0-30話 バウンティディヴィジョン ヴァナティック邸の攻防 その29
やっと30話更新でございます。おお遂にこのディアボロスも30話の大台ですかー。これからも不定期更新でのんびり頑張っていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。敵兵の数は適当すぎてすみません。一通り書いてからなんとなく調整します。ドイルとグレイヴがまさか賭けをやりだすなんて思ってもなかったからさ…。キャラが勝手に動くって本当なんだなあと。
グレイヴ機の周囲を中心に、耳をつんざくような轟音と共に悪夢のような大爆発が次々と起こった。
とっておきの上級コードを今に発動させんがために、魔力を全身に集中させているドイルが、目の前に起こった壮絶な光景を見て、大口を開けて唖然としている。
爆発の衝撃の余波がドイル機の機体の全身を襲う、この熱量、衝撃ともに通常の爆弾ではない事が見て取れる。魔力の集中が一瞬切れ、機体ごと数メートルは吹き飛ばされるドイル。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!????ラッキー!!!!何が起こった!!!???この爆発はあああああああああああ!?まさか!!??」
ラッキーも真っ青な顔で状況を分析し、ドイルに解説を試みる。
「な……なんてことだ……!!プラズマディウス陽子爆弾はあれだけじゃあなかったんだ……!!あいつら……!!AIが乗ってるスレイヴの背中に爆弾を組み込んで次々とメガネ兄ちゃんのデスペラードに特攻を決め込んだんだ……!!信じれられねえ……!!なんて恐ろしい事考えやがるんだ……!!」
爆風の衝撃から逃れ、なんとか体勢を立て直し、また魔力を機体に集中し始めるドイル機。
「敵さんも追い詰められて、もう勝つためにはなりふりかまってられねえってわけか!!いい根性してるわ!!あーあー!あの野郎調子に乗るからこうなっちまうんだ!自業自得ってやつだぜ!」
「しっかしなんて爆発だ……!!こんなのデータベースでしか見たことねえよ!あの爆発を至近距離で喰らっちまったんだ……!進化したデスペラードだって跡形も残ってないだろう……!!気の毒だがメガネ兄ちゃんだって……!」
「どうかな?」
「どうかなって……?アニキも見ただろ!?あの大爆発だぞ!?ジレ・マーヴェラス級の大型戦艦だってあんなもん喰らったら沈みかねないほどの圧倒的な破壊力だ!!そもそも17m級のいち人型機動兵器に使うような兵器じゃないんだって……!!いくら魔術が使えるからって限度があらあな!」
「……いいか?ラッキー。俺が本気で殴ったら基本敵は死ぬ。これは確定的に明らかだ。だがあのメガネバカは俺が殴れば殴るほど死ぬどころかムキになって殴り返してくる。この意味わかるか?」
「?……わかんねえ……どういうこと?」
「奴は俺が決着をつけなきゃならねえ相手って事さ。賭けてんだよ。奴はこの賭けをおっぽりだしてひとりでくたばるようなマヌケじゃねえ」
「????????」
「あいつを殺れるのは俺だけで、俺を殺れるのは、おおまけにまけて、いまんとこあいつだけだ。 立つぜあいつは」
「そ……そんなバカな!!」
悪夢のような大爆発の後、グレイヴ機の機体のダメージは計り知しれない。外部装甲はすっかり焼け落ち、ズタズタになっており、左腕、右足が跡形もなく吹き飛んでいて、見るも無残な様相を呈している。爆発の衝撃が機体に直撃する瞬間に上級魔術守護領域を張ったのが功を奏していたのか、かろうじてコクピットは形を残していた。
全身血だらけになって操縦席にうなだれているグレイヴ。当然の如く意識はない。
「ううう……!!うううう」
サポートAIであるオルブライトが先に目を覚ます。実態のあるイメージホログラフとしてのサポートAIは生身の肉体のグレイヴと違い、ダメージが比較的少ない。
「グレイヴ様……!!何という事!!!意識が既に……!!脈拍、呼吸も止まっている……!!いけません!!電気ショック!!!心臓マッサージを!!」
電気ショックを発生する救命装置を取り出し、グレイヴの胸に何度も押し当て、装置を起動するも、グレイヴの意識は戻らない。救命装置を外し、直に両手で心臓マッサージを懸命に施すオルブライト。
「がっはっ!!!ああ…!!俺は……負けない……!!俺はもう……誰にも負けてはならないんだ……!!」
グレイヴは一瞬息を吹き返し、強い力でオルブライトの襟首を掴むも、すぐ意識を失いうなだれる。
「おおお!!グレイヴ様!!お目覚めですか!?お気を確かに!!このオブライトめが貴方様を必ずやお助けしま……ああ!!グレイヴ様!!……また意識が……!!なんと……致命傷というわけですか……!!このままでは……!!」
(………汝……道……は……引き返……こと……できぬ……)
「例の女性の声が聞こえる……。デスペラードのブラックボックスからの真理の声、悪魔を滅する為に作られたデスペラードにおける、わたくしの役割は一体なんでしょうか?恐らく常識を超えた古の魔術を秘めたブラックボックスからの真の力を、パイロットであるグレイヴ様に伝える仲介役、いわば翻訳機……!!わたくしの考えが間違っていないのであれば……シーケンス1456324!リバースコードマニファクチュア!ワーズ&ワース!定型疑似呪文代入!"豊穣の大地よ、依るべき肉体を癒した賜え、新たなる活力と勇気を持たらさん! 特殊魔施治癒"」
オルブライトの仮初めの身体が妖しく光る。光を纏った両手をグレイヴの深い傷に優しく当てるとみるみるうちにグレイヴの傷が塞がっていく。
「やはりわたくしの推測は正しかった!!わたくしの今の役割がデスペラードのサポートAIであるのであればデスペラードのシステムを通してある程度までなら魔術を行使できる!!」
「あ……オルブライト……!!お……お前も魔術を……また……お前に助けられるとは……」
「グレイヴ様!!良かった!一命をとりとめられたようですね……!!」
グレイヴが周りを見回しながらオルブライトに問いかける。
「……状況は……?」
オルブライトは目を伏せ、切々と今の状況をグレイヴに説明する。
「最悪極まりありません。ドイル王子に一時的にねじ伏せられた時よりも更に絶望的な状況です。爆破の瞬間にフォースフィールドを張ったので、完全大破だけは免れましたが、左腕と右足が跡形もなく吹き飛んでおり、外部装甲も全て焼け落ちております。フォースエーテルリアクターからのエネルギーの外部供給も一部シャットアウトされていて出力が安定しません。いや、ひょっとしたらかの悪名高いプラズマディウス陽子爆弾を、まともに喰らったわけですから、この程度で済んでむしろ奇跡的と言ってもいいかもしれませんね……」
「動けそうか……?」
「辛うじて通常歩行は可能ではあると思われますが、戦闘は到底できそうにありません……。グレイヴ様……!奴らがプラズマディウス陽子爆弾というタブーを行使するのであれば話は別です!グレイヴ様の本意ではないとは思われますが、ここは早急に撤退を……!」
「ドイル……との……勝負が……まだ終わっていない……!」
「グレイヴ様……!!まだそのような事を……!この状況では戦闘の続行などとても……!」
「オルブライト……!俺の眼を見ろ」
グレイヴの眼が紅く光る。そしてグレイヴの身体から以前にも増して強い魔力のオーラがほとばしる。驚き、後退るオルブライト。
「この強大な魔力……!!以前よりも遥かに……!!!」
狂気を含んだ笑みを浮かべるグレイヴ。
「ふふふ……!!理解できてきたぞ……!!デスペラード、いやブラックボックスの主に選ばれたパイロットの魔力を引き出すにはそれぞれ別個のやり方がある!感じるぞ……!!ドイルの強い魔力を感じる……!!以前は感じなかったが……!!ドイル恐らく自らの激しい感情を爆発させる事で魔力を爆発的に高めている。もうわかった……!!俺は……俺は…… 追 い 詰 め ら れ る 事だ!追い詰められる事によって俺の魔力は爆発的に高まっていくんだ!!プライドを根こそぎ持って行かれるような取り繕ういとまのない命がけの戦い、強くなるわけだぜ……!!ドイルとの一騎打ちには確かにそれがあった!!」
「グ……グレイヴ様……!!お気持ちはわかりますが今は窮地の中の窮地です!冷静になられて……!」
その瞬間、グレイヴとオルブライトふたりの脳内に例の声が響く。
(真 な る コ ー ド を 唱 え な さ い !!)
頭を抑えながら微かな口調の変化にオルブライトが気付く。
「またデスペラードの声が頭に強く響く!!ちょっと待ってください……!!真なるコード……!!真なるコードとは一体?」
冷静に自身の推測を語り出すグレイヴ。グレイヴの声と心なしか何者かの女性との声がタブって聞こえる。
「前音が掻き消えていたんだな。真なるコードとはブラックボックスの解呪コードだ。魔力がより強くなるとブラックボックスの主からの声が淀みなくはっきり聞こえ、俺たちに何をさせたいのか理解できるようになる。今の俺の魔力ならばその真意を聞くことができる。ブラックボックスの解呪コードを引き出すには何が必要なのか?それは膨大な魔力だ!膨大な魔力をブラックボックスのコアに注入する。魔力を集中する、解放、放出する。魔術を行使する。これらの行為すべてがブラックボックスの封印を解く鍵となるのだ。その先にあるのは悪魔を滅する事が出来るデスペラードの最終形態……!!」
「な……なんと……!!グレイヴ様は……既にデスペラードのブラックボックスの本質を見抜かれて……!?」
オルブライトは状況が状況だけにグレイヴの考えをひとまず棚に上げ、この場から撤退し、一刻も早く窮地を脱したいところだが、より高まっていくグレイヴの膨大な魔力に気圧されていた。
「オルブライト……!!俺は逃げない!!ドイルとの勝負にも!!このデスペラードからも!!俺が……デスペラードのブラックボックスの封印を解き、その力を開放する!」
「この状況、危険な賭けになりますが……!!」
「分の悪い賭けは嫌いじゃないんでな……!!」
オルブライトがコクリと頷くと、グレイヴは眼鏡の位置を直しながらわずかに微笑む。ボロボロになった機体の身体をハルバートを地面に突き刺し支え、なんとか立ち上がろうとするグレイヴ機。一方、サンダースおよびBF隊の陣営から見れば、プラズマディウス陽子爆弾の大爆発の硝煙で視界が定かではない。その圧倒的破壊力に震えながらケイジ諜報員がサンダースに苦言を呈す。
「さ……サンダース分隊長……!!あの機体を、デスペラードを鹵獲し、我が軍の戦力にするのは理解できましたが!プラズマディウス陽子爆弾の使用はいささか……やりすぎではないでしょうか?鹵獲しようにも、あと……跡形もなくなってしまっては……どうしようもないかと……!!」
サンダースは眉ひとつ動かさずケイジの疑問に答える。
「魔術のバリアーが一瞬見えた。奴は立ち上がってくるぞ。後に破損個所を再生、修復してくるはずだ」
「ば……バカな……!!あ……あの爆発ですよ!?いくらデスペラードとて……!!」
「効いたぜ……!!」
オープンチャンネルで響くグレイヴの声に驚きすくみあがるケイジ諜報員。
「そ……そんな……、プラズマディウス陽子爆弾はザルア主長国連合のゼレドの火……即ち核にも匹敵する破壊力のはずだ!!その直撃を貰って立ち上がってくるスレイヴがこの世に存在するなんて……!!!」
グレイヴは怯え切っているケイジ諜報員をよそに淡々と語りかける。
「俺としたことが油断した。烏合の衆にも多少知恵の回る奴はいたんだっけな。おかげさまでこのザマだ。エリートで通っているこの俺がだぜ?……一瞬だが恐怖も感じた…。恥をかかせやがって貴様らああああああああああああああああああああああ!!皆殺しだ!!最早一兵たりとも逃しはせんぞ!!!!」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
グレイヴの鬼気迫るほどの迫力にすっかり怯え切ってしまったケイジ諜報員のドラッケン・ツヴァイは後方へ退いてしまった。
サンダースはまさに想定通りという余裕の表情をして拍手をしながら、オープンチャンネルでグレイヴに語り掛ける。
「生還おめでとう。どうだ格別だったろう?貴様にくれてやったプラズマディウス陽子爆弾小型b型は、ユーリス及び航空部隊が使った大型のc型よりも、威力と爆破規模が多少絞られているが、それでも破格の破壊力には違いないのでな。この禁忌の兵器をまともに喰らい生還したスレイヴ第1号というわけだ!貴様は!くくくくくく!!!!このアサイラム、いや!世界において、プラズマディウス陽子爆弾を越える兵器はザルアのゼレドの火、即ち核だけなのであるが、これが何を意味するかわかるか!?」
「イカれてるのか?貴様のくだらん戯言に付き合っている暇はないと言っている!」
「貴様のデスペラードは耐久力も世界で頂点を極められる程の一級品ということよ!!ますます欲しくなったぞ!!!必ず手に入れてBFの旗印にしてみせるわ!!」
「……なるほど……。そういうことか。俺のデスペラードを捕らえて自軍で使おうと?本気で使いこなせると思うのか?貴様ら如き烏合の衆に!!このデスペラードは選ばれ者が乗る機体だ!!洒落たモノをプレゼントしてくれた礼に、今こそ見せてやるぜ!!デスペラードの最終形態を!!!!!俺の全魔力!!!!注ぎ込んでやるぞ!!!!はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!ブラックボックスの主よ!!!解呪コードを俺によこせえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」
傷ついたグレイヴ機に膨大な魔力が集中する。空間が歪み、大気が震え出す。かつないほどのグレイヴ機の変化に余裕ぶっていたサンダースも流石に危険を感じる。
「ぬおおおおお!!なんとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!更に!!更にその先があるというのか!!!なんという果てしなき進化を秘めた機動兵器よ!!デスペラアアアアアアアアアアアアアアアアアド!!!流石は小生が見込んだ傑作機である!!!見てみたい気もするが、その先は我々BF隊が試すとしようか!!またとない絶好の機会を見逃すわけにはいかないのでな!!ミゲエエエエエエエエエエエエエエエエエエエルの必勝の策でもあり、ミゲエエエエエエエエエエエエエルの遺言でもある!!これが最後の局面だ!!! 兵は最後の最後まで伏せよ……!!今こそ勝機なり!!!出でよ!!!地に!海に伏せし、精兵ども!!!!」
サンダースの号令が響き渡った瞬間、山岳や、砂漠、海から、BF隊のスレイヴ達がわらわらと湧いて出来る。総勢150機どころか、ヴァナティック邸地下の巨大格納庫に保有されていた全戦力はなんと400機をゆうに超えていたのである。先進国、一国の軍隊が保有する戦力に匹敵する機動兵器をいち軍需企業が持ちあわせていたというとんでもない事実が明るみになる。
この窮地ともいえる局面で、敵軍の多大な増援に流石のグレイヴも青ざめる。
「なんだと……!!まだこれほどの増援が……!!レーダーには反応がなかったぞ!!こんな大所帯なら何らかの反応があるはずだ……!!」
サンダースがほくそ笑みながら答える。
「答えはこれだ!!!」
増援のBF隊のスレイヴが特殊な装甲材をパージし、霧状の科学粒子を散布している。オルブライトがすかさずその成分を分析する。
「これは……ヴァナティック社とエッヘケルト社の共同開発の汎用型ステルスコート、そしてあの粒子は、ケープトゥロドン特殊化学粒子、どちらもステルス性を高め、レーダーの索敵を無効化する機能があります。試作型のプラズマディウス陽子爆弾といい、なぜこうも市場に出回っていない特殊な兵器が実戦に耐えうるレベルで量産されているのか!?ヴァナティック社とは一体なんなのでしょうか!?」
グレイヴが間髪入れず答える。
「決っている。悪魔に魂を売った死の商人だ。その救えなさは骨身に沁みたぜ……。あの爆弾でな」
サンダースが圧倒的に優位になった立場を感じ、再び余裕を見せながらグレイヴに語り掛ける。
「ふふふ……!!そうだ!!その顔だ!!その顔が見たかったのだ!!流石の貴様も青ざめたな?随分と我が兵を斬り倒してくれたが、我が全軍の規模からいえば、その被害はとるに足らぬものだったということだ!!しかし、死してブラッディファントムの理想に殉じていった我が兵たちの弔いはさせて頂く!!!そういえば名をハッキリとは聞いていなかったな?改めて貴様の名は何という?」
「前に貴様らを斬り殺す際に名乗ったはずだがな。まあいい。グレイヴだ。グレイヴ・ストーム。これが貴様らを地獄に叩き落とす者の名だ。覚えておけ!」
「ストォォォォォォォォム?まさか貴様、イシュタリア最強と謳われる名将、ヴィクトル・ストームの………?まあいい。グレイヴ?デスペラードは頂くが貴様は殺すぞ?」
「できるものならやってみるがいい!!!」
「その状況で豪気なことだ……!!いっておくが、以前の2倍……いや3倍強に膨れ上がった我が隊の一斉射、半端な覚悟では受けきれんぞ……!?(ケイジ……!!小生がもういいというまで、一斉射を続けさせろ!!奴の事だ徹底的にやらねば、生半可な攻撃では無力化できん。グレイヴが死に、デスペラードを無力化するタイミングは小生が見極める……!!)」
小声でケイジ諜報員に通達するサンダース、額に汗を浮かべながらすかさず頷くケイジ諜報員。それを見るや否やサンダースは激昂する。
「今こそ最終局面なり!!!!!正真正銘の我がブラッティファントム全軍全霊の一斉射撃用意!!!!はあああああああああああああああああああなああああああああああああああああああああああああああてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええい!!!!」
3倍強に膨れ上がったBF隊全軍の業火の一斉射撃が、手負いのグレイヴ機を襲う。対するグレイヴの瞳が紅く光り、コードを唱える。
「高まれ!!俺の魔力よおおおおおおおおおおおおおおお!!!上級高等魔術守護領域!!!!!!!!!」
3倍強に膨れ上がった、異常なまでの火力に達している一斉射撃を、より強固に大きくなった光の魔術のオーラで寸断し、完璧に受け止め遮断しているグレイヴ機。この偉業に驚いたのはサンダースだ。
「なあああああああああああああああああああああああんだとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!バカなあああああああああああああ!!ビクともせんではないかああああああああああああああああああああああああああああ!!!3倍だぞ!!3倍の火力を受けとめきるとは!!!!もう少しで仕留められるというのに!!アーマードバスタ―キャノン!!ガトリング!!!全部こっちに持って来い!!照準デスペラード!!!!放てエエエエエエエ!!」
虎の子の大砲がグレイヴ機のフォースフィールドに次々と直撃する。その大砲ですら通さないフィールドは強固ではあったが、直接的なダメージはないものの、その反動による物理的な衝撃で弱り切ったグレイヴ機の機体に多大なダメージが蓄積しつつあった。焦るグレイヴ。
「ぐううううううううううう!!本来であればこんな衝撃などわけはないが……!!装甲が剥がされ丸裸同然のデスペラードには少々応えるぜ……!!!ぐうううううう!!!!魔力も機体のダメージによって減少……してきている……!!!!ぐううおおおおおお!!!背に腹は代えられんか……!!ファ……ファクター996328 シーケンス……0カウント!リ……リバースコードマニファクチュア!ワーズ&ワース!高位疑似呪文代入"か‥…風を越え、時を越え、音速へと至る光り輝く時空の航路、マ……ウ・ジーベ……ン・ヒュ…ム・フォウ……ラム・わ……我が身を解き放たん!時空音速神行法!!!」
グレイヴがコードを唱え終わると、300機をゆうに超えるスレイヴ達の一斉射撃が突然スローになる。一発一発の弾丸が目視できるほど時の流れが緩やかになる。
「うぐあああああ!!!!ぐうううう!!!ぐぐぐぐ……!!!!」
フォースフィールドを解いて、ハルバードを杖代わりに歩き、ふらつきながら一斉射の射程の外に出ようとするグレイヴ機。
「ダメだ!!これほどまでにダメージを受けているのでは満足に動けない……!!時空音速法の有効時間が……なくなる……!!あと1秒……!!うおおおおおおおおおおおおお!!!」
グレイヴ機は歩くのを止め、ブースターを全開しに、一気に飛び、近場の岩石郡に身を隠す。
「リ・ブレイク!!!(時空音速化解除)」
BF隊員が叫ぶ。
「消えた!!!???」
「一体何処へ行った!!??」
「サンダース分隊長!!!!!」
サンダースが奇怪な笑みを浮かべながらデスペラードを探す。
「消えた!?否である!!魔術の力を使って超高速移動をしたのだ!!ミッションレコーダーに記録が残っている。ステルス機能でやりすごそうという気であろうが!!そうはいかんわ!!グレイヴはあの岩石郡に潜んでいるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!我が全軍の一斉射であれば、そのような石っころなど遮蔽物の代わりにすらならんわ!!!!全軍あそこだああああああああああああああああああ!!!撃て撃て撃て撃てえええええええええええええええええええ!!!」
グレイヴが身を隠している岩石郡目がけ、一斉射を行うBF隊。恐ろしい事にBF隊の規模が規模だけに巨大な岩石郡そのものが瞬く間に削りとられグレイヴ機の機体が露わになるのも時間の問題かと思われた。グレイヴが吐き捨てるように呟く。
「ちっ!!目くらましにもならんか!!!!」
サンダースは全軍を指揮しながら勝利を確信した。
「皆の者!!勝どきをあげろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!今こそブラッディファントムのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
その時、上空から聞き覚えのある声が響き渡る。
「負けだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
声の主はドイルであった。ドイル機に集中した膨大な魔力が今まさにはち切れんほど増幅していた。
「誰か忘れちゃいませんかってね!!!!まだそんなにいたのかい!?ゴキブリ共!!!!1匹いたら30匹はいるってマジなんだな!!こちとら嬉しいったらねえぜ!!!殺りがいがあってよ!!!!今こそ見せてやるぜ!!俺様の超魔術!!!まずはああああああああああああああああああああああ!!ミサイル全弾発射ああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ドイル機の肩や腰からミサイルが15発、勢いよく放たれる。笑い転げるサンダース。
「ぶっわははははははははははははははははははははは!!!!何をするかと思ったら予備戦力を全て投入した我が隊は最早、泣く子も黙る300機以上の大軍であるぞ!!そんなチンケなミサイル十数発で一体何ができるというのか!?焼け石に水である!!!!!!皆も笑えええええええええええええええい!!!」
サンダースに言われ、皆、大仰に笑い転げるBF隊の隊員たち。ドイルはその様子を更に鼻で笑った。
「へえ?てめえらにゃこのミサイルが十数発に見えるってか?本当に?本当に?マジでそう見える?本当にマジで?ファクター23945567!シーケンス0カウント!リバースコードマニファクチュア!ワーズ&ワース!付加型定型疑似呪文!"その姿、また変なり、その姿、また多きもの、その姿、また強大なり、数多の属性を受け入れし器よ!その威を示せ!"変異属性魔弾」
発射されたミサイルが空中でピタリと停止する。更にドイルが叫ぶ。
「べネクゥ―ト・アーガ・ヴァ―ジ!!(変異付加を命じる!倍化!!)」
すると停止した15発のミサイルが瞬く間に倍の30発に増殖する。更にドイルは叫び続ける。
「べネクゥ―ト・アーガ・ヴァ―ジ!!ヴァ―ジ!!ヴァ―ジ!!(変異付加を命じる!倍化!倍化!倍化!)
30発だったミサイルが60発に、60発だったミサイルが120発に、120発だったミサイルが240発に、240発だったミサイル480発に……繰り返すうちに、
ドイルを中心に大空を覆い尽くすほどの膨大なミサイル群がそこにあった。その数なんと3000発以上。
サンダースおよびBF隊の隊員達は途端に青ざめる。そのあってはならない異常な光景にサンダースは思わず呟く。
「ミサイルが次々に増殖している……!!!小生は……悪い夢でも見ているのか………!!!」
ドイルのコードの詠唱はまだ続く。
「笑ってる場合じゃあねえんだよお!お前さんらは!さあ、パーティーの始まりだぜ!!死ぬ準備は出来たか!!ファクター24567877!シーケンス0カウント!リバースコードマニファクチュア!ワーズ&ワース。高位疑似呪文代入!!"乱れ舞う死の弾丸、魑魅魍魎を悉くを打ち滅ぼし、いざ地の果てで狂い咲け" みんなまとめてあの世にいけやああああああああああああああああ!!乱舞死弾嵐!!!!!!!」
突如停滞していた3000発のミサイル群が、一斉に狂ったように、凄まじいスピードでBF隊に襲い掛かかるのであった。
つづく
読んでくださってありがとうございました!感想お待ちしております!




