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ディアボロス  作者: HEN
episode 1 イシュタリアの精霊王
23/71

0-23話  バウンティディヴィジョン  ヴァナティック邸の攻防  その22

仕事が忙しくなってきました。一時休載するかもしれません。でもできる限り休まず更新を続けていきたいです。全部のサブタイトルを改変したいですし、次回予告も全部更新したいのですがなかなか時間がない。仕事をしながら定期連載を続けることの大変さが改めて身に染みてわかってきました。それでは23話の始まり始まり~。

機動兵器の常識を超えた壮絶な戦いが繰り広げられている中、その凄まじさに呆気にとられているサンダースおよびブラッディファントム隊の隊員達。


隊員がおもむろに叫び出す。


「サンダース分隊長おおおおおお!!!もう1機の方が吹き飛ばされて!!!うわああああああ!!こっちに突っ込んできますううううううう!!!」


サンダースは叩き落とされたグレイヴ機が凄まじい勢いでこちらに吹きとばされてくるのを確認するや否や慌てて絶叫する。


「全軍散れええええええええええええ!!!!巻き込まれたらただではすまんぞおおおおおおおお!!!」


ブラッティファントム隊が総出でその場から緊急に避難する。回転しながら轟音とともに岩石郡に突っ込むグレイヴ機。



しんとした静寂と緊張感が辺りを包む。恐る恐るティーチ隊員がサンダースに問いかける。


「分隊長……!!こいつ……!!さっき同士討ちしてた奴の片割れですぜ……?あんなすげえ一撃を貰ったんだ……。スレイヴは勿論の事、中のパイロットも……し……死んでるんじゃあないですか?」


サンダースは目を見開き隊員の声に耳を傾ける。


「確かに……!機体は満身創痍でピクリとも動かんな……!今ならヴァナティック社長の要望通り鹵獲もたやすいかと思われるが……。貴様らも見ただろう!我々ブラッディファントムの決死の総攻撃を喰らって尚立ちあがってくるあのバケモノじみた耐久力。小生の見立てでは何らかの自己修復能力を有してるかと思われる」


「バ……バカなことを……!たかがスレイヴですぜ?自己修復機能なんて聞いた事が……」


「イシュタリアの最新技術の粋を集めれば不可能な事ではない!加えてあの桁外れの戦闘力よ……。我々が相手にしているのはアサイラムで起こった幾多の戦乱の記録を塗り替えるほどの機動兵器であるのは間違いないのである!!(そしてとりわけ目につくのがあの変形機能と奴が強い力を発揮する度に不可解な光を発する奇妙な現象である。あれは一体なんなのだ!?そしてバリア。超高速移動。小生は自己修復機能といったが、さきほどの修復は自己修復といった生易しいものではなかった。瞬時に物理法則を書き換えるほどの異常なものだ。まるで魔術そのもの!ヴァナティック社長があの機体を欲しがる理由もわからんでもない……!!ヴァナティック社長にそのままくれてやるのは少々惜しい気もするな……。あの機体をヴァナティック社長に献上する前に、こちらでもデータをとってあの機体を解析して、それを元に強力なスレイヴを開発しブラッディファントムの新たな旗頭にするのもよろしかろう!!)」


諜報班のケイジ隊員がサンダースに報告する。


「サンダース分隊長!!ミゲル参謀が……!!ミゲル参謀が討ち死になされました!!敵に背後から一刀の元斬り捨てられ……うう……!」


サンダースがその訃報を聞き号泣する。


「ミゲエエエエエエエエエエエエエエル!!!なんということだあああああああああ!!!ブラッディファントムきっての知略の持ち主がこのような最後を遂げるとはああああああ!!おのれえええええええええええええええええ!!背後からとは卑怯なりいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!断じて許される事ではないのであるううううううううううう!!!ブラッディファントムの猛者どもよ!!

この戦いはミゲルを始め死んでいったものたちの弔い合戦だという事を改め心せよ!!!」


ブラッディファントムの士気が向上する中、ケイジ隊員がサンダースに告げる。


「ミゲル参謀のドラッケン・ドライから……こ……このようなものが……」


それは一枚のデータディスクであった。サンダースはしげしげとそのディスクを見つめ、すぐさま自身のドラッケン・ドライのコクピットの端末でそのディスクを再生する。サンダースは驚嘆の声を上げる。


「おおおおおおお……!!おおおおお……!!こ……これはあああああああ!!」


ディスクの内容は戦闘中にミゲル参謀がまとめあげたデスペラードの解析データであった。軍略家でもあると同時に兵器アドバイザーでもあったミゲル参謀の古今東西から得た知識を総動員して書きあげられたデスペラードの解析図は実に見事な物で、知識の乏しい者が見てもその機体のスペックがありありと浮かんでくるほどであった。


サンダースはミゲルの解析データを夢中になって読みふける。


「なんと……!!動力源はフォースエーテルを組み込んだ永久機関の可能性が極めて高いだと!!奴らフォースエーテルを機動兵器の動力に取り込む事に既に成功しているのか!!ふむふむ……!!自身の推測によるならばあの不可解な光はフォースエーテルから抽出されているいわばエネルギーの結晶体のようなもの……。エネルギーの力場を作ることによって従来の機動兵器の常識を遥かに塗りかえる戦闘力を可能にしている。フォースエーテルエンジン(仮)に多大な負荷(オーバーロードをかけエネルギーの力場を生成する。極限まで負荷をかけより大きなエネルギー力場を生成した状態はいわば膨らんだ風船である。理論上、負荷の後には必ず冷却期間を要するはず。機体の構造からしてフォースエーテルエンジンが搭載

されている箇所は2か所に絞られる。A点、B点、まずは……」


ディスクは必勝の策と書かれたシーンに移り、ミゲル参謀のあらゆる観点から導き出される考察と勝利のへの方程式の説明がなされていたが肝心なところでディスクの映像にノイズが走り、途中で再生が止まって終わってしまう。サンダースの身体を震わせながらミゲルの決死のメッセージに感動し叫ばずにはいられなかった。


「ミゲル!!!おおおおお!!ミゲエエエエエエエエエエエエエル!!貴様の最後のメッセージ確かに受け取ったぞ!!!フォースエーテルを動力源としているのならば戦いようはあるということだな!!最新の技術を搭載しているのであれば最新故の脆さがある!!ミゲルが残してくれたメッセージ!!絶対にものにしてみせるぞ!!諜報班!!ケイジ!!ファラン!!ディスクン!!このディスクを引き続き解析せよ!!!ミゲルの真意を掴み取るのだ!!」


諜報班の隊員たちは一斉に敬礼して返事をする。


「ハッ!!!全力で解析します!!」


サンダースは再び岩石郡に突っ込んでいってピクリとも動かないグレイヴ機に目をやる。


「……うむ……!!!あの機体の生死確認をする!!!誰か!!誰かおらんか!!」


サンダースは隊員達に目をやるが、あの凄まじい戦いを繰り広げた鬼神の如き強さのグレイヴ機の姿をまざまざと見せつけれた後では、みながみな怯えきっていって誰もがサンダースから目をそらす始末である。


その不甲斐ない隊員達に激昂するサンダース。


「馬鹿者がアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアア!!貴様らあああああああああああああそれでも誇りあるブラッディファントムの隊員なのかあああああああああああああああああああああああああ!!!!!恥を知れ!!!恥をおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


ティーチ隊員が間髪入れずサンダースに意見を具申する。


「分隊長殿のお手本がみたいのであります!!!」


「え?小生が?」


部下からの意外な返答に思わず素に戻るサンダース。


「ハッ!!常勝無敗の不敗神話を誇るブラッディコンドルことサンダース分隊長の誇り溢れる勇姿が見たいのであります!」


周囲からティーチの意見に賛同する声が多数押し寄せられる。


「そうだそうだー!!」


「よっ!分隊長殿!!漢の中の漢!!」


「やっぱりできる上司は違うよなあ」


サンダースは目を瞑り、しばらく神妙な顔つきで考え込み。再び目を見ひらいてきっぱりと答える。


「だ が 断 る!!!!!」


ブラッディファントム全員がサンダースの返答にずっこける。ティーチ隊員が腰を抜かし呆れたように言い放つ。


「そ……そりゃあないですぜ……!!分隊長殿!!」


「だってあんなに強い奴がもし生きてたらどうするんだ!!!?小生は多分殺されてしまうのである!!!」


「言ってる事がわからねえええええ!!自分が殺されてしまう可能性がある嫌な事を部下にやらせちゃいかんでしょうが!!」


ヒートアップしたサンダースとティーチ隊員との激論はやがって取っ組み合いの殴り合いに発展していく。


そのサンダースとティーチ隊員のやりとりに現場は大ブーイングだ。


「こんなんじゃあ死んでいった仲間達が浮かばれないよ……!」


「マット隊長やジェイコブ隊長は強いしカッコいいのにうちの分隊長ときたらコレだからな……」


「あんなのが俺たちの隊長ならブラッディファントムはもう終わりだな。転職先考えるか」


士気が大いに下がり、言いたい放題の隊員達に業を煮やしたサンダースを意を決したように叫ぶ。


「(い……いかん!!この士気の落ちようは異常だ!!このままでは隊の存続が危ぶまれる……!!ここは怖いが小生のかっこいいところをこやつらに見せつけ皆の尊敬を再び集めなければ!!)あい!!わかったああああああああ!!貴様らがそこまで言うならこの小生があああああああああああああああ行ってやろうではないかあああああああああ!!!小生の生きざま見さらせ!!」


サンダース駆るドラッケン・ドライはドキドキしながら岩石郡に埋もれて動かないグレイヴ機と対峙する。


一旦じりじりと距離をとり始めるサンダース。隊員達はサンダースの不可解な行動にざわめく。


「分隊長殿は一体何をしてるんだ?」


「生死確認するんじゃあないのか……?どんどん奴から遠ざかっていくぞ?」


「しっ静かに!」


サンダース機はまず沼地に入り、寝っ転がるような姿勢になり、丹念に機体に泥を塗りはじめ、沼地から出て雑木林に入る。


雑木林から今度は手ごろな草木をむしっては機体に入念に張りつけはじめる。隊員達はサンダースがとった行動の意味を理解しだす。



「ま……まさか……これは……」



そうカムフラージュである。



グレイヴが死んでいればよし。もし生存していてあの凄まじい攻撃力による反撃を喰らえば恐らくサンダースがこの世にいなくなるであろうことは想像に難しくない。


最悪の事態を想定して、相手に悟られる事のないように熟慮したサンダースの決死の策ともいえる行動である。


そして匍匐前進を始めるサンダース機。端から見たら一見滑稽に見える行動だが、あのドイルとの凄まじい戦いを繰り広げた鬼神の如き強さを誇る相手ということもあり、事もあろうかその場にいた隊員達はサンダースのこの過剰ともいえる行動に舌を巻いて絶賛しだした。


「見事だ……!!全く無駄のない行動……!!」


「あの距離……!!あの位置……!!この絶妙な間合い……!!」


「完璧なカムフラージュだ!!スレイヴの気配をああも消せるものなのか……!?」


「や……やはり……サンダース分隊長は一味違った……!」



匍匐前進をしながらバレットライフルを右手に持つサンダース機。隊員達はざわめく。


「い……一体何をする気だ……!?」


「しっ!!サンダース分隊長の事だ!!黙って見てろ!何かお考えがあっての事だろう!」


右手のバレットライフルを発砲する。まずはグレイヴ機に当たらないようにグレイヴ機の周囲に数発鋭い威嚇射撃を放つ。


もしグレイヴが生存しているのであれば何らかの反応があってもおかしくはないはずである。バレットライフルを撃ち終わった瞬間、匍匐前進から即座に側面に転がり岩や草木の深い繁みに身を隠す。隊員達はサンダースの無駄のない見事な立ち回りに感嘆の声を次々と上げる。


「おい!!見たか!?あの動き!!」


「なんて無駄のない威嚇射撃!!ベテランの軍人でもああはいかないぜ……!!」


「バカ!!どこを見てるんだ!お前は?威嚇射撃そのものよりも凄いのはあの撃ち終りだ!撃った後必ず障害物に身を潜め対象を絞らせない!流石はサンダース分隊長殿といったところか!!」



………お気づきの方もおられると思いますが、サンダースがやってる事自体は特に大したことではありません。


しかし、あれほどの激戦を繰り広げた化け物じみた機体に対して単身向かっていくということ事態が勇敢、誇りある行為と捉えられ、ましてやこの過剰ともいえるサンダースの生死確認方法はいわば隊の士気高揚かつ人身掌握のための初歩の詐術にも似た演出であり、一種のパフォーマンスなのである。


案の定しっかりと隊員達の声をマルチスピーカーで拾ってほくそ笑んでいたサンダース。


「いいぞ!!!もっとだ!!!もっと小生を褒めろ!!褒めるんだ!!小生を崇め奉れええええええええええええええええええええい!!!」


今度はいよいよレイヴ機の足や腰にバレットライフルを命中させるサンダース機。


通常、もし生存しているのであれば機体に実弾が命中した場合必ず何らかの反応があるはずである。が、それでもグレイヴのデスペラードは微動だにしない。


こ  れ  は  も  う  死  ん  で  い  る 。


確固たる確信を得てテンションの上がったサンダース、およびドラッケン・ドライは立ち上がり、陸上競技選手のように大胆にクラウチングスタートを切ってグレイヴ機に向かって全力疾走をしだす。その大胆すぎる行動に驚きを隠せない隊員達。


「見ろ!!!サンダース分隊長が走ったあああああああああああああああああああああああ!!!」


「う……美しい……!!!な……なんて美しいクラウチングスタートだ!!完璧なスタートダッシュだ!!」


「は……速い……!!瞬く間に対象に近づいていっているぞ!!」


「新記録だ!!!いや世界記録が出るぞ!!サンダース分隊長おおおおおおお!!!ぶっちぎれええええええええええ!!!」


もはや単なるサンダース応援団と化してしまったブラッディファントムの隊員達。その声を回線で拾いながら更に得意気になるサンダース。


「ふははははははははははははは!!!!!確実に死んでるとわかったからにはなんでもできるわあああああああああああああああい!!!喰らえ!!!小生の渾身の勝利の蹴りをおおおおばあああああああああああああああああああ!!!」


ぐったりとうなだれているグレイヴ機の頭部にそのまま蹴りを入れ、足蹴にしてガッツポーズをとるサンダース機。そしてサンダースは絶叫する。


「生死確認完了!!死んでまあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああす!!!!!」


隊員達はサンダースのその行為、その一言に狂喜乱舞し、隊の士気ははち切れんばかりに高揚し、怒涛のように巻き起こるサンダースコール。


「サンダース!!サンダース!!サンダース!!サンダース!!」


「サンダース!!サンダース!!サンダース!!サンダース!!」


「サンダース!!サンダース!!サンダース!!サンダース!!」


隊の存続も危ぶまれるほど落ち込んだ士気も見事に回復し、サンダースに対する隊員達の多大なリスペクトも勝ち得た記念すべき瞬間であった。


その怒涛のサンダースコールに更に得意になったサンダースは勢いづく。


「もう既に死んでると思うが!!!!我々の勝利を確実な物とする為に改めて小生直々に止めをさすものである!!!この野郎!!!シャ――!この野郎!!この!!この!!この野郎!!!」


サンダース機はグレイヴ機の首を掴み上げそのままヒートブレイドで何度も切り刻み、最期には再び岩石郡に投げ飛ばした。


隊員達はサンダースのその行動に熱狂し、更に士気は高揚していく。隊員達はみな英雄を見るような眼でサンダースを見ている。


サンダースはその光景に満足し気分をよくして再び勝利宣言を掲げる。


「(いかんいかん調子に乗ってやりすぎてはこの機体を鹵獲する事ができなくなってしまう。まずは解析班にデータを解析させヴァナティック社長に引き渡すとするか)ふはははははははははははははははははははは!!!漁夫の利とはいえええええええ!!この機体は我々の手に落ちたのだあああああああああああああ!!!我々の完全な勝利である!!」


隊員達は熱狂の渦に包まれる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!サンダース分隊長おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」



人知れずグレイヴのデスペラードから再起動音が鳴り響く。


やっと目覚めたグレイヴに対してオルブライトは挨拶をする。


「おはようございます。グレイヴ様。ご気分はいかがでございますか?お目覚めのコーヒーなどはどうでしょうか?それとも紅茶がよろしいですか?」


グレイヴは血を吐きながら答える。


「がはっ!!気分は最悪だ……!!一瞬地獄が見えたからな!再び会えて嬉しいオルブライト。コーヒーを貰おうか。お前の淹れてくれたコーヒーは絶品だったからな」


グレイヴはオルブライトが淹れたコーヒーの香りを楽しむと一気に飲み干した。懐かしい味に思わず涙が流れる。


「ふふふふ……何も変わっていない。この味、この香り、あの頃と何も…………またお前のコーヒーが飲めるなんて俺はなんて幸せ者なんだ……!」


過去に行き違いでオルブライトを手にかけてしまったグレイヴの許されざる罪。グレイヴが小さい頃から大好きだったオルブライトのコーヒー。


そのコーヒーの味が余りにも優しく甘美なものであったので初めてグレイヴはオルブライトに心の底から許された気がした。グレイヴが呟く。


「オルブライト。俺とした事が派手にやられちまった。デスペラードは動けそうか?このダメージ……。ラグナ二ウムのオートリペアで修復できそうか?」


「グレイヴ様……。残念ながら損傷率は85%を越えております。かろうじて動けるといったところでしょうか。リミッターを解除したグレイヴ様の奥義はデスペラードデュエルの稼働限界を明らかに越えていて、その上ドイル王子の絶大な一撃をまともに貰ったのですから生きているのが不思議なくらいでございます。その代償としてオートリペア機能は一時的に使えません。同調(シンクロ)パーセンテージ30%以下に低下しております……。」


「そうか……。ふふふふ……。あの技はな……。訓練では一度も成功しなかった技だ。実戦で初めて成功したってのにあの野郎……。ふふふふ……。更にその上をいきやがって!!!」


悔しそうに奥歯を噛みしめるグレイヴを見てオルブライトは思案する。


「(好敵手がぶつかり合い実力以上の力を発揮するが故にあの絶大なる奥義が完成したのでしょう。ある意味ドイル王子に感謝しなければ。心強いことですがここら辺で修行は終了ですね。悪魔(ディアボロス)を倒すためのレッスン1 これにてお開きでございます。しかしその授業料は少々高くつきましたねえ。ラグナ二ウムが機能しなくなるまでの多大なダメージを受けようとは、ブラッティ何某という輩もいることですし、この場からグレイヴ様とドイル王子を生還させることが急務ですね。わたくしが生きていて、わたくしのハイ・メタルスレイヴ。フルメテオル・サザンクロスがあればこの場を切り抜ける事などわけないのですが、今は所詮サポートAIの身人生何が起こるかわかりませんねえ。はっはっはっは!これは困りました。しかしドイル王子とグレイヴ様ならこの苦境も乗り越えてくれるでしょう。わたくしは陰ながらサポートに徹するのみ)」


グレイヴが苦しそうに呻く。


「ぐうううう!!ちっ!!あの野郎の奥義とやらのふざけた一撃で鎖骨と背骨の一部が砕けてやがる……!!オルブライト……。このまま戦うのは少しきついかもな……!」


「これは大変です!すぐに痛み止めと鎮静剤を打ちます」


グレイヴのダメージを負った患部にすぐさま注射や投薬を施すオルブライト。グレイヴが痛みにうめき声を上げる。


「ぐわあああああ!!」


「お気を確かに!もうしばらくすると効いてきますのでこのまま心を静かに深呼吸して……」


「ああ……幾分楽になった……!恩に着るよオルブライト……何やら外が騒がしいが?」


「ブラッティ何某という荒くれ者ですね。グレイヴ様が気を失っている間にまるで鬼の首をとったかのような大はしゃぎ……。おめでたい連中ですねえ。見ていて退屈はしませんが」


「ふん……。そうは問屋が卸さないって事はその身に叩き込んでやらなくちゃあな」


グレイヴのデスペラードの眼に再び光が灯りゆっくりと立ち上がる。


それに気づかずに調子に乗って様々なポージングを決めて士気を煽っているサンダース機。立ち上がるグレイヴ機を見て一気に青ざめるブラッディファントムの隊員隊。


「サンダース分隊長!!うしろ!!うしろーーーー!!!」


サンダースはまだ気づかない。


「どうした!!皆の者!!!あと1機も小生がちょちょいのちょいで投げ飛ばしてやるのであるううううう!!ふはははははははははは!!」


隊員達はサンダースの生命の危機に必死でサンダースに訴えかける。


「うしろーー!!!サンダース分隊長殿!!!うしろでありまーーーす!!!」


「うしろーーーー!!うしろーーーー!!!」


サンダースはまだ全然気づかない。


「何を言っとるか!!みんな青ざめた顔しおってからに!!!こう小生がえいや!!そりゃは!!ってな具合で次も……」



「サンダース分隊長!!!うしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


ようやくめんどくさそうに後ろを振り返るサンダース。


「何を大げさに後ろって、ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!生きていらっしゃるうううううううウウウウゥゥウウウウウゥゥウウウウウゥゥ!!!」


グレイヴ機はハルバートランチャーを渾身の力で薙ぎ払う。


「邪    魔    だ   !  !」



「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!南無三!!!」



慌てて両手で頭を押さえしゃがみこむサンダースのドラッケン・ドライ。一部装甲は持っていかれたもの尻持ちをついて事なきを得たが、グレイヴ機のハルバートランチャーの余りの鋭い一撃に後方の巨大な岩石郡は豆腐のように真っ二つに両断された。


瀕死の状態でもその異常なまでの戦闘力は健在であるこの信じれらない光景にサンダースをはじめブラッティファントム隊員達が愕然として凍り付く。


グレイヴ機はゆっくりと前に歩き出す。そしてグレイヴはその場にいる人間全てを見下しながら言い放つ。


「なんだ?まだいたのかお前ら。命が惜しくば消えろ。貴様らと俺とでは桁が違いすぎる。ドイルを倒した後は貴様らの番だということを忘れるな」


ふらつきながらゆっくりと前に歩くグレイヴ機。その余りの堂々とした威圧感にブラッティファントム隊の隊員達は何もできずに次々と道を開けるしかなかった。


オルブライトが思案しグレイヴに進言する。


「(同調(シンクロ)パーセンテージが徐々にあがっている。この状況でですか?一体何が?)グレイヴ様、機体の状況を顧みるに今は実戦に耐えうる状況下ではありません。ここはラグナ二ウムが機能するまで後方の後続部隊と合流するのが上策かと。ドイル王子との戦いの続きはまた後日といったところで……」


「冗談はよせ。オルブライト。このままでは引き下がれない。あの奥義を繰り出した瞬間、俺は確実に親父を越えたはずだった……。それをあっさりとその上をいきやがって!!この憤りとこの悔しさ!!!どうしてくれようかああああああああああああああ!!!ドイルウウウウウウウウウウウウ!!!おおおおおおおおおおおおおお」


鬼気迫る表情で怒りに打ち震え絶叫するグレイヴ。


同調(シンクロ)パーセンテージ255突破!!ラグナ二ウムフルドライヴ!!グレイヴ様の感情にデスペラードが呼応しているとでもいのうでしょうか!機体損傷率30%まで軽減。なんということでしょう……。デスペラードデュエル!再変形!!  ??? この形態は?? このバインダーこのフォルム!!いずれもわたくしが知るデスペラードデュエルの形態ではないものです……(プルートゥ様……徐々に察しがついてきました。ブラックボックスとは恐らくは……。なんて機体のサポートAIに抜擢されたものでしょう!)」


狂気に満ちた表情でグレイヴが言い放つ。


「さあ!!第2R開始だ!!!」


「まさかグレイヴ様……!!まだドイル王子との戦いを続けると……?」


「当然だ!!!俺は勝つ!!!絶対にドイルに勝ってみせる!!」


「一体いつまでお続けになるつもりでございますか……?」


「無論どちらかが死ぬまでだ!!!!!」


光に包まれたグレイヴ機はブースターを全開にし凄まじい勢いで空高く飛び去っていった。



呆気にとられるサンダースとブラッティファントム隊。静寂が立ち込め


しばらく言葉を失う一同。沈黙を破ったのは諜報班のケイジ隊員だ。


「は……はーーーーい!!」


挙手をするケイジ。サンダースがケイジを差す。


「な……何か意見があるのか?は……はい!!どうぞケイジくん!!!」


ケイジが恐る恐る口を開く。


「こんな事になるのなら、せ……生死確認はコマンダードール達に行かさればよかったのでは?」


その場にいた全員が  「あ」  といった表情をした後、顔を真っ赤にしたサンダース駆るドラッケン・ドライがケイジのファーレンファウトを空高く豪快に殴り飛ばす。


「いらん事言わんでいいのだ!!この馬鹿者があああああああああああああああああああああああ!!!!」


「ほがあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


空高く殴り飛ばされ瞬く間に夜空の星になるケイジのファーレンファウトであった。













読んでくださってありがとうございました!!感想お待ちしております!!

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