0-26話 バウンティディヴィジョン ヴァナティック邸の攻防 その25
先々週色々あって休載したんですが、休まない方がこれいいですね。先週はブランクで全く書けずに頭が真っ白になってとても苦しんだんですが、今週は時間はかかったものの比較的スラスラ書けました。そしてブクマが1件増えててとてもうれしいです。本当にありがとうございます!より一層頑張りたいと思います。では26話のはじまりはじまり~♪
ラッキーとオルブライトはデスペラードの異常な反応に気づく。
「な……なんだ……?同調パーセンテージが666が反転している数値!?解封コード オーバーフロウ???一体これはなんなんだよおおおお……」
「同調パーセンテージ666(オーメン)……!なるほどここがツインフラッグの最高到達点ですか。よもや御二方の戦いがデスペラードの究極の力の目覚めを誘うとは……!!」
サンダースらBF隊の隊員たちも信じられないといった表情で両雄の激しいエネルギーのぶつかりあいを見ている。
「何という事だ……!!!この現象は……以前のものよりも遥かに……うわあああああああああああああ!!」
ドイル機とグレイブ機がお互いの、奥義の衝撃の均衡が一気に崩れ凄まじい勢いで半壊しながら両雄はじき飛ばされていく。
「ぐわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
ドイルが機が岩石郡に叩きつけられるそうになる。ラッキーが悲壮な表情でドイルに警鐘を鳴らす。
「アニキィィィィィィィ!!この勢いでぶつかったらただじゃあすまねえええええええ!!!!」
その瞬間ドイルの眼が蒼く光る。
「ファクター2593452。シーケンス0カウント。リバースコードマニファクチュア。ワーズ&ワース、定型疑似呪文代入。"天駆ける風に乗って、行くは地の果て、海の果て、求めし約束の地へと我を誘わん" コード 魔術転移!!」
ラッキーが狐につままれたような表情で素っ頓狂な声を上げる。
「え!?今!!確かに……!!アレ!?」
岩石郡に勢いよく叩きつけられるはずのドイル機がフッと消え、瞬く間に数百メートル離れた中央地点に現れる。
一方とてつもない衝撃で後方に吹き飛ばされながら、ダメージを耐え忍ぶグレイブ機。オルブライトが叫ぶ。
「なんという衝撃……!!このままではいずれデスペラードはバラバラになります!!脱出を!!グレイヴ様!!」
その瞬間グレイヴの眼が赤く光る。
「ファクター12433356 シーケンス0カウント。リバースコードマニファクチュア。ワーズ&ワース、定型疑似呪文代入。"其の血の流れは何処に、人の慟哭、大地の嘆き、聖天から降り注ぐ慈悲の涙によって浄化せしめん" コード 魔施浄化治療!!」
バラバラになって分離していく、グレイヴ機の機体のパーツが次々と本機体に接合され、損傷を修復していく。
オルブライトが驚く。
「なんと……!!これはさきほどドイル王子がやった事と同じ……!!まさにイシュタリアの奇跡。今は亡きオルファン様の魔術そのもの!!ローグ・オブ・ソーサリアンでなくてもこの力を使えるとは……!!これがコードの力……!!プルート様!!なんというものをお作りになったのですか!!」
ゆっくりと中央に着地し膝をつくグレイヴ機。目と鼻の先にドイル機がうずくまっている。ドイルがうめき声をあげる。
「いつつつつつつつ!!ちいいいいいい!!また互角かよ!!やってられねえぜ!!だがあと少しだった!!あと少しで奴をぶち抜けるはずだ!ラッキー!!休んでる暇はねえ!!すぐに立つぞ!!フルパワーだ!!今度はもっとすげえやつを叩き込んでやる!!」
ラッキーは不安そうな声を上げる。
「ア……アニキィ!!同調パーセンテージMAX666(オーメン)から35にダウンしちまった……!!エネルギー出力がまるであがらない……!!」
「またかよ!!!一体なんだってんだ!!」
「恐らくこれはデスペラードの構造上の問題なんだ!!絶大なパワーで戦うとフォースエーテルリアクターに過剰な負荷がかかる。その都度リアクターの冷却期間が必要になってくるんだよ!!」
「冷却期間だと!?ちっ!!無敵のデスペラードさんも欠点があったってわけかよ!!!」
「ほら見て!!あっちのメガネ兄ちゃんの機体も同じ症状が出てる!!」
膝をついてそのまま満足に動かなくなるグレイヴ機。グレイヴが業を煮やして叫び声を上げる。
「どうした!!デスペラード!!立て!!あともう少しでドイルを倒せる!!!どうした!!?立つんだ!!デスペラードデュエル!!」
オルブライトが静かに呟く。
「どうやらデスペラードは大きな力を使うとリアクターに負荷がかかり、一定時間の冷却期間を必要とするようですね……!ここは症状が回復するまで待つより他はないようです……!」
心底悔しそうにグレイヴが唸る。
「クソッ!!!!!!あと少しで勝てるというのに!!!」
その状況を後方で伺っていたサンダースおよびBF隊の隊員達。
ケイジ隊員がサンダースに対して声を上げる。
「サンダース分隊長!!!!今です!!この瞬間です!!!ご覧ください!!!敵機のフォースエーテルリアクターの外部装甲が開口していきます!!!」
サンダース駆るドラッケン・ドライのアイカメラを最大まで拡大して確認するサンダース。
桁外れの出力で熱暴走しそうなフォースエーテルリアクターが、冷却材と共に外気を取り入れ過剰なエネルギーを輩出する為に外部装甲が開かれていくのがはっきりと見える。
サンダースは今こそはと全軍に号令をかける。
「弱点見たりィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!ケイジ及び諜報班が解析したデータに基づく確かな情報である!!!そして今は亡きミゲル参謀の必勝の策を今こそ!!!今こそ!!実践する!!!!ミゲル参謀の肉体は死んでもその魂は死なん!!!前衛部隊!!!抜刀ォォォォォォォォ!!!!!!!」
コマンダードール及び、BF隊隊員達のスレイブらは一斉に白兵武器を抜刀する。サンダースは更に激昂する。
「後方部隊は掩護射撃を怠るな!!恐れるな!!!!今の奴らはさきほどのような超パワーはしばらくは出せん!!!今こそが勝機ィィィィィィィィィィィ!!狙うは奴らのフォースエーテルリアクターのみ!!!全軍!!!!我に続けえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!突撃ィィィィィィィィィィィィィ!!!」
サンダースを先頭におびただしい数のBF隊のスレイヴ達が、風を巻いて身動きが取れないドイル機、グレイヴ機の両雄に襲い掛かる。
うずくまって身動きがとれないドイル機、グレイヴ機に迫りくる大軍。そして後方部隊からの一斉射撃が放たれる。ドイルがBF隊の大軍が迫っていることに気づく。
「ちっ!!ハゲタカどもがゾロゾロと……!うっとおしいったらないぜ!!」
サンダースが後方部隊に再度号令をかける。
「後方部隊!!わかっているな!!狙うはフォースエーテルリアクター!!外部装甲の開口部分を一点集中するのだああああああああああ!!!前衛部隊も小生とともに白兵攻撃の射程に入るまで欠かさず撃つのだああああ!!撃て撃て撃てええええ!!」
「イエッサー!!サンダース分隊長殿!!!!」
後方部隊からの雨あられのような一斉射撃が展開される。サンダース始めとする前衛部隊も、一斉射撃を行いながら白兵攻撃が繰り出せる射程まで猛烈な勢いで近づく。目標はフォースエーテルリアクターに致命打を与えられる弱点の外部装甲の開口部分のみ。
オルブライトとラッキーはその様子がいつもと違う事に気が付く。
「(敵方の一斉射撃……!!射程や目標を明らかに絞っている……!!これは一体どういうことでしょうか?まさか!!?)」
「(なんだ……!?いつもと様子が違うぞ……!?オイラ達を狙ってきてるのはきてるが……やけに一点に集中して……!!もしや!!?)」
ドイル機とグレイヴ機はかろうじて立ち上がり迫りくるBF隊の大軍を迎え撃とうとする。
「雑魚が吠えやがる…!!待ってろよ!!さっきの超パワーでてめえらなんぞ……!!」
「デスペラード!!雑魚共を片付けてから今度こそドイルを仕留めるぞ!!立て!!立つんだ!!」
その瞬間オルブライト、ラッキーは同時に叫ぶ。
「グレイヴ様伏せてください!!!!!」
「アニキィィィィ!!伏せろォォォォォォォ!!!」
「「!!」」
条件反射で立ち上がった姿勢からドイル機、グレイヴ機は一斉射撃から身を翻してその場に伏せた。
グレイヴ機はことなきを得たが、ドイル機のフォースエーテルリアクターに直結する外部装甲の開口部分に銃弾が数発掠める。
途端に爆発を起こし後方に吹き飛んでいくドイル機。わけもわからず絶叫するドイル。ラッキーは必死に現状を把握しようとする。
「ぐわあああああああああああああああ!!!!ありえねえ!!なんだこの桁外れのダメージはあああああああああああああ!?一体どこに当たった!?ラッキー!!」
「ぐうううううう!!!リアクターだ!!フォースエーテルリアクターに掠めていった!!アニキィィィィィ!!」
「バカ野郎ォォォォ!!掠めていっただあ!?重装甲がウリのデスペラードがそんなもんでこんな大ダメージを受けるはずがねえだろうが!!そもそもリアクターに直接奴らの攻撃が通るわけがねえ!!」
「アニキィ!!!わかった事があるんだ!!いいかい!?デスペラードは絶大なパワーをフォースエーテルリアクターから抽出する。だけどそのパワーが大きければ大きいほど後に一定のインターバルが必要になってくるんだ!!いわゆる冷却期間だ!その際、膨大なエネルギーによる熱量の渦と化したリアクター内部を冷却しなくちゃいけない!!冷却材と共に外気に過剰なまでに溜まった余分なエネルギーを排出するんだ!その間パワーは急速に落ち、見動きがとれなくなり、リアクターに直結している外部装甲が開口する!敵はどうしてかはわからないがこの事に気づいている!いわばデスペラードの致命的な弱点だ!この弱点を執拗に狙ってきているんだ!!」
「弱点……だと……!?ふざけやがって……!!」
「さっきの攻撃はリアクターを掠めていっただけだからまだこの程度で済んだけど、直撃したらこんなもんじゃあ済まされねえ!!アニキィ!!ここは逃げろおォォ!!来るぞォォォォ!!」
「ちいいい!!さっきのダメージで満足に動けねえ……!!くそおおおおお!!」
ドイル機は致命傷には至らなかったものの先ほどの攻撃のダメージで満足に身動きがとれなくなっていた。必死に後方へ這って逃げようとするが、そうはさせまいとサンダースとBF隊の隊員達、およびコマンダードールのスレイヴらは威勢よくドイル機に飛びかかってくる。
「くううう!!これでも喰らえや!!!」
ドイル機はとっさに振り返り、肩と腰に収納されているミサイルを一斉に撃ち放つ。突撃してくるBF隊のスレイヴ数機に着弾し爆発がおこる。数機は撃墜したものの、BE隊の大部隊にとっては焼け石に水であり、一向にその勢いは落ちない。サンダースは激を飛ばし、BE隊の隊員達の士気を高揚させる。
「ふん!!無駄なあがきをおおおおおおお!!ミゲエエエエエエエル!!!喜べえええええええい!!貴様の必勝の策!!!ここにきて実を結んだぞォォォォォォォォォ!!今こそ積年の恨みを晴らす時ィィィ!!!全軍ブラッディファントムの狂気を刻めえええええええ!!」
「イエッサー!!サンダース分隊長!!!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
サンダース機がヒートブレイドを抜刀し、うずくまっているドイル機を滅多斬りにする。絶叫するドイル。
「がああああああああああああああああああ!!!」
続いて後方から次々とBF隊のスレイヴ達の白兵攻撃、後方部隊からの一斉射をまともに浴び続けるドイル機。ドイルは歯を食いしばりながら拳を振るい、ザンバーを振りかざし何とか応戦するもどれも勢いがなく、虚しく空を切るばかりだ。サンダースおよびBF隊はますます勢いづく。
「さっきは威勢はどうしたのかなあ!?お坊ちゃん!?ひとりで我々を倒すなどという妄想はあああああああああああ!!ここで終わりにしてもらおうかあああああ!!!!」
嵐のようなBF隊の執拗な波状攻撃に晒され、全身ボロボロになり、果ては地ベタに這いつくばりザンバーを突き刺し寄りかかるような体勢をかろうじて維持しているドイル機に、絶体絶命の危機が訪れようとしていた。
ドイルは悔しそうに呟く。
「へっ……まさかデスペラードにそんな……弱点があった……なんてな……!誤算だったぜ……!無敵だと……思ってたのによおおおおおお!くそお!!ぐはああ!!」
血を吐くドイル。ラッキーも泣きそうになりながらドイルに寄り添う。
「同調パーセンテージ5%から全くあがらない……。ラグナ二ウム機能停止……!!アニキィィィィィィ!!」
サンダースは勝利を確信した笑みを浮かべながらドイル機ににじり寄る。
「フォースエーテルリアクターの外部装甲の開口部……なるほどここか……!!よおおおおおし!!いよいよだ!!いよいよ奴のトドメを刺す!!全軍狙いはリアクターの開口部!!突撃せよおおおおおお!!!」
サンダース機およびBF隊のスレイヴ達がドイル機にトドメを刺そうと襲い掛かってくる。ドイルが決死の覚悟で迎え撃とうとしている。
「一か八かやってやるぜええええ!!俺は最後まで諦めねえ!!こんなもんピンチでもなんでもねえんだよお!立てデスペラード!!お前はこんなもんじゃあねえだろう!?立てえええええ!!」
ドイルの激に肝心のデスペラードが反応しない。足元はふらつき満足に立てないでいる。ドイルが悔しそうに叫ぶ。
「ちきしょおおおおお!!立てつってんだろおおお!!やられちまうだろうがああああああ!!」
ラッキーが目を瞑る。
「もうダメだああああああああああああああああああああ!!」
その瞬間、鋭い金属音と共にドイル機に襲い掛かろうとしていた敵スレイヴ数機がバラバラになっていく。瀕死のドイル機の前に堂々と立ちはだかったのはグレイヴ機であった。グレイヴ機もまたデスペラードの超パワーを引き出した後の代償である冷却期間に入りつつ、尚且つドイルの新奥義をその身に受け満身創痍であったが、フォースエーテルリアクターに直接ダメージを受けたドイル機よりかは幾分かはマシな状態であった。グレイヴがBF隊に啖呵を切る。
「人の獲物に手を出さないで貰おうか!!こいつは俺が殺ると決めているんでな!!どうしてもこいつを殺るというのであれば俺が相手になろう!」
ドイルが悔しそうに呟く。
「ちっ!!よ……余計な事しやがって……!!誰が……テメエにの助けなんぞ……借りるかよ……!!っぐあああ!」
ドイルの悪態にグレイヴが答える。
「ふん……!!いいザマだ……!まるでボロ雑巾だな……!!こんな雑魚共にお前の命をくれてやるのもつまらないのでな……!!貴様との決着はこの雑魚共を片付けてからだ!!」
オルブライトがグレイヴに注意を促す。
「いけません!!グレイヴ様……!!ここは後退を!!今の状態では機体のポテンシャルを引き出すことは難しい!!しかも冷却中のリアクターの外部装甲の開口部が露わになっています!!」
「ふん!!そんなことは百も承知だ!!貴様ら!!デスペラードの弱点を知ってしてやったり!!って顔だな!!ならばどうだ?当ててみせてみろ!!この俺に対してできるものならなあ!!」
敢えて弱点部位であるフォースエーテルリアクターの外部装甲の開口部を、敵軍に晒すしながら堂々と歩き出すグレイヴ機。オルブライトが頭を抱える。
「全くこの方は……、自信過剰といいますか……。死中に活を見い出す事が大変お好きといいますか……。いいでしょう!それでこそグレイヴ様です!わたくし微力ながら全力でサポートさせて頂きます!」
自身の弱点を知りつつこの大胆不敵な立ち振る舞いに、一瞬サンダース及びBF隊は一斉に後退るが、サンダースが全軍に激を飛ばす。
「うろたえるなああああああ!!敵の弱点を突けば必ず勝てるのだあああああああああああああ!!ミゲル参謀のお墨付きだ!!何を恐れる事があるかあああああ!!心配するでないいいいいい!!さきの超パワーはしばらくは使えんのだあああああああ!!この機を逃すなあああああ!!全軍怯むな!!かかれええええええええ!!」
サンダースの激に呼応したBF隊およびコマンダードール達のスレイヴらが、グレイヴ機めがけ次々と襲い掛かってくる。当然の如くデスペラードの弱点を一斉に狙ってくる。グレイヴが吼える。
「貴様ら相手にデスペラードの真の力など必要ない!!貴様らと俺とではそもそもの格というものが違うという事を教えやるぞ!!!!おおおおおおおおおおおおお!!」
敢えて弱点部位を晒し、襲い掛かってくる敵を引きつけ次々と斬って捨てていくグレイヴ機。無駄のない最小限の動きでエネルギーの消耗を極力避けた見事な立ち回りである。その攻防一体の華麗な身のこなしは円熟の極みに達していると言っても過言ではないものだった。歯ぎしりしながら悔しがるサンダース。
「くそおおおおおおお!!何をしとるかあああああああ!!今が好機というのにいいいいいいい!!どけええええええええい!!小生の必殺の剣で奴を葬ってみせる!!」
サンダース機が勢いよくグレイヴの眼前に躍り出る。ヒートブレイドを抜刀し、猛烈な勢いで斬りかかる。グレイヴ機はハルバードランチャーを巧みに操りサンダースの猛攻を華麗に捌く。グレイブが唸る。
「こいつ……!!隊長機か……!!取るに足らない雑魚だと思っていたが……!!なかなかどうして……!!」
サンダース機は勢いに乗って更に苛烈にヒートブレイドを振り回す。
「ふははははははははは!!!やはり本調子ではないようだな!!!わかっているぞ!!その機体の弱点をなあああああああ!!」
サンダース機の斬撃を捌きながらグレイヴは言い返す。
「褒めてやるぜ……!!まさかデスペラードの弱点に気づくとは……!!だが誰の入れ知恵だ!!貴様らのような愚連隊の能無し共が自力で気づくとは考え難いんでな」
「デスペラード(命しらずの無法者)だと……!?それがその化け物の名前かあ!!ふん!!ご名答だ!!何を隠そう貴様が殺したミゲル参謀の策よおおおおおおおお!!ミゲルの仇!!!!今こそ討たせて貰おうぞおおおおおおお!!!」
「……あいつか……なるほどこれが必勝の策とやらか……!もっと早く始末しておくべきだったぜ……!」
「ほざけえええええええええええええ!!今度は貴様があああああああああ始末される番だあああああああああああ!!あの世でミゲルに詫び続けろおおおおお!!」
「遅いぜ!!!マヌケ!!」
サンダース機が渾身の斬撃を叩き込むが、グレイヴ機が間髪入れず見事に斬り返す。後退りするサンダース機。
「見事だ!!ミゲルを殺った腕は伊達ではないということか……!!だが所詮は単機よ!!かかれえい!!我が僕!コマンダードールの精鋭達よ!!」
四方から、ブラックレイヴンとガーランドMKⅣが総勢4機、勢いよく襲い掛かってくる。サンダースは絶叫する。
「奴の動きをとめろおおおおおおおおおおおおお!!奴の弱点!!リアクターの外部装甲開口部は小生が直接叩く!!」
グレイヴは目を細め、意識を集中する。
「オルブライト……!!それぞれの敵の急所を最小限の動きで一気に削り取る。最適な距離を算出してくれ!」
「かしこまりました。ポイントE2036、2024、2044,2055 角度43.4°算出完了。グレイヴ様……!!力は入りません。流れる清風の如き動きです」
「任せていろ!!」
グレイヴはわずかに微笑み。四方から襲いかかってくるスレイヴ達に対してアクロバットな宙返りをしながらハルバートランチャーの斬撃を走らせ、各敵機体の急所を一瞬で削り斬りとった。サンダースさえも思わず見とれてしまうほどの絶技である。電磁波を発しながら途端に動かなくなる敵機達。余りに見事な斬り口に爆発さえしない。グレイヴの凄まじい技量の高さにサンダースは思わず数歩後退るも。次の瞬間、急にグレイヴ機が膝をつきうずくまる。グレイヴがオルブライトに問いかける。
「何があった!!オルブライト!!身動きがとれんぞ!!!くそおおおおおお!!」
「グレイヴ様!!今も尚リアクターは冷却中でありますが、エネルギーの予備残量があったのでかろうじて動けていたものの、いまの動きで多量のエネルギーを消耗してしまったようです!!エネルギーを消耗してしまった事により、より長期間かつ拘束力の強い冷却期間が必要になっていると予測されます!」
「なんだとおおお!?敵は目の前にいるんだぞ!?ぐううううううう!!!動け!!動けえ!!デスペラード!!」
サンダースはほくそ笑みグレイヴ機に歩み寄る。
「ふはははははははは!!!チェックメイトといったところか!?始めは驚かされたがそのデスペラードとはとんだ欠陥品だったなあ!!そんなものに乗っていた貴様の運命を呪えいいいい!!これで終わりだあああああああ!!死ねえええええええええええええええええええええええ!!」
ひざまづいているグレイヴ機の、リアクターに直結している外部装甲開口部めがけヒートブレイドを振ろ降ろすサンダース機。その時、聞き覚えのある怒声が響き渡る。
「よそ見してんじゃあああああああああああねえええええええええええええええええ!!!!!」
ドイルのスペラードデュエルが上空から猛烈な勢いでサンダース機の脳天に飛び蹴りをぶちかます。たまらず遥か後方へ吹きとばされるサンダース機。
「ぬわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!???」
砂埃を上げ凄まじい勢いで転がりながら吹き飛ばされていくサンダース機を尻目に、ドイルはふてぶてしく呟く。
「へっ!休んでるうちにちっとは動けるようになったぜ!」
なんとか立ち上がるグレイヴ機。ドイル機とグレイヴ機が背中合わせになる。周囲は100機を越えた敵機の大軍に囲まれている絶望的な状況である。
次々と襲ってくる敵機達をいなしながらグレイヴが忌々しそうに言い放つ。
「貴様ァ!!……だ……誰が助けろと言った!?……あの程度の窮地……!!俺の力だけで脱することなどわけはなかった!!」
ドイルも敵の攻撃を躱しつつ反撃しながら皮肉っぽく答える。
「ハッ!!その割には膝が笑ってたじゃねえか!!その台詞そっくり返すぜ!!てめえの助けなんぞハナからいらなかったんだよ!!でしゃばってんじゃねえ!!」
「貴様こそ満身創痍だっただろうが!!よくもまあこの期に及んでそんな減らず口を叩けるな!!」
ドイル機、グレイヴ機、両雄、お互いが背中合わせの状態で弱点であるフォースエーテルリアクターの外部装甲の開口部を庇い合いながら敵の大軍の猛攻を見事なコンビネーションで凌いでいく。
「いーや俺はまだまだ元気だったんだよ!!てめーの方が危なかったね。俺がいねえとお前は死んでた。間違いなくな!圧倒的に感謝しやがれ俺様によお!」
「貴様の方が瀕死だったろうが!?感謝される事はあっても俺が貴様に感謝しなくちゃいけない理由などなにひとつないんだ!!」
「てめえは物事を客観的に見れねえのか!?恥ずかしい大人め!!」
「貴様こそ冷静に物事を見ろ!!貴様は瀕死だった。俺がいなければ今頃は……!」
「いーやお前の方が危なかった!」
「貴様だ!!」
「ふ……ふふふ……」
「く……くくく……」
「「ははははははははははははははははははは!!!」」
死ぬかもしれない絶望的な状況下の中でなお、くだらない意地を張り合ってるお互いの姿がおかしかったのか背中合わせで笑い合うドイルとグレイヴ。
ドイルが笑いながらグレイヴに問いかける。
「へへへ……!!真剣勝負の最中に野暮な横槍ばかりが入って気が散ってしょうがねえ!なあ?ボケメガネ?ここは一旦休戦といかねえか?」
「ふふふ……!!いいだろう……!!俺も丁度同じ事を考えていたところだ!うすらバカ!奴らを皆殺しにした後、貴様と決着をつける!!」
「へえ……珍しく意見が合ったな……?ただ奴らを皆殺しにするだけじゃあつまんねえ。賭けようぜ?」
「ふん……。何を賭ける?」
「どっちがより多く敵をぶっ潰せるか勝負だ。負けた方はそうだなあ……。1週間分の晩飯抜きってのはどうだ?ディヴィジョンの飯はクソうめえからなあ。どうよ?グレイヴ?」
「ふふふふふ……!!面白い!!乗ったぞ!!!!後で吠え面かくなよドイル!」
「そっちこそなあ!!」
その瞬間、フォースエーテルリアクターの外部装甲の開口分は静かに閉口していく。デスペラードの冷却期間が終わり告げたのだ。ドイル機、グレイヴ機ともに再びエネルギーが急速に充填され始める。
ラッキーとオルブライトが叫ぶ。
「同調パーセンテージ急上昇!!!!666(オーメン)!!!アニキィィィィ!!デスペラードから声が届いたんだ!!いいかい?デスペラードの究極の力を更に引き出す解封コードがある!!こいつを使えええええええ!!アニキィィィィィ!!」
「同調パーセンテージ上昇!!!!666(オーメン)グレイヴ様!!頃合いです。デスペラードデュエルのその先の姿!!ここからは禁忌の領域に踏み込みます!!更なる力を得るための解封コードがあります!グレイヴ様にこの力託します!!」
ドイルとグレイヴがラッキーとオルブライトの声に答える。
「へへへへへ……!!冷却期間が終わったようだな……!!今までやりたい放題しやがって……!!百倍いや万倍にして返してやるぜええええええええ!!ラッキー!!持って来い!!そのデスペラードの真の力ってやつを!!」
「ふふふふふ……ははははははは!!!感じる……!!感じるぞ……!!更なる力の奔流を!!デスペラード!!お前の更なる力を俺に見せてみろおおおおおお!!」
ラッキーとオルブライトは同時に叫ぶ。
「「ツ イ ン フ ラ ッ グ!!」」
ドイルとグレイブも同時に解封コードを絶叫する。
「「オ ー バ ー フ ロ ウ!!!!」」
背中合わせのドイル機とグレイヴ機から今までとは桁違いの光のオーラがほとばしりデスペラードデュエルの形状が更に変化していく。圧倒的なエネルギーの奔流だ。
サンダースは叫ぶ。
「なんということだああああああああああ!!あと少しだというものをおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!しかし様子がおかしい……!これは一体……!?」
読んでくださってありがとうございました!!評価、ブクマ、感想待ってまーす。




