第三百十三話 成金
ザマァは次回です(笑)
パンドーロちゃんとアディ君に聞いたら宿で待ってるって。どうやらウルリカちゃんと仲良くなったみたい。パンドーロちゃんはウルリカちゃんと宿の経営改革に勤しんでるみたい。アディ君はエイリークさんが魚釣りに連れてってくれるんだと。まあ村には釣りするところ無いからね。
心置き無く王都に転移。国王陛下のお部屋に移動だよ。
「いつもいつも突然来おって。今度はなんだ?」
あー、すいません。国王陛下もお仕事してたんですね。ええと、商業ギルドがですね……とまあ圧力をかけられてる状況を説明。
「わかった、ならばこれを持っていけ」
そう言って宝剣を渡される。なにこれ、無限の剣|製ででも出してきたやつ?
「王家の紋章が刻まれた宝剣だ。ワシと同じ様に権力がふるえるぞ」
「つまり、屋台で買い食いしたツケを王家に回したり?」
「そんなセコいことをせんでも普通に屋台ごと買えるだろうが」
いやまあ冗談ではあるんだけど。ともかくこれで対抗は出来るのか。あ、二人はまだ戻ってきてない?
「昨日の今日で戻るわけないだろう。しばらく待て。それかお前が迎えに行ってこい」
それはそうなんだけどどの辺にいるのかとかわかんないもんね。これが向こうの世界ならGPSとかで見つけられるのにね。
そういや私の身体にそういうの埋め込まれてないんだよね。まあ私が転移使えなかったからつける必要ないとか思われてたんだろうけど。
ともかく解決しそうだから街に戻るよ。おや、なんか街が騒がしいな。なんかありました?
「私はこの街の領主と知り合いなのだ。通してもらおう!」
「いやいや、通行証がないとそのサイズの馬車は通せないんですよ」
「だから早く領主でも代官でも連れて来いと言っているのだ!」
なんか入口で揉めてるんだけど。いや、迷惑だな。後ろの人が入れないじゃないの。
「ちょっとあんたら、後ろがつかえてるんだから、大人しく横に避けて待ってなさいよ」
私が声をかけるといかにも貴族という感じのゴテゴテの装飾をつけた指輪ジャラジャラ成金豚野郎がそこにいた。うんぁ、思わず声出ちゃったよ。
「なんだ貴様?」
「私? 通りすがりの銅級の冒険者よ」
「銅風情が貴族に命令するつもりか!」
あー、顔真っ赤にして怒っちゃったよ。茹でダコみたい。いや、こっちのタコは不味そうだけどね。
「貴族だろうが金だろうが、大商人だろうが、そこに居られたら他の人が出入り出来なくて困ってるのはわかるでしょうが」
「貴族たる我々を差し置いて街に入るのが許されるとでも?」
「いやまあそれを決めるのは代官なんだけど……そろそろ来たみたいよ」
向こうの方から一生懸命走ってくるシャーロッテさんが見えた。アンナさんじゃないの? 大丈夫?
「はいはい、代官のシャーロッテですよ。あんたは?」
「貴様が代官だと!? そんなバカな! シンター殿はどうしたのだ?!」
シンター……? もしかしてあの前の代官? まあそんなやつも居たよねって話なんだけど。
「シンター? 前の領主なら色々な罪で王都で取り調べ受けてるけど?」
「な、な、な、なんだとぉ!?」
どうやら本当に知らなかったみたいで口をあんぐり開けて驚いていた。あいむあんぐりー。
「という訳であなたのことはこちらで話を聞くんで……聞きますので」
おっ、シャーロッテさんでもいけるかな。 まあ彼女も代官なんだし、しっかり対応してもらおう。馬車を横に避けて後続の人たちが通れるようにしたよ。皆様お騒がせしました。
で、シャーロッテさんは成金豚と一緒に密室いや、取り調べ部屋へ。いや、応接室とかないからね、門には。
「テメェ、ふざけてんじゃねえぞ!」
ドンガラガッシャーン、という音が聞こえた。空耳では無いよね。うん、やっぱシャーロッテさんには交渉は百年早かったよ。
「嘘では無いですよ。私どもはこの街に金を貸しているのです。さあ、金貨八十枚、耳を揃えて返してもらいましょうか」
「その借金をしたのは前の領主だろうが。今のあたいらには関係ねえ!」
「街に貸した、と言いましたよ? ならば街の所有者が払うのが道理というものでしょう」
なんだか物凄いことになってきたよ。とりあえず書類を見せてもらう。内容的には確かにこの貴族、デブンシャ子爵がシンター個人ではなく、港町の発展のためにアンダーゲートの街に貸した、ということになっている。
まあいわゆる投資というやつだ。見込みのありそうな都市に金を貸して利回りを得る。アンダーゲートは異国からの品物が入ってくる街だからいくら貸しても貸倒はしない。
実際、シンターの個人資産は把握が難しいほどある。だから捜査が進まないというのもあるんだけど。ともかくシンターの個人財産とアンダーゲートの街の資産の分類が完了しない限りは手が出せない。
「分かりました。では街の現在の所有者に言っていただけますか?」
「物分りが良くて助かる。で、今の領主はどこに?」
「王都に居られます」
「王都まで私に行けと? 何たる無礼! アンダーゲートの街の領主如きが子爵たる私を呼び付ける、だと?」
なんの勘違いをしているのか、自分の方が格が上だとでも思ってるんだろうか。
「呼んでこい! 今すぐにだ! この私に恥をかかせたことを面罵してやる!」
アンダーゲートを代官に任せて自分は王都で悠々自適に暮らしてる。そんな絵でも頭の中で描いたのか大変憤慨していらっしゃる成金豚野郎様。
「わかりました。呼んできましょう。お待ちいただけますか?」
「良いだろう。来るまで街の中の宿で待たせてもらうぞ。もちろん一番高級な宿に、泊り賃はアンダーゲートもちでな!」
なんか喚いているけど、時間がもったいないからね。王城に行って王様を持っていくとしよう。剣出せば解決? そんなの面白くないじゃない。




