0-16話 バウンティディヴィジョン ヴァナティック邸の攻防 その15
書けども書けどもお話が進んでいる気がしませんw毎回もっと進むと面白くなるのになあ!と思ってる気がします。本当に書きたいところを書けるようになるまで筆を進めるしかありません。
傷つき命からがら逃げ延びてきたサンダースとBFOB隊員達の眼前に、次々と増援のスレイヴが舞い降りてくる。その数まずは10機程度。
「サンダース分隊長!!お待たせいたしました!!ミゲル・ワイズマン曹長であります!!ヴァナティック代表およびジェイコブ隊長からの命で予備部隊10名ただ今貴軍の指揮下に入ります!以降は時間差で他のスレイヴも増援にやってくることでしょう!」
サンダースが感激しながらミゲルに応える。
「おおお!!ミゲルか!!よくぞ来てくれたあああああああああ!!待ちわびたぞおおおおおおおお!!増援が来たのは嬉しいがここまで来るのに多くの同胞を失ってしまった……。ここからは仲間達の弔い合戦だぞ!!合力して敵を打倒するのだ!!」
ミゲルは力強く応答する。
「ハッ!!そのつもりですとも!!まずは陣形を整え、牽制しつつ更なる増援を待ち、十分に戦力が増強されてから敵に当たりましょう!おおお!言ったそばから次の部隊の増援が来たようですぞ!!」
更に10機、20機と大量に増援のスレイヴ達が戦線に到着する。コマンダードールという名のオートパイロットAIを搭載したスレイヴ達だ。
サンダースは訝し気にコマンダードールのAIが搭載されたスレイヴ達をしげしげと見つめる。
「小生の命令に絶対服従というが……?所詮は機械仕掛けのAIなのだろう?どうにもいけ好かんな……。しかも遠隔操作とは……そういった事が本当に可能なのか?妖しいものだな。どれ……ひとつ試しに………全体ィィィィィィィィィせいれえええええええつ!!」
「イエス!マスター!」
コマンダードールが搭載されているスレイヴ達が一斉に整列し、横一列に綺麗に並ぶ。
「全体ィィィィィィィィィィィィィィィ!!右向け右ィィィィィィィィ!!左向け左ィィィィィィィィィィィ!!戦闘体勢!!!……ええっと………何しようか………?とりあえず威嚇射撃を行う!!構えええええええ!!………放てえええええええい!!」
キレのある全体行動の後に、威嚇射撃を一斉に行うスレイヴ達。
サンダースのいくつかの命令を、寸分たがわぬタイムラグのなさで完璧に応じるコマンダードール。その完璧な動きはある種の美しさと感動を覚えるほどだ。サンダースはほくそ笑む。
「ふ……ふふふふふふ……ははははははははははは……!!なんということだ!!これほどとは思わなかったぞ!!こ……これが100機以上……小生の指揮下に入るということかあああああ!!勝てる!!確実に勝てるぞォォォォォォォォォォォォォォォ!!小生は今や最強の力を手に入れたのにも等しいのだああああああああああああああ!!」
次々と敵機の増援が戦線に到着しだしドイルが目を凝らしながらラッキーに問いかける。
「オイ!!なんだ!?ぞろぞろと出てきやがったぞ!?」
ラッキーが目を白黒させて尋常ではない増援の数に驚き青ざめる。
「ちょ……ちょっと待てよ!!まだこんな数の増援がいたのか!!スキャン開始……!!熱源は……地下格納庫と現在移動中のもの……!ここに多数向かってきてる!!な……なんてこった……!!」
「どうした!?何が起こってる?」
「アニキ……!!すぐ撤退の準備をしてくれ!とんでもねえ数の増援が更に来る……!!総勢100機以上!!ヴァナティック逮捕は残念だが今回は諦めるしかないかもしれねえ……!!」
尋常ではない増援の数を聞くや否や、ドイルの血と肉が躍りだし豪快に笑い飛ばす。
「あっはははははははははは!!こいつはいいや!!100機以上とはなあ!!やってくれるじゃねえか!!ヴァナティックの豚野郎が!!!諦める?俺の辞書に諦めるなんて言葉はハナからねえんだよ!!滾ってきたぜ!!100機でも1000機でも相手ンなってやろうじゃねえか!!!!」
「アニキ!!!!ふざけてる場合じゃねえ!!!マジでヤバいんだ!!気付かないか!?スキャンしてみた!!増援に来たスレイヴ達……!!あれはイシュタリア製じゃねえ。アサイラムの北に位置するキディアイズのアルカトーラスとガーランドMKⅣだ!そしてあっちのやつはディルギスタンのファーレンファウトにガヤック2520。ディストピアのブラックレイヴンもいる!!アサイラム武闘派の各国最新鋭機がずらりと勢揃いしている!こんな事ってありえるのか!?全部イシュタリアの敵性国だ!!しかも!ガーランドMKⅣとブラックレイヴンってまだ正式にロールアウトされていないはずなんだ!!公開されてるカタログのスペックと照らし合わせるとこの2機の戦闘力はドラッケン・ツヴァイやゴリアテ・ウィンカーネの遥か上を行く!そしてこの異常なまでの数!!!こいつらが束になって襲い掛かってきたらいくらデスペラード・デュエルでもひとたまりもねえ!!ヴァナティックって何者なんだ……!?イシュタリア正規軍に匹敵する戦力を一介の武器商人が持っているなんて馬鹿げているぜ!!兎に角にもここは一時撤退だ!!戦うにしてもこっちだって増援が必要だ!!撤退してプルート司令の指示を仰ごう!」
「怖気づきやがって!要はこいつらを100匹以上ぶっ倒せばいいだけだろうが!!俺はやるぜ!!尻尾巻いて逃げるなんてゴメンだぜ!!」
「アニキィィィィィ!!意地張ってる場合じゃねんだよ!!マジでこいつは危険な状況なんだ!!オイラはAIだぜ?戦局のシュミレートもできる。この状況でオイラ達が勝つ可能性を算出1.43%……絶望的だ……!!後続と合流して早く戦域を離脱するんだ!!」
ドイルはうんざりした顔で首を横に振ってラッキーに言ってきかせる。
「ラッキー。俺に確率なんざ通用しねえって言っただろ?喰い足りねえんだよ。まだまだ全然暴れ足りねえ。俺を見ろ。俺とデスペラードはどんどん強くなっていってる!ラッキーお前も見たくないのか?俺たちがどこまでいけるのかを!今の際限なく強くなっていく絶好調の俺を止めるって手はねえだろ!?」
ドイルがラッキーに対し手をかざしながら言い放つ。ドイルの身体からより強い光のオーラが発せられていく。その様子にラッキーはゴクリと生唾を飲み込み震える。
「た……確かにオイラだってアニキとデスペラードがどこまで強くなるのか見たいよ!!いや見届ける義務がある!!だからといってブラックボックスの扉を開ける事ができるかもしれない大切なパイロットをこんなところでみすみす死なせるわけにはいかないんだい!!オイラだって悔しいんだ!!でもここは一時撤退だ!!」
「ふん!!強情なこったな!まあいい。しかし撤退するにしてもこの数だぜ?一体どうやってって……あれま。もう包囲されているぜ……?仕事が早いこって。どうするよ?ラッキー先生?」
ドイルとラッキーが押し問答をしている間に、既にデスペラードの周囲には敵影がひしめいている。ドイルとデスペラードがあまりの強さで暴れすぎたためにその戦闘力を脅威に思ったのか、異常なまでの警戒感と迅速な用意周到さを感じる。ラッキーは青ざめていく。
「な……なんてことだ……!!オイラとした事が退路の確保をしくじるなんて……!!」
「退路なんて確保してもこの数だ。いずれ取っ組み合いになるさ。ラッキーよ!退路なんて生易しい事言ってんじゃねえ!血路だ!!奴らをぶっ殺して血路を切り開くぞ!!」
「アニキ!!!!あくまで撤退する事を前提での戦闘だからな!!気持ちよくなって死ぬまで戦い続けるなんて絶対ナシだからな!!そこんとこ頭に入れといてくれよ!!ヤバくなったらオイラが機体のコント―ルを奪ってでも撤退するからなああああああ!!」
「わかってらあ!!いくぜえええええええええええええええええええええええええええええ!!!てめえらまとめてかかってきやがれえええええええ!!!」
気が付くとドイルの周囲にはもう既に50機以上の敵影がひしめいてた。その敵の群れに向かってたった1機で猛然と立ち向かうドイル機の勇姿がそこにあった。
一方、戦線に向かっているグレイヴ機。
「ちっ!!戦線が更に東へ東へ移動している。だがもう間もなく到着する!!ドイル機のエネルギーが増大したと思えば、また新たな敵影が出現した!!とんでもない数だ……!!一体何がおこっている!?しかし……レーダーが指し示す結果が本当なら、ふふふ……こんな大部隊を相手にするのは正規軍に所属していた時以来か……!腕が鳴る……!」
その瞬間フロントモニターに異変が起きる。
「なんだ?サポートAIインストール完了?これが噂の自立演算対話型のAIか。訓練の時は実装されていなかった。いつの間に……?進化したディヴィジョンの高性能AIか。興味深くはあるが……」
音声ガイダンスがコクピット内に響き渡る。
「サーチ完了。貴方の記憶の領域に最大の戦果を上げる為のサポートに適した貴方の最もかけがえのない人物が存在します。メモリアルリアライズリブード機能でその人物のアバターをAIに適用することを推奨します。MRR機能を使用しますか?YES?or NO?」
音声ガイダンスの言ってる言葉の意味が全く理解できないグレイヴは顔をしかめる。
「何を言ってる?何かおかしいぞ。このサポートAIの機能に重大なバグがあるのではないか?戦闘に影響が出なければいいが……念のためにアンインストールを……」
音声ガイダンスがグレイヴの意向など全く意に返さず続ける。
「受付時間終了。YES。YES。MRR機能を使用します。サポートAIのアバターを作成中……。アバターを作成中……。貴方の記憶の中の人物の人格をトレース中……。この人物の人格をトレースする為、外部からのデータを照らし合わせます。データ照合中。データ照合中……。人格をトレース中……。作成完了……!!」
「ちっ!お構いなしか。一体何が起こっている?」
フロントモニターから光が溢れ、ひとりのスーツを着こなした執事風の紳士が現れる。
「久しくご無沙汰しております。グレイヴ様」
眼を見開いて驚くグレイヴ。
「お……お前は……オ……オルブライト!!オルブライト・ファウンタムじゃないか!!!これはま……幻か!?い……や……ま……まさか」
狼狽するグレイヴに優しく語りかけるオルブライト。
「いいえ。幻でも幽霊でもありませんよ。私はオルブライトであってオルブライトではない存在。サポートAIがオルブライトの姿かたちを借りているだけです。ですが貴方様の事を誰よりも理解し、誰よりも尊敬しているのは依然変わりありません」
自身の怯えをごまかすようにオルブライトに怒りの矛先を向けるグレイヴ。
「非現実的な……!!こんな事があってたまるか!!オルブライトの……に……偽物め!!俺の前から消えろオオオオオオ!!」
静かに微笑みながらオルブライトは答える。
「理解不能な事が目の前にあれば考えるよりまず癇癪を起し周りに当たり散らす。再三注意したはずですが……、ふふふふ……変わっておりませんねえ。小さい頃は病弱でアリ―ゼ様に甘えっぱなしでお勉強もスポーツも何もせずに大変苦労した覚えがあります。グレイヴ様がこれほど立派になられるとはお父上もさぞお喜びの事でしょう」
涙を流し更に困惑するグレイヴ。
「な……何故それを知っている!?ほ……本物なのか……!!お……オルブライト……!!お前は……俺を恨んでいるのだろう!?俺の……俺のせいで……お前は死んで…」
「いいえ……あれはなるべくしてなったことでございます。グレイヴ様のせいでは決してありません。ただ申し上げられなかった……。貴方様にただ一言告げられなかった。たった一言言う前にわたくしは逝ってしまった。ただ一言、貴方様を 赦 す という言葉を発する事ができなかった……!!それだけが生前のわたくしめの最後の心残りでした」
「お……お前は……俺を……恨んではないというのか……!!あんな酷い仕打ちをお前にしたこの俺を!!」
「いいえ……。改めて申し上げます。貴方様ははじめから罪など犯していない。罪に感じていると申すのであればわたくしが貴方様をお赦します。わたくしは死の直前まで貴方様に仕え、死して尚また貴方様の元に帰ってきました。再びお仕え致します。グレイヴ・ストーム様」
「オ……オルブライト……!!ぼ……僕は……僕は……うわああああああああああああああああああああああ!!」
あのいつも強気で他人を見下しプライドの塊のような男だったグレイヴが子供のように泣き崩れている。まるで別人のようだ。泣き崩れるグレイヴを優しく抱きしめるオルブライト。
「今までお辛かったでしょう……。その地獄……。わたくしにも背負わせてください」
「オ……オルブライト……会いたかった……!すまない……!!本当にすまなかった……!!僕はずっとお前の事を悔やんでいたんだ!!」
「なんと勿体ないお言葉……!!未知の機械の力が運んでくれたこの縁を奇跡と言うのでしょうね。ただグレイヴ様……!泣いてばかりもいられません。あの悪魔は恐らくこの世の災厄の果てにある異形の者。やがでこの世界の全てを喰らい尽くし無に帰すでしょう。それを止めるためにグレイヴ様。貴方は立ち上がった!違いますか?」
グレイヴは涙を拭いて力強く答える。
「そ……そうだ……!!あの悪魔はいずれ世界の全てを滅ぼす!!決して許してはいけない存在だ!!!悪魔を倒すために俺は正規軍のエリートの座を捨てて立ち上がった!!その通りだ!!!」
グレイブの眼を見つめ真剣な表情でオルブライトは静かに語りかける。
「そうであるのであれば貴方様は誰よりも強くあらねばならない!!強く!!そして強く!!そして今は亡きお父上の意志を継ぎ!!更にはお父上を越えていくのです!!そうでなければあの悪魔は倒せない!!!」
「その通りだ!!!オルブライト!!!俺は……俺は……もっと強くなる!!強くなって父を越え悪魔を倒す!!!」
オルブライトはグレイヴの決意に対し満足そうに頷くと静かに口を開く。
「グレイヴ様……!!貴方様に新たな力を授けようと思います。このわたくしめの胸に手を触れてくださいますか……?」
「あ……新たな……力だって……?こうか……オルブライト?」
言われるがままオルブライトの胸に手を当てるグレイヴ。オルブライトが呟く。
「いかかでございますか……?何か聞こえませんか?」
「オルブライトの心臓の鼓動が手の感触から伝わってくる……。すごいな……。本当にAIなのか?まる生きてるよう……」
「グレイヴ様。お静かに……。デスペラードが悪魔を倒すための剣となり得るか。それはグレイヴ様自身が問いかける可能性にございます」
「オルブライト……。お前が何を言っているのかわからない……俺に一体何をさせようというんだ?」
「単刀直入にお伝え致します。このデスペラードは生きております。機械という名の生命の一部なのです。まずはその生命の波動を認識する事が肝要でございます」
「何を言っている?気でも違ったのか?オルブライト。デスペラードのスペックデータは目に穴が開くほど見て頭に叩きこんである、俺は自分でデスペラードのメンテナンスもやるんだ。機動兵器に生命が宿るなどと全く持ってありえない」
「そうでしょうか?では機械には生命はないと……?わたくしの存在も否定されるというのでしょうか?先ほどわたくしの事をまるで生きてるようだと仰って下さいましたが……」
「うう……。それとこれとは話が……」
「違わないのです。ふふふ……やはり昔と全く変わっておられない。頑固なお方です。全く。ふふふふ……懐かしさすら感じますねえ。いいでしょう。ではわたくしの存在はお認めになってくださいますよね?わたくしが先ほど言ったわたくし自身の言葉や存在。それはお認めになりますか?」
「お……お前はオルブライトそのものだ!!その言葉も……!昔とまるで変ってない。生きて………いる」
「はい……。結構でございます。ではデスペラードが生きているということは信じなくてよろしいので、まずはわたくしを信じで頂けませんか?わたくしがここに存在しているという事をお認めになって頂けますか?そして再びわたくしの胸に手を当ててください」
言われるがままオルブライトの胸に再び手をあてるグレイヴ。
「こんな事にどんな意味があるっていうんだ?オルブライト?」
「お静かに……精神を集中して……何か聞こえませんか……?」
「……………………………………………何も聞こえないがオルブライト?さっきから言ってる意味がわからない。すまないが俺は早く行かなくては………………」
ド ク ン
「何!????今確かに誰かの鼓動が聞こえた!!!!おおおおおおおお!!オルブライトの意識が俺の意識と繋がって!!うわあああああああ!!」
オルブライトは満面の笑みを浮かべながらグレイブに語り掛ける。
「おめでとうございます。無事第一段階覚醒いたしました。その鼓動こそがデスペラードの鼓動そのもの。その鼓動に耳を澄ましつづけているのであればこのデスペラードは悪魔を倒す貴方様の剣となるでしょう。ツインフラッグコネクト開始!!同調パーセンテージ、10……20……30……40……50……60……おお……流石ヴィクトル様のご子息!!初コネクトでこれほどの数値を計測するとは!!デスぺラード!デュエルモード全形態変形開始!!」
グレイヴのデスペラードが変形しデスペラードデュエルに進化する。グレイヴが驚嘆の声を上げる。
「バカな……!!デスペラードにこんな……未知の形態があったなんて……スペックデータには何も表示されていなかったぞ!!」
「理論やデータだけでは語り尽くせないものがあるのがこの世の常でございます」
「エネルギーゲインが数倍に………ふふふふ………ははははははははははははははは!!!感謝するぞ!!オルブライト!!俺は確かに強くなった!!新しい力を得たぞ!!はははははははは!!あの頃のように再び共に戦場を駆けよう!!ついてこれるか?オルブライト!!オルブライト・ファウンタム!!」
「勿論でございます。今度こそ誠心誠意、地獄の果てまでお仕えいたします!!」
「まずは俺たちの力をブラッティファントムどもに見せつけるぞ!!いくぞおおおおおおお!!!」
新たなデスペラードの力を得て戦意が高揚し叫び出すグレイヴ。
「(グレイヴ様……!ご立派になられて……!!ヴィクトル様……!!グレイヴ様は……貴方様のご子息は本当に逞しく育っていますよ……。どうかわたくしたちをお導きください)」
力強く頷くオルブライトの眼には涙が浮かんでいた。
今回のお話。読者の皆様がまず初めにが抱く感想がオルブライトって誰だよ!?わけわからんわ!だと思いますのでwここで、補足説明としてグレイヴ・ストームの過去とオルブライト・ファウンタムとは一体誰でグレイヴと何があったのかを簡単に説明したいと思います。
本当は本編で書きたいんですけど、これまた壮大なお話なので過去話って本編中に書くのが難しいんですよねえ。
グレイブはイシュタリア正規軍の最強の武人と誉れ高いヴィクトル・ストームの実の息子であり、軍人の名門中の名門ストーム家の4男坊として生まれました。ヴィクトルはグレイヴを大変可愛がり、グレイヴが幼い頃病弱で心優しかった事もあり、グレイヴだけは絶対に軍人にしたくはありませんでした。
ですが運命とは皮肉な事にその病弱で大人しいグレイヴこそが父ヴィクトルの天才的な武才を色濃く引き継いでいたのでした。優秀な軍人の2人の兄と1人の姉や偉大な父に憧れ、自分のお抱えの執事だったオルブライトに師事し、グレイヴは猛烈な特訓で強くなり、イシュタリア正規軍のエリートとして成長します。軍人になる事を猛烈に反対する父ヴィクトルに秘密のオルブライトと2人だけの特訓でした。
幼いころからグレイヴの才能を見抜いていたオルブライトは嬉々として喜び、みるみるうちに強くなっていくグレイヴに果ては父ヴィクトルを越える資質を見出します。
しかし悲劇が起こってしまいます。突如として現れた悪魔の存在を察知したオルファン(イシュタリアの前王)、プルートゥ、ヴィクトルの3人は悪魔の危険を世に訴えますが、悪魔の力を利用して世界を意のままに操ろうとする六賢者達に邪魔され世界で孤立してしまいます。オルファンらは3人は私設の討伐部隊を作り、悪魔に対し戦いを挑む事になります。正規軍を脱退しイシュタリアや六賢者に仇為すような行為を繰り返すヴィクトルにグレイヴは深く失望しました。
ヴィクトルは息子であるグレイヴに悪魔の事を話しませんでした。愛する息子を巻き込む事をしたくなかったのです。ヴィクトルは悪魔と差し違える気でした。それを止める為オルブライトはグレイヴの傍を離れ、ヴィクトルの護衛をすることになりました。オルブライトも元々は名うての戦士でヴィクトルの右腕でした。
オルブライトの考えはヴィクトルと異なっており、グレイヴにきちんと悪魔の事を話すべきである。なぜならグレイヴがヴィクトルを越える才能を持っている事に確信があり、親子2人が手を取り合えば悪魔を倒せるかもしれないとさえ思っていました。
突如自分の元から去っていった父ヴィクトルと執事オルブライトをグレイヴは強く憎悪します。捨てられたと強く思いました。そして父ヴィクトル達が悪魔に決戦を挑む前夜、遂にグレイヴとヴィクトル親子2人が対峙します。グレイヴが憎悪を持ってヴィクトルに襲い掛かろうとする時、オルブライトがそれを庇いました。オルブライトも激しく憎んでいたグレイヴはオルブライトの胸に何度も何度も槍を突き立てたのでした。オルブライトは最後にグレイヴに何かを伝えようとして伝えきれず息を引き取りました。その直後グレイヴはヴィクトルに襲い掛かかっていくのです。その瞬間。悪魔が現れました。
オルファンとプルートゥが駆けつけ、ヴィクトルがそこに合流し悪魔と壮絶な戦いが繰り広げられます。戦いは熾烈を極めますが、最後には3人は破れました。オルファンは死に、ヴィクトルはグレイヴを守って死に、プルートゥだけが命からがら逃げ帰ってきたのでした。グレイヴは呆然とその戦を見ている事しかできませんでした。
グレイヴはショックでした。自分が信じてきた正義とは何だったのか?イシュタリア正規軍や六賢者こそが間違っていて最悪の裏切り者である父ヴィクトルとオルブライトこそが自分が信じるべき正義であったこと。そのオルブライトを殺してしまった事。この事はグレイヴの心に深く深く傷を残すのでした。
その後グレイヴはイシュタリア正規軍准将の地位をかなぐり捨て、父の意志を継ぐ為にプルートゥが率いるバウンティディヴィジョンに入隊するのです。
今後もちょいちょいわかりにくいところを補足説明する場合がありますので良かったらこちらも読んでいただけると助かります。




