14 オーク戦 2
OtMが確保している112丘陵に幹部で上って偵察している間にも攻撃準備
が進められた。横では迫撃砲小隊本部の曹長が銃剣を使って概算目測をして
おり、お、カコイイなと思っていると、そこへ、擲P1-α少尉(装甲擲弾兵第一
小隊小隊長)が報告してきた。
『ルーファー、異状ハアリマセン。しかし、500m先ニ“コボルト”ガ徘徊シテイ
ルノガ、気ニナリマス』
「ひょっとして、そのコボルトはオークの配下かもしれません。二足歩行型の
魔物の中には、弱い物を支配下に置くことがあります」
イレーネからの助言に従い、そう思って双眼鏡を覗くと二足歩行の犬たち
が一定の間隔を空けてうろついていた。彼女たちがいて良かった。俺たち、
この世界の知識に疎い人間の集まりだからな。
「ひょっとして警戒線か」
「ルーファー、申し訳ありません。見落としていたようです」
「大尉、気にするな。少佐たのみます」
「了解」
本来なら支援射撃後、先に指揮系統を破壊してから包囲部隊を攻撃すべき
だと思うが、包囲部隊の後ろから射撃すると流れ弾が村に行く可能性がある。
特に75mm榴弾なんかの場合はしゃれにならないので、先に包囲部隊を攻撃
してからオークの親玉を攻撃することにしてもらった。
「準備完了」
少佐の声が聞こえた。
「では、状況を開始してください」
「撃ち方はじめ」
リヒターSS大尉が有線電話で命令をくだすと、後方から1発ポンクーンと音
がして、迫撃砲弾が飛び出していき、後方のオーク集団から離れた所に着弾し
た。ドーンという着弾音にオークは驚いたように見えた。続いて大尉が有線
電話に命令を出した。
「右へ50m、前後は良し、次弾撃て」
次弾は集団の近くに落下して1匹が吹き飛ぶのが見えた。
「照準そのまま、4斉射!」
大尉の命令一下、迫撃砲小隊、3個分隊6門が一斉に射撃を開始した。
それを確認した少佐はSdkfz251/3から前進の命令を発した。
「パンツアー フォー」
ヴィットマン大尉のⅣ号E型を先頭に正三角形を描き、Sdkfz251/3、4両の
Sdkfz251、Sdkfz222-1両が後方に続いて前進を開始した。後続として第3・
第4歩兵小隊を乗せたトラックが待機している。主力部隊は丘を右から回って
包囲部隊の側面に真っ直ぐ突っ込んでいった。オークの親玉たちは24発の
迫撃砲弾を浴びて全匹倒れており、命令を下す親玉がいなくなったのと迫撃砲
の着弾による衝撃で包囲部隊は硬直していた。
犬の魔物はⅣ号の姿を見ると、オークにサインを送っているように見えた。
やはりコボルトは警戒線を構成していたが、オークはそのサインに気づいていな
いようだ。Ⅳ号3両はコボルトを相手にせず進んでいった。
「弾種榴弾、着発。各個射撃」
ヴィットマン大尉のⅣ号を始め3両とも停止、射撃を繰り返してオークの群れを打ち払っていった。コボルトの警戒線は役には立たず、なんら有効な手を打て
ずに、Ⅳ号の突破を許してしまった。なんせこの世界ではこれだけの距離から
直接攻撃されるなど想定外であろう。Sdkfz251搭乗の擲弾兵たちはコボルトを
撃ち倒していた。
Ⅳ号3両は包囲部隊に突入すると鋼鉄の車体でオークを当たるを幸い跳ね
飛ばして車体と砲塔の機銃で掃討していった。倒れたオークの巨体を踏み潰し
て進む姿はさすがに戦車、だけど地面はグチャグチャ気持ち悪い。
オークの中には自棄になったのか、棍棒で4号の車体を殴る物もおり、
フェンダーに当たるとさすが怪力、ひしゃげているよ。
ハーフトラックでオークをさすがに跳ね飛ばすわけにはいかないようで、外周
を回って射ち倒していた。しかし、Kar98kはゴブリンと比べるとやはりオークには威力が不足するようで、1匹倒すのに装弾数の5発は消費していた。白兵戦に
なったら負けるだろうな、なんて思っていると俺の頭の中でまた例の
ファンファーレが鳴り響いたので、レベルアップしたようだ。
「ヴァーゲ、こちらザーゲどうぞ」
「了解、こちらヴァーゲ、どうぞ」
「了解、後の掃討はまかせた。どうぞ」
「了解です」
「222-1、251-1、251-2私に続け」
少佐のSdkfz251/3が包囲部隊の所からオークの親玉の方へ移動を開始した。
そして、ヴィットマンSS大尉が信号弾を打ち上げたのを見て、俺はリヒター大尉
に命令をだした。
「大尉、待機している2個小隊を指揮して村の周囲を制圧してください」
「了解、行くぞ」
「「了解デス」」
「ベアトリス、イレーネ、クララもう大丈夫だ、間に合ったな」
「「「ありがとうございます」」」
「さあ、君たちの村に行こうか。撤収」
「「「はい」」」
誤字脱字等おしらせくだされば幸いです。




