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ある召喚士の生存圏  作者: 紀嶋 雁有珠
15/18

14   オーク戦 2

 

  OtMが確保している112丘陵に幹部で上って偵察している間にも攻撃準備

が進められた。横では迫撃砲小隊本部の曹長が銃剣を使って概算目測をして

おり、お、カコイイなと思っていると、そこへ、擲P1-α少尉(装甲擲弾兵第一

小隊小隊長)が報告してきた。


『ルーファー、異状ハアリマセン。しかし、500m先ニ“コボルト”ガ徘徊シテイ

 ルノガ、気ニナリマス』

「ひょっとして、そのコボルトはオークの配下かもしれません。二足歩行型の

 魔物の中には、弱い物を支配下に置くことがあります」


  イレーネからの助言に従い、そう思って双眼鏡を覗くと二足歩行の犬たち

が一定の間隔を空けてうろついていた。彼女たちがいて良かった。俺たち、

この世界の知識に疎い人間の集まりだからな。


「ひょっとして警戒線か」

「ルーファー、申し訳ありません。見落としていたようです」

「大尉、気にするな。少佐たのみます」

「了解」


   本来なら支援射撃後、先に指揮系統を破壊してから包囲部隊を攻撃すべき

だと思うが、包囲部隊の後ろから射撃すると流れ弾が村に行く可能性がある。

特に75mm榴弾なんかの場合はしゃれにならないので、先に包囲部隊を攻撃

してからオークの親玉を攻撃することにしてもらった。


「準備完了」


  少佐の声が聞こえた。


「では、状況を開始してください」

「撃ち方はじめ」


  リヒターSS大尉が有線電話で命令をくだすと、後方から1発ポンクーンと音

がして、迫撃砲弾が飛び出していき、後方のオーク集団から離れた所に着弾し

た。ドーンという着弾音にオークは驚いたように見えた。続いて大尉が有線

電話に命令を出した。


「右へ50m、前後は良し、次弾撃て」


  次弾は集団の近くに落下して1匹が吹き飛ぶのが見えた。


「照準そのまま、4斉射!」


  大尉の命令一下、迫撃砲小隊、3個分隊6門が一斉に射撃を開始した。

それを確認した少佐はSdkfz251/3から前進の命令を発した。


「パンツアー フォー」

 

  ヴィットマン大尉のⅣ号E型を先頭に正三角形を描き、Sdkfz251/3、4両の

Sdkfz251、Sdkfz222-1両が後方に続いて前進を開始した。後続として第3・

第4歩兵小隊を乗せたトラックが待機している。主力部隊は丘を右から回って

包囲部隊の側面に真っ直ぐ突っ込んでいった。オークの親玉たちは24発の

迫撃砲弾を浴びて全匹倒れており、命令を下す親玉がいなくなったのと迫撃砲

の着弾による衝撃で包囲部隊は硬直していた。


  犬の魔物はⅣ号の姿を見ると、オークにサインを送っているように見えた。

やはりコボルトは警戒線を構成していたが、オークはそのサインに気づいていな

いようだ。Ⅳ号3両はコボルトを相手にせず進んでいった。


「弾種榴弾、着発。各個射撃」


   ヴィットマン大尉のⅣ号を始め3両とも停止、射撃を繰り返してオークの群れを打ち払っていった。コボルトの警戒線は役には立たず、なんら有効な手を打て

ずに、Ⅳ号の突破を許してしまった。なんせこの世界ではこれだけの距離から

直接攻撃されるなど想定外であろう。Sdkfz251搭乗の擲弾兵たちはコボルトを

撃ち倒していた。


   Ⅳ号3両は包囲部隊に突入すると鋼鉄の車体でオークを当たるを幸い跳ね

飛ばして車体と砲塔の機銃で掃討していった。倒れたオークの巨体を踏み潰し

て進む姿はさすがに戦車、だけど地面はグチャグチャ気持ち悪い。


   オークの中には自棄になったのか、棍棒で4号の車体を殴る物もおり、

フェンダーに当たるとさすが怪力、ひしゃげているよ。


  ハーフトラックでオークをさすがに跳ね飛ばすわけにはいかないようで、外周

を回って射ち倒していた。しかし、Kar98kはゴブリンと比べるとやはりオークには威力が不足するようで、1匹倒すのに装弾数の5発は消費していた。白兵戦に

なったら負けるだろうな、なんて思っていると俺の頭の中でまた例の

ファンファーレが鳴り響いたので、レベルアップしたようだ。

  

「ヴァーゲ、こちらザーゲどうぞ」

「了解、こちらヴァーゲ、どうぞ」

「了解、後の掃討はまかせた。どうぞ」

「了解です」

「222-1、251-1、251-2私に続け」


  少佐のSdkfz251/3が包囲部隊の所からオークの親玉の方へ移動を開始した。

そして、ヴィットマンSS大尉が信号弾を打ち上げたのを見て、俺はリヒター大尉

に命令をだした。


「大尉、待機している2個小隊を指揮して村の周囲を制圧してください」

「了解、行くぞ」

「「了解デス」」

「ベアトリス、イレーネ、クララもう大丈夫だ、間に合ったな」

「「「ありがとうございます」」」

「さあ、君たちの村に行こうか。撤収」

「「「はい」」」


誤字脱字等おしらせくだされば幸いです。

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