0-38話 第一次降魔事変 その4
久々の更新です。最近仕事が忙しくてなかなか更新できません。作家さんの中には学校や仕事に通っているのに毎日更新とかしている方もおられてとても尊敬しております。遅筆な自分にはとても無理です。のんびりした更新ですが、確実に着実に物語は進んでおります(本当か?)久々に覗いたら代わり映えしない評価点になんとポイント加算が!!やはりマイナージャンルとはいえちゃんと読んでくださる方はいるんだなあと。モチベーションが上がります。評価してくださって本当にありがとうございます。それでは38話のはじまりはじまり~!
うなだれ急速に力を失っていくプルートゥとドラウグ二ィ―ル。いきり立っている悪魔を前にして、大きな隙を晒すプルートゥのその致命的な行動に慌てて警鐘を鳴らすガウディ。
「プルートゥ!!プルートゥ!!メンタリティアクティべーションとバイタル反応が急速に低下しておる!!ダイレクトモーションリンクシステムは肉体と精神を一致させなければ稼働できないぞい!!ドラウグニィ―ルは動かなくなる!!!!き……聞いておるのか!?プルートゥ!!このままじゃあおぬしは悪魔に嬲り殺される!!」
プルートゥの瞳に既に光はなく、あるのは己が死を受け入れる諦観のみだった。
「ソフィー、レオ、シーザー。不甲斐ない父を許してくれ……!!もう……何も見えん……。何も……聞こえない……」
悪魔は死に体になったドラウグ二ィ―ルを思い切り殴り飛ばす。先ほどの重量感は何処へいったのか、紙細工のようにあっけなく装甲を散らしながら軽々と吹き飛んでいく。悪魔はプルートゥのドラウグ二ィ―ルをある程度の好敵手、あるいは程のいい遊び相手として認めていたのか、頭をカリカリと掻いた後、心底残念そうな表情を浮かべため息をつく。その様相に気づいたガウディは悪魔の酔狂な享楽ぶりに驚愕する。
「さ……さっきからなんなんじゃ!!こやつ!!土壇場で手を抜いたり、ま……まるでゲームに興じる子供のような……!!不気味な奴め!!こやつの正体がわからん!!一体何が目的なんじゃ!?」
さも壊れた玩具に興味はないと言わんばかりにトドメを刺す気でいる悪魔。悪魔の全身の筋肉が膨張し、大口を開け吼え始める。口の中には歪なまでの強大な牙と舌が蠢いている。
そのおぞましい悪魔の仕草に心底震えあがるガウディ。
「ま……まさか……!!こやつ……!!ギャラルホルンを飲み込んだように!!!間違いない!!!こやつ!!プルートゥを!!ドラウグ二ィ―ルをまるごと喰らう気じゃ!!!!!!逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!プルートゥ!!!!!!」
勢いよくドラウグ二ィ―ルにかぶりつこうとする悪魔
まさに風前の灯といえる危機的状況に陥ったプルートゥの命。プルートゥは死の際に走馬灯ともいえる幻を見ていた。
父さん!!こっち!!こっち!!すごいなあ。絶景だよ。こんな景色見た事ないぜ。なあ?シーザー?
兄さん!あんまり急いで走らないでよお。僕追いつけないよお。
シーザーはひ弱だからな。俺を見習いなさい。男たるもの強くないと女の子にモテないもんなんだぞ?
いーもん!僕強くなくたって音楽を聞きながら本を読んでいられればそれでいいんだい!
これだよ…。父さん。シーザーの軟弱ぶりはどうしてくれようか?それでもシュタインベック家の男か?お前は?情けない。
はっはっはっは。いいじゃないか。レオもシーザーもふたりともお互いにない、いいところがたくさんある。それを補い合って兄弟で助け合って生きていかなきゃな?
父さんにこう言われちゃあ仕方ない。一次休戦といくか?シーザー?
そうだね。兄さん。
じゃあ、仲直りの虫取り対決!!いいか?一番デカいカブトムシ獲った奴が優勝~!!よーいドン!!
ひゃっほー!!よーし!!負けないぞお!!
あなた。子供達が遊んでいるわ。今が戦時中なんて信じられない……。
そうだなぁ……。こんなにも穏やかな平穏を得られるなんて……。血に塗れた私にも希望はあったのだな……。
まあ。あなた。あなたは出会った頃から希望に満ち溢れていましたわ。ふふふ……。自分を睥睨する癖はいつまでたっても治りませんのね。…?あなた泣いているの?
なっ!?泣いてなんかいない!!!泣いてなんかいない!!ただ……ただ……子供達とお前を見ていると……愛おしくてな。この感情はとても言葉では言い現せない。
うふふふふ。プルートゥ。あなたは出会った頃から純粋なままだわ。かわいい人。
だからからかわないでくれ。私は一度たりとも自分をかわいいなどと思った事はないからな。全くお前には敵わない……。
ふふふふふ、あははははははははははは。
ほーら。シーザー。ヘラクレスボッゾカブトだぞ~~!!見ろよ?このデカさ!!この艶!!こいつこそ最強の昆虫だぜ?こいつはどっからどう見たって俺の勝ちだな!!
へへん。そう思ったでしょー?僕はこいつだーーー!!マトリウスオルトロンカブト!!!!どうだ。まいったか?レオ兄さん!!
うっそ!?マトリウスオルトロンって環境指定絶滅保護種でレアもレア、超激レアの昆虫じゃん!?しかもデケえ!!!図鑑でしか見たことないぜ……?こんなの……。ま……負けた……!!こ……この俺が……悔しい~~~。
やったーーーーーー!!!兄さんに初めて勝ったーーーー!!!やった!!やったーーー!!
待てよ待て待て!!こいつら戦わせてみようぜ?ここはひとつガチの勝負といかないか?シーザー?この勝負に勝った奴が本当の優勝!!
うんうんうん!!戦わせてみよう!!ヘラクレスボッゾVSマトリウスオルトロンの世紀の対決といこう!!すっごい!!昆虫好きのお友達からお金がとれるカードだよ!?
私は明後日の明朝には戦場に赴かなければならないが……。
はい。
オルファンが王になる事を決意したよ。新しい国の名は古代ファンダグラヴ語でイシュタリア。永遠の楽土という意味だ。
まあ……。オルファン様が遂に立たれるのね。
ああ……。長きに渡った戦争はもう終わる。もう離れ離れになることはない。これからは家族みんなずっと一緒だ……。
………はい。
今度はお前が泣いているな。
あなたと子供達ずっと一緒に暮らせるんですもの……。こんなに嬉しい事はありませんわ。
そうだな。私もそう思う……。
抱きしめう2人。死の際に見た走馬灯の一種かもしれない。しかしその儚い幻でも、家族全てを喪った復讐の旅の果てに燃え尽きたプルートゥにとっては片時の救いであったのは確かであった。
あなた……。
父さん……。
「お前たち……。そうか……。迎えにきてくれたのか……。こんな私の為に……世話を焼かせてしまったな……」
まさにプルートゥのドラグ二ィ―ルに悪魔が食らいつこうとする瞬間、プルートゥは静かに目を閉じる。絶叫するガウディ。
「プルートゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!いかん!!!ダメじゃあああああああああああああああああああああああああ!!!」
「 馬 鹿 が !!! 」
ボロボロになったドラウグ二ィ―ルの背を踏み台にして飛び上がり、悪魔を力強くそして圧倒的なスピードで縦横無尽に斬り刻む一騎の影がそこにあった。
グギャアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
ダークエンヴォルグと呼ばれる魔槍と、デッドリーブリンガーという長身の魔剣による卓越した斬撃の嵐はプルートゥの闘いで強化された悪魔をさえも手痛いダメージを負わせ後退せしめる。
その影の正体は漆黒の騎士王、ヴィクトルが駆るダークナイトメアであった。ヴィクトルはふてぶてしく悪魔に言い放つ。
「ふん……。プルートゥめ。腑抜けやがって所詮は勢いだけか。悪魔よ。悪かったな……。こんな腰抜けの相手をさせてしまった非礼は詫びよう。退屈だったろう?ここからは俺が貴様の相手をする。俺はこんな甘ちゃんとは出来が違うのでな。言っておくが、 俺 は 強 い ぞ ?」
グゴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
ダークナイトメアから斬り刻まれた箇所が徐々に徐々に修復していく悪魔。ため息混じりに呆れた表情でヴィクトルは嘆く。
「なんともふざけた身体をしているんだな。羨ましい限りだ。いや、おぞましいと言った方がいいのかな?好奇心からなんだが、ひとつ疑問がある。なあに。なんてことない素朴な疑問だ。貴様に問う。悪 魔 で も 恐 怖 は 感 じ る の か ?」
そう言った瞬間、ヴィクトルの顔の表情が、狂気を孕む歪んだ笑顔に変貌する。凄まじいスピードで悪魔に襲い掛かるヴィクトルのダークナイトメア。最早メタルスレイヴの常識を覆すほどの異常なスピードに達している。
そのスピードに翻弄され、一方的に斬り刻まれる悪魔。
グワギャアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
ヴィクトルは狂気の声を上げ相手を斬り刻み破壊していく快楽に身を委ねていく。
「デッドエンドストーム!!!ははははははははははは!!!どうだ?悪魔!!!痛いか!?痛いか!?痛いかああああああああああああ!!痛いかああああああああああああ???再生すればいいだろ?いくらでも再生すればいいんだ!!何度も何度も何度も何度も何度も何度も斬り刻んでやるぞおおおおおおおおおおおお!!!!ははははははははははははははははははははははははは!!」
アギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!グギャアアアアアアアアアアァァァァァァァァアアアアァアアアアアアアア!!
飛び回る蠅を叩き落とすように両腕をブンブン振り回す悪魔だが、余りのヴィクトルのダークナイトメアのスピードに振り回され、その実像を捉える事が出来ず、いいように斬り刻まれていく。
「あーーーはっはっはっはっはーーーー!!愉しい!!!俺は今!!!!貴様を斬り刻めて心底愉しいぞ!!悪魔!!お前も愉しんでいるか!?」
ヴィクトルは本来は騎士道精神に基づく義と誇りに溢れる騎士の中の騎士の性格を持っているといっていいのだが、それはあくまで通常の敵を相手にする時に限る。自身の想定を遥かに超える強さを持つ敵を相手にする時は時として理性のタガが外れ、闘いを心底愉しむ享楽かつ狂乱的で一方的な戦いを始める事も珍しくなかった。
その戦いぶりは、時に怒りの精霊ドゥバグの力を得る狂戦士プルートゥをも心底震え上げさせるほど圧倒的なものであった。
頭を振りながら我に返って、一方的に悪魔を斬り刻んでいるヴィクトルのダークナイトメアの姿を確認するプルートゥ。
「あれはダークナイトメア!!ヴィクトルか!!??余計な真似を!!」
ガウディはプルートゥのドラウグ二ィ―ルに対してあれほどの強さを見せつけた悪魔に全く怯みもせず一方的に圧倒するヴィクトルの胆力に驚きすくみあがる。
「ひっひええええええ……!!!ヴィクトルのやつ……!!な……なんちゅう……ふてぶてしい奴じゃ……!!あの体捌きは勿論のこと!何よりも精神的な強さであのバケモノを押し切っている!!なんて豪胆さじゃ!!!」
オルファンもヴィクトルのダークナイトメアの暴れっぷりを目の当たりにして嬉しいような怖いような複雑な心境になっていた。
「あっちゃあ……!ヴィクトルのドSスイッチ入っちゃったかー。普通なら悪魔に同情するところだが……、さっきのこともある。俺もフォローに回るか」
どれだけ両腕を振り回しても、いつまでたっても掠りもしない捉えられないヴィクトルのダークナイトメアに嫌気がさし、悪魔は怒号のような咆哮を発すると全身の筋肉が膨張し、身体がみるみるうちに強化されていった。
キンッ!!!!
鈍い金属音が周囲に響く。それはヴィクトルのダークナイトメアの魔槍ダークエンヴォルグと魔剣デッドリーブリンガーの刃が欠ける音だった。ヴィクトルは不満そうに呟く。
「おい……。刃が欠けてしまったぞ?どうしてくれるんだ?伝家の宝刀に傷をつけたのならフランシーヌに小言を言われる。なにより刃が通らなければ俺がつまらないじゃないか?お前を斬り刻む感触をもう味わえない」
途端に動きが止まるダークナイトメア。
フーフーと鼻息を荒くして、雄叫びを上げる悪魔。散々斬り刻まれた事に対し明らかに恨みを募らせ怒りを感じている。動きが止まったダークナイトメア相手に高速の拳の連打を繰り出す悪魔 ヴィクトルは全く怯みもせずに軽く微笑みを浮かべながら
「おおっと!怒ってるっていうのか?こいつは怖いな。軽く撫でただけじゃあないか?そんなに怒るなよ?気楽にいこうぜ?」
まるでダンスを踊るかのように、明後日の方向を見ながらろくに目視もせずに、超高速の動きで悪魔が繰り出す全ての拳の弾幕を悉く躱すヴィクトルのダークナイトメア。
そのダークナイトメアの神懸かり的な動きを見たプルートゥが悔しそうに言い放つ。
「何て勘と身のこなしだ!!私の眼をもってしてもヴィクトルのダークナイトメアの動きが見えん!!!化け物め!!」
同時にヴィクトルのダークナイトメアの冴え渡る動きに鳥肌が立っていたオルファンが思わず呟く。
「仕上がってる……!!今夜のヴィクトルは冴えてるぜ……!!」
悪魔の攻撃を躱しながらダークナイトメアは爆弾を手に取りだし、それを投げてはキャッチしながらヴィクトルは呟く。
「一計を案じるとするか。刃が通らないであればやり方はあるぞ。俺なりのやり方がな!プラズマディウス陽子試作爆弾。こいつはフランシーヌのお手製でな。威力がありすぎて実戦投入は遥か先だったが、悪魔お前なら気にいってくれると思うがな!!おおおおおおおおおおおおおお!!!!デッドエンドストーム!!!!」
再び凄まじいスピードで残像を多数繰り出しながら悪魔に迫るヴィクトルのダークナイトメア。筋肉が膨張し、身体硬化した悪魔の身体の各部位にプラズマディウス陽子試作爆弾の雨あられを投げつける。その瞬間、烈火の如き大爆発が悪魔の身体の各部位に襲い掛かる。
グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
そして戦術核にも匹敵する爆発で脆くなった悪魔の身体の各部位に圧倒的なスピードとパワーで再び斬り刻んでいくヴィクトルのダークナイトメア。悪魔の足から腰、背中と一気に斬り刻みながら上昇していくダークナイトメア。ここぞとばかりに叫ぶヴィクトル。
「ここだ!!貴 様 の 眼 を 貰 う ! ! ! ! 」
空高く舞い上がり、悪魔の両眼にダークエンヴォルグの魔槍とデッドリーブリンガーの魔剣を勢いよく突き刺すヴィクトルのダークナイトメア。
これにはたまらず悪魔も痛烈な痛みに思わず絶叫する。
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!
さらにヴィクトルが吼える。
「オイオイオイオイオイオイオイ?何を一丁前に痛がっているんだ?これで終わりだと思うのか?まさかだろ?ここからが本当の攻撃というものだああああああああああああああ!!!!!レイジングゥゥゥゥゥゥボルトォォォォォォォォォ!!!!!!」
ダークエンヴォルグとデッドリーブリンガーから数百万ボルトの超高圧電流が流れる。たまらずのたうち回る悪魔
アアアァガガガガガガガガガガガガガ!!!アガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!ギャアァアアアアアアアアズアアアアアアアアアス!!
「これで貴様の両眼は確実に潰れたああああああああああ!!!見えまい!!俺の動きが!!!!」
更にスピードとパワーを上げ悪魔を滅多斬りにするヴィクトルのダークナイトメア。悪魔は両眼が潰されているのでダークナイトメアの姿すら確認ができない。勝利を確信したヴィクトルが叫ぶ。
「悪魔!!!御首級!!頂 戴 致す !!!」
ヴィクトルのダークナイトメアが魔剣デッドリ―ブリンガーを勢いよく悪魔の首筋に横一文字に薙ぎ払う形でぶち当てる。
「唸れ!!!我が魔剣よ!!デッドリーチェインサー!!」
数百万ボルトの超高圧電流を纏いながら魔剣デッドリーブリンガーの刃のギミックが解放されチェインソーのように高速振動しながら悪魔の首筋をゴリゴリゴキゴキと骨ごと削りへし折るかのような勢いで薙ぎ払っていく。恐怖に慄くような表情をし絶叫する悪魔その様子をじっくりと観察し狂喜に打ち震えるヴィクトル。
アギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
「わかる!!わかるぞ!!悪魔!!今貴様は恐怖を感じているのだな!!ふははははははははははは!!!怖かろう!!楽しみだ!!首を刎ねられた後絶望し、そのまま朽ち果てるのか!?それとも首を刎ねられた後、再び再生するのか??どちらも見物だ!!俺はどちらでも構わない!!再生したのであれば何度でも斬り伏せるのみよ!!悪魔の断末魔を俺に聞かせろ!!ディィィアボロスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
その刹那、両眼を潰された悪魔はヴィクトルのダークナイトメアに向かって手のひらを前に出しかざすような仕草を見せる。怪訝に思うヴィクトル。
「ふん!!所詮は苦し紛れよ!!貴様の死は最早逃れられない運命だ!!」
突如、悪魔の手のひらにギョロギョロとした巨大な瞳が浮かび上がり、ヴィクトルのダークナイトメアを手のひらの瞳で確認すると、悪魔の口元が歪む。その瞬間、強大な尻尾を即座に振り回す悪魔、ヴィクトルのダークナイトメアは悪魔の底知れぬ生態と意外な攻撃方法に意表をつかれ回避が間に合わない。
「バカな!!!!両眼とも潰したはずだあああああ!!!ぐはああああああああああああああああああ!!!!」
強大な尻尾の痛烈な一撃をまともに喰らってしまい、一気にはじきとばされてしまうヴィクトルのダークナイトメア。地面に叩きつけられ、かろうじて立ち上がるが、ダメージは深く、血まみれのヴィクトルは悪魔が秘める異常なまでの破壊力に改めて驚愕する。
「ぐうう……!!!!この日の為にあつらったアクティブ・ダークフルアーマーが、い……一撃で……!!信じられん破壊力だ……!!プルートゥのバカめ!!よくもあんな化け物と真っ向から殴り合いをしたものだ!!俺のダークナイトメアは運動性を重視した一撃離脱かつ変幻自在の高速戦闘機体だ!!従来のメタルスレイヴの攻撃ならわけないが、あんな規格外の化け物の一撃には耐えられるようには出来ていないってわけか!!」
両眼を潰された悪魔はズンズンと這いつくばるヴィクトルのダークナイトメアににじり寄る。悪魔全身の身体の部位に眼という眼が浮かび上がり、ギョロギョロと一斉にヴィクトルのダークナイトメアを見据える。その異常な光景に逆に言いようのない恐怖を覚えるヴィクトル。
「し……心底おぞましい野郎だ!!これが悪魔の所業というやつか!!俺が培ってきた常識は最早一遍たりともこいつには通用せんという事か!!」
やがて身構え、ヴィクトルのダークナイトメアに向かって一気に飛びかかってくる悪魔その動きはかつてヴィクトルのダークナイトメアが放ったデッドエンドストームの動きに酷似していた。ヴィクトルが悔しそうに唸る。
「なるほどな……。相手の技を盗み自分の物にするか……!小賢しい!プルートゥがムキになって正面からの殴り合いに応じたのも解る気がするぜ……!!修練に修練を重ねやっとのことで体得した妙技をコケにされた気分だ。だがその程度のでスピードで俺のデッドエンドストームを真似たつもりか?どちらにせよ俺のダークナイトメアはお前の攻撃をあと一撃でも貰えばおしゃかだ。迎え撃ってやるぞ!!悪魔!!死に際の集中力というのを見せてやる!!デッドエンドォォォォォォォストォォォォォォォォォォム極!!!!!」
超必殺の構えからパワーを溜め一気に解放し、ヴィクトルのダークナイトメアのデッドエンドストーム極と悪魔のデッドエンドストームが激しくぶつかり合う。
ヴィクトルが叫ぶ。
「ぐううううううううううううううううう!!!俺のトップギアについてくるとは!!!!褒めてやるぞ!!悪魔!!だがここからだ!!ダークナイトメアよ!!お前もわかっているだろう!!ここが勝負どころだ!!限界を越えろおおおお!!オルファン!!プルートゥ!!俺は差し違えてもこいつの動きを止めてみせる!!!その隙に一気にやるんだあああああああああああ!!!いいなあああああああ!?」
命を賭して悪魔に相対し、死力の一撃を繰り出そうとするヴィクトルのダークナイトメア。その瞬間、悪魔のスピードがヴィクトルのダークナイトメアを遥かに超えて一気に爆速する。死を覚悟するヴィクトル。
「バカなああああああああああ!!!俺の技!!俺のスピードの遥か上を……!!!やられる!!!!???」
「超級霊機守護領域結界!!!!」
突如、オルファンの魔術の詠唱が周囲に響き渡る。
悪魔の唸りを上げた恐るべき剛腕がヴィクトルのダークナイトメアに直撃する前にオルファンの魔術の結界がそれを守護していた。
??????????????????????????
悪魔は小首をかしげ、この魔術防壁結界が一体なんなのかわからず苦悩している。オルファンはヴィクトルに言ってきかせる。
「よく頑張ったなヴィクトル!!だがまだ命を捨てる時じゃない。俺がいる」
いつもおどけているオルファンから笑みが消えている。オルファンの内に秘める圧倒的な魔力をビリビリと感じ、鳥肌が立っていくヴィクトル。オルファンとソルレリアスの堂々たるその姿からある種の神々しささえ感じられる。精霊王たる全能の力の覚醒の時は近かった。
続けてオルファンがヴィクトルに語り掛ける。
「ヴィクトル。プルートゥを頼む。俺は悪魔にちょっとした挨拶をしてくるよ。やっこさんの化け物ぶりは相当なもんだから、プルートゥを連れて早めに合流してくれ。なあに。いつも通りだよ。俺達3人とDBCのみんなで勝つ。俺達3人が力を合わせれば倒せない敵などいない」
「わかった……。プルートゥを連れて一次離脱し、体勢を整えた後、なるべき速く合流する」
「頼む」
ヴィクトルのダークナイトメアはプルートゥのドラウグ二ィ―ルの巨体の手を引き牽引するようにひとまず悪魔との戦闘区域から離脱する。ヴィクトルが本気になっていくオルファンの様相に狂喜する。
「ふふふ……はははははははは!!!オルファンが本気になっている。英雄戦争以来だ!!精霊王の力……!!悪魔!!貴様もこれでおしまいだ!!!ははははははははははは!!!」
腕組をして宙に浮いている。まさに王の貫禄を誇るオルファン駆るソルレリアスと悪魔がついに相対する。オルファンは悪魔を見据えて口を開く。
「真打の登場だ!!かかってきな!!悪魔!!予感がするぜ……。俺とお前が殴り合えばそれは史上最高の決戦になるってな!!ここからが本番だ!!魔力解放ォォォォォォォ!!!!」
ソルレリアスから迸る絶大な魔力の奔流の渦が発生する。悪魔はそれをしげしげと見つめた後、オルファンのソルレリアスを好敵手または新しい玩具と認めたのか。狂喜乱舞するかのような雄叫びを上げる。
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!
イシュタリアの一番長い夜が、壮絶な戦いが今始まるのである。
つづく
読んでくださってありがとうございます!!評価、感想待ってまーす。尚ディアボロスは不定期更新です。




