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ディアボロス  作者: HEN
episode 1 イシュタリアの精霊王
35/71

0-35話  第一次降魔事変  その1

一応ブラッディファントムとの戦いが一区切りついたのでここでちょっと別の話をやろうということになりまして、以前から設定だけはあった物語を書きたかったので強引に入れてみましたw過去のお話ですね。この物語が終わったら、またドイル、グレイヴ視点に戻ります。テンポよくいきたいですなあ……。自信ないけど……wそれでは35話のはじまりはじまり~!!

イシュタリアは元来、イシュタリア建国の発端ともいえる英雄戦争を勝ち抜いた精霊王エレメンタルロードオルファン・ジェクシム・イシュタリアという名の王による専制政治を取り仕切っていた。その有り体は事実上の王による独裁政治であり、慈愛に満ち、政腕に優れた王であればこれ以上ない政治体制と言えるかもしれないが、王の正体が暴君、暗愚の類であるのであれば一気に国は傾き、低迷する危うさを秘めていた。



結果的に王オルファンはイシュタリアに善政を敷いた名君に成り得ていたが、今後万が一の事を想定し、王に権力が集中しすぎないため、あるいは行き過ぎた独裁を制御する為にイシュタリアの中でも選りすぐりの六人の賢者達から構成される元老院という組織がまずは作られた。当初は王と元老院の賢者達の志はひとつで、むしろ王の意志をよりよく円滑に執行する為の組織として機能したが次第に王と元老院の六人の賢者達は仲違いをしだし、元老院の賢者たちは自身の息のかかった各政党の議員が論議を交わし政策を決定する議会を作り、更に大統領府を創設し、その長として民主共和党の党首であるフランク・ブリュ―デルを初代大統領に任命した。イシュタリアには奇しくも、専王制と大統領制のふたつが混在する政治系統になってしまい、王をはじめとするイシュタリアの王族や、元老院の賢者達、各政党の勢力や派閥のパワーバランスや駆け引きは日増しにより複雑により過激になっていった。



そんな中、王であるオルファンが謎の失踪後、まさかの事故による不慮の死を遂げる。表向きは諸外国訪問の際に搭乗した旅客機の墜落事故という名目だが、遺体は未だに見つかっていない。事の真相は迫りくる邪悪の化身、悪魔(ディアボロス)から民を守る為に挑み戦い、その身を散らしたのである。悪魔(ディアボロス)の超常たる力を利用し、世界の支配を企む元老院の六賢者達はその事実を悪魔(ディアボロス)の存在ごと隠蔽し、魔術と科学の融合たる記憶改竄システムを「ジェクター」を使い国民の記憶の改竄を行い、徹底したマスメディアの情報操作を駆使し欺いた。



真実を知らない哀れな国民は何にせよ。建国の英雄でありイシュタリアの初代王の訃報を大いに哀しんだという。盛大な国葬が取りなされた後、オルファン王の後を妻であるユリ―シャが引き継ぎ女王に即位したという経緯がある。専王政と大統領制が混在しているように、女王ユリ―シャを筆頭にイシュタリアの王族が行政を取り仕切りる王都オブリヴィアンと、元老院が操る大統領フランクを筆頭とする各政党の政治家が行政を取り仕切る首都パラメディ―ルとで分かれてしまっている。元老院は日に日に権力を手中に収め、大統領を傀儡としてイシュタリアいや、アサイラム大陸そのものを影で支配、牛耳る為に影の秘密結社「アーク・レギオン」を結成し縦横無尽に暗躍していた。このままではイシュタリアは2つに分かれてしまう事と、これ以上元老院の六賢者達の暴走を許してはならないと亡きオルファン王の後を継ぐ女王ユリ―シャは悪魔(ディアボロス)との壮絶な戦いをただひとり生き残ったオルファンの無二の戦友、イシュタリアの生ける伝説。反逆の狂戦士。戦神プルートゥと共に立ち上がる。



これは今より約3年前の出来事である。



王都オブリヴィアンのグランモーデル城の王座に女王は鎮座していた。以前にオルファン・プルートゥ・ヴィクトルが悪魔(ディアボロス)と戦った後に第一次降魔事変と呼ばれる大決戦でオルファンが死に、ヴィクトルが死に、プルートゥだけが命からがら逃げ帰ってきた時、採取した悪魔(ディアボロス)の皮膚の一部を女王ユーリシャが握りしめ、目を瞑り、魔力を集中させている。


元々、女王ユリ―シャも、王になる前の勇者としていくつもの冒険を旅してきたオルファンの若き頃からの旧知かつ仲間であり、膨大な魔力を秘めた希代の魔術士であった。イシュタリアの奇跡と言われるほどの数々の魔術を過去に披露してきた経緯もある。もっとも英雄戦争を終結させ、イシュタリアを建国した後は、できるだけ魔術に頼らず、国民の生きる力を育てるという前王オルファンの信念に従って民の前では余り大きな魔術を行使していなかった上、魔術を一部トリックや手品と揶揄し、王族批判をする者も少なくなく、なにより、魔術によって求心力を高める王族を恐れた元老院の情報操作によって国民の中で王族が魔術を行使できる事は微々たるアクセント程度のものに収まっていた。



悪魔(ディアロス)の皮膚の一部を握りしめ、更に魔力を集中させる女王ユリ―シャ。その様子を心配そうに伺うプルートゥの姿があった。



「女王陛下……!!何卒ご無理はなさらないようお願い申し上げます……!!対峙した私だからこそあの悪魔(ディボロスの恐ろしさがはっきりとわかります!!悪魔(ディアボロス)はこの世の物とは思えぬ力を有しており、その全てが我々を想定の遥かに超えていました!!奴めの皮膚のほんの一部といっても女王陛下に危険がないとは断言できません!!今すぐ魔術霊視をお取りやめますようこのプルートゥ!!無礼を承知で申し上げます!!」




目を瞑り、眉間にしわをよせ、更に魔力を集中させる女王ユリ―シャがプルートゥの諫言を静かに退ける。



「いいえだからこそなのです。プルートゥ。女王である私には世界の脅威となる邪悪の化身、悪魔(ディアボロス)の正体を見極める義務がある。そしてこの眼に焼き付けなくてはいけません。我が夫、オルファンがいかに戦い、いかに散っていったのかを!!王たる者のその生き様を後世のイシュタリアの民に伝えていくのは紛れもない私の役目!!!フレ―ド・アニティア・ウルブレフ・アニミズス……!!汝の古き記憶を呼び覚ましたまえ……!!魔術霊視サイ・ビジョン)!!」




ユリ―シャの得意とする魔術のひとつに、一部の触媒から、そのイメージや記憶を取り出し映像として自身の精神に焼き付ける。魔術霊視サイ・ビジョン)と呼ばれる魔術があった。女王ユリ―シャは悪魔(ディアボロス)の皮膚からその記憶の断片を抜き取り、イメージとして顕現させようとしていたのだ。




「あ……アレが……悪魔(ディアボロス)!!!???な……なんて禍々しい異形の生物……!!更に見えます……!!貴方たちの大いなる闘いが……!!ああああああ!!!」




今から語られる物語はユリ―シャが悪魔(ディアボロスの皮膚の一部から呼び覚ます記憶の断片である。




豪雨まき散らす嵐の中、爆炎の中から現れる強大かつ畏怖すべき異様な影があった。その影の実態は……大きい。余りにも巨大である。全長は200Mをゆうに超えている。二足歩行で大地に堂々と立ち、身体は黒い禍々しい体毛で覆われ、筋骨隆々に引き締まっており、頭は遠目には牛や獅子に雰囲気は似ているものの、近場で見ればやはりどれとも似つかわしくない。この世の全ての邪悪と狂気を体現したかのような恐ろしい悪鬼のような形相。まさに悪魔(ディアボロス)と呼ぶのに相応しい正体不明の生物であった。



悪魔(ディアボロス)が大地を飲み込むが如き大口を開け、耳をつんざき、魂ごと消滅させるような、この世の物とは思えない不吉な叫び声を上げる。



グワアアアアアアアアアオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアア!!



数多の精霊の加護を受け、精霊王(エレメンタルロードと呼ばれ英雄戦争を制したイシュタリア究極の機動兵器ローグ・オブ・ソーサリアン、ソルレリアスを駆るイシュタリアの王であるオルファンが叫ぶ。



「なんつーデカさだ!!いまだかつて感じた事がないとてつもない邪気を感じるぜ!!この圧倒的な力!!オブライエンたちが欲しがるわけだ……!!こんなもんが本当にこの世に存在してたなんてな………!!ふふふふ……あははははは……!!血が滾ってきたぜ!!昔を思い出すな!!プルートゥ!!」



古代の遺跡から発掘されたオーパーツを元に、イシュタリアが誇る天才科学者ガウディ・ストラマーが心血を注ぎ作り上げたハイ・メタルスレイヴ・オーバーサイズと呼ばれる全長100mを越える対悪魔(ディアボロス)超ド級人型決戦機動兵器。ドラウグ二ィ―ルを駆るプルートゥが答える。



「私は……こいつと相まみえるのはこれで二度目だ!!!私の故郷ルクテンベルグはこの悪魔(ディアボロス)によって滅ぼされたのだ!!!女も子供もほとんど皆殺しだった!!!!妻ソフィーも息子であるレオも喰い殺された!!!レオの弟シーザーだってあの事件がなければ今頃は……!!!!今度こそ絶対に逃がさんぞ!!悪魔(ディアボロスめえええええ!!皆の無念を今こそ晴らし仇を討ってみせる!!!!」



もう一人の天才科学者・フランシーヌ・ミコッティが作り上げたハイ・メタルスレイヴ。従来の機動兵器の機動性、格闘能力を遥かに超越した漆黒の騎士王、ダークナイトメアを駆るヴィクトルが悪魔(ディアボロス)を目の当たりにして昂るプルートゥを諫める。



「プルートゥ!!!冷静さを欠いているぞ!!そんなザマじゃ悪魔(ディアボロスのいい的だ!!奴は心の隙に忍び寄り一気に喰い殺す!!!」




オルファン、プルートゥ、ヴィクトルが結成した私設部隊「DBCデビル・バスター・クルセイダース)」の部隊に、総大将であるオルファンが号令をかける。



「ここから先に行かせるな!!!この先にはイシュタリアの首都パラメディ―ルだ!!絶対にここで喰い止めるぞ!!全軍一斉掃射!!!撃てええええええええええ!!!」




ゲオギルダ級の巨大戦艦、数十隻とDBCの主力メタルスレイヴ、数百機のRC-アルケインが悪魔(ディアボロスに向かって一斉攻撃を仕掛ける。悪魔(ディアボロス)は多少怯んだ素振りを見せるも、その一斉射撃を押し返すかのごとく前方を向き直り、けたたましく吠え始める。




ガアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!




その怒号のような尋常ではない声量の叫び声は、機動兵器に搭乗しているDBCの兵達の鼓膜を直接を破り去るかのような勢いであり、一斉攻撃に支障が出始める。オルファンはその余りのうるささに耳を両手で抑え絶叫する。



「なんだあの野郎!!うるせえええええええええええええええええ!!!!ソルレリアスの中にいるのに直接ここまで響いてくるぞ!!どうなってんだ!?」



ヴィクトルはおどけた顔のオルファンを叱咤する。



「警戒しろ!!オルファン!!来るぞおおおおおおおおおおおおおおお!!構えろおおおおおおお!!」



一斉射撃を物ともせずに唐突に勢いよく前方に猛獣のように四足で走り出す悪魔(ディアボロス。その200mの巨躯に似合わず、身のこなしは抜群に素早く地鳴りを響かせ、一気に距離を詰てくる。



その動きにオルファンのソルレリアスは慌てて聖剣エグゼクトを抜刀し臨戦態勢を取った。



「はえええええええええええ!!デカブツの動きじゃねえぞ!!!ありゃあ!!」



オルファンのソルレリアスと、ヴィクトルのダークナイトメアの前に立ち塞がるプルートゥのドラウグニィ―ルの威圧感のある後ろ姿が見える。プルートゥの表情が余りの怒りによって狂気を孕んだ鬼気迫る表情に変貌していた。



「オルファン、ヴィクトル!!ここは私に任せろ!!!奴との因縁はこのヴァルムンクによって断ち切る!!おおおおおおおおおおおおおおお!!!」



全長100mを越えるドラウグニィ―ルが後背部に網羅されたブースターを全開で吹かしながら猛然と悪魔(ディボロスに立ち向かっていく。ヴィクトルがプルートゥの単独行動に頭を抱える。



「プルートゥ!!!貴様あああああああ!!勝手な行動はいかんとアレほど……!!」



ヴィクトルのダークナイトメアの肩に手をやって左右に首を振るオルファンのソルレリアス。



「ダメだ。ありゃあマジでキレてる。止めても無駄だわ。あいつがあんなに怒りを露わにするなんざ久しぶりだぜ……。あいつの狂化戦士形態モード・ベルセルクが暴走しなきゃいいけど。俺が一番こええのは実は悪魔(ディボロス)の大将じゃなくて暴走した時のあいつだったりする。なんにせよ最初から最後までほっとけねえ危なっかしいやつにやぁ変わりねえな。援護すっぞ!?用意はいいか?ヴィクトル!!」



無邪気ににっこりと笑うオルファンにやれやれと苦笑いを返すヴィクトル。



「お前なあ。悪魔(ディアボロス)だぞ!?あの悪魔ディボロスに相対する死地の中の死地!いわば人類の存続を賭けた最終決戦というのにお前は呆れるほどいつも通りなんだな……。敵わないよ。お前には。ははははは……!!よし!!俺たちは生きる時も死ぬ時も一緒だ!!」



オルファンは更に大笑いをし、ヴィクトルのダークナイトメアの肩をバンバンと叩く。



「おうとも!!義兄弟きょうだい!!あの胸クソ悪い悪魔を早いとこぶっ倒して、みんなで飲もうや!!遠慮はすんなよ!?全部俺の奢りだからさ!!わははははははは!!」



これがオルファンという人である。一見お調子者然とした一国の王らしからぬ風情であるが、その実、どこまでも自然体で、どこまでも雄大で、どこまでも明るく、優しく、そして強い。真の勇気を兼ね備えた王の中の王の器の持ち主で、元は異民族同士の血で血を洗う永久に終わる事のないと思われた戦争を終わらせ、イシュタリアというひとつの国と、10を越える異人種感の融和を以てして差別を撤廃し、イシュタリア人としての生き方を解き、真に実現させた奇跡の人がオルファンである。


長い歴史、即ちエゼルディア歴の中でもイレギュラーに近い悪魔(ディボロス)との戦いを含め、その実、争いの歴史といっていい中、平和を求めて戦いその理想を実現させたオルファンはエゼルディア歴の中でも稀有な英傑であった。



先駆けて一身不乱に悪魔(ディボロスに突っ込んでいったプルートゥのドラグニィ―ルの後を追う、オルファンのソルレリアスとヴィクトルのダークナイトメアの姿がそこにあった。猛然とブースターの出力を上げ更に勢いを増して駆け抜けるプルートのドラウグニィールと、猛獣のように四足で凄まじい勢いに乗って駆け出してくる悪魔(ディアボロス。遂に両雄の肩が激しくぶつかり合う。お互い100mを越える巨体だけに、強大な山岩が激しくぶつかったかのような錯覚を覚える程の凄まじい衝撃が周囲に響く。DBC隊のアルケインの数十体はその衝撃に吹き飛ばされ、ゲオギルダ級の戦艦も制御が一時不安定になる。



ドラウグニィ―ルと悪魔(ディボロスお互い一歩も引かず、肩をぶつけ合った姿勢から直立し居直り、額が密着するほど接近し睨み合う。プルートゥが激昂する。




「よ う や く 逢 え た な ! ! 悪 魔 ( デ ィ ア ボ ロ ス)! !」




プルートゥが悪魔(ディボロスの悪辣な顔を直視するや否や、プルートゥの表情が更に怒りに震え変貌していく。ドス黒い闇の怒りのオーラがプルートゥの身体に纏わりつく。プルートゥの魂に巣食う怒りの妖精ドゥバグによる狂戦士に至る狂化はもう始まっていた。




表の歴史では決して語られる事のない人類 対 悪魔(ディアボロス)、凄絶なる世紀の決戦の幕が今、切って落されたのであった。





つづく。


























































読んでくださってありがとうございました!!なおディアボロスは不定期更新です。

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