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ディアボロス  作者: HEN
episode 1 イシュタリアの精霊王
17/71

0-17話  バウンティディヴィジョン  ヴァナティック邸の攻防  その16

前回のあとがきに16話のグレイヴやオルブライトについて補足説明をしております。見ていないかたは一度目を通していただけると助かります。さて今回なんですが…、やはり依然書いても書いてはお話が進まない感じになっていてなんとも…これはもう病気ですね。治るには話が進むまで書き続けます。話よ!進め進め!ってせっせと書いていたらこんな字数に……あらら……なんかもうすみません。それはさておき17話のはじまりはじまり~!

既に増援の数十機でドイル機を包囲した周到な采配を見せているサンダース。サンダースがドイルに向かってオープンチャンネルで警告を発する。


「ああ~テステス!!本日は晴天なり!!ゴホン……!そこのパイロットの小僧おおおおおおお!!貴様は既に包囲されている!!兵力差は歴然である!!このまま戦っても貴様に待っているのは無様な犬死のみだ!!大人しく投降せよ!!投降してその機体を我々ブラッディファントムに明け渡すのというのであれば命だけは助けてやろう!!繰り返す!!貴様は既に包囲されている!!……」


圧倒的な兵力差を盾にドイルに降伏勧告を繰り返すサンダース。不安そうな顔でドイルを見つめるラッキー。


「あ……あんなこと言ってるぜ?どうするよ?アニキ」


「ハッ!!愚問だぜ!!ラッキー!こんな時はこう言うんだぜ?」


ドイルはすううと息を吸って呼吸を整えると大声で怒鳴り散らす。その余りのバカでかい声に思わず耳を塞ぐラッキー。


「どけどけどけええええ!!ドイル様のお通りだぜ!!撤退してやってもいいからてめえらとっとと道を空けやがれええええええええええええ!!!!!!」


そして圧倒的な兵力差による包囲物怖じせず正面から突撃するドイル機。その猪突猛進ぶりに頭を抱えるラッキー。


「少しでもアニキにまとまな受け答えを期待したオイラがバカだったよ…」


サンダースも毎度の事ながら驚愕する。


「そ……それが撤退する奴の態度かああああああああああああああ!!撤退とはもうちょっと申し訳なさそうにやるものなのだあああああああ!!ま……真正面から突撃してきおって毎度のことながらこの馬鹿者があああああああああああああ!!もういい!!もうわかった!!我らがブラッディファントムの精強なる兵達、そして忠実なる僕、コマンダードル達よ!!!この愚か者を殺し尽せ!!これは粛正という名のみせしめである!!全軍迎えうてえええええ!!今こそブラッディファントムの狂気を刻めえええええええ!!」


「了解であります!!」「イエスマスター!!」


BFOB隊員とコマンダードールがサンダースの号令に答えドイル機に一斉に襲い掛かってくる。


「おおおおおおおおおらあああああ!!」


気合一閃ドイル機は猛前と襲い掛かってくるファーレンファウトに鋭く剛剣を叩きつける。増援に訪れたディルギスタン製のファーレンファウトという汎用型のメタルスレイヴだ。ファーレンファウトは、ドイル機の剣圧に圧倒され瞬く間に斬り伏せられる爆散する。その後もドラッケン・ツヴァイとファーレンファウトの敵機らが襲い掛かってくるも、時にザンバーを右へ左へ回転させ、持ち直しては縦横無尽の怒涛の斬撃を斬り放ち、敵機を次々と撃破していく。


圧倒的兵力差でありながら敵に後ろをみせず、真正面から血路を切り開いていくドイル機はまさに鬼神の如き勇猛ぶりである。敵機を斬り倒す度にドイル機の機体やザンバーの刀身からから発せられる光が強くなっていっている気がする。


ラッキーは呆れながらもドイルのますます磨きがかっかっていくその強さに驚嘆せずにはいられなかった。


「本当にアニキは常識外れで無茶苦茶なんだから……!!」


その声はどこか嬉しそうだった。驚いたのはサンダースだ。満を持して到着した最強の増援達が、やはりたった1機に蹂躙されようとしているこの展開はサンダースにとっては地獄絵図でしかなかった。


「お……抑えられんのか!!?これだけの増援でも!!まるで抑えられんのか!?ミゲエエエエエエエエエエエエル!!どういうとだ!!あのバケモノはこれほどまでに強いというのか!!せっかくの増援が全く歯が立たんではないか!!」


ミゲルも想定外の展開に驚きつつもサンダースに自身の見解を述べる。


「い……いくら強いとはいえ所詮は単機!!この勢いも長くはもちますまい!!更に兵力を増強し包囲を狭めましょう!!第1陣!第2陣と絶えず間をおかず猛攻を仕掛ければ奴とていつかは音を上げるはず!!ここは持久戦であります!!」


悔しそうにミゲルの見解に同意を示すサンダース。


「ぬううううう!!確かに!!なあにまだまだ増援は来る!!兵力の規模が違うのだ!!いつか必ず隙が出来る時が来る。その時こそ見ておれよ……!!」


獅子奮迅の戦いを見せるドイル機に対してラッキーが警告する。


「アニキ!!後ろだ!!後方から迫ってくる敵機がある!!」


「ちっ!あちこち敵だらけで忙しいったらないぜ!!嬉しい悲鳴だけどよ!!」


後方から迫りくる敵機に対し機体を反転させるように大きく横薙ぎにザンバーを薙ぎ払う。周囲にいたドラッケン・ツヴァイとゴリアテ、キディアイズ製の試作機ガーランドMKⅣがまとめて薙ぎ払われる。


ドラッケン・ツヴァイやゴリアテが真っ二つになり吹き飛ばされるも、ガーランドMKⅣはシールドを携えドイル機のザンバーの剣圧に耐えつつ、徐々に体勢を押し戻そうとしている。


「こ……こいつ!?押し返すつもりか……!?ぐうううう!がああああ!?」


ドイルの渾身の斬撃をシールドで押し返し、ドイル機の体勢が崩れたところにガーランドMKⅣが震動ヒートブレイド抜刀し畳みかける。ラッキーがドイルに警鐘を鳴らす。


「コクピット狙いだ!!アニキ!!何としても外せ!!」


「わかってらあ!!俺の剣を弾くとはやるじゃねえか!!これでも喰らっとけ!!」


崩れた体勢を利用してそのまま流れるような後ろ回し蹴りを放つドイル機、ガーランドMKⅣの頭部に炸裂し、大きくふらつく。


「貰った!!詰めが甘いぜ!!」


ドイル機はふたらつくガーランドⅣにザンバーを叩きつけようとするが、突如背後からミサイルの嵐を喰らう。


「ごおおおおわああ!!?どっから撃ってきやがった!!」


大きな硝煙が立ちこめ周囲は何も見えない。その煙から突如動く影が見えた。ラッキーはドイルに注意を促す。


「前方と後方!!2体同時に来るぞ!!挟み撃ちだ!!アニキ!!警戒してくれ!!」


「2体同時か!!楽しませてくれるぜええええ!!」


煙から勢いよく迫りくるのはディストピア製の試作機ブラックレイヴンだ。両手に携えた二刀のシックルでドイル機に猛然と襲い掛かってくる。恐ろしいほどの鋭さだ。ドイルはその鋭さと洗練された連撃に舌を巻く。


「速えええ!!このスピード!この連撃!並のスレイヴの動きじゃねえぞ!!」


ザンバーを巧みに操り連撃を捌くが、全てを捌ききれずに機体の頭部と胸部に損傷を負う、一瞬膝をついたところで、後方から先ほどのガーランドMKⅣが震動ヒートブレイドを振りかぶって襲い掛かってくる。


「アニキ後ろだアアアアアアア!!」


「うおおおおお!!?」


左腕でザンバーを高速で振るいブラック・レイブンの二刀のシックルの猛烈な連撃を依然捌きつつ、後方から迫るガーランドMKⅣの震動ブレードを右腕でかろうじて防ぐドイル機。


けたたましい削り取られるような金属音が鳴り響き、右腕のダメージにコクピットのフロントパネルがアラートを鳴らす。ラッキーもドイルに訴えかける。


「何してんだ!?アニキ!!右腕はシールドじゃねえんだぞおおおおおおおおおお!!このままじゃあ右腕がぶった斬られちまうううううう!!」


「んなこたあわかってんだよ!!前方の黒い奴が思ったより手練れだ!!すげえスピードなんだよ!俺でも全てを捌ききれねえ!!油断してるとコックピットごと持って行かれる!!後ろのバカまで注意が回わらねえええええ!!」


更に激しくなる前方のブラックレイヴンの二刀のシックルの猛撃、そして後方のガーランドMKⅣも更に全体重をかけて圧力をかけてくる。もう間もなくドイル機の右腕は削り斬られそうだ。ドイルは焦りだす。


「こ……こいつらパイロットは何モンだ?黒い奴は全て急所狙い……!いくらなんでも動きが精密すぎる!後ろの奴は迷いなく全体重をかけて一気に殺しにきてやがる……!!上手くはいえねが、さっきのブラッディファントムのオッサン連中みたいな迷いと甘えが一切ねえ。まるで機械みてーな冷たさを感じるぜ!」


機械というキーワードに何か引っかかりを感じるラッキー。


「(機械だって……まさか……!?)」


ラッキーの思惑をよそに徐々に追い詰められていくドイル機。ドイルがこの窮地にラッキーに助けを乞う。


「ちっこのままじゃあジリ貧だぜ!!なにか策はないか!?ラッキー!!?」


「アニキ!!前にやった竜巻みてーな斬撃!!アレだ!!アレで斬り返せないか!?」


「とてもじゃねえが無理だ!!アレをやるには全身に捻りを加えるタメが必要だ。こんなに密着されちまってプレッシャーをかけられたらうまく繰り出せねえ!!せめてタメを作れる隙間と一瞬の時間があれば!!」


「隙間と一瞬の時間があればいいんだな!!わかった!!アニキ!!ここは分担作業といこう!!オイラがなんとかして後ろの奴を突き放す!!前のブラックレイヴンの攻撃はアニキが防いでくれ!!アイハブハーフコントーロル!!マルチモニター起動!!頭部と右半身はオイラが制御する!!アニキは左半身を頼む!機体の胸部に仕込んであるマルチモニターで敵機を捕捉できるはずだ!!」


ラッキーが叫ぶと、ドイル機の右半身のコント―ルはラッキーが操作し残り、左半身のコントロ―ルをドイルが担当すること操作形態に移り変わる。ドイルがラッキーを信頼し、ブラックレイブンの猛撃を捌く事に全神経を注がせる。


「サンキュー!!ラッキー!!これで奴らの好きにはやらせねえ!!後ろの奴を頼むぜええええええ!!」


左半身のみにコントロールを集中させた結果、更に巧みにザンバーを操り、ブラックレイヴンの猛撃を捌ききれるようになる。先ほどまでは押されていたが、今や五分以上の状態に押し返している。


右半身をコントロールするラッキーが吠える。


「ミサイルは使えない!!この至近距離だとこちらまでダメージがある!!ならばこれだああああ!!バルカン全砲門フルオーーート!!!」


身体ごと圧力をかけてくるガーランドMKⅣに対し、右腕に食い込んでる震動ブレードを受けながら、ラッキーはデスペラードの頭部、肩部のバルカンをに対し猛連射する。


ガーランドMKⅣの頭部や胸部に激しくバルカンが着弾し、一瞬後ろにたじろぐも、やはり再び物ともせずに体ごと圧力をかけてくる。悔しさを滲ませながらラッキーは叫ぶ。


「畜生!!!なんて重装甲だ!!バルカンだけじゃあひるまねえか!!じゃあこんなのはどうだ!?オイラの蹴りを……喰らってみろよおおおおおおおおおおお!!」


更にバルカンを猛連射しながら膝蹴り、ローキック、ミドルキック、怒涛のようなキックの嵐をガーランドMKⅣに叩き込むラッキーが操るデスペラードデュエル。


前方のブラックレイヴンの猛撃を完璧に捌きながら、後方のガーランドMKⅣを猛烈な勢いで押し返そうとするデスペラードの特異な動きにコマンダードール達が駆るスレイヴ達の後方に控えていやた周りのBFOB隊員がざわつき始める。


「お……おい……?あ……あんな動きが可能なのか……?」


「頭部は後方を見ているはずなのに、前方の敵の連撃を完璧に対処している……!こんな事が……!!」


サンダースやミゲル参謀もこの動きに思わず唸る。


「奇怪極まる……!!」


「なんという動きか……!!分隊長殿!あれは本当にスレイヴなのでしょうか?」


「わからん……わからんが……我々にとって排除せねばならない脅威の対象であることには依然変わりはない!!」


ドイルとラッキーが同時に吼える。


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」


遂に、ザンバーで前方のブラックレイヴンを、バルカンと渾身の蹴りで後方のガーランドMKⅣを吹き飛ばす事に成功した。デスペラードデュエルの右腕は切断寸前でかろうじてまだつながっている。


大仕事を終えたラッキーが間髪入れずドイルに問いかける。


「アニキ!!コント―ルの全てをアニキに託す!!今だあああああああああああああ!!」


「わかってる!!やってやるぜ!!うおおおおおおおおおおおおおお!!」


この一瞬の隙を好機として機体の全身を捻りタメを作る。吹き飛ばされるもむくりと立ち上がり、前方のブラックレイヴンと後方のガーランドMKⅣは再びドイル機に襲い掛かかっていく。


ドイルの怒号が響き渡る。


「ぶった斬れろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


ザンバーの刀身に光のオーラが集中していく。ブラックレイヴンとガーランドがドイル機に触れようとする瞬間に竜巻のような斬撃に撃ち放たれブラックレイヴンとガーランドMKⅣは八つ裂きになって爆散していく。そこで間髪入れずサンダースが号令を発する。斬撃の後のドイル機の隙をサンダースは見逃さなかったのだ。


「ここだ!!ここなのだ!!あの斬撃は確かに凄まじいが余りの威力とオーバーモーションの余り、斬撃の後に大きな隙ができる!!コマンダードール!!我がブラッディファントムの忠実なる僕たちよ!!次々と攻撃を仕掛けろおおおおおおおお!!この隙に一気に畳みかけるのだあああああああああ!!!」


斬撃を勢いよく振り切ったデスペラードデュエル。ドイルは疲労困憊の様子で呟く。


「へっ!!あの筋肉ダルマが!ようく見てるぜ!さっきの指揮ぶりといい流石に学習能力はあるようだな!この御利口さんめ!」


ラッキーがパニックになりながらドイルに警告を促す。


「今度は四方から来るぞおおおおおおおおお!!こ……このタイミング避けられない!!!アニキィィィィィィィィィィ!!」


四方からブラックレイブン、ガーランドMKⅣ、ファーレンファウト、ドラッケン・ツヴァイが襲い掛かってくる。ドイル機の機体が今度はザンバーを振り切った逆方向に向かって全身を捻りタメを作る。


ドイルの怒号が再び響き渡る。


「逆      回       転      !!!!!!!!!!」


今度は逆方向に捻った全身のタメを全解放し逆向きの斬撃の竜巻を豪快に繰り出すドイル機。先ほどの斬撃よりも威力は増しているようだ。刀身の光のオーラはより一層強くなり、まるで竜巻に付随する雷光のように猛々しく光りほとばしっている。向かってきた敵機4機のスレイヴは瞬く間に八つ裂きにされ爆散してしまう。地団駄を踏んで悔しがるサンダース。


「くそう!!!くそおおおおおおおおおおお!!あと少しだというのに……!!まだだまだチャンスはある!!何をしている!!コマンダードール達よ!!奴を追い詰めろ!!ブラッディファントム隊員一同!!コマンダードールの後詰めを怠るな!!」


ミゲル参謀はドイルが駆るデスペラードデュエルの従来のメタルスレイヴを越えた規格外の戦闘力に驚きを隠せない。


「な……なんて強さだ……!!あのような斬撃など初めて見た……!サンダース分隊長殿達は……こんな化け物と……戦っていたのでありますか……!!」


「その通りだ!!全くもって奴はイカレている!!だがブラッディファントムに敗北は決して許されない!!そこで我がブラッディファントム一の知略を持つミゲル参謀!!貴様に問う!!何か奴を倒す策はないか!?」


ミゲル参謀は少し思案した後、サンダースに献策する。


「分隊長殿……!!少しお耳を御貸し願えますか?……こういうのは如何でしょうか?」


サンダースの耳にひそひそと進言するミゲル参謀。その進言を聴いてにやりとほくそ笑むサンダース。


「うむ!!なかなかの上策だ!!よかろう!!ミゲルの策で奴を追い詰めるぞ!!コマンダードール!!」


一方倒しても倒しても執拗に追ってくるコマンダードールのスレイヴ達にうんざりしているドイル。


「ちっ飽きもせずによく突っかかってくるぜ!!ラッキー!!このままじゃあいずれ捕まる!!こいつらを一気に振り切ってやる!!つかまってろよ!!」


ドイル機は執拗に自身絡みついてくるスレイヴの群れを払いのけ、バックダッシュをしながらバルカン、ミサイルを一斉に撃ち放つ。途中何機か撃墜したが、それでも尚まだスレイヴ達はドイル機を追う、中でもやはり、ブラックレイヴン2機とガーランドMKⅣ2機がドイル機の後ろについてくる。なかなかに振り払えないで焦るドイル。


「ちっ!あの4機がぴったり後ろをついてきやがる!!振り払えねえ!!うっとおしいたらないぜ!!うおおお!?」


先ほどからミサイル郡の嵐がドイル機の周辺に降り注いでいる。幸いドイル機に直撃はいものの、周囲は爆風と煙だらけである。


「しこたま撃ちまくりやがって!!命中精度が悪いから助かっているがよ!!こう撃ちまくられると周囲が煙らだらけで何も見えねえ!とにかくこの敵の群れん中に長居はできねえ!!空だ!!ラッキー!!空に行くぞ!!こいつらは所詮地上用のスレイヴだ!奴らフライトパックを装備してねえ!!こいつ(デスペラードデュエル)ならフライトパックなしでも空中戦がやれる!!空から攻勢をしかけてやるぜ!!」


ドイルのもっともな提案に何か引っかかりを感じるラッキー。


「ちょ……ちょっと待って!!アニキ!!何か……何かが……おかしい!!」


「何かって何が!?ちっ追いつかれた!!!来るぞおおおおおお!!」


敵機の4機の怒涛の白兵攻撃を傷つきながらもいなしブースターの出力を更に上げるドイル機。


更にもう2機の敵のスレイヴ達が追撃に加わる。それぞれブラックレイヴンとガーランドMKⅣだ。


「被弾しちまった!!やってられねえぜ!!ラッキー!!!もう限界だ!!てめえら俺を追ってこれるなら追ってきてみろよおおおおおおおおおお!!追いつけるもんならなあああああああ!!デスペラード!!!フルブーストォォォォォォ!!」


空へ一気に急上昇しようとするドイルに向かって絶叫するラッキー。


「アニキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!空はダメだあああああああああああああああああああ!!!」


ラッキーが警告した時には既に遅くデスペラードは上空空高く急上昇した後だった。



ゆっくりと照明弾が上がる。照明弾に照らされるドイル機。



ドイルとラッキーは上空から見下ろすその異様な光景にゾっとする。



見渡す限りの敵、敵 敵、敵、敵、敵。


 

その数 総 勢  1  0  0  機  以 上。 



その全てのスレイヴ達が空高く舞い上がったドイル機に銃口を向け狙いすましていた。


絶望の表情を浮かべるドイルのとラッキー。ラッキーが恐る恐る口を開く。


「お……オイラ達は……!!は……図られていたんだ……!!執拗な追撃……!!わざと当たらないように砲撃させて周囲をくらまし、しらずしらずのうちに空に誘導されていた!お……おびきよせられたんだ!!」



「なんてこった……!!お……俺とした事が……ヤキが回ったぜ……!!」


サンダースとミゲルは敵が見事に術中に嵌った事を共に喜び合う。サンダースは満足げに叫ぶ。


「ミゲル!!貴様の策!!見事であるぞおおおおおおお!!なんという壮観な光景か!!総勢100機の一斉射撃が見れようとは!!これこそがブラッティファントムの新しい力なのである!!しかもまだまだ多くの増援が到着する予定との報があった!!なんと頼もしい事か!」


ミゲル参謀も自身の策が成功したことに興奮して士気を高める。


「お褒めに預かりまして光栄でございます!!この完璧な布陣!!もう勝ったも同然でごいますな!!蓋を明けてみればなかなかどうしてあっけない幕切れでしたな……!」


サンダースはミゲルのその言葉に神妙な顔つきをして押し黙る。


「……いかがいたしましたか……?サンダース分隊長……。自分が何か気に障る事でも言いましたでしょうか?」


「いや……いいのだ……!小生とて十中八九間違いないであろうという意識はある……!!だが……だが相手はあのスレイヴだ……!!最後まで何が起こるかわからん……!わからんのだ……!」


サンダースの鬼気迫る表情に気圧されミゲル参謀も押し黙ってしまい。その場を妙な緊張感が支配する。


ドイルが狂気に満ちた乾いた笑いを浮かべながら意を決したように言い放つ。


「いいぜ……!わかったよ……!やってやる……!やってるやるよ!!ラッキー!!」


「アニキ!!まさか!?」


「そのまさかだよ!!全弾!!凌ぎきってみせる!!!」


「無茶苦茶だよおおおおおおおお!!!!でも……でも……オイラ付き合うぜ……!!最後までアニキに付き合うぜ……!!相棒だもんな!!アニキが死ぬときはオイラも死ぬ時だ!死なばもろとも……!だ!!」


絶望的な状況に追い込んだのがドイルの責任であるのにも関わらず、一切それを責めようとせずに逆にドイルを励ますラッキーの頭を涙ぐみながら撫でるドイル。


「お前は……AIなんかじゃねえよ……」


ミゲル参謀がサンダースに号令を促す。


「ささ、分隊長殿!!一斉射撃の号令を!!」


「な……なにか……こう……!!き……緊張するな……!ゴホン……!!それでは僭越ながら……ブラッディファントム全軍!!一斉射撃用意!!ワンハンドレットスペシャルヴァージョン!!撃てええええええええええええええええ!!」


総勢100機以上のスレイヴ達から一斉に撃ち放たれる砲撃の雨あられ。上空を覆い尽くすような砲撃の嵐はまさに圧巻極まりなく、その勢いたるや以前の一斉射撃の比ではない。砲撃の嵐がドイル機に次々と襲い掛かる。


ドイルが血が出るほどに唇をかみしめ、覚悟を決める。


「来たぞおおおおおお!!ラッキーィィィィィィィィィィィ!!気合い入れろよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「アニキィィィィィィィィィィィオイラも覚悟を決めたぜええええ!!!コンマ0.1秒で弾道の軌道、着弾予想のデータをアニキの頭に直接送る!!何としても生き永らえようぜアニキ!!」


「おうよ!相棒!! 来やがれえええええええええええええ!!全弾躱してやるぜえええええええええ!!おおおおおおおおおおおおおおおお!!」


次々と襲い掛かる砲撃の嵐を異常ともいえる卓越した身のこなしで躱し続けるドイル機。機動兵器の動きの常識を逸脱しつつある動きだ。


サンダースはこの事態をある程度予測していたのか。神妙な顔つきをし、ぽつりと吐き捨てるのみであった。


「ちっ……バケモノめが……!!」


驚愕したのはミゲル参謀だ。


「あ……当たらない……!!この軍勢の一斉射撃がまるで致命傷になりえない……!?サ…サンダース分隊長殿!!あ……あのような事が……あのような事があっていいのでしょうか!?あのような常識はずれな事が許されて……!!」


時にブースターを絶妙な角度で吹かしながら旋回し高速で回避運動をしたり、時にザンバーを抜刀し、振り抜き、回転させ、盾のように使ったりと、ありとあらゆる方法で一斉砲撃を躱し続けるドイル機。砲撃を躱せば躱し続けるほどドイル機およびドイルの身体の光のオーラが発せられ強くなっていく。ラッキーがこの異変に気づく。


同調(シンクロ)パーセンテージが上昇している!!85……90…95…100…110!!一体何が起こってるんだ!?」


ドイルは全身汗まみれになりながら一つの事を思っていた。理想は回避と同時に敵機を狙撃したい。恐らくこのデスペラードデュエルと今の自分の腕であれば可能であるはず。


だがそれはそれこそ20機、30機程度の狭い範囲の一斉射撃に対してのみ可能な戦法である事も今現在ドイル機を襲う弾幕を躱せば躱すほど実感するものであった。


総勢100機以上の一斉射撃の密度たるや尋常ではなくこの上空全てを覆い尽くすほどだ。その弾幕を躱し続けるなどと針の穴を通すようなものなのだ。


それを長時間連続してドイルはラッキーの補助を受けながらやり通している。神業といってもいいほどの所業だ。だがそれも長くは続かない。


3分強すぎたところで、ドイルは目が霞み、肉体的にも精神的にも限界が訪れた。ドイルはグリップを握る手が汗で滑り一瞬機体のコントロールを誤ってしまう。


「しまった!!くそ……!!ここまでなのかよ……!!ぐおおおおおおおおおおおおおわあああああああああ!!」


総勢100機以上の一斉砲撃が次々とドイル機に着弾していく。その威力たるやこちらも尋常ではない。


「ぐわあああああああああああああああああああああ!!!」


「うわあああああああああああああああああ!!墜ちる!!!なんだ……こんな時ってのに!!まだ同調(シンクロ)パーセンテージは上昇している!!120…130…140…150…!!一体なんだってんだ!!200!!!うわああああああああああああああ!!」


被弾した爆発や爆風と共にまっさかさまに落ちていくデスペラード。その時機体のオーラが激しく光輝き、光の奔流が大きく揺らぐ。





唱    え    よ。




突然頭の中に響く声にドイルが驚く。


「なんだ!?誰だ!?こんな時に!!ラッキーお前か!?」


「違うよ!!オイラじゃない!!なんだオイラの頭にも響いてくるぞ!!もしや!?」


「デ……スペラード……なのか!?」





コ ー ド  を  唱  え  よ。




ドイルが叫ぶ。ラッキーも自身も確認できない事象が起こり驚愕する。


「コードって?コードって一体何だ!?」


「わからないよ!!なにがどうなって……!?うわわわ!

コード、魔力(フォース)は魔道の力のみならず、生きとしいけるすべての物に宿る物だ……!その魔力(フォース)の根源たる力を科学の力で抑制、発動したのがコードだ。悪魔(ディアボロス)と戦いし運命にある勇気あるものよ。魔術と科学の融合の結晶たる我の力を使うがいい。コード、フォースフィールド(魔防壁)!!唱えよ!!勇気あるものよ!我の名は…我の名は…」


突然人格が豹変したように喋り出すラッキー。慌てふためくドイル。


「一体どうしたんだ!?ラッキー!!お前おかしいぞ!!」


「アニキ!!わかってきたぜ…!!今オイラの身体を借りて喋ってるのはデスペラード自身だ!!アニキ!!デスペラードの新たな力だ!コードの力を使え!!念じながら叫ぶんだ!フォースフィールド!うわああああああ!!早くしないとこのまま撃墜されるぞおおおおおおおおおおお!!」


依然一斉射撃の猛威にさらされているドイル機。


「ぐわああああああああ!!!があああああ!!釈然としねえが!!他でもねえ相棒のお前が言うんなら言ってやろうじゃあねえか!!コード!!フォースフィールド!!」


その瞬間機体を光のオーラが包み、特異なフィールドが一斉射撃を次々と遮断していく。光のオーラに包まれながらゆっくりと着地するデスぺラード。


ドイルが呆気にとられる。


「バ……バリア―だっつうのうか……!?い……一体全体なんだってんだ!!デスペラードって何なんだよ!!」


読んでくださってありがとうございました!

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