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ディアボロス  作者: HEN
episode 1 イシュタリアの精霊王
47/71

ディアボロス 外伝エピソード イシュタリアの精霊祭と後夜祭 4 ジ=パングの怪異!?荒ぶる獅子舞

はい。やっとこさ更新です。申し訳ございません。約1か月ぶりですね。一応生きております。ぶっちゃけて言いますと仕事とプライベート双方で大変行き詰っておりまして、精神を病みかけております。正直今、とても小説を書く精神状態ではありません。これは個人的にとてもいかんと思っていますので、早急に休職するなり、環境を変えるなりして対策をとってまたバリバリ執筆できる体制を整えようと思ってます。この外伝エピソードが終わったら、週1更新を実現する為に、書き溜め長期休載をとろうと思っています。そして、軽い気持ちで始めた外伝ギャグコメディ。これシリアスよりギャグの方が難しい事に今更気付いてしまいまして、そしてやっぱり書けども書けども一向に終わらない……。今回は文字数がかなり多くなってしまいました。申し訳ありません。でも軽めのギャグだからスっと読めるはず……。早く本編に戻りたいですねえ……。それでは外伝エピソードその4はじまりはじまり~!!

数日後~~後夜祭当日。



グランモーランド城の試着室でいそいそと着替えるラピス。その着付けを手伝う侍女マリーだが、お互い勝手がわからず泣きそうになっている。ラピスがマリーに声をかける。



「マリー!!もうこんな時間!!!後夜祭始まっちゃうわ!!」



「そうは申されましても!!着物という服の勝手がわからずですね。説明書を取り寄せましたが……。翻訳がめちゃくちゃで、これがこうなって、ううーん……!!出来ました!!これで……いいはず。多分……!!」



オルファンの趣向で後夜祭に参加するイシュタリアの国民は全員、ジ=パングから取り寄せた着物に着替える事になったのだが、一度も袖を通した事のない和服にみな、悪戦苦闘していた。ラピスの艶やかな着物姿が鏡に映し出され、表情が明るくなるラピス。服を買ったり、着飾ったりするのは女性として当然の如く大好きではあったが、



今まで感じた事のない。見た事のない自分の着物姿に思わず自分ではない美しい大人の女性を見るかのように魅入ってしまい。しばらく惚けていた。



マリーが眼に涙をためながらラピスに声をかける。



「姫様……。なんてお美しいお姿……。東洋ジ=パングの神秘的な美とイシュタリアの姫君たるラピス様の華やかな可憐さが見事に融和しています。まさに野に咲く大輪の花。この可憐なる姫様にお仕えできてマリーは……。マリーは幸せにございます」



母ユリ―シア譲りの抜群の美貌を持って生まれたラピスは、日に日に成長するごとに女性としての輝きを増していた。マリーの言葉に顔を真っ赤にしながら俯き、呟くラピス。



「ま、ま~た!マリーは本当にお上手ね!!ほ……褒めすぎなんだからあ。で……でも着物って不思議……。初めて着るのになぜか懐かしい感じがする。今日の私はいつもより綺麗に見えるかも……。な……なんちゃってー!!えへへへ!!お父さまとお母さまとじいやたちが待っているわ!!は……早く行かなくっちゃ!!」



着替え終わるとすぐさま玄関に向かおうとするラピス。すると長い帯をマリーが踏んづけてしまいバシーンと豪快に倒れてしまうラピス。慌てて脚を離し必死で謝るマリー。



「まあ!!姫様!!申し訳ありません!!!」



地べたに伏せながらラピスが呟く。



「着物って奥が深いわ………」




玄関には豪華絢爛な着物に身を包めた母ユリ―シアと、ラピスの護衛である和服に身を包み物騒な武器を携えたプルートゥとヴィクトルが待っていた。



母ユリ―シアと娘ラピスは現在親子喧嘩の真っ最中だったが、せっかくは年に一度の後夜祭。一時休戦ということで、修行の件は一旦置いておいて、今日はめい一杯祭りを楽しむ事にお互い同意した。


ラピスが母ユリ―シアに足速に近寄る。ラピスも筆舌に尽くしがたい美しさを備えていたが、着物に身を包む母もまたそれに負けじとたいそう美しかった。ユリ―シアは40代とはいえ、魔力の高い魔術師は魔力で若さをある程度、保つ事ができる。髪型と髪の色(ラピスは透明感のある青、ユリ―シアはピンクがかった赤)さえ違えど、顔つきは20代後半そのものでラピスと大変よく似ていた。


恐らくラピスと全く同じ髪の色に染め、髪型、服装をすれば区別はつきづらく、ラピスの学校に通っても違和感はないのかもしれない。ラピスがうっとりした眼で母ユリ―シアを見つめる。



「お母さま……!!なんて綺麗なの……!!まるで天女のようだわ!!」



母ユリ―シアも娘の艶姿に感動し、抱きしめラピスの額にキスをしながら言った。



「素敵……!!ラピス……!!あなたの方こそとても可愛いわ……!!私の若い頃にそっくり!!」



護衛隊長、プルートゥとヴィクトルがラピスに声をかける。



「ラピス姫様……!!立派になられて……!!なんとお美しい……!!あのダーミッドの闘いで姫様を救い出した事がこうまで報われる日がこようとは……。このプルートゥ。姫様を護る為ならばこの命惜しくはありません!!いかようなりともご命令を!!」



興奮気味にプルートゥに割って入るヴィクトル。



「いいえ!!プルートゥなどでは役不足です。私に護衛を命じて頂けますか?姫様。どんな相手だろうとこの魔槍と魔剣にて一撃の元葬り去りってみせましょう」



プルートゥとヴィクトルはイシュタリアの王のオルファンに絶大な忠義を寄せている伝説的英雄である。そのオルファンの実の娘、ラピスは実質イシュタリアの正当後継者に当たり、ラピスに対してもその絶大な忠誠はいかんなく発揮されていた。


そしてラピスの屈託のない人柄と抜群の美貌はこの二人の英傑を瞬く間に虜にした。ラピスが赤子の頃から世話をしてきた事もあり、プルートゥ、ヴィクトルは僭越ながらも、どこか自分達の実の娘と思っている節もあり、ラピスも不器用だがとてつもなく強く優しいこの二人の英雄が大好きであった。


しかしこのプルートゥとヴィクトル、終生のライバルであるが故に、どっちがラピス姫の信と寵愛を受けるかを、競い合っている節があり、その諍いが激しくなっていくとラピスに怒られてしまう始末であり、その点ではラピスに呆れられている。



「もう!!じいやたちったらー!!今日は精霊祭の後夜祭よ!!お祭りなんだから!!護衛なんかいいからふたりとも今日はめい一杯楽しんでいってね!?」



ウィンクするラピス。その着物姿のラピスの笑顔が眩しすぎて、思わずどぎまぎして見惚れてしまうプルートゥとヴィクトル。



美しき姫に仕える者の宿命として、幼子の頃はいいものの、成長するにつれいわば犯罪的といってもいい美しさを兼ね揃える姫君に対し、あくまで忠義を貫くためには決して個人的恋愛感情を抱いてはいけない。


長いエゼルディア歴の中でも、忠臣であったはずの騎士が自身の恋心や情欲を抑えきれず、全てを捨てて美しすぎる姫と駆け落ちし、崩壊した政権や王朝も少なくない。騎士としては言語道断のあるまじき行為だが、本能に従った男としては正しい行動だったのかもしれない。



何はともあれ、ラピスも14歳を迎え、その珠玉の美しさに磨きがかかっていたのであった。




後夜祭の会場。アッティーラ山に到着した一同。



そこにはなんとも風情のある屋台が立ち並び、和服に身を包んだイシュタリアの国民達で大いに賑わっていた。



大興奮して眼を輝かせるラピス。タコ焼き。いか焼き、わた菓子。エギ―ルフィッシュ掬い。射的やジ=パング風お化け屋敷など世にも珍しくも楽しい催し物がたくさんあった。



「たこ焼き????たこってあのタコ??美味しいのかなあ??食べるのちょっと怖いかもね……」



「まさに……東洋の神秘といったとこかしら?くんくん、匂いは芳醇で香ばしいですわね」



不安そうなラピスとユリ―シア。そこへ質実剛健、伝説の英雄プルートゥが前に出る。




「姫!!このプルートゥに毒見役をご命じ下さい!!」



割って入るヴィクトル。



「いいえ!!毒見ならばこのヴィクトルめに!!生半可な毒ではこの身体は動じませぬ!!」



こんな事でも張り合う2人を見て、苦笑いをするラピス。



「毒見役って……じいやたちったらもう!!」




プルートゥとヴィクトルがひとつずつたこ焼きを頬張る。



「!?」



「これは……!!」



「「美味い!!!!」」



プルートゥとヴィクトルはたこ焼きの意外な食感。意外な美味しさにお互い驚愕して眼を見合わせる。



「たこを焼いた小麦粉で包んでいるのか!!この香ばしさと芳醇さはなんとしたことか!!」




「ソースも独特で絶妙に生地と絡み合っている!!ドネルケバブにつけるチリソースとも違う!!この甘辛いソースの正体は一体なんなんだ!?」




ふたりの反応を眼をキラキラさせながら見据えるラピス。



「ふええーー!!そんなに美味しいんだ~!!じいやたち!!ずるい!!ずるい!!はい!ラピスにもあ~~~~ん!!」



大口を開けてたこ焼きをひとつ催促する食いしん坊のラピス。



プルートゥはラピスのあどけなさに思わず笑顔になり、つまようじでたこ焼きを刺し、ラピスにひとつあげようとする。



「大変美味しゅうございますぞ!ささ!姫も!!おひとつどうぞ!!」



すると、ヴィクトルがそのたこ焼きを別のつまようじでかっさらい、ラピスに与えようとする。



舌打ちをして、更にヴィクトルからたこ焼きを奪い取るプルートゥ。



その攻防がだんだんと高速で行われ、遂にはお互い抜刀して鍔迫り合いを始めるプルートゥとヴィクトル。



「貴様……!!ヴィクトル……!!そうまでしてラピス姫様のご機嫌を取りたいのか!?なんとまあ……小さき男よ。漆黒の騎士王が聞いて呆れるぞ……!!」



「たかが、たこ焼きひとつで全力で斬りかかってくる貴様に言われたくはないぞ!!プルートゥ!!反逆の狂戦士も地に墜ちたな!!」



鍔迫り合いをしながら、たこ焼きを奪い合う攻防が達人の域に達し、たこ焼きが弾け飛び、地に落ちる瞬間をヴィクトルがアクロバットに飛び上がり回転しつつ、スライディングで拾い上げ、ラピスに与えようとする。



「隙あり!!!この勝負俺の勝ちだ!!!!プルートゥ!!さあ姫様!!ジ=パングの珍味!!!是非にご賞味あれえええええ!!!!!!」



不機嫌な顔をしてラピスは言う。



「もう~~!!じいやたちったら、なんで仲良くできないのかなあ??喧嘩ばかりするんだったらそんなのいらないわ!!わたしはわたしで勝手に食べようっと!!」



母ユリ―シアもそれに便乗する。



「そんなに美味しいのであれば、私もおひとつ貰おうかしら?」



そのままつまようじにたこ焼きをひとつ刺したまま。5mぐらい滑り去っていくヴィクトル。



「む……無念……!!ガクッ!!!!」



改めてリスのように頬一杯にたこ焼きを詰め込んだラピスが眼を輝かせて、余りの美味しさに腕をぶんぶん振り回して歓喜する。母ユリ―シアも感激の余り震えている。



「おいひい!!!わたひこんなおひいいものはぺたことなかたぱ!!!!」



「いや!!なにこれ!!なにこれ!!なんて美味しいの!!イシュタリアにはこんな味存在しないわ!!店主様?残り何パックいけるの?8個入りで120パック?たこ焼きの屋台は他に何件かありますね……!!女王陛下の名に命じます!!プルートゥ!!買占めなさい!!」



プルートゥは笑顔で女王ユリ―シアの命令に応じ、優しくラピスに言ってきかせる。



「はっ!!女王陛下の仰せのままに!!姫様。大変結構ではありますが、ゆっくり噛んで、ゆっくり飲み込んでお話下さいませ。喉に詰まりでもしたら大事にございます」



ラピスもまた笑顔で返事をし、ゆっくり噛んでゆっくり飲み込むようにする。



「はーい!!プルートゥのじいや!!ゆっくり食べるね!!もぐもぐもぐ」



プルートゥが端で不格好なまま倒れ込んで固まっているヴィクトルを見下すように嘲笑する。



「おや?そこな無骨な武辺者くずれは何者ですか??きみきみ。ここにおられるのは、かの高名なユリ―シア女王陛下とそのご息女ラピス姫様だ。本来なら君のようなみすぼらしい武辺者くずれが同じ空気を吸ってはいけない高貴なる方たちの御前だ。そんなくだらん事をしてないで即刻立ち去りたまえよ」




ヴィクトルがたこ焼きが刺さったつまようじを握りしめ羅刹のような形相でプルートゥを睨みつける。



「貴様~~!!!!プルートゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!さっきまで貴様も本気でそのくだらん事に興じていたではないかあああああ!!そこに直れ!!その素っ首叩き斬ってやるぞ!!」



また喧嘩を始めそうな二人を見ながらラピスがため息をして、不格好に倒れているヴィクトルにトトトと近寄り。しゃがみこんでつまようじに刺さっているたこ焼きをあーんと食べてにこっりと笑う。




「もープルートゥのじいやったら、あんまりヴィクトルのじいやをイジメないの!! はい!あーーん。んーーー♪やっぱり美味しい!!ヴィクトルのじいやのおかげね!!ありがとう!!!」




その笑顔が眩しすぎてヴィクトルは天にも昇る気持ちで大粒の涙を流し号泣する。




「姫様……!!有り難幸せ!!!なんと勿体ないお言葉……!!こ……このヴィクトルますます粉骨砕身の覚悟にてイシュタリア王家に仕える所存でございます……!!」




ラピスは大いに笑う。



「やだーー!ヴィクトルのじいやったら大袈裟なんだから!!ふふふふ」



今度はプルートゥが怒りと嫉妬の形相で震え、ラピスに言ってきかせる。



「な……なりません!!姫様。あの者はいわば野良犬、恩を仇で返す狂犬でございますぞ。情が湧くからと言って甘やかしてはつけあがります。ここは姫として冷静な判断を」



ヴィクトルもプルートゥに詰め寄る。



「言わせておけばこの野郎……!!!姫様!!!恥を偲んでお聞き致しますが!!!姫様の護衛として、このプルートゥとこの私どっちが相応しいとお思いですか!!姫様の率直なるお考えをお聞かせ願いたいのです!!!」


後に悪魔ディアボロスを追う特殊秘密組織ディヴィジョンの鬼の総司令になる反逆の狂戦士の異名を持つプルートゥと、名門ストーム家歴代最強の戦士にしてイシュタリア正規軍の大将たる漆黒の騎士王たるヴィクトル、普段は部下に対しても非常にクールで厳かな態度を崩さず、国民や、部下たちの憧れの的なのだが、事ラピスの天真爛漫さの前では形なしである。



ラピスが腕を組んでう~~ん?と悩み考え出す。



プルートゥとヴィクトルが眼を血走らせてドキドキしながら姫の返答を心待ちにする。



「う~~ん? どっちかなあ? う~~ん??うん!!!どっちもーーー!!どっちのじいやも大好きだもん!!!」



と2人の腕に飛びつき甘えるラピス。ずっこけそうになるプル―トゥとヴィクトル。全身の力がいい意味で抜けてほぐれていく。



このラピスの何とも言えない。人を和ませ惹きつけるムードメーカー的な性格は父オルファン譲りであるのであろう。



けたけたと笑うユリ―シア。



「これはラピスに一本取られたわね!泣く子も黙る百戦練磨の反逆の狂戦士、漆黒の騎士王、王の剣と王の槍、イシュタリアの双璧と謳われた貴方たちもラピスに頭が上がらないのねえ。この娘にこうまで言われちゃあ今日ぐらいは喧嘩はおよしなさいな!」




「「はっ女王陛下様……」」



力なく返事する英傑2人。




その後も、ラピスはわたがしを頬張り、エギ―ルフィッシュ掬いをし、


アサイラム大陸で大人気の大英雄。闘神フェイタル・ロウのお面を買い。


射的に挑戦するも、また、プルートゥとヴィクトルが張り合い、射的の景品全てを実銃でぶち抜き出禁を喰らい。


大がかりに作られたお化け屋敷のお化けが怖すぎてラピスとユリ―シアがわんわんと泣くので(ラピスもユリ―シアもおばけが大の苦手。何故入ってしまったのかというと迷路屋敷と間違えたから)並み居るお化けを叩き斬り(峰打ち)お化け屋敷そのものを破壊し尽すプルートゥとヴィクトル。当然損害賠償つきの出禁をここでも喰らったのである。




などと多少はちゃめちゃではあるが、アサイラム大陸では絶対に味わえないジ=パングならではの様々な文化に触れラピス一行は大いに笑い、大いに楽しんでいたのである。





アッティーラ山の山頂付近に急造された祭壇に一向は訪れた。




「あれれ?お父様ったらこの祭壇で後夜祭の催し物をやるからみんなで待ってろって言ってたのに……」



寺院に誰もおらず、訝し気に首をかしげるラピス。



寺院の中の祭壇付近で、ジ=パング風の巫女や宮司がやたら雅な笛や太鼓をかき鳴らしている。



その寺院の祭壇の奥から、何やら妖しい生き物が姿を現した。獅子舞である。



獅子舞は何やら奇妙な踊りを踊ったかと思うと両手、両足を広げて、ラピスにジャンプして一気に飛びついてきた。



わけもわからずラピスは泣き叫ぶ。



「きゃーーー!!きゃーーー!!何この子!!!何この子!!!怖い顔!!!怖ーーい!!!!」



そのラピスのリアクションが獅子舞を喜ばせているのか、なんともウザいほどのけたたましい動きで

ラピスの身体の周囲を這いずり回る。ラピスは恐怖で卒倒しそうだ。



「きゃーーーー!!きゃーーーー!!怖い怖い!!!やめてえええええええええ!!もうやめてええええええええええ!!!」



母ユリ―シアも咄嗟の出来事に、怪異の生き物のこの奇妙奇天烈な動きに圧倒され表情がひきつって恐怖に慄いている。



「ひえええええ!!ラピス!!気をしっかり持って!!」




!!??



獅子舞が殺気を感じ咄嗟に大きく後ろに飛び上がる。




一斉に剣戟を放ったのは剛健なる英傑ふたり。プルートゥとヴィクトルである。




「ちっ!!意外と反応がいいな!!この化け物が!!!」



「姫様に行った狼藉の数々!!万死に値する!!」




カチカチと歯を噛みならし襲い掛かってくる獅子舞。プルートゥが背中に携えていた身の丈を越える剛剣ヴァルムンク・アシュラウドを抜き去り闘気を放つ。



「女王陛下!!姫様!!お下がりを!!ここはこのプルートゥにお任せあれ!!龍撃攻覇!!!断罪魔斬!!一閃!!!」




凄まじいスピードでプルートゥが走り抜け、大剣を振るい闘気の衝撃波を迸らせる。闘気を轟音と共にはじき飛ばし、プルートゥの剛剣に一気に噛みつく獅子舞。




顔をしかめ、額に汗を滲ませるプルートゥ。




「ぬ……ぬうう!!この異常なまでの膂力……!!貴様……!!た……只物ではないな!!!」



「ハッ!!プルートゥ!!息が上がっているぜ!?ここは俺に任せろ!!!」



徐々にプルートゥが押され始めている。その時、魔槍エンザ二ティ・ブレイズと魔剣ブラッディ・ガルグナッシュを抜きさりヴィクトルが後方より空高く降下しつつ、魔槍と魔剣を超高速で振るい幾多の閃撃を獅子舞に見舞う。



獅子舞はアクロバットに縦横無尽に飛び跳ねつつ。ヴィクトルの超高速の連撃を躱し続ける。絶対に直撃する間合いを計って繰り出した攻撃だけにヴィクトルは自身の攻撃が交わされた事に驚きを隠せない。



「なっ!!!俺の連撃がこうも容易く!!!プルートゥ!!!!あれは一体なんなんだ!?」



プルートゥが真剣な面持ちで心当たりを語り出す。



「噂に聞いた事がある……。あれは恐らくジ=パングの怪異、獅子舞だ!!どこからともなく夜な夜な現れ子供を泣かせてはその魂を喰らっていくという、まことに恐ろしい存在であるらしい」



ヴィクトルが額に冷や汗を浮かべつつ相槌を打つ。



「なるほど……!!精霊祭のジ=パング式後夜祭に惹かれて現れたというわけだな!!最近鈍っていたところだ!!相手にとって不足はないぜ!!」



プルートゥの獅子舞に関する世にも恐ろしい話を聞いてしまったラピスは途端に涙目になる。



「ふえええん~~!!怖いよお~~!!」



絶望に悲観するラピスを勇気づけるプルートゥ。



「姫様!!ご安心を!!このプルートゥ!!この剛剣に賭けて姫様には指一本触れさせませぬ!!!!ヴィクトル!!!」



プルートゥと目で合図するヴィクトル。



「おうとも!!いくぞ!!プルートゥ!!!合わせろ!!!」



2人の英傑が構えたと思うと、恐るべきスピードでピッタリ息の合ったコンビネーションで、類まれなる連撃を獅子舞に叩き込む。



獅子舞も尋常ならざる超高速の動きでそのコンビネーション攻撃を悉く交わしていたが、徐々に追い詰められていき、2人の剛剣と魔槍を獅子舞は口の牙でがっちりと噛み抑え、いわば鍔迫り合いの形になっていった。ヴィクトルが獅子舞に詰め寄る。



「はははは……!!見事な動きだ!!褒めてやろう!!ジ=パングの怪異とやら!!俺とプルートゥ2人がかりでも満足に動きを抑えられんとはな!!そんな相手などいまだかつていなかったぞ!!だがもう逃げ道はないぞ!!!貴様の運命は死あるのみよ!!!」



たまらず、鍔迫り合いを解いて素早く上空に飛び上がる獅子舞。凄まじい跳躍力だ。10mはゆうに飛び上がっている。眼を光らせるプルートゥとヴィクトル。



「勝機だ!!ヴィクトル!!!うおおおああああああああ!!!狂戦士形態(モード・ベルセルク)!!!!究道体術(レギア・クォンタム)争覇の構え!!必滅の第壱の太刀!!竜牙凄皇烈斬!!!!!」



プルートゥ眼から黒目が落ち、悪鬼羅刹のような表情に変化したと思えば、禍々しい異常なオーラを放ちながら飛び上がり必殺の剛剣を放つ。プルートゥの動きに呼応するかのようにヴィクトルも必殺の構えを解き放ち飛び上がる。




「プルートゥ!!ここは挟み撃ちといこうかあああああああああああああ!!!これで詰み(チェック・メイト)だ!!デッド!!!エンド!!!ストォォォォォォォォォォォォム!!!!!」



強大な竜を模したオーラを纏い剛斬撃を繰り出してくるプルートゥと、尋常ならざるスピードで幾重の残像を繰り出しながら必殺の連撃を放つヴィクトル。



獅子舞はふたりの気迫に少々たじろぎながらも、口をカチカチカチとひときわ激しく噛み鳴らした。すると獅子舞の身体からまばゆい光の防御結界が現れる。



超級守護領域結界ペタ・フォースフィールド!!!」



「「!!???」」



プルートゥとヴィクトルの連携攻撃を防御結界で防ぐ獅子舞。驚いたのは当のプルートゥとヴィクトル本人たちだ。プルートゥが絶叫する。



「こ……この獅子舞!!!!魔術(フォース)を使うぞ!!!!」



ヴィクトルも驚きを隠せない。



「し……しかも俺達の奥義を止めるほどの防御力を誇る結界だ!!!!このジ=パングの怪異!!!文字通り化け物なのかよ!!!だが!!!!しかし!!!!!」



眼を獣のように光らせるヴィクトル。それに呼応するかのようにプルートゥもまた阿修羅のような表情を覗かせる。ヴィクトルが叫ぶ。



「一撃で終ると思ったか!?貴様が味わう地獄はここから始まるのだ!!!吼えろ!!我が魔槍よ!!!!そして見切れるか!?極奥義デッドエンドスクリーマ―!!!!!」



「ふん!!その通りだヴィクトル!!我らの奥義はこれだけとは思うまいな?獅子舞よ!究道闘術(レギア・クォンタム朱雀翔翁の構え!!斬戒の第弐の太刀!!!滅壊修羅光華斬!!!!受けてみろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



生身であっても人智を越えた異常な戦闘能力を誇るイシュタリアの伝説の英雄2人の本気の奥義を受ける度に徐々に獅子舞の防御結界にヒビが入っていく。



焦った獅子舞はまたカチカチと歯を噛みならし新たな魔術(フォースを唱える。




「極光星黎乱舞(レイオス・ファグナ=ラヴァ)!!!!!!」




一瞬光を放ったと思うと、無数のまばゆい流星の瞬きがプルートゥとヴィクトルを襲う。素早い身のこなしでかつ、剛剣や魔槍で魔術の流星群を叩き落としていたが、数が数だけに限界があり、流星の光の矢を数発喰らい双方弾き飛ばされる。地上に突っ伏しながら悔しそうに満身創痍になるプルートゥとヴィクトル。



「がはああ……!!!一撃一撃が……!!!」



「尋常じゃない……!!とんでもない威力だ……!!!こんな魔術を使える奴がこの世にいたとは……!!」




英傑2人を退けて得意げに胸を張って、ズンズンとラピスの元に歩み寄る獅子舞。



怯えるラピスを庇い両手を広げて立ち塞がる母ユリ―シア。



「ここは通しません!!!ラピスの元には決して行かせませんよ!!母としてラピスを護ってみせます!!」



自身を庇い立ちはだかる母の勇姿に感動するラピス。



「や……やっぱりお母様は……!!私のお母様ですわ……!!!」



ユリ―シアと獅子舞の鬼気迫る睨み合いが続く。



すると獅子舞はぬるっと蛇のような動きでユリ―シアの身体にまとわりついたと思えば……。



「ふひゃ!!!きゃはははははははははははは!!!ちょっともう!!!ふは!!わひゃはははははははははははは!!!」



獅子舞はユリ―シアの身体にまとわりつき、身体をくすぐり続けているのだ。



緊迫していた空気はどこにいったのやら、ぽかんと一同は笑い転げているユリ―シアをなんとも珍妙な眼で見ている。ユリ―シアはハッとし、驚きと共に思い出したように、なんともおぞましい恐怖を覚え絶叫する。



「中に!!!!!人が!!!!!人が入ってる!!!!この獅子舞の中に人がいるわ!!!!!!」



するとユリ―シアの耳元から



「ナカノヒトナドイナイ!!!!」



という恐ろしい声が聞こえて再び絶叫するユリ―シア。



「きゃあああああああ!!!お前がそうなんじゃあああああああああああああああああああ!!!!」




「ジ=パングノカミデアル、シシマイヲ!グロウスルトハ!オマエニハカミノサバキヲアタエネバナランナ!!!」



くぐもったおぞましい声が聞こえたと思うと、獅子舞はユリ―シアの着物の上から乳房を鷲掴みにして揉みしだく。顔を真っ赤にして憤るユリ―シア。



「なっ!!このエロ獅子舞ィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!きゃっは!!!きゃはははははははは!!!やめて!!やめてええええええ!!!」



一方でセクハラを働き、もう一方でくすぐり続ける巧みな獅子舞の恐るべきテクニックにユリ―シアは段々と身動きがとれなくなっていた。



そして散々身体を獅子舞に弄ばれて、事もあろうか、人一倍快楽に弱いユリ―シアはそのなんともいえない責め苦に快楽を感じ興じ始めたのである。



「きゃははははははは!!!あ…ああ……!!ダメ……!!気持ちい……い……!!私……!!私……!!もうダメ!!!こんな獅子舞に犯されるなんて悔しい!!墜ちちゃう!!!墜ちちゃう!!!もうどうにでもしてええええええ!!!!」



泣きながら呆れたように笑い憤るラピス。



「ちょwwwwお母様!!!!!即墜ち!?早すぎますわ!!!もうちょっと頑張って!!今日びそこら辺の姫騎士ですらもうちょっと抵抗なさりますわ!!!私を護ってくれると言ってくれたじゃない!!!」



妙に色っぽい流し目でラピスに合図しながらユリ―シアはのうのうと言ってのける。



「はあ……。はあ……。ごめんなさいね。ラピス。私はあなたの母である前に一人のオン(r」




「聞きたくありません!!!!」



余りの母の耐久力の無さに呆れ、恥ずかしさと共に顔を真っ赤にして耳を塞ぐラピス。



完全に出来上がってしまっているユリ―シア。



「あっあーー!!もうダメえええええええええ!!」



「ア キ タ」



「はあ?」




獅子舞はユリ―シアの身体に完全に興味を無くし手を放し、のそのそとその場を離れ歩いていく。



「ヤッパ、トシマハ、アンマリモエネーワ」



着物がはだけて半裸になっているユリ―シアが、興味本位でどこからともなく現れたわけのわからない獅子舞に突然身体を弄ばれ、挙句の果てに一方的に飽きられて捨てられた事を理解する。



人間の殿方ならまだしも、こんなわけのわからない獅子舞に一方的に飽きられた事は、女王としてこの上のない屈辱を覚え、わなわなと猛烈な怒りで震え出すユリ―シア。




「……るさない……」




ラピスは恐る恐る聞き返す。



「お……お母様……!?」





大粒の涙を流し飛び散らしながら振り向きざまに絶叫するユリ―シア。




「絶対に許さない!!!!かつてない屈辱ですわ!!!!絶対に潰す!!屠る!!殺す!!滅する!!!そこまでやったんなら最後まで楽しんでいきなさいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



怒号と共に、桁違いの異常な魔力の渦がユリ―シアを包み、まばゆい光に包まれる。




危険を感じたプルートゥとヴィクトルが同時に叫んでラピスを抱きかかえるように護り避難する。




「「いかん!!!!姫様!!!!!!こっちへ!!!!!」」




魔力の渦が幾重に重なりひとつになった途端。凄まじい活火山の大噴火のような光の爆発が起こる。




そしてその光の爆発から現れたのは……、なんと10代のうら若きラピスをうんと小生意気にしたような少女であった。



ユリ―シアの実年齢は40近く、魔力で老化を抑えてはいるが、寄る年波の影響を完全には消すことはできない。



しかし、魔力覚醒(ポゼッション)という、自身の膨大な魔力と精神を一致させ魔力を覚醒させることができれば気力、体力、なにより万能感(魔術を扱う上で一番大事なものは、若者だけが持つ万能感と、とどまる事を知らない空想力と創造力である)が一番充実していた全盛期の年齢に心身共に若返るのである。ユリ―シアの場合は、極大魔術を使い黒龍を打ちのめした即ち13~15歳の頃、燦爛の魔女と謳われた伝説の日々の再来である。初めて魔力覚醒した母ユリ―シアを見るラピスは驚きで開いた口が塞がらない。




「あ……あ……!!お母様が……!!お母様が……!!!クソ生意気そうなちみたんの姿にィィィィィィィィィィ!!????そんなのってアリィィィィィィ!!???」



「あーら?随分な言い分ね。ラピスちゃん?こんなナリでもあなたの母は私だけなんだから!ラピス!!ここでじっとしてるのよ!?さあ!!!エロ獅子舞!!!この燦爛の魔女たるユリ―シア・メルトアイリスが相手よ!!!跡形も残らず灰にしてあげる!!!」








つづく
















読んで下さってありがとうございました~!!なおディアボロスは超不定期更新です。

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