ディアボロス 外伝エピソード イシュタリアの精霊祭と後夜祭 1 ラピスの憂鬱
明けましておめでとうございます!!やっとこさ更新です。お正月皆さまどうお過ごしでしたでしょうか?自分はなんかずっとソシャゲ三昧だったような気がします。正月休みもあっという間に終わってしまい。また仕事が始まりました。仕事とかもうしたくないですなあ。ずっと正月休みが続けばいいんですけどねえ。今年もディアボロス緩くやっていきますのでお付き合い頂ければと思います。今回はお正月にちなんだ外伝エピソードを前編、後編でやろうかなと思っています。実はクリスマスの外伝エピソードも途中まで書いていたんだですが、間に合わなかたったですねw今年のクリスマスにでも上げようと思っています。さて今回ラピスという女性キャラ(やっと女キャラきたよ…)が登場するんですが、彼女はディアボロス第1部アサイラムの死神篇と、第2部、鋼鉄の闘神篇と2部に渡ってメインヒロイン的な活躍をする予定なので是非ご注目下さいませ。案の定当初の危惧通り、男臭いむさくるしい話になってしまってはいますが、彼女の活躍で少しでもお話に華を添えられたらなと思っています。それでは外伝エピソードのはじまりはじまり~!
年が明けてイシュタリアの王族恒例の精霊祭が始まりを告げる。
イシュタリアの王族を始めとする。たくさんの人々が、もうひとつの首都オヴィリヴィアンにそびえ立つ精霊を祭る神殿。悠久の神殿、ナブライエンに集う。
まずはイシュタリアの王たるオルファン・ジェクシアム・イシュタリアが、幾多の精霊を召喚する。召喚した精霊を信仰の対象とし、イシュタリアの国民全員が祈りをささげる事でこの1年が精霊の加護がある幸福な年である事を願うのだ。精霊王たるオルファンが呪文と共に神々しくも煌びやかな精霊達を召喚した。
その見惚れんばかりの奇跡の具現化に、イシュタリアの国民達から歓声の声が上がる。これぞいわゆる精霊を神々として崇める精霊信仰である。この信仰こそがイシュタリアを永遠の楽土と言わしめるひとつの理由でもあった。
火の精霊、イフリートに火の揺らめきと共に前に進む勇気を。
水の精霊 ウンディーネに水のせせらぎと共に人を慈しむ心を。
風の精霊 テトラシルフィールに風の探求と共に幸せを追い求める可能性を。
土の精霊 タイタニアに大地の雄大さと共にどんな窮地でも揺らがない忍耐力を。
光の精霊 エンシェントオーダーに眩き光と共にどんな闇をも打ち払う希望を。
ひとしきり、祈りを捧げた後、オルファンの妻であり、イシュタリアの現女王である、ユリ―シャ・メルトアイリス・イシュタリアが、浄化と精霊融合の魔術の呪文を唱える。精霊王たるオルファンは元勇者にして現存するアサイラム大陸最強の魔導士には違いないが、ユリ―シャもまたオルファンに引けを取らない数少ない大魔導のひとりであった。ユリ―シャの全盛期である10代~20代であればオルファンの魔力を遥かに越えていたほどであった。
5大元素の精霊がひとつになる。そうすると、そこに強大な魔力を秘めた神格が現れる。そうこの存在こそが、精霊神と呼ばれるイシュタルである。
厳密に言うと、イシュタルそのものではなく、イシュタルの姿を投影したエレイドル・キディアスという名の別の精霊神なのだが、その類まれなる神格は充分信仰するに値し、その存在を疑う余地はない。その姿は神々しくも非常に美しく。そもそもイシュタリアという名前は、古代ファンダグラヴ帝国を創設したイシュタルが納める永遠の楽土という意味が込められているのである。
5大元素の精霊に祈りをささげた後、最後に、イシュタルに祈りを捧げる。国民の中にはその余りの神々しさに涙を流す者もいる。
この精霊祭はイシュタリアの全国民にとって絶対の儀式であり、国民の王族に対する忠誠心の高まりは絶大であった、しかし、前述した通り、魔術に傾倒しつつも科学の闇の部分に触れ、大義を見失ってしまった。六賢者の暴挙。義務的な健康診断と称し、イシュリア全国民に対し極少のナノマシンを脳に注入し、巨大なマザーコンピューター「アーク」を介して、「ジェクター」という記憶改竄システムでいいように記憶を操作する事によって、この精霊祭による影響力は稀薄になっている。しかし現存する精霊の加護は
確かに約束されており、いかに六賢者が作り出したシステムであろうと、この事象は国民の深層無意識の底に刻みこまれており、完全に消すことはできないでいた。
精霊祭、滞りなく進行していたが、最後の儀式が残っていた。オルファンとユリ―シャには実は一人娘がいたのだ。
14歳になったばかりの少女である。名をラピスラズリ・ファラウネール・イシュタリアという。その容貌は、若かりし頃のユリ―シャの生き写しであり、花のように可憐であり、母譲りの豊満な絶世の美少女であった。父オルファンと母ユリ―シャの間の王座にちょこんと座っている。ラピスの顔色が何故か優れない。
最期の儀式とはラピスが精霊神イシュタルを触媒にし、参内しているすべてのイシュタリア国民に体力回復、異常状態回復の魔術を施す事であった。
ラピスが恐る恐る前に一歩でる。オルファンとユリ―シャの国民的人気は非常に高かったが、中でもこのラピスが王族のマスコット的存在であり、その可憐さも手伝って、国民に対し、絶大なアイドル的人気を誇っていたのであった。オルファンがラピスに小さく小声でエールをおくり、片目を瞑ってウィンクをする。
「ラピス肩の力抜いてな!気楽に気楽に」
そのエールに力なく小さく小声で返すラピス。
「は……はひ……。がんばります……。お父様……」
ラピスが更に一歩前進すると、イシュタリア国民が一層湧きたつ。更に不安になるラピス。
「(ふひーーーーん!!こんなに一杯イシュタリアに人っていたんだー!!歓声が地鳴りにしか聞こえないよお。どうしよ?どうしよ?どうしよおおおおおおおおおおおおおお!!)」
明らかに緊張によって混乱している我が娘を心配そうに見つめるオルファン。ユリ―シャは冷ややかな目で厳かに娘を凝視する。ユリ―シャは小声で
「ほらラピス。イシュタル様が顕現できる時間は短いんだから。イシュタル様を触媒とした聖魔術書、第7章11項目、全体治癒魔術、及びに第24項、全体異常状態回復魔術、覚えてきたでしょ?早く詠唱する!!」
「ひいっ!!ら……ラーズ・ぞ……ゾ―リン・メタルモァ・ふぁ……ファナンシー……し……真空の刃よ、が……眼前の敵を……斬り裂き…」
目を大きく見開いてラピスを叱咤するユリ―シャ。
「ラピス!!!違う!!それは斬空閃の魔術!!愛すべきイシュタリアの国民の皆様に真空の刃を見舞ってどうなるの!?八つ裂きにする気!!?」
母から叱咤され、ますます混乱し泣きそうになるラピス。
「あうううう、あ……あるか……あるか……アルカイック・フォーリナ―。じ……慈母なるいしゅ……イシュタルの……深き、ふかき恩寵を……」
「そう!!それです!!」
「あうう……えぐっひぐっ」
ラピスの頭の中が真っ白になり、とうとう泣きだしてしまう。折角の呪文の詠唱の文言を全て失念してしまったようだ。頭を抱えるユリ―シャ。
「全くこの子ったら……誰に似たのやら……」
オルファンがやれやれといった顔で、呪文を代わりに詠唱する。
「アルカイック・フォーリナ―、慈母なるイシュタルの深き恩寵をその身に与えん。炎のゆらめき、水のせせらぎ、風の探求、大地の雄大さ、光の希望その全てを宿し魂よ。永遠に祝福があらん事を。エスト・リーン・ファンダ・グラヴ・アミティエ・アクサ―ム・ウォヴォディエン・アニマスフィア・イシュタル!!」
すると強大な精霊神イシュタルは目を瞑り、両手広げ、眩くも暖かい光を放つ。国民達はその効果を実感し、ますます歓声を上げる。
オルファンが小声でラピスに声をかける。
「ほら!ラピス!!泣いてばかりいたらみんなに心配させちゃうぞ!?笑顔笑顔!!」
はっとしたラピスが涙を流しながらも、満面の笑みで微笑みかけ。両手を広げる。
「はっそうでした!お父様!今年もイシュタリアの国民の皆様に幸せがおとずれますように~!!」
ラピスの笑顔と仕草に更に国民達は湧き立つ。
「ラピス様……。なんて可憐なんだ。まるで天使のようだ」
「イシュタリア万歳!!イシュタリアに栄光あれ!!」
「今年1年精霊様のご加護がありますように……。ありがたや。ありがたや……」
イシュタリアの国民は皆満足して帰っていった。前途はあったが、これにて精霊祭は無事終了となった。
ひとりで自室の部屋に閉じこもるラピス。
泣き腫らしたような顔でふてくされている。
それもそのはず精霊祭の最後の儀式の呪文の詠唱を失念した事で、母ユリ―シャに長時間大目玉を喰らってしまったのである。
始めは自身の不備不徳として素直に反省し謝罪の言葉を述べていたのだが、説教の時間が3時間を越えたあたりから泣きながら母をなじる言葉を発し真っ向から母と対立して大揉めしてしまった次第である。父オルファンが双方をなだめるもオルファンの健闘虚しく、母娘の関係は険悪になっていった。
「なによ!!なによ!!お母様ったらあんなにガミガミ説教しなくてもいいじゃない!!誰にだって得意なものと不得意なものがあるんですうー!!私の不得意な物は魔術で、得意な事は歌う事と踊る事と食べる事と!闘神フェイタル・ロウ様の事を調べる事なんでーす!!ふんだ!!」
事もあろうか、アサイラム大陸最強と呼び声が高い大魔導師たるオルファンとユリーシャの実の娘たるラピスは魔術が大変苦手であり、魔力も常人に毛が生えた程度しか持ち合わせていなかった。
一方、オルファンとユリ―シャの間でも、精霊祭、もとい娘ラピスの事で口論が繰り広げられていた。ユリ―シャが烈火の如く怒り出す。
「貴方!!いい加減ラピスを甘やかすのはおやめになってくださいませ!!何度呪文の肩代わりをすれば気が済むの!?あの呪文はラピスがやらなければ意味がないの!幾多の精霊とイシュタル様に失礼に当たります!!ラピスは今後女王としてこの国を背負ってたつ事を運命づけられた子なんですよ!?」
額に汗を浮かべながらなんとかユリ―シャをなだめるオルファン。
「まーまーまー。そう目くじら立てなさんな。ラピスはまだ幼いから魔術が上手く詠唱できないんだよ。俺もな。ガキの頃全く魔術が使えず、村やアカデミーの連中から執拗にイジメられたもんさ。そん時じいちゃんが剣を教えてくれて、俺は魔術なんかに頼らずとも生きていけるって自信を持ったってわけさ。相手の魔術を倍返しにする魔導剣のオルファンの伝説の始まりだ」
「またその話!?自身の過去と今のラピスの境遇を重ねるのやめてくださいな!!それに貴方は強大すぎる魔力を大賢者クラウス・ファルギ-マに封印されてただけでしょ!!ラピスは根本的に魔力が足りない。私があの子の歳には街ひとつ消し飛ばす魔力を秘めていたわ!!」
「(こええええええええええ!!)いや……。わかるけどね。人の成長は早かったり、遅かったりするし、ラピスにもいつか魔術が使いこなせる日が来るよ。俺が保証するって。だからそうラピスにキツく当たるなって!」
このユリ―シャ、元酒場の歌い手兼踊り子の看板娘であり、強大な魔力を武器に裏で魔物退治をやっていただけあって気が強く、プライドが非常に高い。普段は王族とは思えないほど気さくで優しくノリが良く。娘ラピスとの仲は良好そのものなのだが、魔術の事になると人が変わったようにラピスの力不足を叱咤する。これには娘ラピスも思わず親子の縁を切りたくなるほどに疎ましく思っているし、流石のオルファンもこのヒステリックなユリ―シャにはたじたじである。
若かりし頃のユリ―シャは、その抜群の美貌と絶大な魔力に絶対の自信を持っていた。何をやるにも常に中心的人物に抜擢されやすく、人を惹きつける確かなカリスマを有していた。故に若かりし頃のユリ―シャの生き写しの姿をしていながら、常に弱気で他人の顔色を伺いつつ、引っ込み思案でオドオドしていて、魔力がほとんどなく、魔術の大半を使えない我が娘の姿に苛立つのであろう。
オルファンは必死にユリ―シャをなだめる。
「もうすぐ修練の儀も始まるし、ラピスもちょっと修行すればいずれ開眼するさ!大器晩成って言葉もあるしね……。もうちょっと暖かく見守ってやろうよ?ね?ね?(ほら!!プルートゥからもなんとか言ってくれ!!頼む!!)」
懇願するような眼でオルファンに催促されたプルートゥは、慌てて女王ユリ―シャに提言する。プルートゥは以前ラピスの教育係であった事もあり、ラピスが幼い頃からお互いに意気投合し、大変仲が良かった。人見知りのラピスが心から信頼を置ける数少ない人物のひとりがプルートゥであったし、プルートゥもまた、ラピスの人柄と未来の女王としての確かな資質を見出していて大いに期待を膨らませていた。
「はっ!恐れながら女王陛下!!姫様はお人柄も大変良く、また努力家であり、判断力、かつ決断力は並々ならぬものを秘めております。今はまだ、お父上、お母上に甘えたい年頃なのでしょう。然れど、時が来れば必ずや未来のイシュタリアを背負って立ち民達を導く眩き光となることをこのプルートゥ確信しております!ここは不肖プルートゥめに免じてどうかご寛大に……」
プルートゥはその昔、戦火のさなか、まだラピスが赤子であった頃、敵軍10万に囲まれながら、たったひとりでラピスを抱え、剛剣を振るい。血路を開き、敵陣を突破し、ラピスを守り抜いた事があった。ラピスの事に関してはユリ―シャ個人としてもプルートゥに絶大な恩があり、尻に敷き気味なオルファンならともかく、プルートゥの申し出ならおいそれと無下にはできない。ユリ―シャはプルートゥの提言を渋々受け入れる。
「わかりました……。プルートゥがそれほどまでに言うのであれば、一旦は引きましょう。怒ってばかりいたんじゃあの娘の為にならないですものね」
機嫌を直してくれたユリ―シャに対して途端に笑顔になるオルファン。
「そうそう!!お前もラピスも笑顔が一番だって!!さあさ!飯にしようか!!腹が減ったなあ~!!今日は喰うぞ~!!」
じっとりした眼で調子のいいオルファンを凝視するユリ―シャ。
「あなた。来年こそは精霊祭の最後の儀式でラピスの呪文の詠唱の肩代わりなんかしないでくださいませね?もし邪魔したら……」
青ざめた顔で頷くオルファン。
「は……はひ……。気を付けまーーす。(ごめんよお。ラピス。来年はお父さんお前を助けてやれなさそうだ。しくしく……)」
精霊祭の後のイシュタリア王族の豪勢に彩られた数々の料理が並ぶ、「お母さまと食べたくない」の一点張りで部屋から出て来ず、食卓に並ぼうともしないラピスを食事に招く為に、オルファンの計らいでラピスの好物ばかりを取りそろえたのである。
美味しそうな匂いに釣られてと泣きじゃくりながらとぼとぼ出てきたラピスが豪華な料理に眼を輝かせる。
「わあ!!わあ!!ハンバーグにビーフシチューにパエリヤにクゥ―マトン!!凄い凄い!!全部私の大好物ばっかり~!!」
嬉しがる娘を満足げに眺め笑うオルファン。
「わははははははははは!!!精霊祭で頑張ったラピスにご褒美だ!!おかわりたくさんあるから一杯食べていいぞお~!!」
更に眼を輝かせて涎を垂らすオルファンの愛娘ラピス。
「わあああ!!ありがとう!!お父様!!ラピス感激です!!!!いただきまーーーす!!」
ラピスの可愛らしい外見には想像もつかない見事すぎる豪快な食べっぷり。オルファンは昔から大食漢の健啖家であり、恐らくラピスはオルファンのこの気性を受け継いだのであろう。
娘の気持ちの良すぎる食べっぷりに嬉しくなってオルファンは更に高らかに笑う。
「我が娘ながらいつみても惚れ惚れする食べっぷりだな!!よお~~し。俺も負けてられないぞお~!!はぐはぐはぐ!!うまーーーい!!!」
オルファンも負けじと豪快に食べ始める。父と娘が盛大にがっつき料理を喰い散らかす端で、眉を潜めながら静かに紅茶を飲む母ユリ―シャ。しばらく我慢していたが、あまりの父と娘の品性のないがっつきぶりにとうとう我慢が出来ず苦言を呈す。
「あなた。ラピスも。お行儀が悪いですわ!」
その言葉を聞いた瞬間、キッと母ユリ―シャを睨みつけるラピス。ユリ―シャも視線を一切逸らさず真っ向から睨み返す。静まり変える食卓。緊張感が辺りを包む。
オルファンが場の空気を変える為におどけた声で答える。
「す……すまんすまん。ちょっとがっつきすぎちまったかなあ~?もうちょっと味わって食べないと勿体ないもんな!!なあ!!ラピス!!もうちょっとゆっくり食べようか?ラピス?」
おもむろにラピスがオルファンの食卓にあったパセリのサラダの器を自分の食卓に引き寄せる。オルファンが残念そうに呟く。
「あ……それ俺の……。後で食おうと思ってたのに……。でもあれ?ラピス。お前パセリは子供の頃から大嫌いじゃなかったけ?」
パセリなど緑黄色野菜は魔力の補充に僅かながら効果があり、オルファンの好物のひとつであったが、ラピスにとっては大の嫌いな食べ物であった。それを知っていたオルファンはあくまで自分の食卓にのみ、パセリのサラダを盛り付けていたのだ。
突然一気にパセリのサラダをかきこみ、口いっぱいにほおばるラピス。
大粒の涙と鼻水を流しながら、苦虫を噛み潰したようなぐしゃぐしゃな酷い顔をして、ユリ―シャに言ってのける。
「うええ……。まず……。まじゅいよお……。時に!!私はパセリが大嫌いです!!!でもお母さまの方がパセリより大、大、大嫌いです!!!お母さまに比べたらパセリの方がまだマシよ!!ほら!!見て!!完食!!」
あーんと大口を開けて指をさすラピス。娘の大胆な挑発に青筋を立てて怒りに震えながら静かに紅茶を飲むユリ―シャ。
「(この娘ったら……。バカな真似を……。一体誰に似たのか……)」
更にラピスは続ける。
「私はきっとお父様から産まれたんだわ!!!だってこんなにもわかりえない母と娘なんかこの世にいないもん!!ごちそうさまでした!!お部屋に戻ります!!お父様とプル―トゥのじいや以外絶対に開けちゃダメですからね!!」
怒った調子でずんずんと足早に歩き、自室のドアを勢いよくバタンと閉めて閉じこもるラピス。
弱り果てたオルファンがラピスにドアごしに声をかける。
「お……俺はおっさんなんで残念ながらラピス。お前を産む機能はなかったりするんだなあ。お前は確かに母さんから産まれたんだぞ~。母さんもお前が産まれてくれて嬉しくて泣いてたからね」
部屋からラピスのけたたましい声が鳴り響く。
「嘘よ!!絶対に信じない!!私はお父さまから産まれたの!!」
弱々しい声でオルファンがラピスにまた声をかける。
「デ……デザートはお前の大好きなイチゴのショートケーキだぞお~~?勿体ないなあ。うほ~~美味しそう~。お父さんが食べちゃってもいいかい?」
すると今度は勢いよくドアが開いて、づかづかと怒りの表情で食卓に再度座り、ショートケーキをはぐはぐと急いで食べ出すラピス。リスのように口いっぱいにケーキを頬張り依然ユリ―シャを睨みつける。ごっくんと飲みこみ。また
「ごちそうさまでした!!!!!」
と言ってバタンと部屋に閉じこもった。
食事を終え、口元を拭いながら、ユリ―シャが静かに呟く。
「よ……よくわかりました。あの子の態度に問題があるようです。近いうちに改めて話をせねばなりませんね」
オルファンは両手で顔を覆い泣きそうになりながら嘆く。
「なんてこった……」
新年早々母と娘の衝突に頭を悩ませるイシュタリアの王オルファンであった。
外伝エピソード イシュタリアのお正月 中編 こたつ戦争勃発?覚醒か死かにつづく。
読んでくださってありがとうございます!!外伝エピソード後編に続きます。




