示を装ってすげえたけえ壺とか買わせる奴等がいるから気を付けてねって!!お前がズバリそーだろ!!!!」
顔を真っ赤にして言い返すグレン。
「違うわあああああああああああ!!!こんな修羅場の真っ最中に壺なんか売りに来るわけねーだろ!!!なんて物わかりの悪い奴なんだ。気が滅入ってくるぜ……。こんなんが俺の子孫なのか……。俺は今猛烈に絶望している。情けないぜ。オルファンお前は勇者として圧倒的にかしこさがたりない。かしこさ3とかそういうレベルだ……」
「かしこさ3だと!?今かしこさ3って言いやがったのか!?てめえ言っていい事と悪い事があるだろうが!!!!じゃあなんだ!?自称初代勇者様のかしこさを聞いてやろうじゃねえか?お前はかしこさ一体いくつなんだよ!?」
「俺のかしこさは5だ。分数の計算はそれなりに厳しい。通分が苦手だ」
「あんまり変わらねーじゃねーか!!!ますますあやしい……!!!さっきからふざけた事ばっか言いやがって……!!姿を!!姿を現しやがれ!!声の主!!!」
深いため息をついて、謎の声の主のグレンはオルファンの頭の中に自身の姿のビジョンを映し出す。
「はあーーーー!!しょおがねえなあ……!!声だけで俺が本物の初代勇者アヴストゥ-ラと気づかないとは……。まあいい。鈍感でアホなお前も、俺の貫禄そして威厳のある威風堂々たる姿をその目に焼き付けたら俺がパチモンじゃねえって事が本能でわかるだろうて……。よく見さらせ!!そしてひざまづけ!!これが初代勇者アヴストゥ-ラ様の御尊顔よお!!!」
ババ――――――ン!!と効果音がなりそうな程、恰好をつけた仰々しいポーズを決めるグレン。
その威風堂々たる姿は……というと、ボサボサの頭にラフなTシャツに短パン、右手にはコーラカクテルに左手には山盛りのポップコーン。何処からどう見ても歴戦の勇者には到底見えなかった。
オルファンがここぞとばかりにブチキレる。
「ふざけんな!!!舐めやがって!!!てめえのその姿のどこが勇者なんだ!!?映画館にふらっと映画見に来ただけのただの酔っ払いじゃねえか!!!ぶち殺されてえのか!!!」
グレンも猛烈に反論する。
「だってよお!!!俺の聖剣や鎧、いわゆる勇者の神器はチートすぎて、悪魔や天使や神々に全部没収されて厳重に封印されてんだから仕方ねえだろうが!!!探してるけど何処にあるかマジでわかんねーんだよ!!まあ、俺から言わせればいいハンデだわ。あんなもんなくても俺なら素手でほぼほぼ皆殺しにできる。逆に身軽になってよかったんじゃね?的な?わっはっはっはっはっは!!」
「わっはっはっはっは!!じゃねんだよ!!!そして極めつけはそのツラ!!!!そのしまりのねーだらしねーツラだよ!!ツラ!!それで初代勇者とか片腹痛いわ!!!」
「てめえにだけは言われたくねええええええええええええ!!!俺がブサイクだって言いてえのか?殺すぞ!?どっからどう見ても粋でイナセなイケメンじゃねえか!!!いいか小僧。よく聞け?俺が一体何人の美女を落としてきたと思っている?言っておくが俺の全盛期のモテ度は勇者補正も相まってマジで半端じゃねえ。相手が悪い。お前とは年季が違うんだよ」
フィオナが小さく呟く。
「嘘……!!グレン様が本当にふたりいるみたい!!ち……ちなみに、どうでもいいことかもしれませんが、グレン様とオルファンくんの顔のつくりはほぼ同じだったりします……。流石先祖と子孫といったところでしょうか……。違いはグレン様は眉毛が太くて濃くてちょっとつり目。オルファンくんは眉毛が普通でちょっとタレ目。あとグレン様の方が5cmぐらい背が高いかな?多分遠くから見るとどっちがどっちか。全く見分けがつかないかと……。それでいてどちらが見目麗しいか比べるなんて、どんぐりの背比べといいますか。いやはやなんといいますか……」
オルファンとグレンの舌戦は果てる事を知らない。ソルレリアウスのコクピットの中で暴れ回りながら顔を真っ赤にしてまくしたてているオルファンをプルートゥとヴィクトルとガウディは、不思議にそうに見ている。
見かねたガウディはオルファンに無線を飛ばす。
「オ……オルファン!!さっきから一体何を言ってるんじゃ!?誰と話しておる!?」
しかしグレンとの弁舌合戦に夢中になっているオルファンにはガウディの声は聞こえておらず。全く反応がない。
ヴィクトルが怪訝に思いプルートゥに尋ねる。
「な……なあ……?プルートゥよ?オルファンは一体どうしてしまったんだ?つ……ついに頭がイカレて……」
プルートゥがヴィクトルにおそるおそる応える。
「ううーむ。前にもこんな事があったような……。恐らくは魔力を使い、何らかの精霊と交信をしているのだと思うが……。やはり剣と槍を武器に闘う我々戦士には、魔導に生きる魔術師は時折、理解に苦しむものがあるな……」
オルファンはグレンに必死に呼びかける。
「だって俺見たんだもん!!!!ディアノート大聖堂で、祀られてる初代勇者アヴストゥ-ラ様の銅像を!!!!すんげえ美形でカッコよかったんだもん!!お前なんかとは似ても似つかないんだもん!!嘘つき!!!」
呆けた顔でオルファンの言った言葉を、耳を指でほじくりながら聞き流そうとするグレンだったが。
「あんだってえ?ふえ~~。驚いたあ。ディアノード大聖堂ってまだあるんだ?うん?待てよ。ディアノード大聖堂の銅像だって? あ 」
何か苦い記憶を思い出したグレン。今明かされる伝説の初代勇者アヴストゥ-ラの(大したことない)過去の一部!!待て次号!!
つづく
読んで下さってありがとうございました!!




