0-45話 第一次降魔事変 その11 力を紡いで
はい更新です。長期休載から復帰してですね。もうPVを望むのも、評価を頂くのもおこがましい。ただただ連載できればいい。完結できればいいという気持ちで心機一転頑張っていっているのですが、なんとブクマが1件増えていてとても嬉しいです。長期休載明けにまさか評価を頂けるとは思っていなかったので、帰ってきて本当によかったです。読んで下さる方がいるんだなあと感謝しております。ブクマしてくれた方本当にありがとうございます。もう長期休載はしないと心に誓う次第であります。
グレンは腕を組んで他の勇者達に言ってきかせる。
「よーし、よく聞けみんな。オルファンはわけあって今は勇者の力を失っている。現役時代はコテコテの魔術剣士タイプで、俺と同じ天賦と天啓を兼ね揃えている。勇者の力を失った後は魔導師にシフトチェンジした。現六賢者の加護もあってか、実力はなんと大魔導クラスに及んでいる。まあ俺の力量から言わせれば実際の戦力としては魔術なんてなんの足しにもならねえが。だがそれはあくまで俺のレベルでの話だ。歴代アヴストゥ-ラは初代の俺を含めてやたら血の気の多い脳筋タイプが多くてな。魔導師タイプの勇者は珍しい。怪我の巧妙とは言え、魔導師としてここまで頭角を現したオルファンのポテンシャルは決して無視はできない。実際精霊や英霊を召喚行使する霊気媒体とその類まれなる才能も兼ね備えて至れり尽くせりの紛うことなき逸材だ。神代の強敵と戦う機会がなかったから、基礎レベルは低いのが勿体ないがな。今こそお前らに明かすぜ。計画はこうだった。来るべき時にオルファンと交信しオルファンを真の勇者として覚醒させ、それを期に俺達全員がオルファンの魔力を通して英霊として再び現世に蘇り、人々と神々の終末戦争を未然に防ぐ……つもりだったんだが、想定外の事が起こっている。奇怪極まるあのクソ魔神野郎が生きてやがった事、オルファンが勇者の力を捨てている事、そしてこの両者が対峙して今まさに殺し合ってる事、ここでオルファンに死なれるとひじょーーーに不味い事になる」
アルフォンスはグレンが胸中に秘めていた遠大な計画を聞いて、驚きを隠せなかった。
「そ……そんな壮大な計画があったなんて僕は知りませんでした……。し……しかしここからオルファンくんに力を貸すっていっても、特に初代様!!あなたの力は言わば神霊クラスです!!力を開放すると瞬く間に御使いにバレますよ!!!大騒ぎになりますって!!」
取り乱しているアルフォンスを横目に悪戯っぽく笑いながらグレンが言ってのける。
「大丈夫!!バレないって!!じゃあなにか?このまま俺達勇者アヴストゥ-ラの子孫であるオルファンが死んで、世界がこの魔神のクソ野郎にめちゃくちゃにされてイイってのかよ!?何人罪もない人が死ぬと思うの?俺達歴代アヴストゥ-ラが護ってきた愛すべき尊い世界だぜ?」
「それは……ううう……!!あああああああ!!」
頭を抱え込みながら葛藤に思い悩むアルフォンス。ここそとばかりに畳みかけるグレン。
「それにな。天使たちの宿敵でもある悪魔の大将の魔神をぶっ殺すんだ。奴等だって悪い気はしねえって!あいつらの手間を減らしてやってんだ!むしろ感謝してほしーぐらいだねー!!!な?そう思うだろ?」
「うううう……きっと後悔しますよ!!初代様!!」
渋々引き下がるアルフォンス。意気揚々と多数決を取るグレン。
「オーケー!!オーケー!!じゃあ勇者たち聞いたかね?決をとりまーす!!オルファンに力を貸す人~!!!」
まずアルフォンスとフィオナを除く8人の勇者たちが手を挙げる。
後に恐る恐るアルフォンスとフィオナが震えながら手こっそりと挙げる。
グレンがその様を見て腹を抱えて大いに笑う。
「なははははは!!なんでえ!!全回一致でやんの!反対じゃなかったのか!?アルにフィオナちゃんよ?」
アルフォンスがふてくされながら口を開く。
「僕も腐っても勇者です!!かつてない世界の危機をほっとけないのも事実ですし……」
フィオナが調子を合わせた形でバツの悪そうに呟く。
「……どうせ私が止めたってグレンさまのお気に召されるようにしかなさらないのでしょう?仕方がありません。伝説の勇者アヴストゥ-ラとして協力致しましょう。でもでもでも!!できるだけ穏便な方法でお願い致しますよ!!」
グレンは笑いながら勇者達に語りかける。
「ははははははは!!わかった!わかったって!いきなり俺達が全開でオルファンに力を与えてやると御使いどもにバレる。結界を張り、徐々に闘気を高め、じわじわとオルファンに力を与える。ここヴァルハラと惑星イ・ゼルディアの概念距離を現実に換算するとざっと3億7千光年をゆうに越える。ここまで霊的に距離があると御使い或いは神々の介入なしに直接力を与え、オルファンを真の勇者の力に覚醒させるのはかなり骨が折れそうだし流石にタイムラグがでてくるな。だがお前らもわかってるように、俺達は勇者だ。その秘められし勇気は決して消えない可能性の炎だ。例え神々でも邪魔はさせねえ。させてやらねえ。そしてここで俺らがやらねえとオルファンが死ぬ。あのボケ悪魔を野放しにすると何をしでかすかわからねえ。神代の頃からあのクソ野郎は常に最悪の想定の斜め上を行く。神々と人々の終末戦争を経験してる奴等は散々思い知っただろ?ここできっちりオルファンに仕留めさせる。ほいじゃさっそく集中しろ。フィオナ結界を張れ!!!」
フィオナはドキドキしつつ震えながら頷くと何やら呪文を唱える。
「勇者アヴストゥ-ラの名に於いて命ずる!!あらゆる悪意の外敵から御身を護り慈しみ賜え!!神聖なるこの大地に栄光の光あれ!!勇者堅牢守護領域」
周囲に巨大な結界が出現する。このヴァルハラの園全体を覆い尽くすようなとてつもなく広範囲かつ極めて高い魔力の結界である。
グレンが嬉しそうにフィオナの結界を褒める。
「うん。心地いいぜ。いい結界だ。厳かで静かでそれでいて神聖。滅多にお目にかけるレベルじゃねえ。そしてこの範囲。ヴァルハラ全てを覆い尽くすほどのものとはな。これで御使いどもを出し抜けるはずだ」
フィオナは自身が確かに出現させた結界の出力に驚いていた。
「ええええ!?わ……私の魔力ってこれ程までに強大なものに……!?一体私の身に何が……!?」
グレンは大いに笑う。
「だっはっはっはっはっは!!!だから言っただろう?今までの俺の催し物は全てお前ら勇者として一から鍛え直す為のものだったんだよ!おめでとう!!晴れて勇者アヴストゥ-ラとしての限界を超えだしたな!!フィオナ!!これは俺の持論なんだが限界っつーのは何の為にあると思う?越える為にあるんだぜ?存命で身体が健在であればイ・ゼルディアを統一できるほどのすげえ力だ!!」
フィオナは顔を真っ赤にしてグレンに応える。
「わ……私……まだ全然全力じゃありません……!!まずは肩慣らし程度のつもりで小規模の結界を出して徐々に出力を上げるつもりだったのにこんな……」
グレンは勇者の眷属であるフィオナの成長を嬉しく思う。
「うん!大したもんだ!!お前なら覚醒した魔神の渾身の一撃をも防ぎきるだろうぜ?前にも言ったが俺を始め歴代アヴストゥ-ラは何故かやたら血の気の多い、戦士タイプのクソ能筋野郎がほとんどだ。魔術師系や僧侶系が極端に少ない。だから僧侶系の魔術を極めつつ戦士としても一級品の腕のフィオナちゃんにはなにかと期待してまっせ~~!!」
侍風の勇者オウガと剣士風の勇者ミューラーが同時にふてくされたような顔で愚痴る。
「ほっとけ」
「脳筋で悪かったっつーの!」
なんだかんだ悪態をつきながらも、一番の憧れでもある最強格の初代アヴストゥ-ラ。滅多に人を褒めないグレンに褒められて顔を真っ赤にして俯きながら感謝の気持ちを口にするフィオナ。
「は……はひ……!!8代目アヴストゥ-ラとして、た……大変うれしく思います。これからもご指導ご鞭撻の程をよろくしお願いします……」
グレンは笑いながら歴代アヴストゥ-ラ達に号令をかける。
「よし!!この結界があればちょっとやそっとじゃ戦乙女や御使いどもに気づかれずにオルファンに俺達の闘気を送れる。いいか?くれぐれもいきなり全開で飛ばすなよ?徐々にだぞ?徐々に俺達の闘気を開放するんだ!! そおっとな。そおっと。精神を集中させて……いくぞ!!徐々に解放しろ!!!!」
歴代の勇者達の闘気が一気に開放される。宇宙開闢に至るビックバンにも匹敵する人智を越えた壮絶な力と力の奔流が渦巻き激しい嵐となる。盛大に吹きとばされながら逆上するグレン。
「バ………バカ野郎どもオオオオオオ!!!誰がいきなり思いっきりやれっつったあああああああああああああああああああああああ!!??バレる!!!奴等にバレる!!!フィオナ!!!!結界の出力を上げろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
フィオナも吹き飛ばされながら結界の出力をグレンに言われるがままに上げようとするが
「グ……グレンさまああああああああああああ!!!やってはいるんですが!!!みなさんの闘気の奔流が激しすぎて制御できません!!!!と……特に六強の皆々様方のお力が手に負えません!!あああああああああああああ!!このままじゃあ結界が破れ天界の全てが……全てが崩壊しますうううううううう!!!」
頭を抱え神妙な面持ちをするグレン。
「……このままじゃあ御使いどもと全面戦争まっしぐらだ。なんて出来の悪いアホどもなんだ……!!全くよお!!」
勇者達の闘気は更に連鎖爆発を起こし、究極的に高まっていく。この世に存在するあらゆる全ての物を消滅させる勢いで膨れ上がっていく。グレンは一瞬目を閉じ、しばらくして眼を見開き怒号を発する。
「喝!!!!!!!」
グレンは掌を上に掲げる。すると勇者達の闘気の全てがグレンの掌に光の球となって収束され、それを羅刹のような怒りの形相で握りつぶし一瞬にして無にする。
「お前らさあ……。俺の話聞いてた?いきなり全開でやるなって……。あ……あれほど……あれほど言ってたのに……!!ここぞとばかりにはしゃぎまくりやがって!!」
グレンの怒りの形相にアヴストゥ-ラ六強と呼ばれる勇者達以外の勇者は、全身から汗が吹き出し、恐怖により凍り付いたように動かない。逆にアヴストゥ-ラ六強に数えられる者たちは何の悪びれる様子もなく挑発的な態度で居直っている。
何を隠そう初代勇者アヴストゥ-ラその人であり、盟友でもある鋼鉄の闘神フェイタル・ロウと共に先陣を切って人類連合軍を率い、天使や悪魔果ては神々との人々と神々の終末戦争を常に最前線で戦い抜いてきたアヴストゥ-ラ・グレン・ニルヴァーナの全盛期の力は想像を遥かに絶するものであった。他の勇者達とは明確に一線を画した領域に身を置いていた。
グレンの怒りの形相が静まり、脱力した呆けた顔で頭を掻きながら。
「はあ……。次やったらお前らマジでシバき倒すからな。特にオウガとミューラー!!お前ら!!全力出して俺を挑発しやがって!俺と戦りたいのはよおくわかったから!オルファンを勝たせたらふたりまとめて相手になってやっから!!今は……言う通りにしてくんねえかな?なあ?」
笑いだすオウガと興奮気味に詰め寄るミューラー。
「確かに聞いたぞ?親父殿。この時を待っていた」
「はっはーー!!!大将と本気でやれるなんていつ以来だ!?以前の俺と思ってたら痛い目みるぜえ~~?」
グレンは呆れながら眼を細めて肩すくめる。
「はいはい……。このヤンチャ坊主たちめ……!勇者っつーかお前らまるで狂戦士だわ。ヘルウェグ思い出したわ……」
真剣な表情になってグレンは再度勇者達に号令をかける。
「気を取り直していくぞ!!!集中しろ!!徐々に闘気を開放するんだ!!」
今度は力を抑えながら慎重に闘気を徐々に開放していく。グレンは頷きながら勇者達に呼びかける。
「いいぞ!!その調子だ!!気を練り続けろ!!俺がヴァルハラから現世へのチャンネルを開く!!!おおおおおお!!!!」
グレンが虚空に手を伸ばすとぼっかりと次元の穴が開いた。
アルフォンスがいとも簡単に次元の穴を開け、あの世とこの世を繋ぐ力場を即座に作るグレンの底知れなさにぎょっとして恐れ慄く。
「(ヴァルハラと現世を繋ぐワームホールを開くなんて、本来大魔導クラスの魔導士が数十人束になり膨大な制約や魔術を経て初めて拳大程の穴を開けられるかどうかの偉業だ。初代様は自身のあり余る力と本能や感覚のみで天界の法則を強引に捻じ曲げてしまった。肉体が既に滅んだ英霊の身でありながら天界の法則を無理やり捻じ曲げられる程の力を持つ初代アヴストゥ-ラとは一体なんなんだ!?ま……まるで神……!い……いや……、もしや神を越えた……?同じ勇者でも僕らとは桁が違いすぎる……!!)」
グレンが笑いながら次元の穴を通して下界を除きこむ。
「さあてここからオルファンに力を送る!概念距離が距離だけに力を与えるのにしばらく時間がかかるのはいたしかたねえがな!オルファン頑張れよ!!!勇者アヴストゥ-ラ14世!!お前が世界を護るんだ!!!」
読んで下さってありがとうございました!!そしてメリークリスマスですね!!作者のクリスマスの予定はFGOのボックスガチャを100箱開ける事で~~す!!彼女なんかいませーーん。泣いてもいいですか?前にもいったような気がしますが実はクリスマス用のエピソード。ディアボロス外伝エピソード、地獄のメリークリスマスというエピソードを既に書き下ろしているのですが、オルファンに代わるエピソード2の新主人公のお話になるので、どうせならエピソード2の新主人公のお話が展開されてからがいいのかなと思いお蔵入りさせました。来年には公開できるといいなあ。それと申し訳ありませんが来週は年末ということなのでお休みさせて頂きます(休載しないって言ったそばからこれかよ!!w)次回は年明け、2019年1月5日~6日に更新予定です。歴代勇者の力を借りたオルファンVSなんと正体が神代の魔神だった悪魔との闘いの続きですね。できるだけテンポよく一気に決着まで書きたいと思うので来年もディアボロスをよろしくお願いします!!それではよいお年を~~!!




