0-25話 バウンティディヴィジョン ヴァナティック邸の攻防 その24
今しがたギリギリまで書いてましたw白状するとモチベは最低で完全にスランプに陥ってしまって思うように書けません。あーあー。そして今小説って1日で書くようなもんじゃないって事にやっと気が付きました。コツコツ積み重ねなきゃダメなんですねえ小説って…。来週も更新できるように頑張ります。なあに来週にはスランプ抜けてるでしょう。多分w 先週休載したので今週はボリュームを増量しています。それでは25話の始まり始まり~。
グレイヴ機がドイル機をがっしりと羽交い絞めにしてそのまま敵陣に向かって走り続けている。ドイルが毒づく。
「あたたたたた!!いてえええええ!!てめえ!!なんて酷い事しやがるんだああああああああああああああ!!ありえねえこいつ!!人としての情けはねえのか!!てめえはもはや人間じゃねええええええええ!!」
グレイヴが暴れ回るドイルに対して思わず言い返す。
「貴様に言えた義理かああああああああああああ!!ふはははははははは!!痛いか!?もっと苦しめ!!俺が受けた苦しみを存分に思い知るがいい!!」
ドイルはラッキーにひそひそと話かける。
「……いいか。ラッキー。いち、にの、さん!で出力を全開にするぜ?いち、にの、さんで俺様の怒り爆発だ。このバカを振り切って完膚なきまでにボコボコにする。二度とラグナ二ウムで再生できないように今度こそ塵ひとつ残さねえ!!」
ラッキーは目を白黒させてうなずく。
「わかった……!!アニキ!!いち!にの!さんだな!!各部エネルギー出力をアニキの呼吸に合わせて調整するぜ!!」
ドイルが意を決した表情でラッキーの様子を伺いながら言い放つ。
「いくぜえ……!!いち!!」
ラッキーもドイルと呼吸を合わせて各部制御装置を調整する。
「にの……!!」
その瞬間オルブライトがグレイヴに耳打ちをする。
「グレイヴ様。ドイル王子のデスペラード・デュエルから著しい同調パーセンテージ、およびエネルギーゲインの上昇を感知しました。ドイル王子はなにか面白い事を企んでそうですね」
グレイヴがオルブライトの助言を受けて、威勢よく叫ぶ。
「わかっている!その企みもろともこのまま敵陣に放り込んでやるぞ!!!負け犬同士よろしくやっていろ!!!」
おもむろにそのまま走りながら豪快にドイル機を敵陣に投げ飛ばすグレイヴ機。ドイルとラッキーはグレイヴの行動に仰天する。
凄まじい勢いで投げ飛ばされながら悪態をつくドイル。
「あの野郎おおおおおおおおおおおおおおお!!!信じられねえ!!全く空気の読めないメガネだぜえええええええええええええええ!!!」
「うわあああああ!!アニキィィィィィィィィィ!!!敵がわんさかいる方向だああああああああ!?」
「いいか!?ラッキー!!そのまま呼吸を合わせろ!!!あのクソメガネをぶちのめす予定には依然変わりはねえがその前に軽い準備運動だ!!」
サンダースが投げ飛ばされるドイル機を見るなり、前衛のブラッディファントム隊に命じる。
「ふん!!いつまでも無益な仲間割れをすることが戦場ではいかに命取りになるという事を教えてやるわ!!!!一斉射さらに目標を絞りこめ!!そして前衛部隊!!白兵戦用意!!!出番だ!!我が僕たち!!コマンダードール!!これぞ数の暴力ウウウウウウウ!!!」
投げ飛ばされ不安定な状態で一斉射撃を一身に受けるドイル機。それに加え、15体ほどのコマンダードール達のスレイブらがそれぞれ白兵武器を持ってドイル機に襲い掛かかってくる。ドイルとラッキーが同時に叫ぶ。
「「さん!!!!!!!!!」」
ドイル機の機体からまばゆい光のオーラが爆発する。ドイルの咆哮が響き渡る。
「軟弱部隊ども!!まとめて相手してやるぜえええええええええええええええ!!!!オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
光のオーラに包まれたドイル機は襲い掛かるコマンダードールのスレイブたちに対し、目にもとまらぬ速さで、正拳、ボディブロー、肘打ち、裏拳、回し蹴りを叩き込む。
ドイル得意の縦横無尽の喧嘩殺法が火を噴く。余りのスピードとパワーにコマンダードール達のスレイヴ達は手も足も出ずに打たれるままのサンドバックの状態になっている。
その中には以前はあれほどドイルのデスペラードを苦しめたガーランドMKⅣや、ブラックレイヴンも混在していた。ドイルのノリにノッた猛烈なコンビネーション攻撃は、最早誰にも止められない勢いで耐えられず次々と爆散していくコマンダードールのスレイヴ達。
ボロボロになってふらついてる最後の一機のブラックレイヴンの頭部を掴んで、敵陣にそのまま勢いよく突撃するドイル機。ドイル機の勢いに驚き慌てふためいて緊急に避難するブラッティファントム隊の隊員達。
「こっちに突っ込んでくるぞおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ちょ………!!正気か!?待てよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
轟音とともに砂埃が舞う。地面に勢いよく叩きつけられたブラックレイヴンは見るも無残な惨状で潰れてしまっている。敵陣のド真ん中でのっそりとそびえ立つドイルのデスペラード・デュエル。
ツインアイの眼光が鋭く光る。凍り付くブラッディファントム隊。その場を取り仕切ってるカフウ隊員が震えながら無線でサンダースに指示を仰ぐ。
「こちらB区域、前衛部隊4の2カウフです。さ……サンダース……分隊長!!敵が今、めの……目の前に……!!一体どうしたら……!!」
サンダースは怯え切っているカウフ隊員のこの状態に頭を抱え、叱りつけるように言い放つ。
「カウフ!!何を言っとるのか!?敵が目の前にいるんだぞ!!!やるべき事はひとつである!!数では圧倒的に我らが優るのだ!!そのまま取り押さえろ!!!!今コマンダードール達も援護にむかわせる!!」
「り……了解しました!! みんな!!一斉に取り押さえるぞ!!!」
一斉にドイル機を取り押さえようとするブラッディファントム前衛部隊のスレイヴ達。ドイルは不敵な笑みを浮かべながら、バスタードザンバ―を抜刀する。
「へへへへへへへ!!!ここはもうこれだろおおおおおおおおおおお!!!廻れ!!!廻れ!!!廻れええええええええええええええええ!!!」
そのままザンバーを豪快に振るい。身体ごと大きく旋回しだすドイル機。その様子を察知したサンダースは嫌な予感がし慌ててカウフ隊員に指示を出し直す。
「い……いかん!!!アレはあの時の!!!!カフウ!!!前衛部隊!!!いますぐその場から離れろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ラッキーが各種計器を観測しながら叫ぶ。
「同調パーセンテージ!!470突破!!いけるぜ!!アニキィィィィィィィィィィィ!!」
ドイルの怒号が響き渡る。
「てめえらみんな吹き飛びやがれええええええええええええええええええええ!!!トルネエエエエエエエド・ストレイヴウウウウウウウウウウウウウウ!!!」
ドイル機の振るうザンバーの旋回速度が限界を越える時、直系100m以上をゆうに超える巨大な竜巻が現れ、その場にいたカフウ隊員および前衛部隊30機ほどのスレイヴはまとめて巻き込まれ、斬り刻まれながら上空高く舞い上がっていく。ドイルが威勢よく叫ぶ。
「まとめてとどめをさしてやるぜええええええええええ!!!フルブースト!!!」
ドイル機はブースターの出力を全開にし、爆速して巨大な竜巻によって舞いがった敵機らの上空頂上に一瞬にして到達した。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
そのまま巨大な竜巻もろとも敵機数十体を両断し、地べたへと勢いよく叩きつけ、次々と爆散していく前衛部隊の敵機ら。
サンダースはドイル機の驚異的な戦闘力を目の当たりにして改めて青ざめる。
「ぬううう……!!カウフよ……!!すまん……!!奴にはこれがあったかあ!!!」
その時、後方に控えていた諜報班のケイジらが敬礼をしながらサンダースに報告する。
「サンダース分隊長!!ご報告があります!!」
「あとにしろ……!!小生の采配で……カウフ達が……!!ぐううう……!!」
「敵機の解析が完了しました!!」
「なんだとおおおおおおおお!!!すぐに聞かせろ!!!」
「ハッ!!ミゲル参謀の解析データを更に推し進めたところ。フォースエーテルリアクターによって抽出される巨大なエネルギーの力場を展開する事によって、従来の機動兵器を遥かに超える戦闘力を可能にしている敵機とのこと。即ちフォースエーテルリアクターによって抽出されるエネルギーの量に比例して、リアクターの冷却時間も必要になってきます。この戦闘データの動画をご覧ください!」
「ふむう……!!確かに凄まじいパワーを出した後は決まって急速にパワーダウンをしている様子が……」
「はい。あれほどの規格外の出力を出すという事は、それ相応のリスクがつきものだという事です。フォースエーテルリアクターの位置は、恐らくこの後背部のこの部分に収納されていると思われます!」
「ううむ。でかした!!!と言いたいところだが問題はあの強固かつ自己修復する奇妙な装甲だ!!折角のリアクターの位置がわかっても我らの攻撃が満足に通らないではないか!」
「ハッ。解析の結果あの装甲はイシュタリアでも希少なレアメタル、ラグナ二ウムという事が判明致しました!」
「ラグナ二ウム!?ラグナ二ウムといえばアレか。シャザールの装飾品や伝統工芸品に使われてるという?」
「はい。原始形状記憶素粒子という特殊な粒子を持った金属です。自己修復機能はその粒子によるものかと。あとはイシュタリア古の言い伝えとして人の持つ魔術に最も反応する金属がラグナ二ウムだとか…」
「世迷い事はいい!事実、あの装甲があるのであればお手上げではないか!という話をしているのだ!」
「ハッ!!それは……この戦闘データの動画をご覧ください!!」
「なんの変哲もない……。先ほどとは変わらないデータに見えるが?」
「拡大します。ここをご覧ください」
「おおおおおお!!」
「そうです。フォースエーテルリアクターを冷却する事によって、リアクターに外気を取り入れる為に装甲が一部開口します」
「そ……そこを狙い撃てば……!?」
「恐らくリアクターにチャージされているエネルギーの結晶は逆流し瞬く間に爆発。機体は大破することでしょう。恐らくミゲル参謀の必勝の策とは、敵機にエネルギーを無駄に使うだけ使わせて。急速にリアクターを冷却させそこを狙い撃つ。幸い兵力は我らが圧倒的に勝ります。この兵力を使って……!」
「な……なるほど!!!今度こそ言おうではないか!!でかした!!!幸い奴らは同士討ちをしている!!そこに我々のコマンダードール達で奴らのパワーを使い果たさせることができれば……!」
「はい!十分に勝機はあるかと!!」
一方、前衛部隊を軽くあしらったドイルは頭を掻きながら周囲を見回しながら鼻息荒く言い放つ。
「こんな雑魚共どうでもいいんだよ!!あのクソメガネええええええええ!!!こんなところに俺様を放り投げやがって!!!許せねえええええええ!!絶対ぶっ殺してやる!!」
ドイルの無線を傍受しているライザーは怒りをふつふつと溜めながらできるだけその怒りを表情に出さないでいた。
「(どうでもいいだと!!ドイルめ!!ブラッディファントムの部隊を蹴散らしヴァナティックの確保こそ貴様らの本来の任務だというのに!!子供の喧嘩に興じて本来の任務を忘れるなどなんという未熟ぶり!!俺が今すぐ出て行ってこいつらを修正をしてやりたいところだが……!!)」
チラっとプルートゥの様子を伺うライザー。3Dホログラフマルチタスクを巧みに操り、ドイルやグレイヴが叩きだす戦闘データに狂喜している。
思わずため息をつきそうになるライザー。中間管理職の辛いところである。こういった特殊部隊、しかも悪魔という人類始まって以来の常識外れの相手と戦う以上、総司令であるプルートゥの命令は絶対なのであった。ライザーにとって悔しい事だが、ここは一旦歯を食いしばって耐えるしかなかった。
「(ドイル!!グレイヴ!!覚えていろよ!!この戦いが終わったらアーヴァンにかわってとびきりの修正がお前たちを待っているからな!!)」
一方ドイル機を投げ飛ばしたグレイヴ機はブースターの出力を全開にし、100機以上の一斉射撃の弾幕を巧みにかいくぐりながら上空へと急上昇していた。
要所要所で弾幕を躱しながら、ハルバートランチャーを撃ち返してはいたが、照準も定まらず、敵部隊への有効打に成り得ているとは言い難い状況である。
グレイヴが吐き捨てるように呟く。
「ちっ!!流石に数が多すぎるか!!全てを躱し切るのはデスペラードでも無理なようだ……!!例え躱しながら、だましだまし撃ち返したとしても所詮は手打ちだ!決定打にはなりえない!デッドエンドストームを撃つには距離が離れすぎている!!近づこうにもこう執拗に弾幕を張られては……!!ならば!!」
オルブライトがグレイヴの覚悟に応えるように言い放つ。
「覚悟を決められましたか!!グレイヴ様。ハルバートランチャー既に全弾装填し終えています!!」
阿吽の呼吸で行われる一挙一動に、グレイヴはオルブライトに感謝の念を抱く。
「なんでもお見通しだな!!オルブライト!!お前がいてくれた良かった!ハルバートランチャー!!ワイドレンジ!拡散!!フルバアアアアアアアアアストオオオオオオオオオオオオ!!」
ハルバートランチャーの隠されたギミックを開放し、更に広範囲に射程が広がった業火の砲撃を一斉にブラッティファントム隊に浴びせる。
「ぐおわあああああああああああああああああああああ!!!」
「あ……あいつも砲撃してきたぞおおおおおおおおおおおおおおおお!!あがああああああああ!!」
「あ……あんな兵器が……あったなんて……うぎゃあああああああああああああああああああああ」
グレイブ機はハルバートランチャーの凄まじい火力で、前面の敵部隊のスレイヴを次々と業火に包みこんでは消し炭にしていく。だがハルバートランチャーの砲撃に専念するという事はグレイブ機の動きが固定されてしまい、一斉射撃の恰好の的になってしまうということであった。砲撃を依然放ち続けているグレイヴ機ではあるが、多大なダメージを負っていたのもまた事実である。オルブライトが叫ぶ。
「損傷率70%を突破!!ラグナ二ウム!!オートリペア!!展開!!損傷率40%以下に抑え続けます!」
グレイヴが歯を食いしばりながら砲撃を放ち続ける。
「頼むぞ!!オルブライト!!包囲を突破するにはこれしかない!!」
サンダースが上空の異常を察知してすかさず指示を送る。
「増援部隊!!空だ!!空の奴が網にかかった!!虚しい抵抗をしているようだが、数の理はこちらにありいいいいいい!!いますぐむかえい!!集中砲火に加わるのだあああああ!!」
グレイヴ機の周囲に続々と増援部隊が現れ、一斉射撃に加わる。さらに激しくなっていく銃撃の嵐。オルブライトも苦笑いを浮かべている。
「これは困りましたね……。ラグナ二ウムオートリペア機能が追いつかなくなりつつあります」
グレイブは不敵な笑みを浮かべ叫ぶ。
「いいだろう!!押し切ってやるぞ!!ドイルのあの一撃に比べればこの程度わけはない!!!!!!」
サンダースは更に部隊を集め、グレイヴ機に集中砲火を浴びせる。
「撃て!撃て!撃てええええええええええええええええ!!!ここで1機確実に墜とすのだあああああああああああああ!!うおおおおおおお!?」
サンダースのドラッケン・ドライのすぐ左脇をグレイヴ機の業火の砲撃が通り抜けていく。思わず後退りをするサンダース機。被弾しながらまだ砲撃を撃ち放っているグレイヴ機。30機ほどのブラッティファントム隊のスレイヴ達がハルバートランチャーの砲撃によって墜とされていた。
サンダースはニヤリと笑みを浮かべ、グレイヴの健闘を称える。
「ふん!!見上げた根性だが!!これが総勢の150機以上の一斉射撃の火力よおおおお!!貴様らの戦闘力がいかに桁外れであろうが所詮は単機!!ミゲルの言った通りである!!貴様はよく頑張った!!あとの1機も地獄に送ってやるから心置きなくあの世にいけええええええええい!!」
デスペラードの頭部、胸部、脚部に容赦なく弾丸の雨が突き刺さる。グレイヴが片目から血を流しながら咆哮する。
「があああああああああああ!!俺は……俺はドイルと決着をつけるまで死なんぞ!!!!!」
グレイヴのデスペラードデュエルの機体から激しい光がほとばしる。
オルブライトが呟く。
「同調パーセンテージ急上昇!!550??まさかそんな!!」
(唱 え な さ い !)
聴きなれない女性の声が頭に強く響き驚くグレイヴ。
「オルブライト?違う!!誰だ!?俺に呼びかける貴様は誰だ!!」
(悪魔に……勇敢なる……よ。其……力は……共にあり、汝……我と……、運……流転……る。森羅万象全て……と同……する事こそ……」
「ノイズが邪魔で何を言ってるのか上手く聞き取れない!!それになんだこの酷い頭痛は!!オルブライト!!こいつは一体なんだ!?こいつは何を言っている!!」
オルブライトは言葉を選びながら静かにグレイヴに語りかける。
「恐らくは彼女がデスペラードの力の根源。ブラックボックスの正体です(やれやれプルートゥ様……なんてことを……この力は危険すぎるもの……!)」
「彼女!?彼女だって!?ぐううううう!!頭が割れそうだああああああああ!!助けてくれ!!オルブライト!!」
(コードを唱えなさい!)
(新し……力……奔流、そ…身……器……変え、受……れるのです新……運命。悪魔の命脈を……に!)
オルブライトが厳しい表情で声の主に言ってきかせる。
「なるほど読めてきました。貴方がたの正体は恐らく……プルートゥ様もお人が悪い……悪魔を倒すには確かにこの方法しかないかもしれません……!ですが!!グレイヴ様を貴方がたの力を引き出す為の生体コアにはさせない!!!」
デスペラードのサポートAIとしてのオルブライトが防壁をはり、グレイヴへの脳内への正体不明の電波干渉を遮断しようとしたその時。
グレイヴが苦しそうな表情でオルブライトを遮る。
「オルブライト……!!違うようだ……!!こいつは……この……女は……俺に……力を……!!新たな力を与えてくれる……そうだ……ぜ……!?ぐうううああああああ!!」
「グレイヴ様!!お気を確かに!!」
グレイヴの意識が途絶え瞳から黒目が抜け落ち、何者かに憑依されたような表情に変化する。
「ファクター4436575。シーケンス0カウント。リバースコードマニファクチュア。ワーズ&ワース、定型疑似呪文代入。"守りしは我らの血と肉、守りしは我らの誇り、守りしは我らの矜持、そして守りしは愛おしき君、鉄壁を誇る守護領域!いでよ!" コード 上級魔術守護領域!!!」
「グレイヴ様!!一体何を!!!」
グレイヴ機の周囲に光のオーラが収束しバリアを形成する。およそ120機を越える一斉射撃を物ともしていない。
サンダースは悔しそうにうめき声をあげる。
「またかあああああああああ!!!一体どうなっているうううううう!!!こけおどしだ!!こんなバカな事がいつまでも続くわけがないいいいいいい!!撃て撃て撃て撃てえええええええい!!」
あまたの銃撃の嵐を、光のバリアで防ぎながら静かに空中から地上に降り立ち、ゆっくりと敵陣に歩いていくグレイヴ機。
その様子をドイルが確認する。
「あの野郎!!!あんなとこにいやがったのか!!っとアレって俺が使ったコード!?じゃねえか!ちいいいい!!あいつもアレ使えんのかよ!?天才の俺だけの特権だと思ったのに!!」
ラッキーはドイルが放ったコード、魔術守護領域よりもグレイヴ機の放った遥かに大きく強固なバリアに思わず驚きの声を上げる。
「うひゃあ!!でっけえバリア!!!アニキの時よりもすげえぜアレ!!!いて!!!なにすんだよおおお!!」
ゴチンと頭を軽く小突かれるラッキー。
「あの貧弱メガネが俺よりすげえなんてありえねえんだよ!目の錯覚かなんかだろ!」
「変な見得張っちゃってさあ!べえーだ!!素直に認めろっての!意地っ張りめ!」
「兎に角バリアは厄介だ!あのバリアが消えた瞬間に突っ込むぞ!!あの野郎今度こそただじゃおかねえ!!」
「ちょっとメガネ兄ちゃんの様子が変だぜ!!アニキィ!!」
中央まで歩いてくるとグレイヴは咆哮を上げる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
その瞬間大きなバリアが更に膨れ上がり弾けた。バリアに接触していた一斉射撃の弾丸が弾き返され全て逆方向に跳ね返ってきたのだ。
驚くサンダースとBF隊の隊員達そしてドイルとラッキー。
「バカなあああああああ!!跳ね返ってきただとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「い!!?伏せろ!!!ラッキー!!あのバカ洒落になってねええええええ!!!」
「うわあああああああああああああああああああああああ」
およそ120機の一斉射撃の弾丸が逆方向に跳ね返り、BF隊のスレイヴ達は回避したものもいれば次々と跳ね返った弾丸に貫かれ爆散しているもの出る始末である。
グレイヴが悶える。
「ぐううううううううう!!うわああああああああああああああ!!!」
半狂乱のグレイヴにオルブライトが声をかける。
「グレイヴ様!!グレイヴ様!!お気を確かに!!マシンに呑まれてはいけません!!」
「だ……大丈夫だ……!!オルブライト……!!俺の……い……意識はここにある……!!コードの力!!クククク……女ああああああああああああああ!!この力ああああああ!!使わせて貰うぞおォォォォ!!これこそ最高の力じゃあないかああああああああああああああああああ!!!」
「グ……グレイヴ様!!?一体何を!!コードの力!!これが……!?魔力を代弁する新たな力!?」
(唱 え な さ い!!)
「ああ……いいぜ……望み通り!!唱えてやるとも!!ファクター3567823。シーケンス0カウント。リバースコードマニファクチュア。ワーズ&ワース、定型真呪文代入。"其れ即ち原子の心、吹きすさぶ分子の風、魂が還る場所、母なる宇宙の呼び声" コード 復元魂魄」
突然デスペラードのフロントパネルが真っ赤に染まり、エラーのアラート音がけたたましく鳴り響く。オルブライトがグレイヴに警鐘を鳴らす。
「彼女からの伝達です。いかにコードとはいえ定型真呪文は疑似呪文と違って桁外れの魔力が要求されます。残念ながら今のグレイヴ様はその条件を満たしてはいないようです!」
グレイヴは狂気に満ちた顔でオルブライトに言ってきかせる。
「あの女から伝えられたことに俺と差があるようだな……!!足りない分は俺の命を削って賄う!!面白い事を聞いた……。ふふふ……あの女は確か血の盟約と言っていたな……!!悪魔と戦うにはうってつけだ!!うぐうううううう!!ああああああああああああ!!!があああああああああああああ!!」
「ぐ……グレイヴ様……!!なんということでしょうか……!!その力は魅入られてはいけないもの……!!」
グレイブ機の機体から今度は禍々しい暗い瘴気のようなオーラが発せられる。
ドイル機のスナイパーライフルによって、ごっそりと切断されたグレイヴ機の右腕がなんと何もない無の状態からにょきにょきと復元したのだ。
それは有機物のような生き物のような妙に生々しい手の形をしていた。筋肉の繊維一本一本が見えるようだった。
仰天したのがサンダースとFB隊の隊員達だ。
「な……なんと……!!最早……アレは……機動兵器といえるものではない……!!有機物か……!!」
「うわああああああああああああ!!化け物だあああああああああああああ!!」
ドイルとラッキーも大いに驚く。
「はあ!?なんだアレ!!うっわあ!!超気持ち悪ィ!!!!!!コードってあんなこともできんの?」
「オイラに聞かれてもさ!!それにしてもすっげえな……!!デスペラードってもしかして悪魔と同じ穴のムジナなんじゃ……」
復元した腕でしっかりとハルバートランチャーを握りしめゆっくりと近づいてくるグレイヴ機。狂気の笑みを浮かべるグレイヴ。
「ドイルに落とされた右腕が戻った……。これで両手が使える。やっとフルパワーで暴れられる……。射程に……入ったぞ……?」
サンダースは途端に青ざめる。密集しているBF隊の隊員達、およびコマンダードール達に慌てて号令をかける。
「全軍いますぐ散れえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」
グレイヴが獰猛な野獣のような鬼気迫る表情で咆哮する。
「奏でよう!!これが貴様らへの鎮魂歌だあああああああああああ!!!デッドエンドストオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオム!!!!!」
超高速の残像の連撃がBF隊を襲う。なすすべもなく連撃を喰らい、爆散していくBF隊のスレイヴ達。
「ふはははははははははははははははははははは!!!怖かろう!!!これこそが地獄だ!!!!1機たりとも生かしては返さん!!!!踊れ!!踊れ!!踊れ!!死のダンスを!!!!!踊れえええええええええええ!!!」
更に勢いづく死の超高速連撃。以前よりますます磨きがかかっているようだ。高い崖から腕組みをしながらグレイヴ機の奮闘を見ているドイル機。
「あのメガネバカ。完全に気持ちよくなってやがる!!!この後俺にぶっ飛ばされる事は知らずによお!!」
「アニキィ!!やっぱりあのメガネ兄ちゃん油断ならねえよ!!なんかさっきよりますます強くなってねえか?ここは策を講じた方がいいんじゃないかい?」
「うんにゃ。策なんてめんどくせえ!漢はフルパワーの一点突破よ!!」
「大丈夫かなあ……?オイラ正直かなり不安だわ……」
ラッキーの頭を撫で、頬ずりをしながらドイルが少年のような無邪気さで言い放つ。
「心配ご無用!!新しい必殺技を思いついたぜ!!これが決まりゃああのメガネなんて一発で粉砕よ!!」
耳と尻尾をピンと伸ばし満面の笑みでラッキーが叫ぶ。
「え!?新しい必殺技だって!!そいつはすげえ!!おせーて!!アニキオイラにもおせーてよお!!」
「へへん!!ちょい耳貸しな!!誰にも言うなよ?ごにょごにょ」
ひとしきり周囲の敵を八つ裂きにしたグレイヴ機は、ハルバートランチャーに突き刺した大破した数機のスレイヴ達を掲げながら叫ぶ。
「どうした!!ブラッティファントム!!!こんなものなのか!!まだまだ斬り足りない!!俺を満足させる奴はいないのかあああああああああああああああ!!!」
サンダースは額に青筋を立てグレイヴの挑発に耐えている。
「ぐうううううう!!青二才があああああああ!!言わせておけばあああああああああ!!」
ドイル機が崖から勢いよく飛び出す。
「ここにいるぜえええええええええええええええええええええ!!!!」
宿敵の登場にグレイヴは思わず笑みを浮かべる。
「来たかあああああああああああああああああああ!!ドイルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!これは挨拶代わりだ!!!喰らえ!!!!」
ハルバートランチャーに突き刺している敵機のスレイヴ達を、勢いよくドイル機に向かって投げ飛ばすグレイヴ機。
「しゃあああああああああああああああああああああらあああああああああああああああああくせええええええええええええええええええええええ!!!!」
弾丸のように投げ飛ばされる敵スレイヴら数機を、凄まじい勢いのローリングソバットで一蹴するドイル機。
ドイル機の強烈な蹴りで遥か彼方に吹き飛ばされる敵スレイヴの機体。その1機はサンダースのドラッケン・ドライの方向に突っ込んでくる。
「何ィィィィィィィ!!ごああああああああああああああ!!!」
大破したスレイヴにぶち当たり、転げまわるサンダース機。隊員達が駆けよる。
「サンダース分隊長!!大事ないでしょうか!?」
なんとかサンダース機は体勢を立て直す。
「ぐうううう……!!よもやあのような斬り返しを……!!大丈夫だ……。バランサーが少々イカれただけだ……」
ドイルはグレイヴに向かって意を決したように叫ぶ。
「喰らえメガネ!!これが俺の新必殺技だ!!!縦回転んんんんんんんんんん!!!!廻れ!!廻れ!!廻れ!!廻れええええええええええええええ!!」
ザンバーを前面に押し出し、槍に見立て、機体ごと大きく縦回転を始めるドイル機。さながら巨大なドリルのようだ。回転が高速化し瞬く間に巨大な竜巻が発生する。
グレイヴが迎え撃つように堂々と構える。
「片腕ではパワーを最大まで発揮できなかった!!今度は両手でいかせてもらう!!ドイルゥゥゥゥゥゥ!!おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!リミッター解除オオオオオオ!!!」
グレイヴ機の機体からまぶゆい光のオーラが発せられる。オルブライトは血気盛んなグレイヴの判断を推しとどめようとする。
「いけません!!グレイヴ様!!!まさかあの奥義を再び!?今度こそ命に関わります!!」
「ふん!!奴の新必殺技とやらをとくと見ろ!!オルブライト!!かつてないほどの凄まじいパワーだ!!あれを喰らえばどのみち俺とデスペラードは粉々に砕け散る!!逃げ道はもうない!!!ならばあああああああああああああああああああ!!!これだああああああああああああああああああああ!!!」
グレイブ機は超必殺の構えを再びとり、機体に力をためる。両腕でハルバートランチャーを力強くしっかりと握りしめ、以前よりも遥かにパワーは上昇しているようだ。
一方ドイル機は更に高速回転を加速させ、ただでさえ巨大な竜巻が更に大きくなっていき、果ては雷光のような桁外れのエネルギーのオーラが幾重にも連なって今にも暴れ出しそうな勢いだ。
ドイルの咆哮が響き渡る。
「全てを砕き!!貫く!この刃!!!くたばりやがれえええええええええ!!!グレイヴゥゥゥゥ!!!トルネードオオオオオオオオォォォブレイカアアアアアアアアアアアアアア!!!」
巨大な竜巻群をまとった世にも恐ろしい全てを貫き砕くドリルのようなドイル機が、凄まじい勢いとスピードで暴れ狂いながらグレイヴ機に襲い掛かる。
十二分に力をためたグレイヴ機がその真の力を開放する。今度はグレイヴの怒号が響き渡る。
「猛ろ!!俺の闘志!!吼えろ!!俺の魂!!!今こそ目にも見せてやるぞ!!!ドイルゥゥゥゥゥゥ!!デッド・エンド・スクリィィィィィィィィィィィィマアアアアアアアアアアアアアアアアア極!!!!!!!」
以前のデッド・エンド・スクリーマ―よりスピード、パワー、自身の分身の数の多さを遥かに上回っているまさにグレイヴの限界を超え死力を尽くした渾身の奥義であった。
「すべての分身を!!!ドイルのザンバーの一点に集中させる!!!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
両雄の奥義がぶつかり合う。ドイルおよびグレイヴが歯を食いしばりながら自身の奥義を押し通そうとする。
「ぐうううううううううううううううううううううう!!!野郎ォォォォォォォォ!!往生際が悪いぜええええええええええええええええ!!」
「がああああああああああああああああああああああ!まさか!!俺のフルパワーのデッドエンドスクリーマ―にひ……匹敵するパワーだと!?ドイル!!貴様一体……!?おおおおおおお!!」
両雄のデスペラードデュエルが激しく光だす、余りにも桁外れなエネルギーの衝突の為、周囲にいたBF隊のスレイヴ達は瞬く間に遥か後方に吹き飛ばされ、大地が大きく裂けだし、猛烈な嵐が巻き起こる。
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