0-13話 バウンティディヴィジョン ヴァナティック邸の攻防 その12
13話更新です。なかなかお話が進まなくて苦労しております。2話続けていけ好かないヴァナティックメインの話というのは少々辛いのでw今回はお話が少しでも進むようにボリュームを増量して1万字になっております。1万字というのは読者様、読む側にしてみれば負担がかかる心配な文字数でして……、本音を言うともうちょっと短い文章でコンパクトにペースを早めたいと思っているんですがどうにもなかなか難しいですね。精進あるのみです。近日サブタイトルを別個のものに変えようと思っています。理由はここまでヴァナティック邸の攻防というエピソードが長期化するとは思わなかった事と、やはり全部同じだと味気ない感じがしますのでwそれでは13話のはじまりはじまり~。
ヴァイシストのコクピットに大きな荷物を持って乗り込むヴァナティック。
「ギムント!何をしている!早く持って来い!!」
ギムントや他の執事たちががなにやら大仰な荷物を次から次へとヴァイシストのコクピットの後部の収納スペースに積めている。
ジェイコブは恐る恐る口を開く。
「しゃ……社長!!もうすぐそこまで敵は来てるんですぜ……!?荷物なんていいから早く撤退の用意
を……!」
ヴァナティックが苦言を呈するジェイコブに向かって唾を飛ばしながら激昂する。
「馬鹿者がァァァァァァァァ!!オルティエ・ノーマンドの彫刻「ディアマンディ青春の面影」フランチェスカ・デュマの絵画「湖岸に佇む双魚の瞳」ユリアン・クローデルの名壺「象牙の憧憬」サカキバラ・セキシュウサイの水墨画「森羅万象・語るに至れり」シャザール・ノヴァの宝石「穢れなき処女の涙」どれもこれもイシュタリアいや!!アサイラムいや!この惑星エゼルディアにふたつとない一品中の一品であるぞおおおおおおおおお!!!時価数百億を越える最高級の芸術品だ!!私がこれらを手中に収めるまで一体どれほどの苦労をしたと思っている!?あの忌々しいプルートゥの手に渡してなるものかあああああああああああああああああ!!」
「いや!お気持ちは察しますが……!今からこいつで脱出するわけでしょ?それこそマッハなんて速度出したりしたら折角の品々もGの負荷で粉々になっちまいますぜ?追手が追撃してくる可能性も十分あり得る。高速戦闘なんてやらかした日にゃあ……!」
「ジェイコブ!貴様の心配もよくわかっておるわい!元々ヴァイシストは高速戦闘に耐えうる設計になっておるし、コクピット自体が従来のスレイヴのそれよりもGを軽減する仕組みになっておる!そしてえええええ!!何もアンチGプロトコルはスーツだけではないのだよ!!!!ギムント!!!!アレだ!!!アレを持って来い!!!」
ギムントは慌てて大きな風呂敷にも似た袋を持ってくる。
「このような事態を想定してだな。アンチGプロトコルキャリーバックと言ったところか!これでG対策は万全なのだよ!!がははははははははははは!!」
大きな袋の中に山のような芸術品の数々を丁寧に入れるヴァナティック。呆れるジェイコブが小声で呟く。
「ご……ご都合主義とはよく言ったもんだ……」
「んん!?何か言ったか!?ジェイコブ!!」
「い……いえ!!な……何も……!」
ヴァナティックはギムントと執事たちに語り掛ける。
「よし!私は空から脱出を図り、ザルア主長国連邦に亡命する!!私は一時そこで潜伏した後、再起を図る!!お前たちは地下の私が用意した別ルートから脱出せよ!ヴァイシストに積みきれなかったお宝は全てお前たちに任せたぞ!無事逃げおおせてくれ!!後に合流するとしよう!!」
ヴァナティックの力強い言葉にギムントをはじめ執事一同は涙を流し肩を震わせている。
「旦那様……!どうか……!どうか……!ご無事で……!」
「わかっておるわい!私は絶対に私の夢を諦めん!!いつの日か必ずイシュタリア!いや!アサイラムの王になってみせるぞ!!今は涙を飲んで雌伏せねばならんということだ!皆生きてまた会おうぞ!!」
ジェイコブはヴァナティックと執事達の会話に耳をそばだてる。
「(な……なんだと?ザ……ザルア……?亡命先にまた……とんでもない国を選んだことだ…!!そして……イシュタリア……?アサイラムの王だと……!?俺の聞き間違いか?六賢者子飼いのたかが一武器商人が一体何を言ってる……?ま……まさか……!?」
その瞬間、バウンティデヴィジョンを抑えているサンダース分隊長からジェイコブに無線が入った。
「こちらジェイコブ!!どうした……!?サンダース!!」
サンダースは震えた声で恐る恐る今の戦況をジェイコブに伝える。
「は……ハッ!!戦況をご報告いたしたいと……今現在奮戦中ではありますが……!何分敵のスレイヴの正体、出所とも不明かつ戦闘力が未知数で底がしれない事もありまして……!」
「何を弱気な事を言っている!?相手は小勢だ!!数で押せ!!数で!!」
「も……もとより承知であります……!ただ……申し上げにくい事ですが敵側のスレイヴの戦力たるもの筆舌に尽くしがたく、たった1機相手にこちらは15機のスレイヴを失いました……!」
信頼していた部下の不甲斐ない報告を聞いて、ジェイコブは怒りを爆発させる。
「ふざけるなあああああああああ!!貴様!!貴様ら!!それでもブラッディファントムかあああああ!!恥を知れ!!恥を!!」
「ひいいい……!!申し訳ありません!!し……しかしながら……自分……自分は……!!あのようなバケモノじみた戦闘力のスレイヴと戦うなどと想定しておりませんでした!」
「貴様は無能か!?重連星を出せ!!重連星を!!あの3人に倒せない敵などいるはずもない!!出し惜しみしている場合か!!このマヌケがッ!!」
「じゅ……じゅ……重連星は瞬く間に斬り伏せられ叩き墜とされました……!たった1機相手に……!」
「な……なんだとお!?ハッタリを言うな!!ハッタリを!!うぬぬぬぬ……!俺自ら貴様もろともそいつを叩きのめしてやりたいが生憎にも俺にはヴァナティック社長の護衛という任がある!今は動けん!!」
「ハッタリではありません…!!……ほ……本当の事でございます……!!そこで恥を偲んで申し上げます!急遽援軍を申請致します!!敵側のスレイヴの戦力は想像を絶するものがあります!1機で15機のスレイヴを失いました!敵側にあと5~6機ほど……!残りのスレイヴも同型機だと思われます!!もし同等の戦力を有していたら万事は休す……!」
「援軍は出さん!!この失態は貴様の命で償え!もうすぐヴァナティック社長がここを脱出する。それまで命がけで敵をおしとどめろ!!いいな!!」
「そ……そんなあああああああああああ!!!!」
決死の援軍要請を一蹴され途方に暮れるサンダース。ジェイコブが何やら無線で激しく言い合いをしている様子に気づくヴァナティック。
「ジェイコブ……!もう出るぞ!?一体何をしている!?」
「しゃ……社長……!!何やら外の戦況が芳しくなく……!!たった1機相手に15機のスレイヴを失ったみたいで…!援軍を要請しています。」
「なんだとおおおおおおおおおおおおおお!!たった1機にその体たらく……!!貴様ら本当にブラッディファントムかああああああ!!馬鹿者どもがあああああああああああ!!」
「面目ございません……!か……返す言葉が……!」
「貸せ!!!!馬鹿めが!!!」
怒りに震えるヴァナティックがジェイコブから小型の無線機を取り上げる。
「ヴァアアアアアアアアナティックだああああああああああああ!!貴様ら本当に殺る気があるのか!?一体なんの為に私が貴様らに高い金を払っていると思っている!!?」
突然のヴァナティック社長の怒声に驚きすくみあがるサンダース。
「うひいいいいい!!ヴァ……ヴァナティック社長でございますかああああああああ!?本日はお日柄も良く、ご機嫌麗しく存じ上げまして……!!」
「何をわけのわからん事を言っておる!!!たった1機に15機のスレイヴがやられたって君!それマジで言ってんの!?」
「マジもマジ!大マジでございます!!火力、装甲、スピード!!どれをとっても他に類するものがないほどのスレイヴでございます!!そもそもあのような物が存在する事が解せません!!」
「馬鹿者があああああおおおおおおおおおおおおおおがあああああああああああ!!わが社のスレイヴはぶっちぎりでイシュタリア最強を誇るものばかりだぞ!!そんな結果は絶対に!絶対に!ゼッタイに!!ありえんんんんんんんのだあああああ!!!そうだ!!データを見せろ!!データを!!」
「は……ハハッ!!ただ今!!! (オイ映像解析班!!戦闘データを提出しろ!?え?全部は撮ってない?バカやろ!!撮ってるところだけでいいから!!おお!!それだそれだ!!)今過去の交戦データの映像を回します!」
ドイルのデスペラードが重連星を斬り伏せた瞬間や、スナイパーライフルで次々と機体を撃ち貫いた瞬間の動画データがヴァナティックの持っている小型無線機の端末に送られる。
横からその動画データを見ていたジェイコブが驚愕の声を上げる。
「じゅ……重連星が……こうも簡単に!!ま……まさか……!!サンダースの報告は本当だったのか!!何者なんだ!?このスレイヴとパイロットは!!」
ヴァナティックは動画データをしげしげと見つめながら今までのような落ち着きのない喚き散らす態度は影を潜め、至極冷静な表情でぽつりと呟いた。
「マシンナリィ・ウィザード………!完成していたのか……!」
ジェイコブはその見慣れないヴァナティックの態度と表情に少々の驚きを感じる。
「(マシンナリィ……なんだって?)」
ヴァナティックは悔しさを滲ませながら怯えたような複雑な表情を浮かべ口を開く。
「ブラックボックスの解析は上手くいったのか!?ガウディ博士め!!我が社の研究者が総出でも解析の糸口すら掴めなかった!!よりによってプルートゥに先に越されるとはあああああ!!貴様は名を何と言う?」
突然の質問に呆気にとられるサンダース。
「へっ!?わ……私はサンダースと申します!!クラスはブラッディコンドルです!」
「よかろうサンダース!!援軍は私が出す!!この格納庫にあるゆうに100機を越えるスレイヴ達を自由に使うがいい!どうせ私が脱出すればいずれここを破棄するのだ!我が愛しのスレイヴ達がプルートゥに接収されるのであれば戦いに使った方がまだマシというもの!!だがひとつ頼みがある。1機だけ捕獲しろ。あの機体を解析したい」
「ハハッ!!全力で遂行致します!!お言葉ですが……!!ひゃ……100機を越える援軍と聞こえたのですが……私の聞き間違いでは……!」
「ふん!!聞き間違いなどではないわ!!私を誰だと思っている!!ヴァナティック・アウスウラだぞ!!古今東西東あらゆる国のあらゆる最新鋭の機体がここにはずらり揃っておる!ゆうに100機を越えてな!!」
「な……なんということでしょうか!!!流石ヴァナティック様!!それならば我らの勝利は確実のもとなりましょうぞ!!」
「当然だ!!馬鹿めが!!もっと言え!!もっとだ!!!がははははははははははははははははは!!」
ジェイコブがヴァナティックに苦言を呈する。
「水を差すようで申し訳ありません。ぞ……増援はありがたいのですが……!そもそもパイロットが圧倒的に足りません……!残った我々は社長の護衛につくのでとても100機以上のスレイヴを動かせる人員は……!」
ヴァナティックは得意げになってジェイコブの心配を笑い飛ばす。
「わははははははははははは!!!パイロット~!?パイロットねえ~~!!そんなもんはいらんわい!!わが社が開発したオートパイロットAI。コマンダードール!!指揮官さえ設定できれば半径5kmの範囲であれば音声認識で様々な用途の任務をこなす優れものでな!!最近はAIに対話コミニケーションが必要とか面倒くさい戯言を抜かす開発者が多くて困る!AIなんぞ搭乗者に有無を言わさず絶対服従でよいのだ!!そもそもメタル・スレイヴの語源も戦争を勝利に導くための鋼の奴隷だったのだぞ!!それに付帯するAIに人格をシュミレートさせてどうする!?邪道だ!!邪道!!」
ジェイコブは驚愕の声を上げる。
「な……なんと……!?それでは……!?」
「全く問題ないという事よ!!整備班!!スレイヴの整備、コマンダードールの設定が終わり次第順に次々と増援のスレイヴを出せ!!ハザード!!!コマンダードールのAIの全制御はお前に任せるぞ!」
ハザードと呼ばれた中年のみすぼらしい研究者が頷く。
「わたくしにお任せあれ!このハザードがいればご心配に及びません!サンダースさんでしたっけ?あなたの機体のコールサインと生体アクティビティをこちらに送って頂けますか?」
サンダースは慌てふためきながら指示に従う。
「は……ハハッ!!コールサインと生体アクティビティですね!!今しがたお送りしました!!」
ハザードは満足そうにサンダースからのコールサインを確認する。
「はい!大変結構でございます!!以後こちらからの増援のスレイヴ達はサンダースさん!貴方の指揮に従いますので!!存分にご奮闘くださいませ!」
「ヴァナィック社長!!ハザード主任!!あ……ありがたき幸せでございます!!それではこのサンダース増援が到着するまで戦線を維持してまいります!!」
ジェイコブがサンダースに最後に釘を刺す。
「わかっているだろうな?このありえないほどの好条件でもし失敗したならば貴様は死罪だ。俺の拷問は少々凝っていてな?俺が貴様に最も残虐な死をくれてやる!なんとしても敵の首を全て討ち取ってこい!!」
「ひいいいいいいいいいいい!!!このサンダース!!身命を賭して任務を遂行致します!!!」
「そうだ。それでいい。死ぬ気で殺せ」
ジェイコブは舌打ちをしながら無線を切る。ジェイコブは密かに疑問に思っていた事があった。
「(しかし……この100機をゆうに超えるスレイヴがこの地下にある理由はなんだ……?実戦用に作られていない試作機や展示用ってだけじゃなくよくよく見ると東側の発禁スレスレのイカれた機動兵器までありやがる……!ほぼ全てが実戦に投入できるチューンアップを施しているだと……?尋常じゃないぜ……!!どこぞの国と戦争でもおっぱじめる気だったのか!?ヴァナティック社というのは一体何なんだ!?そして社長の本当の狙いとは……?」
ジェイコブの内なる疑問をよそにヴァナティックは改めてここに残っている人員に声をかける。
「改めて言うが残りの者は地下の別ルートから船でザルアのヨトゥンローグ港を目指せ!!そこで後に私と合流するのだ!整備班は増援に出す全てのスレイヴの整備を終えてから船に乗れ!!作業が早ければ早いほど脱出の時間も早くなる!!ボヤボヤしている暇はないぞ!!善は急げだ!!」
ヴァナティックが発破をかけると整備班の人員達は素早く整備作業を進める。ヴァナティックがジェイコブ達にも声をかける。
「よし!!我々も脱出だ!!貴様らもスーツを着てスレイヴに乗り込め!!!目標地点はザルア主長国連邦の首都ダルツヘイムだ!!」
ジェイコブが驚く。
「ザルアのダルツへイム!?イシュタリアの適性国かつアサイラムの最南西じゃないですかい!?何キロあるとおもってるんですか!?遠すぎますぜ!?」
ヴァナティックが威勢よく言い返す。
「阿呆ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!だからこそこのフライティング・ロケットブースターVSがあるのではないか!!マッハの速度を舐めるな!!マッハを!!それにザルアの総代主長アルカインと私は懇意にしとってな!!亡命するにはここがうってつけなのよお!!」
ジェイコブが観念したように覚悟を決める。
「(ちっ……しょうがねえ……!ここまで追い詰められたら背に腹は代えられねえ!捕まったら最悪死罪だからな。贅沢は言ってられねえか……!社長の横の繋がりを信用するとしよう!)……了解しました……!!お前らいくぞ!!社長の傍を離れるな!!」
アンチGプロトコルスーツを着こみジェイコブおよび10名のBFOBの精鋭の親衛隊はドラッケン・ドライに乗り込む。ヴァイシストに乗り込んだヴァナティックはそれを確認すると声高に叫ぶ。
「ハッチ開けえええええ!!カタパルトCラインから出る!!!!いくぞおおおおおおおお!!!脱出だあああああああ!!」
一方、ドラッケン・ドライに搭乗しているサンダースが真っ青な顔になって上と増援要請の交渉しているのを心配そうに見守るBFOBの隊員達。
交渉が終わり無線を切り、ズンズンと皆の前に歩いてくるサンダース機。援軍要請を提案したジョナサンのゴリアテが心配そうな顔でサンダース機に近づき無線を送る。
「サンダース分隊長……!!増援要請は………どうなりました……!?」
サンダースは暗い面持で沈黙している。焦りだすジョナサン。
「ま……まさか……増援は出せないと……!?」
サンダースは一転して満面な笑みを浮かべながら叫ぶ。
「増援要請成功だあああああああああああああああああああああああああああ!!!来てくれるってよおおおおおおおお!!!この馬鹿者があああああああああああ!!」
そしてジョナサンのゴリアテを殴りつけゴリアテは天高く舞い上がった後地べたに豪快に叩きつけられる。
「ほがああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!だからなんでええええええええ!?」
サンダースは意気揚々と語り出す。
「しかも!!ヴァナティック社長の秘蔵のスレイヴどもだ!!聞いて驚け!!その数なんと100機以上とな!!!!最早これで我々の勝利は確定的に明らかになったのである!!!!」
隊員達の士気が大いに上がる。再び巻き起こる怒涛のサンダースコール。サンダースは照れながら
「まあまあ!小生を讃えたい気持ちもわからんでもないが!!ここは抑えて抑えて!!よし!!増援が来るまで決して無茶はするな!!何にせよ相手は得体がしれんバケモノだ!!陣形を強固にして守りを固め増援をひたすら待ち、増援がきたならば一斉に散開して敵をあぶり出しこちらから攻勢を仕掛ける!!よいな!?」
「ハハッ!!」
BFOB隊員達はサンダースの指示に異論はなく敬礼をする。ひとり地べたへ仰向けになってるゴリアテに搭乗しているジョナサンが涙を流して自身の境遇を嘆いている。
「だ……だからなんで俺だけ殴られるの……!?」
守りを固めるBFOB隊に凄まじいスピードで迫りくるひとつの影があった。ドイルが搭乗する強化された新生デスペラードである。ドイルは強化されたデスペラードの性能に興奮を隠し切れない。
「なんてスピードだよ!!以前の倍どころの騒ぎじゃねえ!!そして速いだけじゃなく!!軽い!!軽すぎる!!反応が段違いだぜ!!!はっはーーー!!!」
スピードを増しながら宙がえりやとんぼ返りなどを披露するドイル。はしゃぎすぎているドイルに苦言を呈するラッキー。
「ほらほらアニキ!!またすーぐ調子に乗るんだから!!いいかい?オイラが言った事忘れてないよね?はい!復唱!!」
頭を掻きながら面倒くさそうにドイルがラッキーに言われた事を復唱する。
「わーーったよ……!なんだっけ?いち、広い視野を持って多方面から戦う。に。常に最適な戦術を考えながら戦う。さん、力押しの殴り合いは極力避けてヒット&アウェイを心がける……!面倒くせえな!もう!」
「面倒くさくてもやるの!!また負けちまってもいいのかい!?アニキには才能も実力も確かにある!足りないのは思考と戦術だ!常に状況に見合った最適な戦術を考えチョイスするんだ!!パイロットの技量や機体の性能差だけが勝敗を決する要因にはならないんだぜ?」
「はいはい……!!他ならぬ相棒のラッキーちゃんの言う事だもんな!!前向きに善処しますよ!!」
ドイルはドイルの肩に乗っかって助言を与えてくれているラッキーの頭を撫でる。ラッキーは不満そうにドイルを咎める。
「前向きに善処するんじゃなくて実際にやらなきゃいけないだってば!!全くアニキは適当なんだから……ぶつぶつ……!」
「殴り合いは喧嘩の華だからな!避けて通る事はできねえんだよ!だがお前の言う事ももっともだとも思ってるんだぜ!?以前のような無様は晒すつもりはねえよ!!よっしゃ!!振り落とされんなよ!!いくぜえええええええええ!!!」
「ま……まだオイラの話は終わってねえぞおおおおおおおお!!!!!!」
更にスピードを増すドイル機。BFOB隊員がドイル機の反応をキャッチする。
「さ……サンダース分隊長!!!来ました!!!奴です!!!!」
絶叫するサンダース。
「来たかあああああああああああ!!!距離があるうちに一斉射撃で追い払えい!!!!奴の事だ!!あの距離から狙撃してくる可能性も充分にある!!シールドで守りを固めつつ距離をとりながら一斉射撃だ!!!!増援が来るまでの辛抱だ!!!持ちこたえるぞ!!!!一斉射撃用意!!!てええええええええええええええ!!!!」
再三のBFOB隊による一斉射撃が突撃するドイル機に襲い掛かる。ラッキーがドイルに問いかける。
「アニキ!!!視野を広く持つ!!!」
ドイルはウインクをしながらラッキーに答える。
「わかってるって!!!ブーストオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
一斉射撃の弾幕に猛烈なスピードで突撃していくドイル機。サンダースは敵機の余りの無謀さに嘲笑を浮かべる。
「馬鹿めええええええええええ!!!!形状が変わったから何かと思ったがパイロットのおつむがこんなにもお粗末だったら意味はないなあ!!頭から突っ込んでくるとはなんと愚かな!!ここで蜂の巣になれえええええい!!!」
ドイルは無邪気な少年のような笑顔を浮かべながら叫ぶ。
「いやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
BFOB隊の一斉射撃の弾幕を猛烈な勢いで加速しながら全て華麗に躱していくドイル機。サンダースは慌てふためきながら更に指示を出す。
「馬鹿なああああああああ!!火力を集中させろ!!!撃て!!撃て!!撃てえええええええ!!!何故だ!!?何故当たらんのだああああ!!!」
BFOB隊の隊員達も度肝を抜かれた表情で絶叫する。
「サンダース分隊長おおおおおお!!当たりません!!!我々の一斉射が当たりませんんんん!!!!」
ドイルは興奮した表情で言い放つ。
「あはははははははははははははは!!!すげえぜ!!!!!止まって見える!!!!弾幕がマジで止まって見える!!!!こんな……こんな世界があったなんて!!!」
ドイルの肩に乗っているラッキーが満足そうに口を開く。
「うむうむ。デスペラードがデュエルモードになって機体のスピードと反応が劇的に増し、全天周モニターになったことと、アニキの頭が冷えて視野を広く見るようになった事とあらゆる事象が相乗効果を生みここまでの結果に繋がっているんだ!アニキまさかこの程度で満足するわけないよな?」
ドイルは勇ましく答える。
「あたぼうよ!!」
ドイル機のバックバックに収納してある強化されたバスタードザンバ―を抜刀し一斉射撃の弾幕を潜り抜けサンダース機に斬りかかろうとする。その凄まじい勢いに怯えるサンダース。
「弾幕を抜けただとおおおおおおおおおおおお!!!!!うああああああああああああ!!!!や……やられるうううううううう!!! あ……あれ?」
一刀のもとに切り伏せられると思い思わず目を閉じたサンダースだったがいつまでたっても斬られた様子はない。
ラッキーがドイルを叱咤する。
「なにしてんだよおおおおおおおお!!!通りすぎちまったじゃねえかあああ!!敵の大将はあそこだっての!!!!」
ドイルがラッキーに軽く謝罪する。
「ととっ!!わりィわりィ!あんまり機体のスピードが速すぎるもんで通りすぎちまった!!暴れ馬に乗ってるみたいで上手く使いこなせねーんだよ!」
進化した新生デスペラードのスピードが速過ぎてサンダースのドラッケン・ドライを通り越し遥か彼方に着地するドイル機。サンダースは驚愕の表情を浮かべる。
「さ……さっきまで……目の前に……いたのに……!いつの間にあんなところへ……!!」
ラッキーがドイルを急かす。
「アニキ!!斬り返して!!仕切り直しだ!!正面から殴りかかるなよ!?」
「わーってるって!!視野を広く持って多方面から攻めろ?だろ!?耳にタコだぜ!!!ブーストオオオオオオオオオ!!」
BFOB隊員アンドレが遥か彼方にいるドイル機を補足したと思った矢先。
「敵機補足!!!いや……消え……!!!」
サンダースは絶叫する。
「アンドレ!ヤコフ!奴はどこに……どこに消えたあああああああああああ!?」
BFOB隊員ヤコフはサンダースに敵機のおよその位置を伝える。
「敵機!!!左!!!サンダース分隊長のすぐ側に……!!!サンダース分隊長!!!危なああああい!!!」
サンダースのドラッケン・ドライのすぐ左に凄まじいスピードで詰め寄ったドイル機がバスタードザンバ―を抜刀しサンダース機を有無を言わさず即座に叩き斬ろうとする。
サンダース機の近辺にいたヤコフ隊員が乗るドラッケン・ツヴァイが身を挺してその斬撃を受け。真っ二つにされる。血とオイルが飛び散りサンダース機にそのしぶきがかかる。
サンダースは自身の、そして隊の絶対絶命の危機を肌で感じたまらず絶叫する。
「ヤコオオオオオオオオオフ!!!くそおおおおおおおおおおおお!!!!増援は……!!増援はまだなのかああああああああああああああああああ!!!」
わおーん!ラッキーだい!!ディアボロス13話を読んでくれてありがとう!!感謝感激とはこの事だよー!!延々ヴァナティックの話が続いてウンザリしてたところさ!!やっとオイラ達が登場したと思ったらここで次回に続くかよー!!オイラもアニキも全然暴れ足りねーぞ!!ね?みんなももっとオイラ達が活躍するところが見たいよね?あらら?敵の大将が逃げていくぞー!!アニキ絶対に逃がすなよ!!えええええ!?アニキのデスペラードの動きが封じられちまった!!これはまさか!!絶対絶命!?次回ディアボロス「バウンティディヴィジョン ヴァナティック邸の攻防 その13」次回も絶対読んでくれるよね!?




