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ディアボロス  作者: HEN
episode 1 イシュタリアの精霊王
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ディアボロス 外伝エピソード イシュタリアの精霊祭と後夜祭 8 宴もたけなわ

更新でーす。なかなか外伝が終わりませんなあ。そろそろ本編が恋しくなってきました。

はっとして目を覚ます獅子舞オルファン。気が付けば大騒ぎしている一向に対し、どんどん野次馬たちが集まってきている。怪訝な顔でオルファンに耳打ちするプルートゥ。



「オルファン!!どんどん人が集まってきてるぞ!!」



得意気にオルファンは答える。



「ふふふふ!!!頃合いでい!!おあつらえむきなのよ!!!ほうら出ませい!!!」



すると、突如どこからともなく仰々しい櫓と大きな太鼓が出現した。ヴィクトルが疑問を呈す。



「こ……これは……一体!?」



「ふふーーん!!!ご存知ですか!?ヴィクトルくん!!魂を揺さぶる情熱の踊りジ=パング伝来のボン・ダンスを!!」



一同に稲妻ちっくな衝撃が走る。



「ボ……ボン……ダンス!!!!!!」



獅子舞オルファンは叫ぶ。



「シュラちゃんカモ――――ン!!!!」



櫓の上に艶やかな着物姿のイシュタリア四天王の一柱、摩利支天のシュラが登場し、イシュタリアの人々に告知する。



「はーーーい!!イシュタリアの善良な国民のみなさーーん。摩利支天のシュラでーーーす。今日は精霊祭の後夜祭でーす!!今から私がジ=パング式、ボンダンスを踊りますので、みなさんも私と同じように踊ってくださいねー!!」



国民からも人気が高いイシュタリア四天王のシュラの登場に、周囲の人々から歓声が湧き、みな、シュラの踊りを見習って一様に楽しく踊り出す。そして獅子舞オルファンがプルートゥとヴィクトルに対し真剣な表情で太鼓鉢を預ける。



「プルートゥ!!ヴィクトル!!お前達にはこれを授けようぞ!!!!」



「これはなんだ!?一体なんなんだ!?オルファン!」



「これは……武器……の一種なのか!?」



「ふふふふ!!これこそが伝説の太鼓の鉢よお!!!この鉢であの太鼓をドンドンと叩くんだよ!!お前ら武人の熱い魂!!ぶつけてくんなあ!!」



一瞬呆気に取られたプルートゥとヴィクトルだが、すぐ本気の表情になり、



「よしきた!!作りは違うが軍鼓のようなものか!!任せろ!!」



「国民を鼓舞するのも武人の務め!!果たしてみせよう!!その大役!!鉢を貸せ!!オルファン!!」



と息を巻き、瞬く間に両雄、櫓のてっぺんに跳躍し飛び乗り、大きな太鼓の両側面に立つ。



国民はまさか、イシュタリア三英傑、伝説の英雄ふたりが登場するとは思ってもいなく、より一層、熱い歓声を発し、色めきたつ。スピーカーから聞こえてくるボンダンスの音色に合わせて、プルートゥとヴィクトル両雄競い合う様に激しく太鼓を叩く。


その様により人々は熱狂して更に踊りに熱が入っていく。プルートゥは初めて叩くジ=パングの太鼓に感動していた。



「叩けば叩くほど、私の魂が研ぎ澄まされていくようだ!!!ジ=パングの文化とはやはり深く熱い!!」



ヴィクトルもジ=パングの太鼓に魅せられていく。



「俺は音曲はまるで解さんが、この太鼓とやらは別格だ!!これは武人の覇気を高め!!皆に迸る熱き魂を伝えるものだ!!はっはっはプルートゥ!!なんだその情けない音色は!!太鼓の扱いも俺の勝ちのようだな!!」



「ふん!!ほざくな!!祭りはここからよ!!究道闘術レギア・クォンタム争覇の構え!!唸れ!!壱の太刀!!竜牙凄王烈打!!!!」



「お……奥義を出すとは卑怯だぞ!!プルートゥ!!!俺だって負けてられるかあああああああああ!!聞くがいい!!これが魂の音色だ!!デッドエンドスタンピード!!」



奥義まで持ち出してより激しく太鼓の音色がヒートアップする、しかし流石猛者達である。激しさは増しているが、リズムは正確に、ボンダンスの雅さは少しも損なわれないどころかより情熱的に彩られていく。



みながみな一様にとても楽しそうに踊っている。ラピスも気持ちよさそうに眠っているユリ―シアを愛おしく抱きかかえながら、笑顔で踊りに興じている。獅子舞オルファンもその横でひときわ楽しそうに踊っていたが、はっと何かに気づいたように、櫓の舞台裏にぴゅーーーうっと走って飛んでいった。真っ青な顔で職人達に対し告げる獅子舞オルファン。



「花火は!!??花火はどうしたの!!??さっきから全然上がってないんだけど!?」



職人たちは皆眼を伏せ、申し訳なさそう言う。



「王様……申し訳ありません。イシュタリアの花火とジ=パング本家の花火勝手が違いやして……。まごついてるうちにさっきザアアアっと天気雨が降りまして、花火が全部湿気て使えなくなってしまい……」



真っ青な顔で絶望する獅子舞オルファン。



「ええええええええええええええええええええええ!!!!が、がーーーーーーん!!!!なんてことだあああああああああああああああああ!!!」



ラピスの胸に抱かれつつ、眠い眼を擦りながらユリ―シアが獅子舞オルファンに声をかける。



「むにゃむにゃ……お困りのようね!!」



「ゆ……ユリーちゃん!!起きたの!?も……もう怒ってないの!?」



「ラピスの歌とこの子の胸に抱かれるのが気持ち良すぎて、ふわふわのほわほわで、なんかもう全身の力が抜けちゃって、怒りが削がれちゃったわ!で、どうしたの?」



「花火が全部ダメになっちゃったんだよおおおおおおおおお!!この日の為にいっぱい用意したのに~~~!!!」



ユリ―シアに泣きつく獅子舞オルファン。少し名残惜しそうにした後、ラピスの胸の中からぴょいとジャンプして地面に降り立ちびしっとピースサインをするユリ―シア。



「ふふふふふふ!!私が燦爛の魔女であることをお忘れかしら!!魔術にはこういう使い方もあるの!!!虹色閃光仮装アルカトライズ!!!」



ユリーシアが両手を掲げると、その両手から、轟音が起こり、上空に光の球が上がる。すると、美麗な模様を描き、空に弾ける。獅子舞オルファンは感嘆する。



「すげーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!攻撃属性を持たない絶えず変化し続ける光の輝源の魔術か!!!光の配色の調整とか、これすっげえ難しいやつだ!!」



「んふふふふ!!魔術は相手を攻撃する為にだけにあるものじゃないのよ!!私が燦爛の魔女たる所以解って貰えたかしら!?はいどーーーーん!!どーーーーん!!どーーーーん!! たーーーーまーーーやーーーーー!!!!」




赤、青、黄色、緑、ユリ―シアの光の魔術は彩豊かに色彩や形を変えながら炸裂する。その美麗さはまさに天空に咲く花のようであり、ジ=パング本家の花火と遜色のない、いや本家の花火より、勝っていると言っても過言ではなかった。突如として大量に打ち上げられる花火さながらのユリ―シアの魔術に国民は大いに色めきたつ。



盛り上がっていくのが嬉しいのかユリ―シアのテンションも上がり、どんどん光の魔術が派手になり、大きくなっていく。



ボンダンスが終わった。イシュタリアの人々は皆とても満足そうである。獅子舞オルファンが櫓に昇り、高らかに宣言する。



「みんなーーー!!お疲れさまー!!最高だったぜー!!さあ!!精霊祭、後夜祭!!宴もたけなわ!!締めはやはりこいつだぜえええええええええ!!!カモン!!英雄と精霊御神輿!!!」




オルファン、プルートゥ、ヴィクトル、イシュタリア三英傑やイシュタリア四天王を始め、イシュタリアの英雄たちの大きな人形が象られ英雄戦争での歴史に残る伝説の名勝負を再現した英雄御神輿、そしてイフリート、ウンディーネなど精霊を模したイシュタリアを護る精霊御神輿が次々と用意される。



そして、イシュタリアの歴戦の戦士たち、騎士たちが、みな一斉に御神輿を担ぎだす。獅子舞オルファンが太鼓を叩き終えたプルートゥとヴィクトルを煽る。



「よし!!てめえら!!てめえらにアレが担げるのか!?やってみせてみろよォ!!!」



不敵に笑うプルートゥと腕まくりをするヴィクトル。



「フッ。愚問だぞ!!オルファンよ!!狂戦士と謳われた私の剛力今こそ見せてくれん!!!」



「ハハハハッ!!次から次へと面白そうなものが出てくるわ!!なんだ貴様らそのへっぴり腰はどけどけ!!俺が担ぐぞ!!」



櫓から飛び降り、ひときわ大きい、十数トンはある。英雄神輿をプルートゥとヴィクトルがそれぞれ軽々と担ぐ。獅子舞オルファンとユリ―シアとラピスもイシュタリア王族用の御神輿の上に飛び乗る。オルファンが叫ぶ。



「さあさあ!!!精霊祭・後夜祭、最後の仕上げだあああああああああああああああ!!御神輿パレードいくぜええええええええええ!!!」




「おうさああああああああああああ!!!ソイヤー!!!ソイヤー!!!!」




プルートゥとヴィクトルを始めとする屈強な猛者達が御神輿を担ぎ、イシュタリアの大通りを勢いよく闊歩する。イシュタリアの国民は全く見た事のないジ=パングの文化に大喜び。人々の歓声は熱狂の渦と化した。王族御神輿の上で、獅子舞オルファンが呪文を唱える。



「よーーーし!!お次はこれだーーーい!!!!英霊・精霊憑依(ヒロイックエレメンタルフュージョン!!!!」



すると、精霊をかたどった人形を祀ってある精霊御神輿に本物の精霊を召喚し憑依させ、英雄をかたどった御神輿には英霊を召喚し憑依させることで、御神輿の人形たちが各々ダイナミックな動きで思い思いに生きてるように動き出す。その迫力は筆舌に尽くしがたく。イシュタリアの国民は大興奮である。ラピスも興奮を隠しきれない。



「獅子舞さん!!!すごーーーーーーーーい!!!!私こんな精霊祭初めてですーーーーーーー!!!楽しーーーーい!!!!」



ラピスは獅子舞オルファンに抱き着き、獅子舞オルファンと一緒に踊り狂う。ユリ―シアもテンションが上がっており、



「ふふふふふふ!!みんな盛り上がってるわねー!!!ここで一発、すんごいのをお見舞いしてあげるんだからー!!!かーーーぎーーーやーーー!!!」



ユリ―シアは格別の光魔術を天空に打ち上げる。空を覆い尽くすような美麗な閃光が舞った。国民の歓声もひときわ大きなものになる。ひとしきり、イシュタリアの大通りをぐるっと一週した後、感無量な気持ちで胸がいっぱいになった獅子舞オルファンがイシュタリア国民に呼びかける。



「みんなーーーー!!!ありがとーーーー!!!そして本当にお疲れさまでした!!!精霊祭・後夜祭!!!これにて滞りなく終了だぜ!!!!!イシュタリア万歳ーー!!!!これでいいのだ!!!!」



獅子舞オルファンが飛び上がったその瞬間、みながひとつになり、国民達の熱狂は頂点を極めた。歓声と拍手がいつまでもいつまでも鳴り響いていた。前回大失敗だった精霊祭に比べて、今回の精霊祭は歴代史上最大の賞賛と売り上げを記録し、大成功に終わった。その後、オルファンとユリ―シアとラピスとプルートゥとヴィクトルなど主だったメンバーで盛大な打ち上げをし、みな、精霊祭の成功を讃えあい、お互いの労をねぎらった。




まだ興奮冷めやらぬプルートゥとヴィクトルと笑顔で別れた後、オルファン一家は家路へと足を進ませていた。


オルファンはよっぽど気に入ったのかいまだ獅子舞ルックのままで、大変盛り上がり大成功を納めた精霊祭・後夜祭の余韻に浸るように嬉しそうに悠々と歩いていた。その後ろで、これまたたくさん買いこんだたこ焼きを幸せそうに頬張っているラピス。また幼女状態のユリ―シアは娘に腕に抱かれながら笑顔でわたがしを食べていた。



すると、獅子舞オルファンが何かを思いついたのか。二足から四足に歩き直し、ラピスとユリ―シアに背を向けて、かがむ。



「ヘイ!乗りな!お嬢さんがた!」



と自分の背に乗るように催促する。ラピスが笑顔になる。



「わあ!!獅子舞さん!!いいんですか!?」



わたがしを食べながら少々悪戯っぽい笑顔を浮かべながらユリ―シアが口を開く。



「どうしてもって言うんなら乗ってやってもいいわ」



獅子舞オルファンは意気揚々に叫ぶ。



「粋でイナセな獅子舞タクシーだい!!お嬢さんがたを家まで乗っけてくぜ!!」




「わーーーーい!!!」



「ふふん!!獅子舞もたまには役に立つのね」



ラピスとユリ―シアが獅子舞オルファンの背にどっかりと乗る。獅子舞オルファンが威勢よく号令を発する。



「獅子舞タクシー!!行先はグランモーランド城~!!我が家~!!我が家~!!でーーい!!!出発だあー!!」



ふたりを乗せた獅子舞オルファンは風ようなスピードで四足で走り、向かってくる障害物や対向車を器用にすり抜けていく。



ラピスは大喜び。



「うわあ~~!!獅子舞さん!!はやーーーーい!!風になってますーーー!!」



流石のユリ―シアもこれには感心。



「自家用車の速度を越えてるわ!!流石オル~!!」



獅子舞オルファンが息を巻いて声を上げる。



「なんの!!こっからが真骨頂よ!!ラピス!!ユリーちゃん!!しっかりつかまってなよーーーー!!」



さらに、さらに加速して走る獅子舞の足が、ふわりと宙に浮いて、大空を舞いだした。



大興奮の喜びはしゃぐラピス。



「獅子舞さん!!獅子舞さん!!お空を飛んでますよお~~~!!!お母さま!!すごい!!!!わたしたちお空を飛んでるわ!!」



獅子舞オルファンの粋な演出に思わずにんまりと笑みがこぼれてしまうユリ―シア。



「空中遊泳の魔術ね。オルったら憎い事するんだから!!今日はなんだかんだいって精霊祭は大成功だったし、これに免じて許してあ・げ・る」



獅子舞オルファンは笑顔を浮かべ。



「えへへ。ユリーちゃん!ありがとうよ!!ラピスもお疲れさまでした!さあさ、我が家に帰ろうぜ!!」



2人を乗せた獅子舞オルファンはしばし星々と空中遊泳を楽しみ、幸せな時間を過ごした後、家路へとたどり着いたのであった。



ラピスは願った。こんな楽しい日々がいつまでもいつまでも続きますようにと……。




つづく








読んで下さってありがとうございました!!

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