0-11話 バウンティディヴィジョン ヴァナティック邸の攻防 その10 オイラはラッキー
前回10話のあとがきで次回予告をしたんですが、いざ11話を書いてみると予告した内容まで書ききれなかったです……。申し訳ございません……。次回予告を今回書いた11話の内容に差し替えております。やっぱり次回予告方式はストックありきなのかなあとも思いました。色々難しいですね。さて11話更新です。今回はクリスマス更新そして今年最後の更新となっており、通常のボリューム+約5000字のSP拡大版でお送りします。(それでも予告分まで書き切れなかったってどんだけだよって話ですが)結局主人公は年内に出てきませんでした~。うわーーーん!でも来年こそは読者の皆様の前に出てきて大暴れしてくれることでしょう! 誠に勝手ながら年末年始はお休みさせて頂き次回の更新日は1月7日とさせて頂きます。ご了承くださいませ。これからも更にぶっ飛んだ面白い展開になっていくので来年もディアボロスをよろしくお願い致します。
マニングスの心配をよそに戦局は常に動いている。ドイル機はプレッシャーで身動きができないBFOB隊に向かってブースターを吹かしながら猛烈な勢いで再度突撃する。
「今だ!!奴らはビビって動けねえ!!一気に距離をつめてまとめて叩き斬ってやるぜ!!」
サポートAIはドイルの相変わらずの猪突猛進ぶりに呆れ果て苦言を呈する。
「オイオイ!!?また力技かよ!?ちょっとは頭使えって!落ち着いてもっと柔軟な戦い方を……」
「るせええええ!!喧嘩なんかわかりやすいやり方が一番つええんだよ!!まっすぐ行ってひたすらブッた斬る!!これ即ち最強ってな!」
「な……なんつーバカ野郎なんだ!!お前は!?1対圧倒的多数のこの状況でわざわざ一番不利な戦い方を選ぶなんて信じられねーってばよ!?」
「サポートAIが聞いて呆れるぜ!?人の揚げ足ばっかとりやがってちっとは気の利いた事言ってみやがれ!」
「お前の操縦するデスペラードが墜とされたらオイラまで死んじまうんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「そいつはいいぜ!一蓮托生ってか!泣かせる話じゃねえか!そらあ!!いくぜえええええええええええええええええ!!!」
更にブースターの出力を上げフルスロットルの状態に持っていくドイル機。泣き叫ぶサポートAI。
「このチンピラもういやあああああああああああああああああああ!!」
半壊して虫の息だと思ったドイルのデスペラードが猛烈な勢いで突撃してくるのを見て戦慄するサンダースとBFOB隊。
「サンダース隊長オオオオオオオオオオオオ!!またこちらに突っ込んできますうううううううううう!!!」
「き……貴様らが私の一斉射の命を遂行せんからこうなるのだああああああああああああ!!!今度こそ一斉射撃だあああああああああああ!!撃たんと我々がやられる!!いいな!!一斉射撃用意ィィィィィィィィィィィィ!!!!」
隊員達は鬼気迫る表情でうなずきながら、ドラッケン・ツヴァイやゴリアテウィンカーネが携帯している重火器を構える。
ドイル機は加速しながらスナイパーライフルを取り出し構える。そのドイルの無謀とも思える行動に仰天するサポートAI。
「ちょ……!?何……バ……バカな……事を!!このまま加速しながらピンポイントで狙撃しようってのか!?最大戦速のフルスロットルだぞ!?冗談でも当たらねえよ!!算出確率1.58%!」
ドイルは不敵に笑いながら応える。
「俺に確率なんてくだらねーもんは通用しねえんだよ!まあ……黙って見てろ……!スコープ!!照準合わせ!」
サンダースの号令が響き渡る。
「はなてえええええええええええええええええええええええええ!!!」
ドイル機が構えるスナイパーライフルの銃身やスコープによる照準が猛烈な加速によりブレにブレれている。前方にいたドラッケン・ツヴァイがスマートカノンの引き金を引こうとしたその瞬間ドイルの眼光が鋭く光り、確かめるように呟いた。
「ここだ!!」
ドイル機が猛然と機体を加速させながらスナイパーライフルを恐るべき早業で撃ち放つ。
「はぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!」
見事ドラッケン・ツヴァイのコクピットに銃撃が直撃し爆散する。驚愕の声を上げるサポートAI。
「スゲエエエエ!!!フルスロットルだぞ!?このスピードで加速していてなんでああも正確にピンポイントで当てられるんだ!!?」
ドイルは得意気に応える。
「ハッ!こんなこたあ俺にとっちゃあ息を吐く事よりも簡単だぜ!!」
サンダースは怒りに震えながら更に号令をかける。
「加速しながら狙撃してくるとはああああああ!!怯むなあああああああああああ!!奴を近づけさせるな!!一斉射!!はなてえええええ!!はなてええええ!!」
後方にいたドラッケン・ツヴァイ2体がスマートカノンとマシンガンの引き金をそれぞれ引こうとする。
「させねえええええええええ!!!」
ドイル機は更に勢いを増し機体を加速させながら2体同時にコクピットをスナイパーライフルで撃ち抜きそれぞれのドラッケン・ツヴァイは爆散する。
再度驚愕するサポートAI。
「(マ……マジでスゲエ!!こいつなんて狙撃センスだ!!並のエースパイロットでもこんな芸当は絶対にできやしねえ!!もしや……こいつただのチンピラじゃあないのか!?)」
勢いづいたドイルは自分とAIに言い聞かせるように言い放つ。
「あと200M!!頭だ!!頭を殺ればこいつらは散り散りになる!頭を狙うぜ!!」
「異論はねえが……できるのかい!?この状況はかなり厳しいぜ!?」
「言ったろ!?息を吐く事よりも簡単だってな!!俺の腕を信じろ!」
いつまでたっても自分が命じた一斉射撃が行われず、二度に渡り敵の接近をここまで許してしまった事にサンダースは業を煮やし、自ら前に出る。
「もういい!!貴様らの不甲斐なさにはもうウンザリだあああああああああああ!!俺が直接あのクソガキを殺る!!お前の死に場所はここだああああ!!ここでくたばるのが貴様の運命だあああああ!!」
サンダースの搭乗するドラッケン・ドライは他の隊員のスレイヴを押しのけてスマートカノンの引き金を引こうとする。
待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑みを浮かべドイルが叫ぶ。
「てめえが頭か!?丁度よかったぜ!!ノコノコ出てきやがってこのマヌケがあ!!先にくたばるのはてめえの方だあああああああああああああああああ!!」
サンダースのスマートカノンが撃ち放たれるより早くドイル機のスナイパーライフルが火を噴く。その瞬間サンダースは絶叫する。
「やらせはせんぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
サンダースはドイル機のカウンター狙撃を警戒しサンダースの搭乗するドラッケン・ドライの狙われるであろうコクピットにシールドをあらかじめ構え、防御体勢をとっていたのだ。
「ぬううううううううううううううう!!」
銃撃をシールドで弾じき返したがその余りの威力にドラッケン・ドライが大きく後退り体勢を崩す。
「シ……シールドが……1撃でおしゃかになるとは……なんて威力だ……。我が隊の隊員達が一撃のもとやられたのもうなずける……」
銃撃でへし曲がり使い物にならなくなったシールドを忌々しそうに捨てるサンダースのドラッケン・ドライ。
ドイルは狙い済ました渾身の狙撃が通用しなかったその現実に絶望の表情を浮かべる。ドイル機は次弾を装填する暇もなく大きな隙をBFOB隊の前で晒してしまう。
「マ……マジかよ……!!」
サンダースは勝ち誇った表情を浮かべ、今一度ここぞとばかりに号令をかける。
「さあああああああああああ!!ブラッディファントム!!今こそ誇りを取り戻す時がきたああああああああああああ!!一斉射撃用意!!ってええええええええええええええええ!!」
ドイル機の大きな隙にBFOB隊の地獄の一斉射撃が再び襲い掛かる。ドイルの眼前が一面銃爆撃の閃光で包まれた瞬間ドイルは死を覚悟した。
「……やべえ……今度ばっかりは……!!」
その絶望的窮地にサポートAIが声高に叫び出す。
「コントロールをパイロットからオイラに!!アイハブコントロール!強制ツインフラッグコネクト!!シンクロ開始!!」
突然何かから力を吸い出されているかのような感覚に襲われるドイル。
「な……なんだ……!?この感覚……!!気持ち悪ィ!!お前……!?一体何を!?」
サポートAIは口早に答える。
「いいから……!黙っててくれ……!!シンクロ!5%……10%……意識が乱れてる!ここが限界か……!!いいさ!短時間かつ限定解除なら問題ない!デュエルモード限定解除!!変形開始!!一気に飛ぶぞ?つかまってろ!!!オーバーフルブーストオオオオオ!!」
「うわあああああああああああああああ!!」
わけもわからず絶叫するドイル。
突如、デスペラードの形状が変形する。ボディが流線形になり、肩部や脚部、背面の装甲が展開、分離し増設されたブースターが出現し、そのブースターが瞬く間に点火し凄まじいスピードで一斉射撃の射程距離から遠く離れ戦線を離脱していくドイル機。通常の機動兵器では考えられないほどの超スピードである。
BFOB隊の隊員らが素っ頓狂な声を上げる。
「いないぞおおおおおおお!!何処へ行った!?敵は!敵は何処へいったんだ!?」
「折角の我々の一斉射撃が無駄になったのか!?あの状態から一瞬で!?何が起こった!?」
「今度こそ確実に捉えたと思ったのに……!まさか消えた……!?消えたのか!?」
サンダースは隊員達の声を遮るように言い放つ。
「否ァァァァァァァ!!爆発的なスピードで一気に戦線を離脱したのだ!!ドラッケン・ドライのレーダーにも捕捉できないほど速いスピードでだ!!一体なんなのだ!!あの機体はァァァァァァ!!あの装甲!!あの動き!!あの加速力!!!どれをとってもデータにはない規格外のものではないか!!おのれええええええ!!いいだろう!!陣形を変える!!今度はこちらから仕掛けるぞ!!戦線を離脱したあの機体を見つけ出し嬲り殺しにし、残りの連中も片付けるぞ!!」
BFOBのジョナサン隊員がサンダースに苦言を呈する。
「し……しかし…こちらもたった1機に半分以上やられてしまっている現状です!!あの機体の戦闘力は未知数で底が知れません!!!ここはヴァナティック社長に更なる増援の申請をするべきだと提言いたします!!」
BFOB隊の隊員達からジョナサンの提言に歓声と拍手が巻き起こる。
「ジョナサン貴様あああああああああああああああああ臆したかあああああああああああこおおおおおおのおおおおおおおおおおお腰抜けぐわあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
サンダースのドラッケン・ドライが提言したジョナサンのゴリアテウィンカーネを殴り飛ばしゴリアテ・ウィンカーネは空高く舞い上がっていく。
「ほごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ジョナサンは叫び声を上げながらゴリアテともども空高く舞い上がった後、地べたへ豪快に叩きつけられる。サンダースは激昂する。
「それでも誇りあるブラッディファントムの隊員か!!貴様ァァァァァァ!!そこになおれええええええええ!!喝を入れてやる!!誇り高きBF魂を再注入してやるぞ!!」
怒り狂うサンダースに恐れをなしたジョナサン隊員は必死に平謝りをする。
「申し訳ありません!!申し訳ありません!!」
「謝って済む問題でもないわああああああああ!!半壊したとはいえ!!我々の現状の戦力は15機以上!!!え……!?15機? ひい……ふう……みい…よう……15機だとおおおおおおおおおおおお!!」
現状の戦況に鳥肌を立てて仰天するサンダース。
「そ……そうです!!たった1機に15機以上のスレイヴが破壊されたことになります!!たった1機ですよ!しかもこの短時間に!!恐らく残りの敵も同型機と推測できます!!考えたくありませんが……もし他の機体も先ほどの機体と同等の戦力を持っていたら……」
ジョナサンの言葉に思わずゾッとするサンダース。
「ううううむ……!!!」
ジョナサンは迷っているサンダースに対しここぞとばかりに声高に進言する。
「なので!ここはやはり援軍が必要かと!!」
「馬鹿者がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
再びジョナサンのゴリアテを空高く殴り飛ばすサンダースのドラッケン・ドライ。
「ほげえええええええええええええええええええええええええ!!なんでええええええええええ?」
「たった1機の敵に増援を申請するなどとブラッッティファントム始まって以来の大恥である!!だがジョナサン!!き……貴様の言ってる事もわからんでもない!!なのでこっそりジェイコブ隊長及びヴァナティック社長に増援を申請しちゃう事にする!!」
BFOB隊の隊員達から歓声と拍手が再び巻き起こる。
「(結局、援軍を要請するのかよおおおおお!!なんで俺今殴られたの!?)」
仰向けになって倒れているゴリアテとジョナサン。ジョナサンの目から涙が流れる。
一方で猛烈な勢いでブースターを吹かしながら戦線に突入しようとしてるグレイヴ機。
「ドイルの反応が消えた!?一体何が起こっている!?戦線に到着するまでもうしばらくかかる!この時間がもどかしい!!だがぬかりはない!!一気に畳かけてやる!!まずはブラッディファントムを片付ける!!そして次にドイルだ!!」
冷静沈着なグレイヴは怒りに震えながらも冷静さ失っていない。ステルス機能を使い反応を完全に消してから猛スピードでBFOB隊がいる戦線に向かっていた。
もう一方でオーバーブーストで急遽戦線を離脱したドイル機。ヴァナティック邸の東にある雑木林に一時身を潜める。サポートAIがドイルを叱咤する。
「ここならしばらくは身を隠せる!これでわかったろう!?確かにアンタは強い!!でもなんにでも正面からぶつかって力まかせに暴れ回るだけじゃいつか限界が来るんだ!」
ドイルが感情に任せて反論する。
「じゃあどうすりゃあいいんだよ!!俺はこの戦い方が一番性に合っててこの戦い方しか知らねえ!!今更やり方を何もかも変えろってのか!」
「そうじゃない!更なる広い視点を持てってことさ!パワーだけを持ってるやつと、スピードだけを持ってるやつよりパワーとスピードを兼ね揃えた奴の方が遥かに強い!パワーだけをやみくもに信じてる奴はスピードを兼ねようなんて発想すら持てないんだ!つまりはそういうことさ!」
「全ッ然わっかんねえよ!!俺に一体何をさせようってんだ!?」
「アンタ。自分一人で戦ってきたつもりだろ?いままでもそしてこれからも。オイラにはわかるぜ」
「そ……それのどこが悪い!俺はいつだってひとりだ!!いままでもそしてこれからもひとりで戦いぬいてみせてやるぜ!それが俺のプライドなんだよ!」
「哀しい強さだな……」
「な……なんだと…!?俺のどこが哀しい?一体何が哀しいってんだ!」
「アンタは今ひとりじゃないだろ?デスペラードがいる。オイラもいる。みんなみんな生きてるんだよ」
「バ……バカバカしい!!!な……何を言うかと思えばふざけた事言いやがって!!俺は人間でお前らは機械だろ!?生きてんのは俺だけだ!!」
「違う!機械だって生きてるんだ!現に今アンタ、オイラと話をしてるじゃないか。話をして感情を大きく変化させている。デスペラードという機械に命を預け戦場を駆け抜けている。機械を通して命のやりとりをしてるじゃないか!その命のやりとりをする機械が生きてないわけないだろ!?」
「な……何が言いてえ!?」
「認めてくれ……。自分の弱さと孤独を。そしてデスペラードとオイラを感じて同調してくれ。そうすることによってデスペラードは真の姿。究極の機動兵器に一歩近づくんだ。今のままじゃ悪魔はおろかあいつらにだって勝てやしない。」
「同調だと……そんなことが……」
「信じられないのは無理もない。でもこれが真実だ。オイラのフロントモニターに手で触れてくれ」
半信半疑で恐る恐るフロントモニターに手を伸ばし触れるドイル。
「気持ちをリラックスさせて……頭を空っぽにして……デスペラードの鼓動とオイラの意識を感じて欲しい……」
「………………………………………………………ケッ!何も聞こえねえし何も感じねえ……。ハッタリも大概に……」
ド ク ン !
「え!?何だ!?何だこの音は!!」
「デスペラードの心臓の音だ!聞こえたんたんだな!!やっぱアンタ最高だよ!!」
次の瞬間サポートAIから意識の奔流がドイルの意識に流れこんでくる。
「おおおおおおおお!!!なんだこれは!!お前の!お前の考えてる事が、お前の意識が俺の頭と心に流れ込んでくる!」
サポートAIが声を震わせながら声高に叫ぶ。
「ツインフラッグコネクト完了!!同調開始!!シンクロパーセンテージ5……10……15……20……25……30……35……40……凄い……まだ上がっていく!初コネクトでこれだけの数値を叩きだすなんて!!スゲエよ!!アンタ!!約束通りお披露目するぜ!!これがデスペラードの進化した姿だ!!デュエルモード完全開放!!全形態!!変形開始!!」
デスペラードの装甲が展開し形状が大幅に変わり劇的な進化を果たす。更にAIは続ける。
「ラグナ二ウムオートリペアON!!全天周モニターアクティヴ!!レジェナンドサーボモータードライブON!!」
半壊したドイルのデスペラードの損傷がみるみるうちに修復されていく。更にフロントモニターと左右のサイドモニターしか視界が展開されていなかったが全天周にモニターが張り巡らされ補助サーボモーターも稼働し反応速度が急速にあがっていく。ドイルは感嘆の声を上げる。
「すげえ!!すげえぜ!!傷が修復されていく上にデスペラードが超絶パワーアップしやがった!!お前が全部これをやったのか!?」
サポートAIは答える。
「違う。違うよ。アニキとオイラとデスペラードでやったんだよ。アニキがオイラとデスペラードが生きている事を……存在している事を認めてくれてシンクロしたから出来た事なんだよ」
「あ……アニキだあ!?」
「これからは敬意をもってそう呼ばせて貰うぜ!?色んなテストパイロットとテスト起動をやったけどここまでシンクロできるパイロットは誰もいなかったんだ!アンタだけだよ!アンタ最高だ!!!今までの無礼な発言を許して欲しい。オイラとデスぺラードを乗りこなせるのはアンタだけさ!これからもよろしくな!アニキ♪」
「そらあこういう展開は願ったりで叶ったりなんだけどよ……。あ……アニキって俺そっちの趣味はねえんだけど……」
「バ……バッカ野郎……!!そういう意味で言ったんじゃねえやい!!!!全く……褒めるとすぐこれだよ……」
「あーーーそうだ!だったらお前にも名前つけねえとな!いつまでもオイ!とかてめえ!とかじゃあ締まらねえだろ?」
「いいねえいいねえ♪オイラも名前とオイラの身体が欲しいな♪」
「身体ってお前……AIだろ?」
「ふふん!驚くなかれ!ディヴィジョン驚異のメカニズム!アバターシステムっていってサポートAIに名前と固有イメージをつけて具現化できる技術があるんだよ!実際にお互いに触れられるし、このコクピットを出て外へもいけるんだぜ!オイラたちには製作権限がなくてパイロットに権限を委ねられてるんだけどね!アニキ!オイラのアバターを作っておくれよお♪」
「そいつはいいかもな。おっしゃ!どういう姿がいいかリクエストとかあるか?」
「はいはいはーーーい!ありますありまーーす!!超ありまーーす!!すっごいイケメンの美少年にしてほしいでーーす!!イケメンになって女の子にモテモテ!!うひひひひひ!そして名前はアレクサンドロスとかミケランジェロとか気品のある高貴な名前がいいなあ。オイラにピッタリだと思わない!?ねー?アニキ頼むよー!後生だからよーー!」
何やらほくそ笑むドイル。
「はいはいイケメンの美少年でモテモテね……。ふふふふふ……そいつは夢があって…ふふふふ……いいですなあ。わかりました。わかりましたよー!」
ドイルはフロントパネルを操作して、アバターシステムでサポートAIの名前と姿と設定を入力する。サポートAIはイケメンの美少年になった自分の姿を想像してワクワクしている。
「ワクワク……ドキドキ………楽しみだなーー♪………はぁああああああああああ!?な……なに……これ………!?」
設定された自分の姿を見て絶叫するサポートAI。愛くるしい4本の脚、黒く丸い鼻。千切れんばかりに尻尾を振るその姿は……。
「これ………犬じゃねえかあああああああああああああああ!!!しかもブチ犬!!!最悪だ!!最悪の気分だ!!!!」
「ぎゃはははははははははははははははははははははははは!!!!」
笑い転げるドイル。完全に悪ノリである。怒り狂うサポートAI。
「ふっざけんな!!何笑ってんだああああああああああ!!お前ええええええ!!一瞬シンクロし合えたと思ったのに!!この仕打ちはねえぜ!!やり直しを要求するうううううううううううう!!!」
「ぎゃはははははははははははははははは!!似合ってるぜえええええ!?世界に通用するイケメンじゃねえか!! 一体どこに不満があるってんだ!?あはははははははははははは!!」
「いつまでも笑ってんじゃあねええええええええええええええ!!!やり直しだ!!やり直しィィィィィィィィィィ!!」
「お前の名前はラッキーだ」
「ふざけんな!!!なんだその犬みてーな名前はああああああああああああ!?」
「何にせよ今のお前の姿モロ犬だからな。その姿は何を隠そう俺が昔飼ってた犬の姿だ。可愛がってたんだけどよ。ある日じゃれ合ってラッキーにブレーンバスターしたらそのまま息を引き取っちまってよ……。もう歳だったからなあ。楽しかったあの日の思い出……。いい奴だったなあ……」
「思いっきり動物虐待じゃねえか!!!いつか訴えられるぞお前!!!」
「違うよォ!ラッキーは試合巧者なんだよ!テクニシャンってやつ?あいつが仕掛けてくるスリーパーホールド外すのに苦労したんだぜ?俺とラッキーは主人と飼い犬って関係だけではなくリング上の好敵手でもあったんだ」
「どんな犬だよ!!!!!!!?????」
ラッキーは怒りに身体を震わせながら唸り声を上げている。
「ワウウウウウウウウウ!!!完全にキレたぜ……!!殺してやる……!殺してやるぜ……!てめえええええええ!!オイラをこんな姿にしやがって!!ディヴィジョンの最高傑作たる超高性能AIを畜生道に堕とした罪!万死に値する!!やり直しだああああああああああ!!ガウウウウウウウウウ!!」
「バ……バカ!!や……やめろ!!!!」
ドイルの頸動脈に元気よく噛みつく畜生道に墜ち犬の姿になり果てたラッキー。かなり本気で噛みついているらしくドイルの首筋から血がドバドバと出ている。
想像だにしなかった自身の生命の危機にドイルは慌てだす。
「ぎゃああああああああああああああああ!!お……お前……!!本気で噛みついてくんな!!し……死ぬ……!!マジで死んじまう……!」
「やり直しだあああああああ!!イケメンだ!!オイラをイケメンの美少年にしろおおおおおおお!!」
「それは面白くないからヤダ!!!!!」
「面白い面白くないの問題じゃねえ!!オイラの自己実現!アイデンティティーの問題だ!!AIにだって人権はあるの!!」
ラッキーは更に本気で噛みつきはじめ今にもドイルの頸動脈を噛み千切る勢いだ。絶叫するドイル。首筋の出血が更におびただしくなる。
「ぎゃあああああああああああああああ!!マジで……マジで死ぬ!!!死んでしまう!!!………あ。そうだ」
ドイルは何かを思いついたようにふと冷静な顔になってすっとラッキーの前に手を出す。
「………お手!!」
「ワン!!!」
ラッキーはドイルの頸動脈に噛みついている行為を即座にやめ、尻尾を振って笑顔になりドイルの手のひらにポンと手を置く。
一瞬ハッとした顔になって我に返り絶叫するラッキー。
「ええええええええええええええええ!?な……なんで身体が勝手に!!ちくしょおおおおおお!!」
再びドイルの頸動脈に噛みつこうとするラッキー。そこに間髪入れずドイルが叫ぶ。
「チンチン!」
「ハッハッハッ!」
ラッキーは舌を出し、愛くるしいポーズをとる。そして一瞬ハッとした顔になって我に返り再び絶叫するラッキー。
「なんだこれええええええええええええ!!身体が勝手に動くぞおおおおおおお!?い……一体どういう原理なんだ!?」
「あはははははははははは!!ここだ!ここ見てみ?アバターシステムの設定で主人には従順で大変よく懐くを選んだからだろうなあ。そしてここ!この但し書き!ここも見てみ!アニマル系のアバターを選んだ場合、よりリアルに動物の習性を表現する為に理性より本能を優先する傾向があります。これはバグではなくアバターシステムの仕様ですのでご了承くださいませ……。お問合せ、クレームはこちらまでディヴィジョンシステム開発班サポートセンター……だとよ!! こだわってんなあ!!流石ディヴィジョン!!」
絶望し途方に暮れるラッキー。
「な……なんてこった……!!よ……余計な事しやがって!!誰得なんだ!こんな仕様!クレームだ!!ディヴィジョンシステム開発班サポートセンターに重クレームだ!!!!」
「あはははははははははははははははははははは!!!動きとかまさに犬そのものじゃねえか!!こいつは可愛いらしい!!」
「ひ……ひぐっ……うぐっ!!ううう……うわあああああああああああああああああああああああん!!あんまりだよおおおおおおおお!!こんな仕打ちィィィィィ!!」
あまりにもショックだったのか遂には大粒の涙を流しながら泣き出してしまうラッキー。これにはちょっとやりすぎたと思ったのかラッキーを抱きかかえて頭を撫でるドイル。頭を撫でられる事がこんなに気持ちいい事だと知らずに一瞬表情が緩むがまたすぐふてくされるラッキー。
「(すげえ……。触った感じもまんま犬じゃねーか。モフモフしてあったけえわ。)あのなあ。ラッキーよ。今や犬や猫なんてものはイシュタリアのギャルどもを虜にする可愛さの象徴。ある意味国民的スターって言っても過言ではないんだぜ?基本はモテモテなんだよ?」
「嘘つけ!!そんな与太話!信じられるかよ!!」
「嘘じゃないさ。あのティ-ンアイドルのキャスリン・アイラックの飼ってる犬なんつったけな?そうだ!ルーシーだ!ルーシーなんてどこいっても皆から愛され可愛がられるんだ。どこにいってもだぜ?可愛いは正義ってよく言ったもんさ。いつかお前もその姿でよかったなあって思える日が必ず来る」
「本当?」
泣きながら上目使いでドイルを見上げるラッキー。
「本当さ!しかもお前は喋れる犬で頭もいいわけだからルーシー以上の大スター間違いなしってわけだ!俺の相棒としてもその姿が俺は一番好きだし落ち着くしな」
「本当に本当?」
「本当に本当だとも!それにさ……。もしどうしても気にいらないのであれば後で再設定してやっからよ!今は戦闘中だからな!とりあえず仮の姿って事でここはひとつ頼むわ!」
その言葉を聞いた途端に笑顔になって機嫌をよくするラッキー。
「おおおおおおお!!再設定してくれるんだな!!約束だからな!!わかった!!わかったよ!!アニキがそこまで言うなら今はこの姿で我慢してやるよ!!」
ドイルは気を引き締めた表情になって言い放つ。
「よおし!時間喰っちまったな!無駄話はここまでにして戦線に復帰するぞ!!ラッキー!!」
ラッキーも涙を拭いて真剣な表情に戻る。
「おおお!!アニキ大暴れしてやろうぜ!!オイラも全力でサポートするからな!!」
ドイルとラッキーは笑い合い。共に前を見据えて言い放つ。
「新しくパワーアップしたデスペラードの力見せてやるぜ!!!!」
変形し増設されたブースターを吹かし猛烈な勢いで戦線へと再び飛び去っていく新たなデスペラードの姿がそこにあった。
私がイシュタリア軍略国防長官プルートゥです。ディアボロス11話を読んでくださって誠に痛み入ります。11話のみならず今ままでディアボロスを読んでくださった読者の皆々様には感謝の言葉しかありませぬ。これからも粉骨砕身の覚悟で取り組んで参りますので何卒……うわっ!!は~い♪ジャンヌお姉さんよー!もーうプルートゥ様ったら堅いんだからー! エリシィアだよーー♪みんな見てるかなー??えへへへ。今年の更新は今回で終わりだけど来年もディアボロスは続きますので!次回ディアボロス!
「0-12話 バウンティディヴィジョン ヴァナティック邸の攻防 その11」いくわよ!エリシィア! まかせてお姉さま! 2人一緒に~さあて来年もサービスサービスゥ♪
ジャンヌ……。エリシィア……。私はその言葉だけは言って欲しくなかったんだなあ……。うん……。じゃあ最後に3人で
メリークリスマス!!そしてよいお年を~~~~~~!!!!!




