0-41話 第一次降魔事変 その7
はい。やっと更新でこざいます。もう今年も終わりますよ。みなさん。どうしましょう?自分は今年大したこと何もやってないです。でも毎年やってないので、嘆く価値もありません。11月は妙に仕事は忙しくてあんまり更新できなかったので、12月は落ち着くといいなあと思っています。それでは41話のはじまりはじまり~!!
桁違いの魔力で見事、悪魔を撃退せしめたオルファンの戦いぶりに、痛く感心したガウディがけたたましく賞賛の声を上げる。
「オルファン!!オルファン!!やったなああああああ!!はっはっはっはー!!悪魔の奴カッ飛んでいったわ!!見事な戦いじゃったぞ!!!それにしてもおぬし!!あの!!アヴストゥ―ラの14代目とは!!!それはまことか!?確かおぬしはシャーウッドの王族であり、真祖アシュレイ・ジェクシムの遠縁と聞いていたぞ!!だからこそのあの絶大な魔力を有していた。それは話には聞いておった。だが、それがまさかアヴストゥ―ラの新生勇者連合に連なる血の出目なんて初耳も初耳じゃ!!!もっと詳しく聞かせてみよ!!!」
ガウディのまくしたてる声に辟易しながらオルファンは答える。
「うるせえなあ!!ガウディのじいさんは全く!ジェクシムの名は母方な!俺も後から知ったんだけどさあ。俺の親父はアヴストゥ―ラの11代目だったんだよ。勇猛果敢な勇者の中の勇者だったとさ。病気でおっ死んじまったけど、親父が現役の頃は、夢のあるそれはそれは幻想的な悪党どもがわんさかいたらしい。羨ましいったらないぜ」
ガウディは興奮冷めやらぬ様子で更にオルファンに問いかける。
「アブストゥ―ラと言ったら、新生勇者連合の絶対勇者と言ったら、この世が混沌に満ち暗雲が訪れる時、颯爽と現れ時代を救う!!誰しも憧れる圧倒的な英雄的存在!!無論ワシもいち熱狂的ファンじゃ!!サインくれ!!なんで!!!なんで今まで黙ったんじゃ!!!」
「サインなんて書いてやんねえよ!!そんなもん言えるわけねえだろ……!!トラウマになってんだよ……。歴代アヴストゥ―ラは伝説的功績を遺したってのに、勇者としての俺は不完全燃焼そのものだったんだ。後味悪いったらないぜ……。誰だって触れられたくない過去のひとつやふたつはあるだろ?」
「プライベート回線で何やら話しておった件か……、断片的にしか聞き取れなかったが……、おぬしに一体何があったんじゃ!?」
「あーめんどくせえんで全部話すけど、昔さ。アルタイル戦役とグレタガリア防衛戦ってあっただろ?」
「ああ!!あの大事件は記憶にある!!わしが知らんはずがない。なんでもテロリスト達の大規模なテロがあり、アサイラム果ては、クレゴリア、インフィ―諸島からの多国籍連合軍を結成し、多国籍軍がテロリストどもと果てなき戦いを演じたというあの忌まわしき事件じゃな。テロリストどもが凶暴なレプリカントクリーチャーをけしかけたとか……。主な戦地になったアルタイルとグレタガリアは戦火によって凄惨たる有様で未だに復興が進んでおらんらしいじゃないか!!なんとも痛ましい事件じゃ……」
「あれは全部国連政府と勇者連合が共謀して打ち立てたカバーストーリーだよ」
あっけらかんと言い放つオルファンに驚き慌てふためるガウディ。
「な、なんと!!現代史の教科書にも堂々とのっとるぞ!!処刑された主犯格の首魁の名前は確かサウラー・ザガロ!!逮捕され今も服役中のディルギスタンと、デライメドル共和国のテロリスト達も顔写真付きで実在しとるぞ!!」
頭を掻きながらオルファンがめんどくさそうに説明する。
「わざわざドンパチやる振りまでして国連がでっちあげた適当なテロリストの前科もんどもだよ。別件のな。実際あそこであったことはこうだ。正体不明な知的生物達が暴走し、アルタイラとグレタガリアの人々を虐殺し、各国の首都に進攻するところだったんだ。それを止めたのが勇者アヴストゥ―ラ。
つまり俺だったんだよ」
「な……なんと、相当大規模な戦乱だったと聞くが……!!」
「ああ壮絶だった。その正体不明な知的生物はある科学者が作り出した合成獣だったのさ。アルタイラに奴の研究所があった」
「衝撃の……事実じゃ……。そんなことがあったなんて、し……して、その科学者とは一体?」
深いため息を吐いて、改めてオルファンはガウディに告げる。
「聞いて驚くなよ?ペールゼイン博士だ。エンシュヴィット・ペールゼイン博士」
滝のような汗を流し驚愕するガウディ。
「ぺ……ペールゼイン博士!!!まさか!!!!最年少であらゆる分野の博士号を取り、ヴェルニー賞を14度受賞したエゼルディアで最も偉大と言われた科学の祖父、人類の太陽!!天啓のペールゼイン博士だというのか!!!嘘じゃ……!!な……なにかの間違いじゃ……!!彼に限ってそんな事は絶対にありえない!!!」
狼狽するガウディを見て目を伏せるオルファン。
「根っからの善人だったよ。ペールゼイン博士の名前は科学に疎い俺でも知っていた。憧れていたよ。奴の日記があった。それを読んだ。天才と呼ばれる自身の才能は人々を幸せにする為だけに存在すると信じて疑わなかった。1日1善を心がけていて、自身の発明が人の為に役立つと、嬉しくなって奇妙なダンスを踊り出す変な癖があってな。関わる者全てに慕われていた。すっとんきょうだが、愛嬌があり、明るく優しい。友人を愛し、妻を愛し、家族を愛し、何よりこのエゼルディアを愛していた」
「わしもエヴァ―ソン大学教授学会の共同実験の席で1度だけお会いしたことがある。初対面というのにわしの肩を抱いてくれて、論文を見たよ!!貴方のような素晴らしい科学者は初めてだと言ってくれた。後に学会を負われる羽目になるワシを最期まで手紙で熱心に励ましてくれて涙が出た事を覚えておる。嘘じゃ……!!オルファンよ……!!嘘だと言ってくれ……!!!」
「すまない……。ガウディじいさん。残念ながら事実だ……。二酸化炭素を酸素に変えるように、全てのマイナスエネルギーをプラスに変え、度重なる戦乱の環境汚染を浄化する為に、人類の救済となるべく作り上げた環境保護プログラム"イデア・エジェクト"の礎となる完璧な生物。合成獣、いや、プロトイデアは暴走した。もう取り返しがつかなかった。俺は……、俺は……怒りに身をまかせ博士を……この手で……」
オルファンの衝撃の告白を聞いて、顔面蒼白になり頭を抱えるガウディ。
「な……なんてことだ……!!そのような事があったんなんて……!!しかそれで全て辻褄が合う。ペールゼイン博士が、人理究明奇聞化理論を発表した後に失踪した後、各地で起こった合成獣による不可解な事件は……!!オルファン……!!酷なようだが博士のさ……最後は……?」
オルファンは伏し目がちに切々と語る。
「……俺の脳裏に焼き付いてるよ。奴は……」
アヴストゥ―ラが怒りにまかせ振るった聖剣エグゼクトで臓腑を抉られた科学者が血を吐き、うなだれる。
アヴストゥ―ラの顔を血に塗れた指で確かめながら、ペールゼイン博士は弱々しい口調で最後の言葉を言った。
「がはっ!!ああ……、き……来てくれると思った。絵本で見たよ。君は勇者アヴストゥ―ラだろ?そのいでたち一目でわかった。アンナが……子供が寝付けない時は勇者の唄を歌ってあげるんだ。あ……アブストゥ―ラはみんなの味方~♪暗い闇を振り払う♪正義の光~♪これか闘神フェイタル・ロウの唄を歌えば子供はすやすやと寝つくんだ。不思議なもんだろ?ぐううう……!!わ……私は皆を幸せにしたかったんた……。私を赦してくれ……。人の不幸が嫌いだった。理不尽が嫌いだった。泣いてる子を助けてあげたかった。本当にただそれだけだったんだよ?自分には誰にも出来ない事がたやすくできた。天才と謳われた。ならばこの才でこの世の不幸な人全てを笑顔に変えたい。そう純粋に願った。願い続けた。ああ……そんな私の正体は……皮肉な事に……悪そのものだったんだね……。大きすぎる才は、純粋すぎる善意は時として反転し災いと為す。Drギリークの言葉が今、理解できた。犠牲になった人々にはお詫びのしようもない……。いいかい?アヴストゥ―ラ。君は善として悪を討った。こんな取るに足らない事で己の道を見失ってはいけない。お願いだから君は……私のようにならないで……。私の……最後を看取ってくれるのが……勇者の君でよかった……。ありがとう。心……残りは……アンナと……ナタリアと……同じところには逝けな……こと……」
アヴストゥ―ラは剣を引き抜くと、涙を流しながら科学者に問いかける。
「ま……まさか!!あんたは……あんたは!!」
科学者は事切れていて既に息はない。
科学研究室の資料を乱雑に読み耽り、真実を知って絶叫するアヴストゥ―ラ。
「嘘だああああああああああああああああああああああああ!!!!うわああああああああああああああああああああああ!!!」
アヴストゥ―ラの小型無線機に六賢者からの通信が入る。
「勇者様!!アヴストゥ―ラ様!!そこは危険です!!ペールゼイン博士が開発したプロトイデアが目覚めようとしています!!」
「この熱量とエネルギー、魔力係数までもが絶大な反応を示しております!!退避してくださいませ!!」
「一連のモンスターによる侵攻を、裏で糸を引く存在は感じておりましたが、よもやこのような結末になるとは、勇者連合、国連政府には既に周知済みです!!もう我々の手に負える事件ではありません。悲しいかなこの世の邪悪の根源たる魔王はこの時代には存在していなかった!!!」
新生勇者連合の代表である。先代の勇者アヴストゥ―ラである。デュラック会長がオルファンことアヴストゥ―ラ13世に刻々と告げる。
「なんということだ……。人類の太陽であったペールゼイン博士を絶対勇者たるお前が手にかけてしまったということか。なんたる悲劇……!!この世に神はいないのか!!しかし13世。案ずることはない。これは事故だ!!凄惨たる悲劇の事件にお前は終止符を打ったのだ!!国連政府所属の各大統領と審議した結果、この事件は国連の多国籍軍に任せ。勇者連合は一切の手を引く!!一連の事件を解決した暁には大々的に絶対勇者の名を世に知らしめようともしたが、この事件の真相は今は闇に葬るしかあるまい!!だが案ずるな。お前の名誉は守られる。お前の功績は私が知っている!!あああ!!プロトイデアが目を覚ます。なんという化け物だ……!!今、多国籍軍の援軍を呼んだ!!今すぐその場から退避するのだ!!聞いているのか!!13世!!絶対勇者アヴストゥ―ラよ!!!」
六賢者達も血相を変えて通信を送る。
「勇者様!!今は御身を第一にお考えください!!」
「勇者様!!無念でございます!!だが我々の志は未だ潰えず……」
「勇者様!!あなたさえ無事ならいかようにも巻き返せます!!今は……!!」
鬼気迫る表情でオルファンことアヴストゥ―ラは怒りの余りわなわなと震え、鋭く声を発する。
「俺 を 勇 者 と 呼 ぶ な」
その絶対的な怒りに六賢者達の驚きすくみあがり、先代勇者のデュラックも声を無くす。
アヴストゥ―ラは微笑むように死んでいるペールゼイン博士を抱きかかえると、涙を流しながら小さく呟く。
「悪かったな……。もっと早く来れば良かったよ……。あんたを救えたかもしれねえ。ここに来る途中、小奇麗な墓を見た。嫁さんと娘さんがあそこで眠ってんだろ?あんたをそこに葬ってやるから、そこでゆっくり眠りな。このふざけたデカ物共を全部ぶっ潰してな」
ペールゼイン博士の顔にアヴストゥ―ラの涙がぽつぽつと落ちる。
猛り狂うプロトイデア0号、そしてその眷属たち。その巨体は60mを越える。超世の天才と呼べるペールゼイン博士の皮肉にも最高傑作である。プロトイデアに、単身生身で歩み寄るアヴストゥ―ラ。勇者連合のデュラック会長が叫ぶ。
「勇者!!!ダメだ!!!退避しろおおおおおおおおおおおおおお!!!」
アブストゥ―ラは自身の魔力の全開にし、プロトイデアに戦いを挑む。
「うるせえええええええええええええええ!!!勇者なんてクソ喰らえだ!!!この世界の理不尽に対する怒り!!そして俺自身に対する怒りでどうにかなっちまいそうだぜ!!俺は今!!勇者の名を捨てる!!かかってこいよ!!てめえは何で主人の言う事を聞かなかった!!!こんな物の為にいいいいいいいいいい!!!畜生ォォォォォォォォォォォォ!!」
血の涙を流しながら勇者としての限界を超えプロトイデアと戦うアヴストゥ―ラの哀しき姿がそこにあった。
絶対勇者アヴストゥ―ラ、今は元勇者であるイシュタリアの王オルファンが寂しそうにガウディに告げる。
「あの時が今までの人生で一番キレてたんじゃねえかな?、気がついたら、辺り一面ん焦土んなってて、化け物が消し炭になって転がってやがった。理性ぶっ飛んでたからな。後で聞くと俺の闘いぶりがえげつなさすぎて、多国籍軍は全軍何もせずビビッて帰ってんだと。少しは手伝っていけっつーの。理性飛んでる割にはペールゼイン博士の身体に損傷はなくてな。あらかじめ遺体を避難させてたんだな。泣き腫らした顔で博士の墓を作って葬ってやって、また大泣きして……どっかの酒場で死ぬ程酒飲んで……後は……、覚えてねえ……。俺の一番悲しい記憶だよ」
ガウディはオルファンの壮絶な過去に驚きながらも粛々と耳を傾ける。
「そ……その事はプルートゥとヴィクトルは知っておるのか!?」
「ああ……、墓まで持って行くつもりだったんだけど、酒の席でついな……。プルートゥに大泣きされて励まされたよ。あいつ不器用だからさ。励ましの言葉がうまくでてこねーでいきなり抱き着きやがんの。気持ちは嬉しいが、ムサくるしいんだよ!!ヴィクトルはガキの頃からアヴストゥ―ラの信者だったらしくその後、いきなり敬語になって俺を見る目が妙にキラキラするようになってやたら気持ち悪かったな……。思い切りぶん殴って無理やりやめさせたが、へっ!!これでわかったろ。俺は勇者のなり損ないなのさ。人類の太陽だったペールゼイン博士の命を奪った極悪人なんだよ……。俺は……俺は……勇者なんかじゃないのさ……」
ガウディがオルファンの衝撃の告白に痛く感激して、目に涙をためて突然叫び出す。
「馬鹿者ォォォ!!!おぬしは勇者じゃ!!!!紛れもなくな!!!」
突然叫ばれて驚くオルファン。
「うわっ!!ビックリした!!!なんだよ!!いきなりでっかい声出すなよ!!」
ガウディは興奮した様子でオルファンに力説する。
「ペールゼイン博士は最後はなんて言ったんじゃ?君でよかった。ありがとう。と言ったんじゃろう?ペールゼイン博士は自身を止めてくれる人物を心の底から待ち焦がれていたんじゃ。そしてあれほど表舞台で賞賛を受けた博士が結果的にあのような凶行に走ってしまった……。その犠牲は計り知れない。根っからの善人だった博士は、恐らく自身が起こした罪の意識に堪えられず、お前さんが手を下さんでも自らの命をいずれ断ったであろうよ……。魔王はいなかった。だがオルファン!!いやアヴストゥ―ラ13世!!おぬしはペールゼイン博士の心を救い、人々を救った事には変わりないのじゃ!!!おぬしは紛れもなく人々の心を闇から救った絶対勇者そのものじゃ!!!やっぱりサインくれ!!」
ガウディの意外な言葉に溜らず涙が溢れ、顔を抑えながら震える声で言い返すオルファン。
「うるせえよ……。サインは書かねえつったろ……?でも心に沁みたぜ……。その言葉生涯忘れねえ……。ありがとよ……。じいさん」
「そしてプロトイデアか……。恐らくペールゼイン博士がやろうとしたことは環境保護プログラムなんて生易しい物ではない」
「な……なんだって!?それじゃあ一体何を?」
「神じゃよ。ペールゼイン博士は恐らく人の手で神を創り上げ、人類の進化を促そうとしたのではないかとワシは考えるんじゃ……」
「神……ね……。それが本当なら俺は……」
「まあそんな暗い顔をするな!!おぬしは今まさに!!!魔王!!悪魔を打ち倒したんじゃ!!!!あんなイカれた規格外の化け物をぶっ倒せる者が勇者じゃなくてなんなのじゃ!!わはははははははは!!!!絶対勇者アヴゥスト―ラ完全復活じゃ!!!」
悪魔を撃退した快事と、ガウディ自身が憧れ続けた絶対勇者の正体がオルファンだった事に興奮と喜びを隠し切れないガウディは大はしゃぎする。
だが、オルファンは上空を険しい表情で睨みつける。
「盛り上がってるとこ悪いが、じいさん、東の上空、俺があの野郎を吹き飛ばした方向だ。歪な魔力な反応を感じる。スキャンしてくれ」
「なーにお!!心配性じゃのう!!!この広大なアサイラム大陸全土を灰塵に帰すような凄まじい魔術だったぞ!!!精霊魔術の極致5大魔現戒律じゃぞ!!あんなものを喰らって生き延びる生物なんてエゼルディア史を見渡してもこの世にありゃせんわい!!! んなっっっっっ!!!!!この反応!!!!
東の上空!!!!悪魔か!!!!そんな!!!馬鹿なああああああああ!!!」
「想定の範囲内ってとこだ。試したい事があったんでな。奴のエネルギー係数および魔力の増減に変化はあるか?」
「じょ、徐々に回復しておるが、依然は666666666666RGから一向に減らんかったが、今は40000000000程度に落ち込んでいる。魔力に関しては反応はある!!だがどうにも数値化できない!!わしが思うにやつのこの歪な魔力は身体を動かすサブエンジンのようなもの、あるいは幾多に超常現象に使う物なのやもしれん!!それにしても、もう奴の身体は再生不可能な程に消滅しかけておったのだぞ……!!!一体どのようにしてここまで復元を……!!」
「なるほどね……。エネルギーの増減はあるということか。今後も悪魔の解析は続けてくれ。そうら奴が来るぞ。もうひと踏ん張りってとこだな」
「し……しかし!!!アヴストゥ―ラ!!い……いやオルファンよ!!!今しがたおぬしが放った5大魔現戒律……!!触媒もなしにあんな超魔術を乱発しおってからに!!!お……おぬしのMPは……もう既に底をついているのではないのか!!?? そうすれば悪魔とまともに戦う事などとてもじゃないが……!!!」
「そんなものは借りればいい」
「借りればって……!!!」
「こうやってだ。水よ、大地よ、木よ、花よ、生きとし生ける全ての者よ。俺に魔力を分け与えてくれ……!!」
オルファンは目を瞑り念じる。暖かい優しい光にオルファンとソルレリアウスが包まれる。そうすると大自然のいたるところから優しい光が連なり、オルファンとソルレリアウスに集まってくる。
「みんなの気持ち受け取った。ありがとう……。いつも以上に回復したぜ」
オルファンの眼からうっすらと涙が流れる。
その奇跡にも似た現象にガウディは驚きを隠せない。
「な……なんということじゃ……!!!このような事が可能だとは……!!オルファンはまさに精霊をつかさどる王だということか!!」
グゥゥゥゥゥゥゥワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
上空から耳をつんざくような怒りの咆哮が鳴り響く。悪魔のものである。
オルファンの超魔術によって五体が破壊し尽されたが、自身の力を捻りだすように、失いかける意識を呼び覚ますように、上空でゆっくりと欠損した身体の一部、一部を再生、復元しようとする。だが、プルートゥのドラウグ二ィ―ルのヴァルムンクに叩き斬られた時のように、うまく再生できない。ある程度まで再生したが、オルファンの超魔術の威力が常軌を逸していて、悪魔の再生能力を上回っていたのだ。その証拠に右腕が欠損したままになっている。
ガアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
以前のように再生できない自身の身体をもどかしく思い、しばらく上空で怒りによって暴れ回るが、ふと冷静になり、今度はニヤリとほくそ笑み、果ては大いに嗤いだす。
ゲバハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!
そして上空から傷つきながらも、オルファンとソルレリアウスの元に轟音と共に帰ってきた悪魔右腕は欠損したままだ。舌なめずりをする悪魔
ガウディはその不死身ぶりに心底身を震わせ慄く。
「ひえええええええええええええ!!!マジで生きておった!!!!こやつの身体はどうなっておるんじゃ!!!!」
手招きをしてオルファンは悪魔を挑発する。
「どうだ?俺の超魔術のフルコースは!?喰いごたえがあっただろう?おやあ?悪魔の大将?右腕はどうしたい?お得意の再生能力は効かなかったのかい?再生できている箇所と、再生できていな箇所があるな?これでわかったぞ。お前のエネルギーは無限じゃない。有限だ。それを試すためにまずは全力でいかせてもらった。さてここからが本当の喧嘩だ。さ あ ど う す る ? 悪 魔 (ディアボロス)」
グァワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
しばらくお互い睨みあった後、猛烈な勢いで殴り合うオルファンのソルレリアウスと悪魔
オルファンの表情は充実し、かつての勇者としての尊厳を取り戻しつつあった。
つづく
読んでくださってありがとうございました!!なおディアボロスは不定期更新です。




