0-42話 第一次降魔事変 その8
久々の更新です。やっぱり12月も忙しいじゃないですかやだー!!こんなスローペースの更新でも読んで下さってくれる読者の皆さまには感謝の言葉しかありません。遅筆でございますが、物語は確かにえっちらおっちら進んでいっている確信があります。いつか皆さまをあっと驚かせる展開になるかもしれないのでその日を楽しみにして話を進めるとしましょう!!それでは42話の始まり始まり~!!
悪魔と、オルファン駆る白銀のローグ・オブ・ソーサリアン勇者ソルリレアウスの戦烈なる拳と拳の殴り合いが繰り広げられる。
一発一発と両雄の拳が重なり合う度に凄まじい衝撃波が周囲に広がる。その度にオルファンの表情が喜びに打ち震える。
「いいねえ!!俺のありったけの魔力を喰らって尚もこの衰えぬ怒り!!そして途切れる事のない怒涛の攻撃!!自分より強い存在が赦せねえってのが拳から伝わってくるぜ!!それは……俺もだよ!!!」
両雄がぶつかり合う事で起こる衝撃波で大気さえ歪みだす。ガウディは悪魔の尚も衰えないその攻勢に驚愕を覚え慌てふためく。
「ひえええええええ!!!悪魔の奴め!!!!まだまだ全ッ然元気じゃああああああああああああ!!エネルギー係数は今より高まっていくぞい!!!」
オルファンは笑顔で応える。
「結構な事じゃあねえか!!!あんなもんでくたばって貰っちゃあ張り合いがねえってもんだ!!!楽しくなってきた!!昔の俺に戻ったようだぜ!!"レイ・フォーラム・タイト・ロア・V・ゾリアン・ザラヴレイ!!(高速詠唱により中略)……宵の暗刻を斬り裂き走れ破邪魔晄の煌めく閃光、破邪神聖魔晄!!!"」
悪魔の怒涛の攻撃をいなし、隙を見て魔術の詠唱を速やかに終え、オルファン駆るソルレリアウスの両腕から美しくも残酷な光の閃光の束が悪魔に放たれる。
!? ガアアアアアアアァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
異常を検知した悪魔は光の閃光の束を回避する為に、空高く大きく飛び上がる。その反応の速さにオルファンが舌を巻く。
「いい反応だ!!!俺の魔術を一度喰らえば致命傷になり得るって事を学んだようだな!!同じ轍は踏まなねえってか!!だがさっき殴り合った時にもうてめえに標的の烙印をつけた。俺の魔術からはもう逃げられないぜ!!”ジー・アザー・フォース・ディ―ゴ・ヴァサール・スティグマ・ファンシス・ギルス(我が魔術よ。烙印を宿し者を討て)!!!!」
およそ100m近く一瞬にして飛び上がった悪魔に対して、まるで生き物のようにオルファンが放った魔術の光の閃光の束が唸りをあげ、悪魔の身体に誘導弾のように突き刺さっていく。
ウゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
悪魔は被弾しながらも、身を翻しつつ片腕や尻尾を振り回して光の閃光を叩き落としながら致命傷をかろうじて避けている。
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
そして咆哮一閃。悪魔の漆黒の肌に微かに光が満ちていく。依然ダメージはあるものの明らかにオルファンの魔術の威力が軽減されていっている印象を受ける。
悪魔の変化しつつある動向を見上げながら驚愕するオルファン。
「野郎……!!耐性魔術してやがる……!!さっきより魔術の効き目が薄い!!なんて学習能力だよ!!俺の想定通りだとこいつは……なんだ!?」
空高く飛び上がっている悪魔の眼がおもむろに一瞬、紅く光ったように見えた。途端にオルファンが絶叫する。
「みんな伏せろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「!?」
オルファンと悪魔がまさに戦っている主戦場より、400mほど離れた場所にプルートゥのドラウグニィ―ルとヴィクトルのダークナイトメアとDBCの兵隊と艦隊は待機していたが、オルファンの絶叫を聞いて、プルートゥのドラウグ二ィ―ルとヴィクトルのダークナイトが皆を避難させ、更に距離をとり一斉に身を伏せる。
悪魔の両眼から紅の怪光線が高速で発射される。その攻撃に呼応するようにオルファンが即座に防御魔術を唱える。
「通すかよ!!!高速詠唱!!超級霊機守護領域結界×12!!!!」
悪魔の怪光線は、大地を広範囲にして一瞬で斬り裂いていく。ガウディが驚愕の表情を浮かべる。
「のわあああああああああああ!!!なんじゃこの熱量!!!わしのドラウグ二ィ―ルのギャラルホルンに匹敵する威力じゃあああああああ!!!」
魔術結界を幾重に張り巡らせ光線を渋い顔で弾き返すオルファンのソルレリアウス。
「ぐうううううう!!!なにか飛び道具的なもんもいつか使うんだろーなって思ってた矢先にコレだぜ!!そして……!!この熱量!!この重さ!!思ったよりキツい……!!堅牢守護結界術式を抉り抜けてきそうな勢いだぜ!!!オラあああああ!!」
幾重にも張り巡らせてた結界によって光線を完全に遮断し、弾き返したオルファンのソルレリアウス。相当派手に大地を光線によって斬り裂いたのか、大規模な土煙が起きていて周囲を目視できない。オルファンは舌打ちをする。
「ちっ!!あの野郎のせいで地形そのものが変わっちまった。なんて威力だ……!周りが見えねえ。悪魔の妖気を探るしかねえか……何ィ!?」
土煙が晴れる前にオルファンのソルレリアウスの眼前に唐突に現れたひとつの影があった。怒りの表情に打ち震えた血に飢えた悪魔である。
グゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
片腕を振り回し何度も殴りつけ、鋭利な爪で引っ掻き、獰猛な牙でかぶりつく、ソルレリアウスに対しありとあらゆる肉弾攻撃を繰り出す悪魔勢い余り、どんどんソルレリアウスを押し出して距離を稼ぎ、岩石郡をぶち抜いてなおも悪魔の息をつかせぬラッシュは続く。
幾重にも張り巡らせれた防御結界に包まれたオルファンとソルレリアウスは腕組みをしながら涼しい顔を浮かべ、悪魔の猛攻を耐え凌いでいる。
「一生懸命頑張ってるとこ水を差すようで悪いが、残念ながら無駄だ。無駄無駄。魔術師と魔導師の違いその2ってとこだな。通常の魔術師は防御壁を1枚前面に出現させる。あるいは防御壁1枚を魔術で柔軟に飴細工のように伸ばし全身を包み身を守るのが限界だ。だが俺達、魔導を極めし者達は、より強固な防御壁を複数出現させ、その防御壁をある角度ある魔術公式によって組み合わせ堅牢な立方体を形成する。その導き出された魔術公式によって作られる幾重にも張り巡らされた絶対的な防御結界は、対物理、対魔術、あらゆる攻撃に対して無敵の堅牢さを誇る。名付けて堅牢守護結界術式。自分の攻撃は相手には全く通用しないが、相手の攻撃は容赦なく自らに刺さる。理不尽だろ?お前にもその絶望を存分に味わって貰おうじゃねえか!!高速同時詠唱、および輪唱!!"アッジィーム・ベイン・ファムシーン・嵐の王よ、時代に蔓延る深遠の闇、引き裂き、抉り、砕き、数多の苦難、苦渋、苦痛をその身に与えん!ザィ―ド・フィクサーム・マユータヤ・アルデリオン・インベイズ…………(高速化により中略)……唸れ!!嵐の王による夜想曲!!” ”ルーラ・ルーガ・アゴゥラン・イディエム・憤怒の炉心に火を灯せ、荒れ狂う紅蓮の鎖、汝の罪を裁き、煉獄の罰に身を焦がさん!!ストレイボア・フェクタム・ヴァンシー……(高速化により中略)断罪煉獄連鎖!!”」
悪魔の攻撃はより苛烈になっていくが、幾重にも張り巡らされた防御結界に守られたオルファンのソルレリアウスに依然明確なダメージはない。片や、オルファンのソルレリアウスから放たれる強烈無比な魔術は痛ましいほど悪魔の身を真空の刃で引き裂いたと思えば、紅蓮の炎で象られた地獄の鎖に嬲られ焼き尽くされていく。たまらず絶叫する悪魔、この尋常ではない魔術の威力は精霊魔法の頂点とも言われる五大魔現戒律に及ばないものの、それに追順し匹敵し得る極限に近しい超魔術の一種であることは見てとれた。
傷つきながらも、猛攻の手を休めない悪魔その徒労ともいえる無駄な努力に対しオルファンは呆れるように言い放った。
「魔王よ。もう諦めろ。お前は確かに強え。だが相手が悪かったんだよ。俺がいなかったら世界はお前の物だった……って……ああ!?」
悪魔はふと猛攻の手を止めたと思った矢先、オルファンのソルレリアスを包んでいる防御結界をがっしりと掴んで身を震わせうずくまる。その眼からは大粒の涙が流れ出す。絶叫する悪魔。
ヴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!
子供が駄々をこねるように、地団駄を踏み、泣きながら暴れ回る。この世紀の魔神と謳われた悪魔の見苦しさ、浅ましさは一体なんだというのか。
オルファンは勿論、ガウディ、プルートゥ、ヴィクトル、DBCの兵達もこの正体不明の化け物の異常な行動に青ざめる。オルファンが眼を丸くして驚き、震えながら声を上げる。
「はあ!?わっけわかんねえ……。お……お前……な……泣いてんのか!!??自分の攻撃は通らなくて悔しいってか……。引くぜ……。こいつ……。ガチ泣きじゃん……。見てくれはおっかねえのに精神性はまるでクソガキ以下じゃねえか!マジで何モンなんだこいつは!?」
オルファンのソルレリアウスを包む防御結界をがっしりと掴み、できるだけ顔を近づけて至近距離で泣きながら叫び出す悪魔
グアゴ!!!!グァゴアアアアアアアアアアァァァァ!!!ガァァァオオオオオァァァァァァァァ!!!
オルファンは眼を瞑り頭を掻きながら面倒臭そうに口を開く。
「あー言ってることなんとなくわかるわ。訳:てめえ!!こんな卑怯な戦い方して恥ずかしくねえのか!!!正々堂々勝負せいや!!このチート野郎が!!ってところか。あのなあ……」
今度はオルファンが、徐々に怒りの表情を浮かべながら口早にソルレリアウスを通して悪魔を罵倒する。
「クソチート野郎はてめえだろうが!!!このボケ!!!覚えてるか!?お前プルートゥのドラウグ二ィ―ルのヴァルムンクで一回叩っ斬られたよなあ!?あん時、普通の奴ァ絶対死んでんだよ!!!ふざけた再生能力しやがって!!!エゼルディア中の珍獣見渡してもそんなふざけたチート野郎はお前だけだ!!!恥を知るのはお前の方だこの馬鹿!!!てめえを倒さなくちゃならねえ俺の身にもなってみろ!!」
オルファンの怒りを通してソルレリアスは巧みに憤怒の表情を浮かべ、悪魔に必死に言い返す。まさか言い返されると思っていなかった悪魔は一瞬ビックリしたような素振りを見せるも、尚も火が付き、前にもましてオルファンのソルレリアウスにまくしたてるように叫び返す。
ガウアアァァァァァァァァァァァァァァ!!!ゥァァァアゴァァァァ!!!エギァァァァアアアアアアアアアアアア!!!アギャアアアアアアアアア!!!
「黙ってろ!!!このクソ悪魔が!!!お前がいくらふざけた事言ってもこの防御結界はぜってー解きませーーん!!はい負けー!!お前の負け―!!悔しいですかー?悪魔ちゃん?あ?なんとか言ってみろや!!コラ!!」
呆気にとられるDBCの兵達。王の痴態に恥ずかしそうに赤くなって小さくなるプルートゥとヴィクトル。
「オルファンはアレがなければ……」
「心中察するぜプルートゥ。我が王は、誰にでも善戦し、誰にでも同レベルで対等に接するからな……。だからこそ誰とでも絆を深める事ができるが、まさか悪魔相手でもそうだとは……」
両雄しばらく罵り合った後、ショックを受けたような表情で、1歩、2歩下がってガックリと膝をつく悪魔どうやらオルファンに言い負かされたようだ。言葉は通じずとも勢いというやつなのであろうか?勝ち誇ったような表情を浮かべガッツポーズをとるオルファン。
「へん!!口喧嘩でも俺の勝ちだ!!クソ悪魔が一昨日来やがれってんだ!!!」
驚愕の表情を浮かべ呆れるプルートゥとヴィクトル。
「お……おい、言い負かしたぞ!ヴィクトル!!」
「最早……褒めるしかない……!!なんて奴だあいつは……!!流石我が王だ」
しばらくショックを受けたかのような表情を浮かべていたが、元の凶悪な表情に戻り、意を決したように立ち上がり耳をつんざく咆哮を発する悪魔
至近距離でその咆哮のけたたましさに見舞われたオルファンはたまったものではない。両手で耳を抑えながら絶叫する。
「耳がああああああああ!!!!いきなりデケえ声出すなああああああ!!!うるせええええええええええええええええ!!!マジでムカついた!!このクソ悪魔今ここで殺す!!!!!本気で殺ってやるぜ!!とっておきだ!!耐えられるもんなら耐えてみやがれ!!”ソーラ・イフテンベル・ゾルケアン・ダリィズ・ダルム・最果てから降つる叡智の涙、闘いの記憶、太古の英霊たちの覇業を以って知るがいい、開かずの門………!!"お……おいおい!!だから無駄だって言ってんだろーが……!!」
オルファンのソルレリアウスを包む防御結界に対して、体当たりを何度も繰り返し、片腕で何度も殴りつける悪魔
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
咆哮と共に片腕の形状が変化し、鋭利なドリルのような形状に成り代わる。
ギョッとするオルファン。
ドリル状になった悪魔の片腕は高速回転をし、オルファンのソルレリアウスを包む防御結界を抉り削り出した。
悪魔の意外の攻撃に驚くも冷静さを保とうとするオルファン。
「へ……!!器用なこった!!だがそんな小手先の芸当だけじゃ俺の防御結界を破るなんてことはとても……!!何!!!???」
悪魔のドリル状の片腕がドス黒く発光しだす。その黒い光のオーラはドリルをより強大なものに変えていく。オルファンの額に汗が伝う。
「これは……魔力だ……!!魔力で自分の片腕を強化してやがるのか……?待てよ……!!待て待て!!この魔力の総量……!!もしや俺の魔力に匹敵するのか……??うおああああああああああああ!!」
従来の3倍強に膨れ上がった片腕のドス黒いオーラに包まれた禍々しいドリルが、遂にオルファンのソルレリアウスの防御結界に風穴を開ける。驚愕の表情を浮かべるオルファン。
そして悪魔は全身にドス黒いオーラを纏わせながら、ドリル状だった片腕を元の形状に戻し、力ずくで防御結界の穴を起点にこじ開けようとする。同時に悪魔は大口を開け、禍々しい牙を突き立て、防御結界を一枚一枚引っぺがしていく。その禍々しさと恐ろしさと言ったら、勇者アブストゥ―ラとして幾多の悪意と戦ってきたキャリアを持つオルファンにも類する物がない、得も言えない恐怖に満ちた体験であった。震えながらオルファンは呟く。
「こ……こいつ……もう片腕だけじゃねえ……!!全身だ!!全身を桁違いの魔力で強化して、身体を強引に進化させていってやがる……!!なんて野郎だ!!!こいつの正体がわからねえ!!震えがくるぜ。こんなおぞましい野郎がこの世に存在していたのか……!!お……俺の誰にも破られた事のない絶対防御とも謳われた防御結界が……」
遂に、最期の防御壁の一枚を悪魔の牙でかぶりつき、剥ぎ取り、ノーガードのオルファンのソルレリアウスが露わになる。
ゲババハハハハハハハハハハハハハハハハハハハバアババババババババババババババ!!!!
勝ち誇ったように嗤う悪魔、絶えず進化をしているのか。嗤う度に表情が変化するその醜さ、おぞましさと言ったらこの上とない。
「おい!!おい!!どうした!!ソルレリアウス!!!動け!!悪魔が目と鼻の先にいるぞ!!応戦しろ!!ソルレリアウス!!あいつはヤベエ!!このままじゃ死んじまう!!!動け!!!動けよおおおおおおお!!!ま……まさかお前……!!!」
オルファンはソルレリアウスの操縦桿であるアームガントレットを、ガチャガチャと動かすがソルレリアウスは一切反応しない。
恐怖である。悪魔の特殊能力として、身の毛もよだつその妖気を孕んだ圧倒的恐怖によって、人はおろか、機械すらも恐怖によって凍てつかせるのである。悪魔の満を持して振りかぶった渾身の拳がオルファンのソルレリアウスを捉える。オルファンは絶叫する。
「しまったあああああああああああああ!!!!」
つづく
読んで下さってありがとございました!!なおディアボロスは不定期更新です。




